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2010年12月

2010年12月31日 (金)

中国第五世代戦闘機と思われる機体の画像がネットに掲載

J20

 前の記事を今年度最後の記事にしようと思っていましたが、高速でタキシング試験を実施している中国の第五世代戦闘機と思われる機体の写真が中国国内の非政府系のネットに掲載されましたので新たに執筆しました。時事通信の記事によりますと、この写真は四川省成都市内の飛行場で撮影された模様です。

Photo

この件に関しましては同じココログではbobby氏が昨日記事を執筆されています。また週刊オブイェクトの「休止期間中の軍事ニュース投稿記事」のコメント欄でも同様の情報が散見されました(2010年12月30日 14:14:39のコメントや2010年12月30日 14:20:43のコメント等)。更に確認しましたところこの画像に関しましてはDefense Newsでも"Photos of Chinese 5th-Generation Fighter Revealed"との記事が掲載されました。同記事によりますとこの写真の信憑性に関しましては垂直尾翼の赤い星の大きさとデザインの違い(中国空軍は通常小さい赤い星印に赤い平行の帯がある)から疑問視する見解もあるそうですが、米国際評価戦略センターのアジア軍事アナリストのRichard Fisher氏によりますと"the real deal," (「本物」)とのことです。
J-20と思われる機体の特徴としましては"canard-delta twin-engine configuration, diverter-less supersonic intakes, and a shaped nose consistent with the use of an active electronically scanned array (AESA) radar."「カナードつきデルタ翼双発エンジン、ダイバータ・レス方式の超音速インテーク、機首の形状からAESAレーダー搭載」となっているとの事です。複数の情報筋によりますとJ-20はT-50やSu-35プロトタイプにも搭載されているロシア製Saturn 117S (AL-41F1A) か中国国産のWS-10かWS-15を使っているのではないかとしています。

J20_2

J20_3

 Fisher氏はDefense NewsへのコメントでJ-20が"At first glance this fighter has  the potential to be competitive with the F-22 and to be an efficient F-35 killer," 「第一印象としてこの戦闘機はF-22の競争相手そして効率的なF-35キラーと成り得る潜在性がある」と述べています。
 私はこのフィッシャー氏のこの分析にやや懐疑的です。と言いますのもフィシャー氏がどの程度F-22の情報にアクセス権限があるか分かりませんし、またJ-20の客観的に評価可能なデータを有する筈がないのです。また対艦弾道ミサイル(ASBM)であるDF-21Dと併せて今回の第五世代戦闘機は米国にとり大きな脅威となるとフィッシャー氏は取材で述べていますが、対艦弾道ミサイルは米国の機動艦隊にとり脅威となり得ません。弾道ミサイルのCEPは極めて低く、その一方で機動部隊は20ノット~30ノットの速度で巡航すると仮定され、かつ米海軍の主力はイージス艦です。従いましてフィッシャー氏はやや過大評価している嫌いがあると私は考えます。
 しかしそれでも第五世代戦闘機の開発と配備では日本はロシアや中国に後れを取ったと言わざるを得ません。第五世代戦闘機の配備か、またはステルス戦闘機を探知可能な対抗手段の開発が急務となるでしょう。

Counterstealth_sensor

*今年も残すところあと三時間弱となりました。今年は大変お世話になりました。皆様の多数のご閲覧とコメントに大変励まされました。来年度が皆様にとって幸の多い一年となります様に。それでは良いお年を。

2011年1月6日(木)追記: 中国の次世代ステルス戦闘機、試作機完成か(2011年1月4日19時26分  読売新聞) 民間軍事研究所「漢和情報センター」(本部・カナダ)の平可夫代表「今後、改良やテストを重ねる必要があり、配備には10年から15年はかかる」

2011年1月8日(土)追記:中国の次世代ステルス戦闘機、近く飛行試験か(2011年1月7日23時24分  読売新聞)民間軍事研究所「漢和情報センター」によると「飛行試験も近く行われる見通し」

2011年1月8日(土)追記:某カリスマブロガーによるJ-20、F-22、PAK FAの比較図
http://yfrog.com/h7mh8zij
http://yfrog.com/f/h4rsfoxj/

2010年12月29日 (水)

中国の「エア・ハラスメント」に思うこと

Jh7

 12月27日付けの朝日新聞によりますと、今年9月の尖閣事件以降、ADIZに入るだけではなく日中中間線も越えて中国軍機が自衛隊機に対してこれまでにない程に急接近させる「エア・ハラスメント」の事案が散見される様になったとのことです。
東シナ海中国軍機急増、尖閣事件後、緊急発進相次ぐ-Page1

東シナ海中国軍機急増、尖閣事件後、緊急発進相次ぐ-Page2
今回のこの報道で注目したいのは中国軍側の機体です。まずJH7攻撃機ですが、YJ-8対艦ミサイルの運用が可能であり、その発展型であるYJ-85巡航ミサイルの運用能力を有する可能性があります(YJ-85はYJ-8の発展型)。
JH7攻撃機以外にもY8AEW早期警戒機も今年の3月に日中中間線に飛来したとのことです。これらの中国側の挑発的行動は自衛隊の監視活動への対抗措置/威嚇に止まらず、何らかの情報収集や訓練を兼ねている可能性があると個人的には考えます。2008年に中国空軍の戦闘機が巡航ミサイルの射程内まで接近し引き返す行為を繰り返し行っているとの報道がありました。
中国側の意図に関しましては不明ですが、この朝日新聞の記事にも記載がありますが、「沖縄本島を含む南西諸島全体が中国軍機の作戦行動範囲に入る恐れ」があります。この意味でも那覇基地の戦闘機増強E2Cのローテーション配備下地島空港の活用の検討は喫緊の課題と言えます。
財政難の中では既存の装備や人員を活用し、南西方面に振り分けるしかありません。新防衛大綱は基本的にその方向と言えるでしょう。政権交代がない限りはこの方針に原則として大幅な変更はないものと思われます。その一方で新防衛大綱では日米同盟の深化・発展に加えて「我が国と基本的な価値観及び安全保障上の多くの利益を共有する韓国及びオーストラリア」、ASEAN諸国、インドとの協力強化を打ち出しています(第八頁)。しかし、我が国として領土や権益を防衛するとの確たる意思を持たない限りは同盟関係が有効に機能しません。また普天間問題も日米間で懸案のままです。
韓国は黄海にて中国漁船が体当たりした12/18日の事件で直ちに画像を公開しています(尤も25日に韓国側は三人を中国側に引き渡してはいますが)。映像を全ては未だに公開していない日本の対応とはやや異なります。
 来年も日中関係は緊迫した状況が継続し、日本側の断固たる意思表示が必要となる局面もあることでしょう。来年こそは日米関係を立て直し、領土問題で毅然とした対応を示して欲しい物です。

2010年12月30日追記:
空・海から奇襲・・・中国軍が離島上陸計画 領土交渉圧力Page1
空・海から奇襲・・・中国軍が離島上陸計画 領土交渉圧力Page2
(朝日新聞12月30日03時01分)
「空軍と海軍航空部隊が合同で相手国本国の軍港を奇襲し、港湾施設と艦隊を爆撃する。1時間以内に戦闘能力を奪い、中国海軍最大の水上艦艇でヘリコプターを最大4機搭載できる揚陸艦「崑崙山」(満載排水量1万8千トン)などを使って島への上陸を開始。同時に北海、東海両艦隊の主力部隊が米軍の空母艦隊が進入するのを阻止するという。 」
2011年03月03日(木)追記:中国軍機2機、尖閣に一時接近…空自が緊急発進(2011年3月3日07時48分  読売新聞)

2010年12月23日 (木)

空自新戦闘機に偵察能力付与を検討か

P3c

12/22付けの朝日新聞の報道によりますと、米が日本に情報・監視・偵察(ISR)の強化を求めていたことが判明しました。特に中朝の潜水艦の動向監視を最重要視しており、P3C哨戒機を活用する方針とのことです。また新戦闘機(FX)12機に偵察能力を持たせることを検討するとしています。
我が国のP3C保有数は97機(実動は80機、派生型を含めれば110機)であり、世界でも米国に次いで実に第二位の保有機数となっています。対潜哨戒機はその性質上多彩なセンサーを搭載しており、偵察機として有効活用が可能です。
私個人として今回の記事で注目したのは新戦闘機に偵察能力を持たせることを検討するとしている部分です。記事本文のこの件には主語がありませんので、この情報を朝日新聞がどこから入手したのか、政府/防衛省のどのレベルでどの程度まで検討が進んでいるのかは分かりません。この偵察能力をFXに付与するという構想は、RF-15構想が事実上中止となったことを受けてのものと思われます。偵察ポッドを搭載するとなりますと、ある機種が再びFXの最有力候補として浮上することとなります。偵察型もあるF/A-18E及びF/A-18Fです。F/A-18Eが有力候補となりつつあるとの話は今年の夏に業界の有力関係者であるKeenedge氏のブログの記事「【真夏の怪談】次期戦闘機にF/A-18Eが有力のナゾ」で知りました。私もこの記事の2010年8月10日(火)12:43に偵察機と電子戦機もFXと同一機種で統一してみてはどうかとの主旨のコメントを残しています(尤もEA-18Gの導入はF-22導入よりもハードルが高いかもしれませんが)。そうしますと結果的にFXの導入機数を増やすこととなり、ライセンス生産も合理的になるのではないかと考えたからです。Keenedge氏はF/A-18Eが有力候補となりつつある理由に関しましては「The Strike Fighter Evolutionであります」で「空自の任務変化、空自の空(海)軍化」があると述べています。最近の南西方面での抑止力強化と無関係ではないと思われます。
こういった中でBoeing社も日本側へのセールスプロモーションを強化しており、10月1日に都内のホテルで次世代コクピット・シミュレーターを米国外で初公開し、また最近でも実に88頁にも登る日本語版パンフレットをホームページ上で公開しています。
こういった一連の報道は空自FXの機種選定が大詰めを迎えつつあることを裏付けるものかもしれません。個人的には今回のFX選定はF-15J非MSIPの後継機ともなり得る機体ですので、それがF/A-18Eで良いのか疑問を感じています(但し防衛省はF-15後継機を国産開発することも念頭に入れているとの産経新聞による報道が11月30日にありました。軍事関連では産経新聞は誤報が多いのでこの記事の信憑性は低いかもしれません。しかし官民合同の研究会が発足したのは事実であり、それは防衛省の公式HPでも確認できます。)F/A-18は飛行性能では全ての面でF-15を下回り、対艦攻撃機としてはF-2の性能を下回ります。私個人としましてはやはりF-15E改良型を選択するのが最善の選択ではないかと感じるのです。
空自FX選定レースに関しましては新たな動きがあれば、今後もこのブログでも取り扱っていきたいと思います。

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2010年12月19日 (日)

新防衛大綱及び新中期防衛力整備計画公表に思うこと

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防衛大綱改訂と中期防衛力整備計画が閣議決定され、公表されました。首相官邸ホームページより閲覧が可能となっています。

平成23年度以降に係る防衛計画の大綱について

中期防衛力整備計画(平成23年度~平成27年度)について

 内容的には以前より報道されていた通りで、余り目新しいものはありませんでした。今回の改定の趣旨は従来の全国に自衛隊をまんべんなく配備するとの「基盤的防衛力」から中国や北朝鮮を念頭に部隊の配置や装備を重点的に南西方面に配備する「動的防衛力」への転換だとされています。しかしこれは果たして事実なのでしょうか。冷戦時代での自衛隊は決して全国にまんべんなく配備していた訳ではなく、ソ連軍の軍事侵攻を念頭に第7師団に3個戦車連隊、第2師団に1個戦車連隊を配置するなど、戦車に関しましては北海道に重点的に配備されていました。脅威の性質が変化しつつあることは否定しませんが、しかしだとすれば戦車の配置を変えるべきであり、戦車の定数を200台削減するとの今回の改定は「一層厳しさを増す安全保障環境に対応するには」(平成23年度以降に係る防衛計画の大綱について第6頁)やはり甚だ疑問の余地があるのです。その一方で離島防衛には戦車は迅速な展開に適さないとのカリスマブロガーからの指摘もあります。しかしこの指摘自体も戦車の有用性そのものは否定する趣旨ではなく、むしろ陸戦の王者たる戦車の存在意義を肯定するものです。従来想定していた大規模着上陸侵攻では、彼が戦車を投入せんとした際は我が有する戦車の質と量ともに上回ることを強いられます。またゲリコマ対策でも有効であることがアフガンなどで立証されました。戦車に関しましては今回の平成23年度~平成27年度までの中期防衛力整備計画では戦車が68両整備されることとなっています。一部に10式戦車の生産が50両で打ち切られるのではないかとの懸念がありましたが、それは杞憂に過ぎないことが裏付けられました。(因みに12/18の読売新聞の報道によりますと来年夏に九州・沖縄地域で行う実動演習に、陸上自衛隊第7師団を派遣する方針の様です。
 しかしその一方で「即応性、機動性等を一層向上させる」、「即応性、航空輸送力を一層向上させるため」(中期防衛力整備計画第4頁)としながらもCH-47JAの予定整備規模が5機に止まっており、これは従来の配備ペースとほぼ変わりません。新型輸送機(C-2)も配備するとのことですが、空自の作戦用航空機は2004年度防衛大綱の350機から340機へ削減されています。これはC-2の性能がC-1のスペックを大幅に上回る為で、より少ない作戦用航空機でも能力向上に繋がるとの判断からの模様です。24DDH型(19500トン型?)整備に関しても「くらま」の後継が必要であり、既定路線です。
 また今回の動的防衛力の根幹部分の一つである南西諸島の警戒監視体制の強化では、陸自自衛隊の沿岸監視部隊の配置や移動警戒レーダーの展開を行うとしています。これは以前より報道されていました。その一方で「南西地域において早期警戒機(E-2C)の整備基盤を整備し、常時継続的に運用し得る体制を確保する」との部分は「一定期間運用する」、「定期的に三沢基地から那覇基地に展開」との従来の報道より一歩踏み出した姿勢ではないかと思われます。
 空自では中期防衛力整備計画にて新戦闘機(FX)を12機整備するとしています。現段階では候補機種はほぼF-35とF/A-18E/Fの二機種に絞られたと言って良いでしょう。那覇基地の戦闘機増強は以前より報じられている通りです。今回はグローバルホーク導入に関する言及はありませんでした。
2010年12月30日追記:中国・北朝鮮を監視・・・無人偵察機の導入検討へ(2010年12月30日03時04分  読売新聞)
 海自関連では「あたご」級へのMD対処能力の付与、汎用護衛艦2隻、前述の19500トン型DDHの整備が中期防衛力整備計画にて計画されています。今回の焦点であった潜水艦増強は定数が22隻となりました。潜水艦増強に加え、新防衛大綱別表では護衛艦定数が47隻から48隻に1隻増強されていますが、これらは海自の地方隊を5個から4個にに減らし、且つ護衛艦の延命措置を講じることにより達成するものと思われます。また防衛大綱の別表では「弾道ミサイル防衛機能を備えたイージス・システム搭載護衛艦についは、弾道ミサイル防衛関連技術の進展、財政事情等を踏まえ、別途定める場合には、上記の護衛艦隻数の範囲内で、追加的な整備を行い得るものとする」と記載されており、噂の9000トン級DDG計画との兼ね合いでも興味深い記述ではあります。
 陸自関連で驚愕に値するのはAH-64Dが3機追加導入となっている点でしょうか。しかしこれに関しては余り前向きな話ではなさそうです。事業仕訳でC評価と低い評価が下された中距離地対空誘導弾に関しては、巡航ミサイル対処の観点から整備が進められる模様ですので、それは前向きに評価されるべきでしょう。
 これ以外にはサイバー攻撃への対処に力を入れる方針が中期防衛力整備計画にて打ち出されており、サイバー攻撃対処の中核となる組織の新設や専門的な人材育成に必要な事業を実施するとしています。
 また統合運用強化の一環として中期防衛力整備計画で航空救難機能の空自への一元化に向けた体制整備への着手と、陸自及び空自の高射部隊の統合を検討開始するとしているのは、私個人としては実現性に疑問を感じます。陸自には独自の防空能力が必要であり、それは空自も同じです。現在の住み分けで十分機能するのであり、現行のJADGEシステムで十分なのではないでしょうか。
 研究開発の推進では新型多用途ヘリコプター、機動戦闘車、新空対艦誘導弾の開発着手、中距離地対空誘導弾の改善、F-2戦闘機の後継機としての国産戦闘機開発に着手可能なように戦略的検討を推進するとしています(中期防衛力整備計画第9頁)。
 こうして全般的に見ますと、既定路線が多く、厳しい財政事情の中で既存の装備を南西方面に重点的に再配置したとの感が否めません。純粋に増強されたのは潜水艦の定数のみと言えるでしょう。平成23年度以降に係る防衛計画の大綱についての第4頁に於きましては「大規模着上陸侵攻等の我が国の存立を脅かすような本格的な侵略事態が生起する可能性は低い」との記述が見受けられますが、中露両国ともその能力は寧ろ向上しつつあるのであり、他国の政策及び政治情勢の急変を予測することはほぼ不能であることから、周辺諸国の実力に合わせて防衛力は整備するべきなのです。
12月18日付の日経新聞は今回の新防衛大綱は経営で言えば資金や人材をこれだと思う重点部分に集中し成果を高めようとする「選択と集中」であると報じています。那覇基地への戦闘機増強はその最たるもので、結果としましては他の地域の防空能力に穴が開くことに繋がりかねません。戦闘機定数を増強し、那覇基地にも飛行隊を新設するのが王道なのではないでしょうか。
 機動戦闘車100両以上の導入やSSMの整備も、戦車定数及び火砲定数の削減で余剰となった人員を振り分けるものと思われます。
 厳しい財政事情を鑑みてやむを得ない部分もあったのかもしれませんが、国家の最大且つ最低限の責務は国民の生命を守ることなのです。そのことを踏まえて日本政府には再度再考して欲しいものです。自民党は政権を奪還した場合は直ちに防衛大綱を見直す方針を示しました。一部世論調査でも外交安全保障政策では自民党を信用するとの結果が出ています。民主党は政権を今後も継続して担う意欲があるのであれば、防衛政策でも野心的な方針を打ち出す必要があるのではないでしょうか。
2011年2月20日(日)追記:島しょ防衛 新組織視野に検討(2月8日5時8分 NHK) 「高度な技能を持つ部隊や高速輸送艦などを備え、機動力や対処能力に優れた新たな組織の新設も視野に、態勢拡充の検討」、「中央即応集団や、西部方面普通科連隊などの組織を再編成することなどが検討される見通し」

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2010年12月12日 (日)

2010年度策定防衛大綱改訂案に思うこと

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 政府が計画している2011年度からの防衛大綱改訂の概要がほぼ明らかになりました。12月11日の中国新聞にやや詳しい概要が記載されています。
PAC3全国展開へ 防衛計画大綱別表案が判明 - 中国新聞
 焦点であった陸上自衛隊に関しましては隊員数はほぼ現状維持であり、その一方で戦車定数は600両から400両に削減されることが決まりました。これにより陸自の戦車定数の推移は下記の通りとなります。
1976年 約1200両
1996年 約 900両
2005年 約 600両
2010年 約 400両
 陸自の隊員数は一時期増員するとの報道がありましたが、その後は財務省が削減を要求した経緯があります。増大する南西方面の脅威に対処するには一定数の隊員数は必須です。以前の記事でも述べましたが、陸自の人員が多ければ多いほど彼はそれに対処する地上戦力を用意する必要に迫られます(一般的な軍事セオリーでは攻勢側は守備側の三倍から五倍)。
 戦車不要論も一部で散見されますが戦車はその火力、防御力、機動力のどれを取っても陸戦の王者なのです。その有用性はイラクやアフガニスタンで再認識されつつあります( 因みに戦車の最大の天敵と言われる攻撃ヘリは2004年にイラクでAH-64Dが防空コンプレックスに対する脆弱性が露呈する等、また例えばAH-64Dは戦闘機並の調達価格であること等から大きく株を下げています )。我が強力な戦車部隊を有する場合は、彼は上陸に際して戦車を投入する必要性に迫られます。戦車に互角に対向可能なのは戦車しかないのです。関連性のあるトピックとして陸自は戦車定数の枠外で機動戦闘車100両以上の調達を要求する模様ですが、機動戦闘車は火力や防御力( 恐らく機関砲やRPGに耐える程度で主力戦車の主砲には耐えられないものと思われます )の面で戦車を代替し得るものではありません。その一方で戦車教導隊は定数の枠外扱いとなる模様なので、そこで調整は可能かもしれません。

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( 防衛省の想定している機動戦闘車の運用を見ても歩兵や軽装甲車両への対処が主旨であることが分かる )
 空自と海自の増強のみで敵の上陸を全て防ぐことは不可能です。これが可能なのは少なくとも下記に述べる各要件を全て満たしている必要があります。
(1)彼の異常な動向を事前に全て察知出来ること(軍部隊の集結)
(2)民間船及び民間機も含めて領海及び領空内を航行している全ての外国の航空機と船舶のリアルタイムでの動向把握
(3)空自と海自及び海保が(1)と(2)の動向に異常を察知した場合に直ちに初動対応が可能な体制を整えられること
(4)政府及び司令部が判断ミスを全くしないこと
(5)策源地攻撃が可能であること(日本には現状この経験やノウハウが全くなく、リアルタイムで外国の目標を追尾出来る程のインテリジェンスがなく、装備も一部を除いて適しておらず、海外でコンバットレスキューを展開する能力もない)
(6)同時多発の飽和攻撃に空自と海自で全て対処出来ること
(7)少数の敵特殊部隊の潜入も全て防ぐこと
 こういった諸条件が実現困難であることが分かれば、陸自を軽視する方針が決して賢明な選択とは言えません。尤も日本本土の防衛に必要な最低限度の陸自の定員数や戦車定数がどの程度であるかは議論の余地があると思われます。しかし現状でも防衛予算も立て続けに削減され、人員も削減され、そこに加えて国際貢献任務など従来の任務以外の役割も増えてきており、また高齢化も進んでおり、人手不足感が陸自にある模様です。従いまして財務省が今回の大綱策定でまず陸自の削減ありきとの方針で臨んだことに関しては強い違和感を感じるのです。政府は「基盤的防衛力構想」を転換し、「動的防衛力を整備する」との事ですが、このスローガンの具体的なドクトリンも今一つ良く分かりません。ただ一連の報道から判断しますと多分に戦車不要論に近い意味合いを含んでいる様な気がします。
 唯一純粋に増強されたのが潜水艦で22隻体制となる模様です。これは以前より報じられている通りです。
 MD充実方針との報道もありますが、パトリオットのPAC-3化と「あたご」級のMD対応化は既定路線です。MD充実も重要ですが、それ以上に今後は巡航ミサイル対処も課題となります。中国空軍の戦闘機が巡航ミサイルの射程内まで接近し引き返す行為を繰り返し行っているとの報道が2008年になされています
 残念な事に自民党政権下での2009年度の自民党防衛大綱改訂案と比較して全般的に内容が非常に薄い印象を受けます。自民党はトマホークやTHAADの導入も検討していました。あの当時と比較しましても日本の安全保障環境は厳しさを増していると私個人としましては感じるのです。
 その一方で、有力業界関係者であるKeenedge氏よりやや夢のある非常に興味深い話がTwitter上で呟かれていました。
「2015年に9,000t級DDG( ポスト・イージス )調達と書かれていた。はてさて、これは一体なんどん。。 」
上記以外に新たな情報が入りましたら追記にてこの記事に書き加えるか、場合によっては新しい記事を執筆していきたいと思います。

2010年12月13日追記:陸自定員、1千人削減の15万4千人で合意(2010年12月12日16時34分 読売新聞)

2010年12月14日追記:中期防予算23兆4900億円=安保会議で了承(2010年12月14日10時34分 時事通信)

2010年12月16日追記:政府、武器輸出解禁視野に検討 新防衛大綱案に明記(2010年12月16日02時02分 共同通信)

2010年12月17日追記:政府が新防衛大綱を決定!!
首相官邸ホームページより
中期防衛力整備計画(平成23年度~平成27年度)


平成23年度以降に係る防衛計画の大綱

(何故かAH-64Dが復活しています)

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菅政権の「武器輸出三原則」緩和問題に関する一考察

菅政権の社民党との連携強化と武器輸出三原則緩和見送りに思うこと 

2010年12月 9日 (木)

菅政権の社民党との連携強化と武器輸出三原則緩和見送りに思うこと

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菅総理が社民党との連携を強化する方針を打ち出しました。読売新聞社が今月の3~5日に実施した全国世論調査では菅内閣の支持率が25%にまで下落し、政権末期となりつつあります。
民主党の議席は衆議院で2/3に届かず、参議院では過半数を有しない極めて厳しい状況にあります。菅総理が社民党に連携を呼び掛けたのはこういった事情があるものと思われます。しかし今回の連携強化でも、上記の厳しい国会運営状況を打開出来る訳ではありません。2010年12月7日06時56分の読売新聞の報道によりますと、12/17日現在の衆参両院の会派構成は下記の通りとなっています。

衆議院 (定数480・議長を除く「再可決」ラインは319)
民主党・無所属クラブ307
国民新党・新党日本4
社民党・市民連合6
(3会派計317)
自民党・無所属の会117
公明党21
共産党9
みんなの党5
たちあがれ日本3
国益と国民の生活を守る会2
無所属5
欠員1

参議院 (定数242・議長を除く過半数は121)
民主党・新緑風会106
国民新党3
社民党・護憲連合4
(3会派計113)
自民党83
公明党19
みんなの党11
共産党6
たちあがれ日本・新党改革5
無所属5

従いまして衆参両議院での状況打開には繋がらないばかりか、私は今回の社民党との連携強化がむしろ政権の弱体化に繋がるのではないかと見ています。民主党と社民党では外交安全保障政策に大きな溝があります。鳩山政権末期で噴出した政策不一致による政権迷走が再現されることになってしまうのではないでしょうか。以前の記事「鳩山政権末期に思うこと」でも書きましたが、政策や国家観が異なる政党が数合わせで連立政権を樹立しても、やがて矛盾が遅かれ早かれ出てきます。私個人は国家の根幹は安全保障政策にあると考えています。そこが根本的に一致しない政党が連立政権等を樹立したとしても、やがて瓦解すると思われるのです。今回の社民党との連携強化は連立政権ではありませんが、それでもやはり社民党の主張に相応の配慮を示さなくてはならなくなります。
菅総理は社民党が日本の武器輸出三原則緩和に対して反対している事を踏まえて「基本的な理念はしっかり守っていかなければならない」と述べています。その結果として今回の防衛大綱改定には武器輸出三原則の緩和は盛り込まれないこととなりました。そもそも過去に菅総理は武器輸出解禁には慎重な姿勢を示していたこともあり、その意味では菅総理と社民党では政策の一致があると言えるかもしれません。しかも社民党側は武器輸出なら日本は「死の商人」と主張を先鋭化させつつあります。
しかし事はそう単純ではないのです。今回の武器輸出緩和の方向性によっては欧州の安全保障をも左右する虞があるのです。
武器輸出三原則緩和の動きが活発化した理由の一つに欧州のMD整備計画があるのです。欧州のMDではSM-3の地上配備型が計画されています。
日本は米国とSM-3の共同開発を行っており、日本側が緩和をしないと欧州のMD整備は困難に直面することとなります。軍事評論家の岡部いさく氏は昨年9月のFNNの取材に対して「SM-3ブロック2Aの開発における日本政府の責任というのは、これはもう技術的にも、政治的にも非常に重いものになりますね。もし、このミサイルの開発が遅れれば、オバマ大統領のミサイル防衛構想にまで波紋が広がっていくわけです」と解説しています。
また他の識者も日本が緩和に消極的になった場合は国際問題となる可能性を指摘しています。因みにSM3輸出解禁の件はウィキリークス流出以前から複数の軍事評論家から指摘されており、またそもそも日本政府は共同開発同意時点でSM3に関しては第三国へ輸出される事を容認していたのであり、その意味でもこの件に関する公電は何ら驚愕に値しません。
武器輸出三原則が菅政権に引導を渡す-12月解散?: 数多久遠氏
また社民党と連携強化をするとなると、鳩山政権が終焉を迎えるきっかけとなった米軍普天間基地問題が再び迷走する可能性があります。社民党はこれが原因で鳩山連立政権から脱退しました。この件でも社民党が主張をするのは避けられません。その一方で菅総理は来年春に予定される訪米までの決着にはこだわらない考えを示していますが、6日昼(日本時間7日未明)に行われました日米外相会談では米側より督促を受けています。日本側が米側を納得させられる代替案を提示しない限りは、米側は普天間基地を継続利用することとなり、沖縄の負担軽減というそもそもの目的が達成出来ないという本末転倒の結果となります。世論は菅政権に対して更に厳しい評価を下すでしょう。日米関係も一気に冷却化します。日米関係が悪化しますと中国が更なる挑発的行動に出る可能性もあります。こうなれば菅政権の支持率は退陣水域にまで更に低下する虞もあるのです。現在の菅政権の状況はあらゆる意味で鳩山政権末期のそれに酷似しつつあります。この意味でも今回の社民党との連携は極めてリスクの大きな賭と言わざるを得ません。
自民・谷垣総裁と読売・渡辺会長の会談鳩山兄弟、小沢・舛添氏会談するなど政界でも様々な動きが出始めました。菅政権の寿命も最早そう長くはないのかもしれません。

2010年12月16日追記:政府、武器輸出解禁視野に検討 新防衛大綱最終案に明記(10年12月16日02時02分 共同通信)

2011年1月11日追記:日米共同開発ミサイル、第三国移転へ基準策定(2011年1月9日03時03分  読売新聞)

参考資料
SM-3
http://www004.upp.so-net.ne.jp/weapon/sm-3.htm
欧州MD配備計画
http://www004.upp.so-net.ne.jp/weapon/paa.htm
陸上配備型SM-3
http://www004.upp.so-net.ne.jp/weapon/aegisashore.htm

07122001

2010年12月 5日 (日)

米国外交公電のウィキリークス流出事件に思うこと

先月末より報じられている通り、米国外交公電が25万件以上漏洩し、ウィキリークスによりインターネット上に流出しました。流出元はウィキリークスに軍事情報を流したとして7月に起訴された、ブラッドリー・マニング陸軍上等兵だとされています。
暴露された内容の主たるものは各種報道Wikipediaにも掲載されています。しかし現段階では一部を除いてまだ著しく驚愕に値する情報があるとは私には感じられません。多くは通常の報道でも散見された、ないしは各種報道より推測出来る内容を含んでいます。
流出した情報で最も米国の信用に関わると思われるのはヒラリークリントン国務長官が各国外交官のクレジット・カード番号等の情報を収集していることが明るみに出た件でしょう。
上記以外でもイタリアの首相を無能呼ばわりしたなどの各国首脳に関する酷評は本人達にとり不快であり、米国と各国との間の信頼関係を損なう可能性はあります。最もこれらは外交公電であり、米国の政権中枢が実際にどう考えているかは分かりません。
米国が日本の鳩山政権の対北朝鮮政策を自民党とは「全く違う」として懸念していることも判明しました。日本の民主党政権はこの事実が判明し、どう感じたのでしょうか。いずれにしてもこれも日本の民主党政権と米国との関係に水を差しかねません。
第三国間の関係を険悪化させる虞のある情報もありました。サウジアラビアのアブドラ国王が米国に対してイランを攻撃するよう度々要求をしていたとの情報が暴露されています。中東諸国の一部はイランを脅威と捉えており、こういった要請自体の存在は何ら不自然ではありません。しかし米国は実行しなかったものの、サウジアラビアとイランの間で外交的な軋轢が生じることは避けられないと思われます。
因みにイラン関連では北朝鮮がイランに弾道ミサイルを輸出したとの情報がありますが、北朝鮮とイランが大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発で協力関係にあることは今までも幾度か報じられてはいましたので、これも意外性はありません。
私が今回の流出事件で最も驚いたのは中国が北朝鮮崩壊後の朝鮮半島が韓国主導
で統一されることを容認している
点です。私は今まで中国がそれを歓迎しないであろうとの認識でした。以前の記事
2010年11月23日 (火) 22時49分のコメントでも私は「北朝鮮がそのまま韓国領となった場合は現在の中朝国境付近に米国の『象のオリ』やレーダーサイトが構築されるのが明らかだからです。」と述べました。ここは私も考えを改めなくてはならないでしょう。しかし、こういった情報が明るみに出ますと中朝間の関係にも微妙な影響を及ぼしかねません。北朝鮮が中国側に不信感を抱く可能性もあります。
中国が日本の国連常任理事国入りに反対している旨もウィキリークスに公開されましたが、これは今までの中国側の公式方針であり何ら目新しい点はありません。しかし改めてこういった発言が判明した事により、日本の国内世論の中国への印象が一層悪化する可能性もあります。
これ以外の中国関連の情報では今年の1月に発生したグーグルへのハッキング攻撃は中国によるものとの公電もありました。これも以前から恐らくそうであろうとの報道が散見されていました。
今回の情報漏洩で日本の安全保障に関連があるのは現段階では下記の三点でしょうか。
北、テポドン超すICBM開発…ウィキリークス

北朝鮮、海中核施設を開発か…ウィキリークス

SM3の欧州輸出解禁打診=武器三原則見直し迫る―米外交公電
北朝鮮が米国本土が攻撃可能なミサイルの開発を推進していることは間違いないでしょうし、北朝鮮が秘密の核施設を建設した可能性も充分考えられることですから、この二つの暴露も驚愕に値しません。テポドン2号の開発も安定しているとは言い難い北朝鮮がICBMを開発するだけの技術があるかどうかは甚だ疑問ではありますが。
武器輸出解禁に関しましても以前より一部識者から欧州MD関連であることの分析は既になされていましたから、これも以前からあった話です。そもそも日本は弾道ミサイル防衛の共同開発は武器輸出三原則によらない(平成16年12月10日 内閣官房長官談話 6)としています。
従いまして今回の公電の内容の殆どは既出に近いのです。これらの情報の一部には確かに興味深い内容が含まれていますが、それよりも私が今回の流出事件で最も感じたことは、こういった情報がアクセスさえ出来れば誰にでもインターネット上に匿名性の高さを保ちつつ世界中に流出させることが可能であることに対する問題意識です。日本でも警視庁公安部のテロ捜査情報や中国漁船衝突事件の動画がインターネット上に流出し、問題となったばかりです。今回の米国公電ウィキリークス流出事件は情報漏洩が日本だけではなく世界共通の課題となっていると言えるでしょう。場合によってはこういった情報流出が国際政治に大きな影響を及ぼしかねない現実が生じつつあります。米国内で11月29日~12月1日にかけ、全国の有権者2084人を対象に行われた世論調査ではウィキリークスによる機密文書の公表は「国家安全保障上の脅威だ」との回答が77%に達したとのことです。中国漁船衝突の動画流出事件では身分証の提示が不要なインターネットカフェよりYouTubeに投稿されていました。全国的にインターネットカフェで身分証の提示が義務付けられていれば中国漁船衝突事件の動画流出事件は発生しなかったかもしれません。(それはそれで賛否があるでしょうが)国内的にも勿論のこと、世界的にもインターネットに於けるトレーサビリティ(流通用語なのでこの単語の使用が適切かどうかは解りませんが、趣旨としては後追いが可能なこと)の制度化が必要なのかもしれません。

2010年12月30日追記:2010年12月14日付 JB PRESS-英ファイナンシャル・タイムズ紙 
「米国はアサンジ氏に勲章を授けるべきだ」Page1:

「米国はアサンジ氏に勲章を授けるべきだ」Page2

「米国はアサンジ氏に勲章を授けるべきだ」Page3
ウィキリークスの漏洩事件は米国の陰謀論が都市伝説にしか過ぎず、米国の公式見解は大抵そのまま私的な見解であり、非公式な議論が公式の見解と同じであることを明らかにしたという主旨の記事です。

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