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2010年9月13日 (月)

防衛省 平成23年度予算概算要求に思うこと

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このブログを読まれている方であればご存知の事と思いますが、防衛省の平成23年度予算概算要求が8月末に発表されました。PDFで防衛省のホームページよりダウンロードが出来ます。
概算要求額と要望額の合計は4兆7123億円、前年度比298億円の0.6%増となっています。今回の概算要求ですが『本年末に予定される防衛計画の大綱の見直し、平成23年度以降の中期的な防衛力整備計画策定に向けた「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」における議論や、これまでの省内の検討状況を踏まえ、平成23年度要求を実施』との記述があります。この記述の意味することは即ち今年度の概算要求を見れば、年末に予定されている防衛大綱の改定の方向性が分かるということです。そういった意味でも今回の概算要求は注目に値すると思われます。
それではこの概算要求に関して私なりに興味を持った部分をこの記事で書きたいと思います。
まずは正面装備からです。PDFの23ページから25ページに記載されています。( )内は筆者のコメントです。

1.航空機
(1)陸自
多用途ヘリコプター UH-60JA×3機
輸送ヘリコプター  CH-47JA×1機
戦闘ヘリコプター  AH-64D×1機 (驚きの復活です。)
新練習ヘリコプター TH-480B×28機 (三ヵ年分を一括調達により経費節減)

(2)海自
固定翼哨戒機 P-1×3機
哨戒ヘリコプター SH-60K×4機
掃海・輸送ヘリコプター MCH-101×2機
初等練習機 T-5×5機
回転翼練習機 TH-135×2機
固定翼哨戒機 P-3C延命×1機
回転翼哨戒機 SH-60J延命×2機

(3)空自
戦闘機F-15近代化改修×8機分
戦闘機F-15自己防御能力の向上×2機分
戦闘機F-2空対空戦闘能力の向上×3機分+36機分
戦闘機F-2へのJDAM機能の付加×12機分
次期輸送機C-2(仮称)×2機
次期救難ヘリコプターUH-X×3機(SH-60Kの改修型かEH101が候補の模様。一部業界関係者によりますと今後は海自の哨戒ヘリも欧州製になるとの観測があります)
早期警戒管制機E-767レーダー機能の向上×3機分

早期警戒機E-2Cの改善×1機分  

2.艦船
潜水艦(SS)×1隻 (4ページの「警戒監視能力の強化」にも記載されています。同項目には「潜水艦の延命」との項目もあり、以前当ブログでも採り上げました「海自潜水艦を増強 活発化する中国海軍に対処 防衛大綱改定」の流れに沿ったものと思われます。)
掃海艇(MSC)×1隻
はつゆき型護衛艦の延命×1隻分
あさぎり型護衛艦の延命×1隻分+3隻分
とわだ型補給艦の延命×1隻分


3.誘導弾
(1)陸自
03式中距離地対空誘導弾×1個中隊
短SAM改Ⅱ×1式(従来型の発射方式からキャニスター発射方式に変更され、小型の空対地誘導弾や巡航ミサイルに対応可能となったとされています)
96式多目的誘導弾システム×4Set
中距離多目的誘導弾×12Set

(2)空自
基地防空用SAM×教育用1式

4.火器・車両等
(1)陸自
mm拳銃×137丁
89式小銃×10033丁 (89式小銃はここ数年高いペースでの調達が続いています)
対人狙撃銃×91丁
5.56mm機関銃MINIMI×265丁
12.7mm重機関銃×118丁
81mm迫撃砲L16×5門
120mm迫撃砲RT×4門
99式自走155mmりゅう弾砲×8両
10式戦車×16両
軽装甲機動車×107両
96式装輪装甲車×11両
87式偵察警戒車×1両
NBC偵察車×11両 (4か年度分11両を集中調達するとのことです)

(2)空自
軽装甲機動車×9両

5.BMD
空自
ペトリオット・システムの改修×1式

主要な装備品に関する予算の概算要求は以上となっています。来年度概算要求で個人的に気になった点は下記の五点です。
まず第一点目ですが空自FX選定関連ですが次期戦闘機F-Xに関する調査が盛り込まれています。しかし一部で報道されていたF-2戦闘機の追加調達はありませんでした。
第二点目ですがこのブログでも取り上げた「将来の戦闘機に関する研究開発ビジョン」の「必要な研究事項の方向性などについて整理し、関連した研究を推進する」とし、同プロジェクトに着手することが明記されています。将来への投資と言えるでしょう。
第三点目はUH-1の後継として新多用途ヘリコプターの開発が研究開発に盛り込まれていることです。個人的にはUH-1の双発型となると予想していたので意外でした。以前から研究が行われてきたOH-1の改造型です。しかしOH-1の改造型と言っても用途や要求される性能が根本的に異なるため、全く別の機体と言って良いものになるでしょう。
第四点目ですが海自関連で新規の護衛艦調達はなく、その代わりにはつゆき型及びあさぎり型護衛艦に対する延命措置の実施が要求されています。やや寂しい結果です。
そして最後になりますが、個人的に最も今回の概算要求で注目したのは「島嶼部における各種事態への対応」という項目です。一部関係者から空自FX選定でF/A-18EF-35と並ぶ有力候補として急浮上しつつあるとの分析もこの関連の様です。この項目は陸自の一部を海兵隊化することが防衛省で検討されているとの一部報道にも合致します。「離島侵攻対処に係る海、空自衛隊との連携要領等を実動訓練により実施」と概算要求にありますが、先日明らかになりました今年12月に大分県の日出生台演習場で行われる予定の陸海空自衛隊と米軍とで共同で行われる「離島」奪還訓練もこの流れに沿ったものと思われます。南西諸島への自衛隊配備について菅総理も5日のNHK討論番組で「一つの検討課題だ」と述べ、前向きな考えを示しており実現化する可能性が極めて高いのではないでしょうか。尖閣諸島沖で7日に発生しました海上保安庁の巡視船と中国の漁船が接触した問題で現在も日中間の緊張が高まっており、このことは領海問題が一歩対応を誤りますと軍事衝突にもなりかねない危うさを孕んでいることを改めて浮き彫りにしました。米国も今回の問題を注視しており、ウォルシュ米国太平洋艦隊司令官は8日に都内で会見した際に「いつでも海上自衛隊の要請に対応できるようにする」と述べています
その一方で普天間基地移転問題の迷走で、最近は米国政府内で日米同盟が米韓同盟よりも格付けが下になりつつあるのではないかとの見方があります。こういった事を書きますと、「米国の顔色を伺い過ぎ」だといった意見や「気にする必要がない」との意見も出るかもしれませんが、極東アジアの情勢が不安定化する中で、世界最大の軍事大国でもある同盟国からの優先順位が下がったという事実は厳粛に受け止めた方がいいと考えます。韓国の盧武鉉政権時代がそうであった様に最新鋭兵器の調達や共同開発、ライセンス生産の交渉にも支障を来す可能性もあります。
14日は民主党代表選挙が行われます。
候補者間で普天間に関して意見の相違がある模様ですが、どちらの候補が勝利しようとも、外交戦略の策定と抑止力の整備は急務と言えるでしょう。

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コメント

UH-XってMH-2000の開発実績もありますし、どちらのコンポーネントも活かして案外上手くいくんじゃないですかね。

AH-64Dの調達再開は意外ですね。AH-1Sの耐用年数が危ういから応急の措置なのか、
それともAH-XはAH-64Dブロック3に調達変更するつもりで今回要求したのか気になる部分ですね。

はつゆき型とあさぎり型は防御力に不安が残りますが、
武装面では非常に充実してますし延命は悪くは無い気がしますね。

某所の書込↓
436:
ストラテジーページの2010-8-28記事「Greece Prepares For the Turk Hordes」。
なぜアパッチのロングボウはダメなのか。ミリ波レーダーのぼやけた画像なんかで、戦争ができるかよ、というこった。これがイラクで痛感された。
敵が8km先の戦車ならばボヤけた画像をもとにヘルファイアを腰ダメでぶっ放してもよかろうが、敵が歩兵の場合は、鮮明な画像を見ながら攻撃したいのだ。
しかもロングボウのレーダーシステムは重さが 500 pounds もありやがる。
これは、アフガンのような空気の薄い土地では、とてつもない足枷なのだ。
また、イラクの高温と砂塵で、ロングボウのelectronics は、よく壊れた。
437:
>>436
だから陸自もAH-64Dをやめとけばよかったのに。 AH-1Zの方がよっぽどましだね。
いまだにこんなくそヘリを導入させようと画策している富士重は国賊企業だな。
448:
今回のアパッチが54億で済んでいるのは
前のアパッチが200億以上したのはラインの建造費の元をとるためで
それ以降は無駄な値段がつかないってことと
既に生産されてる部品がストックとしてあるってこともあるんでは
あと富士には大損害を与えているので追加調達して金を恵んでやらないといけないとか
それに製造基盤維持の為次期AHが決まるまで製造しなきゃならんとか
全部想像だけど
450:
200億は概算要求止まりでしたね
過去の調達では
餅付き75~100億
餅無し70億
54億は本当に異常値ですね。ドンガラだけなのでは?
ブロックⅢへの改修を前提として役立たずなシステムは載せずにドンガラだけとか
教育隊配備を引き揚げて目達原に集中配備するにしても10機じゃ部隊運用がママならないから予備機としてドンガラとか
世界初の訓練専用AH-64Dと(ry

天山氏
此方のブログには初投稿ですね。いらっしゃいませ^^「ザの人」の友人達がこのブログに再結集しつつあることを嬉しく思います。
アパッチの調達は恐らく富士重工との「和解」の為かと思われます。今後はAHの調達が無くなっていく可能性があります。イラク戦争の経験から攻撃ヘリコプター不要論が世界各国で唱えられつつあります。そもそもヘリコプターは攻撃を受けた時に非常に脆弱です。飛行経路が予測されて、そこで奇襲を受ければ大損害を被る可能性があります。実際にイラク戦争にてアパッチがこれで大損害を受けています。そして現在では世界各国の防空システムは高度化しつつあります。
そうした中で戦闘機並みの価格のアパッチはコストパフォーマンスに劣るのではないかとの意見が散見されるのです。
その一方で、離島防衛にはヘリコプターが必須となりますが、陸自がヘリコプターにて上陸する際は攻撃ヘリ以外の強力な攻撃機が当然必要となってきます。F/A-18E/Fが空自FXの有力候補となりつつあるのはそういった背景があると言われています。

バラライカ氏
私も今回のアパッチ調達は富士重からの訴訟を回避する為と見ています。
天山氏へのコメントにも書きましたが、陸自は今後戦闘ヘリの調達を重視しない方針に動くかもしれません。

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