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2011年2月27日 (日)

米国KC-X計画ボーイング社選定と日本の空中給油機追加導入の可能性について

当ブログの読者であれば大多数の方々が既にご存知のことと思いますが、約10年間の長期間に亘り迷走してきた米国空軍のKC-X(次期空中給油機選定)でボーイング社が遂に指名されました。米国防総省のホームページでも正式発表を見ることが出来ます。ベースとなる機体はボーイング767で、正式名称はKC-46Aです。2017年までに18機調達し35億ドルの契約金額となります。今回の記事では2011年2月24日のDefense Newsの記事"Boeing Wins U.S.Air Force Tanker Battle" をソースとして選定レース経緯とボーイング社が選定された背景、ボーイング社の機体が選定されたことが日本にとりどの様なメリットをもたらし得るかの分析を書いてみたいと思います。

1.選定レースの経緯
"In the early 2000s, the Air Force tried to lease 767-based tankers from Boeing under a sole-source contract, then tried to appease critics by switching to a plan to buy 80 aircraft and lease 20. But opposition to the plan, led by U.S. Senator John McCain (R-Ariz.), torpedoed the deal in November 2003."
2000年代初頭に空軍は随意契約でボーイング767ベース給油機をボーイング社からリースしようとしたが、80機を購入し20機をリースする契約に変更し批判をかわそうとした。しかしJohn McCain上院議員(アリゾナ州選出-共和党)に率いられた反対派により、その契約は2003年11月に破棄となった。

"The tanker contract was further marred with the revelation that a senior Air Force contracting official named Darleen Druyun had steered contracts at inflated prices to Boeing in exchange for employment for herself and family members. The contract was formally ended in January 2006."

さらに米国防総省発注担当者であるDarleen Druyun氏が彼女自身と彼女の家族のボーイング社への入社の見返りに、高額な金額となる様にボーイング社との契約を誘導していたことが発覚し、空中給油機契約は更に傷ついた。契約は2006年1月に正式に破棄となった。

"In January 2007, the Air Force launched the KC-X tanker competition, drawing bids from Boeing and archrival EADS, which partnered with Northrop Grumman. In February 2008, the Northrop-EADS team won the contract with their Airbus A330-based aircraft."
空軍はKC-X競争入札を2007年1月に実施し、ボーイング社とノースロップ・グルーマン社と提携した最大競争相手のEADSが名乗りを上げた。2008年の2月に、ノースロップ社-EADS連合がエアバスA330ベースの機体で契約を勝ち取った。

"The following month, however, Boeing protested, claiming the Air Force failed to evaluate the two proposals using the published criteria. That June, the Government Accountability Office (GAO) upheld the protest, which led to the cancellation of the program. "
しかしその翌月に空軍が公開基準に則って二つの提案を評価しなかったとしてボーイング社は異議を申し立てた。6月に米国会計検査院(GAO)が抗議を支持し、プログラムはキャンセルとなった。

"The Defense Department attempted to restart the program, but aborted the attempt because a winner could not be picked before the Bush Administration left office."
国防総省はプログラムの再開を試みたが、ブッシュ政権が終わる前に勝者を決めることが出来なかった為にプログラムを中止した。

"The KC-X program was restarted for a third time in September 2009 by Defense Secretary Robert Gates. Though the Air Force controls the selection process, the Office of the Secretary of Defense has been closely monitoring the process. In the new competition, military acquisition officials issued 373 requirements for the tanker, but said that the unit cost of each aircraft would be adjusted to reflect lifecycle cost over 40 years. The Air Force would also judge how effectively the aircraft would meet "warfighter effectiveness." "
KC-Xプログラムはロバート ゲーツ国防長官により2009年9月に三度目の再開となった。空軍が選定手続きを管理したが、国防長官官房が選定手続きを注意深く監視した。新たな競争入札では、軍の調達担当官が373項目の要求を給油機に発行したが、40年間のライフサイクルコストがそれぞれの機体のユニットコストに反映されるよう調整するよう言及した。空軍は機体が戦闘機の有効性に合致するかも判断するとしていた。

2.ボーイング社の機体が選定された背景
英語版WikipediaにA330 MRTTとKC-767の興味深い比較表があります。それによりますと能力的にはA330 MRTTが全般的に勝っています。
乗客数:A330 MRTT 226名~280名
     KC-767 190名

カーゴ:A330 MRTT 32x463Lパレット
     KC-767 19x463Lパレット

離陸時最大燃料搭載量:A330 MRTT 245,000 lb (111,000 kg)
                KC-767 202,000 lb (91,600 kg)以上

航続距離:A330 MRTT 12,500 km
       KC-767 12,200 km

巡航速度:A330 MRTT 859 km/h
       KC-767 853 km/h

その為かLexington InstituteのLoren Thompson氏によりますと"Boeing's victory caught most observers off guard; an EADS victory seemed all but certain."「ボーイング社の勝利は殆どの観測者には予想外だった。EADSの勝利は確実だった」とコメントしていました。Loren Thompson氏は"The Boeing victory suggests that the Air Force was concerned about the higher cost of building and then operating an A330, which burns a ton more fuel per flight hour than the Boeing aircraft," 「ボーイングの勝利は空軍がA330の製造コストとボーイング社より1トン多い燃料を1飛行時間につき消費する運用コストに危惧したことが窺える。」と述べています。

3.日本への影響
北大路機関のはるな氏も「アメリカ国防総省、空軍の次期空中給油機にボーイングKC-767を選定」で述べていますが、「ボーイング767は将来的により新しいボーイング787の生産に移行することで767自体の生産ラインの閉鎖が展望されていました。航空自衛隊はKC-767,そしてE-767と767系統の航空機をその装備体系に導入していますので、767の生産ラインが閉鎖されるという事につながります。」、その為に空中給油機を日本が追加導入する場合は「別の機種を開発して取得する必要があり」、「全く異なる装備体系の機体を取得する必要がでてきてしまう」状況に直面していたのです。
幸いにも今回米国が採用しました新空中給油機のKC-46Aは航空自衛隊のKC-767Jと仕様は殆ど変わりません(コクピットやエンジン等は異なります。)。同じボーイング767-200をベースとしています。今回のこの決定によりボーイング社から輸入する際には製造ロットが増えており、日本にとり調達コストを下げるメリットもあるのではないでしょうか。

800pxkc767j

(写真はWikipedia KC-767Jより)
無論今回策定された新防衛大綱には空中給油機の追加導入は盛り込まれていません。しかし実は追加導入が可能となる余地があるのではないかと私は考えています。それは政府専用機との兼ね合いです。多くの方々も報道でご存じのことと思いますが、日本政府が現在保有するボーイング747-400二機が数年以内に退役することとなっています。経営再建中のJALが今年度中に同型機を全て退役させ、整備が困難になるためです。この件に関しましては数多久遠氏が「政府専用機退役 さもありなんと思いきや寂しさもあり」との記事を書いています。Japan_government_747_cropped (写真はWikipedia 日本国政府専用機より)
チャーター便も可能性の一つではありますが、私個人としまして政府専用機はチャーターであってはならないと考えます。上記の数多久遠氏の記事でも2011年2月8日 (火) 12時55分に私はコメントさせて頂きましたが、国家元首の搭乗する機体なのです。秘匿通話装置も有する機体となるとやはり民間機では無理があるのではないでしょうか。
また今回の一連の中東諸国での政変やニュージーランド クライストチャーチでの震災を見ても、国家の意思で機動的に即座に運用が可能な政府専用機を保有することは意味がある事なのです。(本題から少し外れますが、中東や北アフリカ諸国で政府の打倒に成功していますが、その後の展望が全く分からないことは大きな不安材料だと考えます。それ以降の統治機構のあるべき姿に関し、デモ参加者の間に統一した見解がある訳ではありません。多くの国々が非民主的であった訳であり、民主主義の制度には不慣れです。選挙実施のノウハウもありません。そして民主主義は貧困への処方箋ではありません。)ボーイング767-200であれば羽田からノンストップでワシントンDCにも飛行可能であり、政府首脳外交用として航続距離的に問題はありません。(←内装をVIP仕様にすることは恐らく不能でしょうし、そもそも窓がないのでナンセンスな提案でした。大変申し訳ございませんでした。)
EADS側が異議を唱える可能性はありますが、今回の米国の決定は我が国にとっても空中給油機追加調達の絶好の機会ではないでしょうか。

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