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2010年12月12日 (日)

2010年度策定防衛大綱改訂案に思うこと

Photo_3

 政府が計画している2011年度からの防衛大綱改訂の概要がほぼ明らかになりました。12月11日の中国新聞にやや詳しい概要が記載されています。
PAC3全国展開へ 防衛計画大綱別表案が判明 - 中国新聞
 焦点であった陸上自衛隊に関しましては隊員数はほぼ現状維持であり、その一方で戦車定数は600両から400両に削減されることが決まりました。これにより陸自の戦車定数の推移は下記の通りとなります。
1976年 約1200両
1996年 約 900両
2005年 約 600両
2010年 約 400両
 陸自の隊員数は一時期増員するとの報道がありましたが、その後は財務省が削減を要求した経緯があります。増大する南西方面の脅威に対処するには一定数の隊員数は必須です。以前の記事でも述べましたが、陸自の人員が多ければ多いほど彼はそれに対処する地上戦力を用意する必要に迫られます(一般的な軍事セオリーでは攻勢側は守備側の三倍から五倍)。
 戦車不要論も一部で散見されますが戦車はその火力、防御力、機動力のどれを取っても陸戦の王者なのです。その有用性はイラクやアフガニスタンで再認識されつつあります( 因みに戦車の最大の天敵と言われる攻撃ヘリは2004年にイラクでAH-64Dが防空コンプレックスに対する脆弱性が露呈する等、また例えばAH-64Dは戦闘機並の調達価格であること等から大きく株を下げています )。我が強力な戦車部隊を有する場合は、彼は上陸に際して戦車を投入する必要性に迫られます。戦車に互角に対向可能なのは戦車しかないのです。関連性のあるトピックとして陸自は戦車定数の枠外で機動戦闘車100両以上の調達を要求する模様ですが、機動戦闘車は火力や防御力( 恐らく機関砲やRPGに耐える程度で主力戦車の主砲には耐えられないものと思われます )の面で戦車を代替し得るものではありません。その一方で戦車教導隊は定数の枠外扱いとなる模様なので、そこで調整は可能かもしれません。

 Photo_2

( 防衛省の想定している機動戦闘車の運用を見ても歩兵や軽装甲車両への対処が主旨であることが分かる )
 空自と海自の増強のみで敵の上陸を全て防ぐことは不可能です。これが可能なのは少なくとも下記に述べる各要件を全て満たしている必要があります。
(1)彼の異常な動向を事前に全て察知出来ること(軍部隊の集結)
(2)民間船及び民間機も含めて領海及び領空内を航行している全ての外国の航空機と船舶のリアルタイムでの動向把握
(3)空自と海自及び海保が(1)と(2)の動向に異常を察知した場合に直ちに初動対応が可能な体制を整えられること
(4)政府及び司令部が判断ミスを全くしないこと
(5)策源地攻撃が可能であること(日本には現状この経験やノウハウが全くなく、リアルタイムで外国の目標を追尾出来る程のインテリジェンスがなく、装備も一部を除いて適しておらず、海外でコンバットレスキューを展開する能力もない)
(6)同時多発の飽和攻撃に空自と海自で全て対処出来ること
(7)少数の敵特殊部隊の潜入も全て防ぐこと
 こういった諸条件が実現困難であることが分かれば、陸自を軽視する方針が決して賢明な選択とは言えません。尤も日本本土の防衛に必要な最低限度の陸自の定員数や戦車定数がどの程度であるかは議論の余地があると思われます。しかし現状でも防衛予算も立て続けに削減され、人員も削減され、そこに加えて国際貢献任務など従来の任務以外の役割も増えてきており、また高齢化も進んでおり、人手不足感が陸自にある模様です。従いまして財務省が今回の大綱策定でまず陸自の削減ありきとの方針で臨んだことに関しては強い違和感を感じるのです。政府は「基盤的防衛力構想」を転換し、「動的防衛力を整備する」との事ですが、このスローガンの具体的なドクトリンも今一つ良く分かりません。ただ一連の報道から判断しますと多分に戦車不要論に近い意味合いを含んでいる様な気がします。
 唯一純粋に増強されたのが潜水艦で22隻体制となる模様です。これは以前より報じられている通りです。
 MD充実方針との報道もありますが、パトリオットのPAC-3化と「あたご」級のMD対応化は既定路線です。MD充実も重要ですが、それ以上に今後は巡航ミサイル対処も課題となります。中国空軍の戦闘機が巡航ミサイルの射程内まで接近し引き返す行為を繰り返し行っているとの報道が2008年になされています
 残念な事に自民党政権下での2009年度の自民党防衛大綱改訂案と比較して全般的に内容が非常に薄い印象を受けます。自民党はトマホークやTHAADの導入も検討していました。あの当時と比較しましても日本の安全保障環境は厳しさを増していると私個人としましては感じるのです。
 その一方で、有力業界関係者であるKeenedge氏よりやや夢のある非常に興味深い話がTwitter上で呟かれていました。
「2015年に9,000t級DDG( ポスト・イージス )調達と書かれていた。はてさて、これは一体なんどん。。 」
上記以外に新たな情報が入りましたら追記にてこの記事に書き加えるか、場合によっては新しい記事を執筆していきたいと思います。

2010年12月13日追記:陸自定員、1千人削減の15万4千人で合意(2010年12月12日16時34分 読売新聞)

2010年12月14日追記:中期防予算23兆4900億円=安保会議で了承(2010年12月14日10時34分 時事通信)

2010年12月16日追記:政府、武器輸出解禁視野に検討 新防衛大綱案に明記(2010年12月16日02時02分 共同通信)

2010年12月17日追記:政府が新防衛大綱を決定!!
首相官邸ホームページより
中期防衛力整備計画(平成23年度~平成27年度)


平成23年度以降に係る防衛計画の大綱

(何故かAH-64Dが復活しています)

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コメント

この防衛大綱は不味いですよね。

戦車の定数の内訳は現状だと90式が340両弱存在しますが、
北海道から本州に配分しなければ残りの50両強だけでは本州の防衛は困難ですよね…。

折角本州向けの10式を作ったのにこのままでは10式の生産は50両強で終わってしまいますし本当に残念な感じです…。
90式の一部も更新するのであれば話は変わってきますが、90式はトランスポーターの数の関係もあって北海道で集中運用してるのに何をしているんだという感じですね…orz

天山氏
大変お久しぶりです^^。いつも見に来てくれて有難うです。
私も今回の戦車定数には承服しかねる部分があります。10式の製造ロット数が200両から50両にまで減りますと、当然単価も大幅に上昇する可能性があります。しかしその一方で今回の戦車定数削減は抜け道がある可能性も指摘されています。本文でも記載しましたが「戦車教導隊は定数の枠外扱いとなる模様なので、そこで調整は可能」かもしれません。
そうだとしますと、最終的な戦車の実質定数は500両となる可能性があります。

12.17の新防衛大綱を見てみましたが、あまり良く解りません。
どうも増やしたいのか、減らしたいのか。そこがまず不明です。

中国に備えるなら、増やす方向でしょう。
特に今は(若者の)雇用不安が言われているのですから雇用対策としても有効な手段でしょう。
しかし、人員削減ではつじつまがあいません。

予算を増やさないなら同盟国を中心に武器を輸出して単価を下げるしかないのに、それもどうなるか不明です。(武器輸出三原則がこのままでは、共同開発も出来なくなる可能性さえ考えられます)

教育隊関係(戦車のみにあらず)が抜け道になっていれば良いのですが、自衛隊を敵視するミンスでは期待できません。

ただコンナ訳ノワカラナイ大綱でも中国は文句つけてきましたから、よっぽど思い当たる事が有るのでしょうね。

みやとんあい氏
陸自の隊員定数と雇用対策は余り関係がありません。入隊希望者が集まらなくては意味がないのですから。今回の定員数は現状の隊員数に大綱を合わせたとも言えます。
今回の輸出三原則との関連で言えば単価を下げることよりも、むしろ欧州でのMD配備構想や空自FX選定との兼ね合いで緩和が推進されていると見るのが妥当です。
中国が反発している模様ですが、脅威とならない増強は抑止力足り得ません。

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