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2010年11月13日 (土)

中国漁船衝突ビデオ流出航海士の今後の処遇で司法が直面するジレンマ

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尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件の動画がインターネット上に流出した問題で神戸海上保安部(神戸市)所属の巡視艇「うらなみ」の主任航海士(43)が名乗り出ました。動画が投稿されたと思われる神戸市内のインターネットカフェの防犯カメラにこの海上保安官の姿が映っており、投稿したのは本人であることはほぼ間違いないでしょう。本人は動機に関して、「あれを隠していいのか。私がこういう行為に及ばなければ、闇から闇に葬られて跡形もなくなってしまうのではないか。国民は映像を見る権利がある」と読売テレビでの取材に語っており、また任意の事情聴取でも「悪いこととは思っておらず、犯罪には当たらない。本来、隠すべき映像ではない」と述べており、sengoku38とのハンドルネームからも分かる通りやはり確信犯でした。流出経路等まだ不明確な部分もあり、そこは今後少しずつ明らかになっていくのかもしれません。
 今後本人が海上保安庁で勤務し続けることは困難でしょう。解雇となるか、若しくは「自己都合退職」をすることとなるでしょう。
 しかし刑罰をこの海上保安官に課すか否かで政府は勿論のこと、司法も難しい判断を迫られそうです。この海上保安官に対し同情する意見も多く、検察は世論の動向を分析しながら決断することになるでしょう。処遇が難しい旨は読売新聞の11月12日の記事「航海士、逮捕か否か・・・検察着地点決められず?」産経新聞の11月11日の記事「守秘義務、割れる解釈 尖閣ビデオ、一部議員には公開 問われる実質性」でも分析されています。
 個人的な見解ですが、私も起訴は難しい可能性があると思います。私は前の記事で「(ビデオが)存在することがほぼ全国民に知られており、そもそも非公開とすることが国益に合致するのかに関して議論があった動画であり、日本の海上保安庁により録画された日本の捜査機関の証拠であり」と書きました。この文章を補足しますと刑事事件の書類をリークすれば刑事訴訟法第四七条の「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない」との規定に抵触し、秘密を漏洩したことにはなるかもしれませんが、コメント欄で「中国人船長が帰国してしまった今となっては、開廷は最早あり得ません。」( 2010年11月 6日 (土) 20時39分のコメント)と書いたとおり、秘密とする根拠としては弱いのです。また前述の産経新聞の記事でも書かれていますが、一部国会議員に開示しており、またビデオを視聴した議員がマスコミに映像の内容を答えており、秘密に該当するかこの部分でも疑問の余地があります。そもそもこの情報が存在すること自体が既に世間一般に知られており、政府も存在することは認めているのです。
 今回の事件では司法は非常に解決の難しいジレンマに直面することとなるのではないかと個人的には思っています。世論の反発や外交上の判断、政権の意向は勿論のことですが、司法の判断次第では政権を揺るがしかねない可能性があると考えます。もし世論の反発や構成要件該当性の問題から警察が海上保安官を守秘義務違反で逮捕・送検しなかった場合や、検察が海上保安官を起訴をしなかった場合は、警察ないしは検察がこのビデオが秘密には該当しないと判断した事になってしまうのではないでしょうか。逃げ道としては情状により起訴猶予処分とすることでしょう。起訴となった場合は今度は裁判所が同じジレンマに直面します。海上保安官に対する世論の同情は強いものがあると思われますし、その一方で無罪にすれば裁判所が尖閣ビデオが秘密に該当しないとの判断を示した事となります。
 もし海上保安官が不起訴や無罪となった場合は、政府の非公開とする根拠はますます弱まる事となります。今後の捜査当局や司法の判断に注目したいところです。仙谷官房長官は那覇地検が中国人船長を釈放した際に「法務省から刑事事件としてそういう判断に到達したと報告を受けたので、それはそれで了としている」、「検察の総合的な判断と理解している」と述べました。もし司法が海上保安官に対し不起訴や無罪の判断をした場合は、仙谷官房長官は当然尊重すると私は確信しています。

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事件」カテゴリの記事

コメント

よく自首してくれました。

これでジレンマに直面するのは政府(民主党)もでしょう。

民主党としては、出来れば迷宮入りになって欲しかったのではないでしょうか。

もっともダメージがあるのは裁判になった時でしょう。『検察の独自の判断で釈放した』とかが法廷で議論されて困るのは決まっていますからね。

もし検察がそれでも独自の判断だ、と言い張るなら『検察自体の存続にもかかわってくるでしょう』少なくともその地方の検察は消滅しかねません(トカゲのしっぽ切りで。それがいやなら政府の指示だった-ト言うしか有りませんね。政府が認めるかどうかは疑問ですが)

貴殿の述べた通り、警察や検察が(逮捕等を)行なわなかった場合ビデオは秘密に値しないとなりますね。
特に最初は機密扱いになっていなかった-と言うのでは尚更でしょう。

それにもし本人が『あくまで裁判で決着をつけるべきだ。日本は法治国家なのだから』と主張したらどうなのでしょう。

それから今回の件ではどこぞのヒトが主張していた『取り調べをビデオにとる』とか『情報公開』とかというヤツはどうなっているんでしょうね。

みやとん氏
名乗り出たのは勇気があるとは思います。
政府としては警視庁と東京地検を同時に捜査に従事させていますから、国家の総力で以て捜査に臨んでいると思われます。またある民主党幹部も「倒閣運動だ」、「背後関係も調査するべき」と述べています。
細かいことかもしれませんが、犯罪の疑いのある行為に関して捜査機関が捜査を開始した後なので、これは自首ではなく出頭です。自首は犯罪となる可能性がある行為がまだ捜査機関により認知されていない時に、捜査機関にその事実を告げた場合のみに自首とされます。それに対して出頭とは既に捜査機関が犯罪の疑いのある事案を認知した後で、被疑者が捜査機関に自ら出向いた場合です。今回の場合は出頭に当たります。出頭の場合も量刑の際に裁判官が考慮する要素の一つにはなります。
もし起訴された場合でも「(中国人船長を)検察の独自の判断で釈放した」かは今回は争点にはならないのではないでしょうか。YouTubeに画像を流出させた事実は争わないでしょうから、だとすれば今回の行為が国家公務員法に規定されている守秘義務違反となるかどうかの問題だけです。被告人が事実関係を認めている場合は、あくまでも刑事裁判で争われるのは構成要件該当性と情状酌量の余地の有無だけです。あくまでも本人の問題のみです。従いまして中国人船長釈放の判断を巡り那覇地検に対して政府から何らかの指示ないしは要請があったかどうかは無関係です。
不起訴になった場合で「あくまで裁判で決着をつけるべきだ」と主張しても日本は原則として検察のみが起訴出来るという起訴独占主義(刑事訴訟法第247条)ですから(例外は検察審査会による強制起訴のみ)、本人がそう主張しても検察が不起訴にした場合は刑事裁判は開廷しません。

内部告発者を護るウィキリークスを知っていたなら、
素早く追突ビデオ流れて誰も傷つかなかった。
反日も反中デモも無かったと思います。
機密があるのに民主主義ですか?知る権利を保障しないのなら。
間違った投票で住みにくい社会にしてしまうのを恐れます。
反日感情の恐れより、事実が機密扱いされる意味を議論すべきだと思います。
米では前の大統領が事実と違う発表で戦争を始めたのを、
ウィキリークスが機密を漏らしていたら。
自分の思い違いの政治家に投票し住みにくい社会にしてしまう愚かさが分ったと思います。

tarou氏
初コメント有り難うございます。
私個人の見解ですが、今回の画像は事件発生直後に政府が公開するべきだったと思います。
航海士が今回YouTubeを選んだのは知名度もあったのでしょう。知名度があったからこそ、インターネット上に即座に広がりました。
世界のどの民主主義国でも秘密はあります。全てを公開しますと、国家の安定した運営が阻害される虞もあります。秘密があること自体は否定されるべきではありません。
外交上の秘密:諸外国との信頼関係を維持する為にも必要な場合があります。
防衛秘密:公開されますと運用や装備に対する脆弱性が分析されて対抗手段が考案され、国の安全に害を及ぼす虞があります。また防衛技術は高度な企業秘密であることもあり、公開した場合はその企業のノウハウを開示することにもなりかねません。
警察・捜査情報:公開されますと犯罪予防が困難になり、又は被疑者逃亡、証拠隠滅、証人に危害が及ぶ虞があります。また犯罪歴なども敏感な個人情報です。
行政執行情報:取締り、監査、検査などが事前に対象となる関係者に把握されては意味がありません。また入札前に予定価格が漏洩していては競争を阻害します。
法人情報:企業の競争上の地位やノウハウを侵害する虞があります。
個人情報:行政は膨大な個人情報を有しており、それらが公開されますとプライバシーの侵害ばかりか、犯罪や悪徳商法に悪用される可能性もあります。
意思形成過程情報:公開されますと委員の自由な意見表明が阻害されます(委員の名前を黒く塗り潰すなどしても、発言の内容から本人が特定出来る可能性はあります)。
今回の漁船衝突事件の場合は外交情報ないしは捜査情報に該当する可能性はありますが、日中間でビデオを公開しない旨の密約がない限りは該当しませんし、中国漁船の船長が帰国していますので少なくとも訴訟に関する書類ではありませんし、そのことからも被疑者逃亡や証拠隠滅以前の問題と言えます。だとすれば政府が今回のビデオを非公開としているのは極めて恣意的で不合理と言えるのです。

そう、確かに出頭でしたね

逃げ道として起訴猶予にされた場合はどうなるのでしょうか?

不起訴か裁判による無罪がいいですが、起訴猶予でも裁判まで持ち込めるのでしょうか?

みやとん氏
11月13日 (土) 16時51分のコメントでも述べましたが、日本は検察による起訴独占主義が原則です。検察が起訴しないと判断したものに関しては刑事裁判は開廷しません。起訴猶予も不起訴判断です。唯一の例外は検察審査会による起訴議決のみです。

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