中国軍、北朝鮮特区に進駐=施設警備、有事介入の見方も-韓国紙
韓国紙・朝鮮日報や時事通信の1月15日の報道によりますと、北朝鮮北東部の羅先経済特区に中国軍が駐留したとのことです。駐留の趣旨は「羅先に投資した港湾施設などを警備するためであり」、「少数の中国軍を駐屯させる」との事です。規模に関しては不明ですが朝鮮日報によりますと「昨年12月15日ごろ、夜半に中国製の装甲車、戦車約50台が中国の三合(吉林省)から豆満江(中国名・図們江)を超え、北朝鮮の会寧(咸鏡北道)に入った」との目撃証言があります。
(画像はNHK2010年05月12日 (水)解説より)
今回の駐留は二つの意味合いで重大です。まず第一に少なくともこの地区に対しては中国軍が駐留する限りは米韓は攻撃を行えません。中国軍が駐留している地区を攻撃すれば、少なくとも局地的に限られるかもしれませんが、中国軍と直接交戦することとなります。話は少しずれますが、日本でも「駐留なき安保」論が時折散見されますが、日本国内に米軍基地がある/無いではこの例を見ても大きいのです。規模と駐留期間の定めの有無にもよりますが、これは実質的に中国軍が北朝鮮の体制を軍事的に保障することにもなり、北朝鮮の現体制にとり中長期的には利益となります。万が一駐留期間に定めがないのであれば、それは中国軍が半永久的にこの地区に駐留することも可能な訳であり、だとすれば朝鮮半島の南北統一へのハードルが高くなったことを意味します。これは先日のウィキリークスの米国公電流出事件で判明しました中国は北朝鮮の統一を支持するとの発言と矛盾します。尤もこれは程国平氏の個人的見解であったか、もしくは本心ではなかった可能性もあります。
また第二に地図を見れば分かりますが中国軍が将来的には日本海側に軍事力を直接投射可能な拠点を確保した事が分かります。現時点では駐留しているのは少数の陸軍のみであると思われます。しかし同地区に駐留する軍に関しての中朝間の合意内容にもよりますが、将来的には規模の拡充や北朝鮮国内の他の地区も含めた空海軍の展開もあり得まるのではないでしょうか。これは日本にとり将来的には大きな脅威となり得るのです。(尤も海軍に関しましては北朝鮮国内で軍艦を製造しなくてはならなくなるでしょうが)
現段階では中国軍が駐留する趣旨は「羅先に投資した港湾施設などを警備」であり、北朝鮮の体制が崩壊した場合の混乱に備える為(韓国政府高官)である模様ですが、軍事上は意図ではなく能力を分析して備えなくてはなりません。東西ドイツ統一後にソ連軍が撤収した様に北朝鮮政府崩壊後に中国軍が撤収するとの保障は何らありません。少なくとも「羅先に投資した港湾施設などを警備」ということは中国側は羅先経済特区を権益と看做しているのです。
中国軍が将来的に朝鮮半島に大規模に駐留した場合は、ステルス機初飛行にも成功した(J-20以外にももう一機種のステルス機開発も明らかとなりました)その軍事的脅威は北朝鮮よりも遥かに深刻であり、日本は南西方面だけではなく日本海側の警戒も一層強化しなくてはならなくなるでしょう。
2011年01月18日(火)追記:北朝鮮・羅先への軍駐屯を否定 中国国防省当局者 ( 2011年01月17日 産経新聞 )
2011年02月03日(木)追記:中国企業、北朝鮮・羅先に20億ドル投資(2011年1月19日20時21分 読売新聞)
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