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2011年2月13日 (日)

栃木県警警察官による中国人研修生射殺事件無罪判決に思うこと

 栃木県西方町で06年6月23日夕に警察官が職務質問中逃亡し、その後に竹の棒や石灯籠(いしどうろう)の重さ約3Kgの宝珠(ほうしゅ)を持って激しく抵抗をした中国人を射殺したとして、特別公務員暴行陵虐致死罪に問われていた警察官に対し、宇都宮地裁が10日に無罪判決を言い渡しました。
中国人死亡「発砲は合理的」と巡査長に無罪判決(2011年2月10日14時27分 読売新聞)
西方町の警官発砲:中国人死亡 付審判・無罪判決 被告側主張、ほぼ認める/栃木(2月11日(金)11時4分配信 毎日新聞)
 この事件の概要は共同通信の06年6月24日0時9分の記事「栃木で警察官発砲し男死
亡 逃げた中国人逮捕」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060624-00000000-kyodo-soci 等によりますと下記の通りです。(この記事そのものは既にネット上では見つけることは出来ず、ネット上で事件の経緯を検索しましたところブログにて転載されているものを参考としました。その為に内容が恣意的に改竄されている可能性も否定出来ませんが、複数のサイトでほぼ同様の経緯が記載されていることを確認しましたので、事実と推定します。)
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06年6月23日夕方17時頃、見慣れない人物がいるとの通報が県警にある。
県警の平田巡査が農協のATM付近で不審な行動をしている二人組を発見し職務質問を行うが、二人は逃走。平田巡査がパトカーで追跡し一人(羅成)に追い付く。
羅成は激しく抵抗し、平田巡査の拳銃を奪おうとする。
羅成は更に石灯籠の頭部(直径約20センチ)と竹の棒を持ち襲いかかってきた。
平田巡査は男に「やめないと撃つぞ」と警告、しかし抵抗を続けた為に平田巡査が発砲し、羅成は病院に搬送されたが間もなく死亡。

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 その後に中国四川省在住の羅成の妻は2007年、発砲した巡査を刑事告発し、また栃木県に対して日本円で5,000万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こしました。民事訴訟に関しましては2009年4月23日宇都宮地方裁判所が遺族側の訴えを退ける判決を下しています。刑事告発に関しましては宇都宮地検が08年07月に「正当防衛が成立している」と不起訴処分にしましたが、遺族側は08年08月に宇都宮地裁に付審判請求を行いました。それを受けまして2009年04月27日に宇都宮地裁の池本寿美子裁判長が遺族の付審判請求を認め、特別公務員暴行陵虐致死罪で審判を開始する決定をしました。
 付審判請求とは刑事訴訟法第262条の「検察官の公訴を提起しない処分に不服があるときは、その検察官所属の検察庁の所在地を管轄する地方裁判所に事件を裁判所の審判に付することを請求することができる」との規定に基づき行われるものです。公務員の職権乱用等の罪等(刑法第193条~196条等)の罪について告訴または告発した者が、検察官の不起訴処分に不服がある場合は裁判所に対し審判に付することを請求することが出来ます。検察も公務員であり、同じ公務員た対して検察が起訴に消極的になる虞があるので設けられている制度です。日本の刑事訴訟に於きましては検察のみが公訴の提起を行うとする起訴独占主義(刑事訴訟法第247条)が原則となっています。しかしこの付審判請求は検察審査会と並び起訴独占主義の例外的な規定です。
 上記の法律上の手続きに則り、今回の事件が平田巡査長による刑法第196条(特別公務員職権濫用等致死傷)に該当するか否かが今回の裁判で争われていましたが、前述の通りに正当防衛が成立するとして無罪となりました。
 私の個人的な見解としましては今回の裁判所の判断は妥当であると考えます。警職法第7条は特定の場合に限り警察官の武器の使用を認めています。今回の故 羅成氏の徹底的な抵抗は警職法第7条が武器の使用を認めるケースに該当します。
 
今回の事件で中国人が死亡してしまったのは非常に残念ではあります。警察官の職務は犯罪を防止し、万が一犯罪が発生してしまった場合は捜査を遂げて、被疑者を検挙することにあるのです。特に日本の刑事制度は英米法系であるので捜査は警察が行うのが原則です(大陸法系では警察の任務は治安維持であり、捜査は検察が主体)。その意味では失態であると言えるかもしれません。
 遺族の感情は当然ですし、理解出来ます。自分の愛する家族を奪われたら、誰もが家族の命を奪った当事者に法的に責任を負わせたいと考えるでしょう。しかし今回の事件では責任があくまで羅成氏にあるのです。警察官に抵抗した場合に、警察官が武器を使用する可能性は当然想像したと思います。
 今回の事件で警察側に対して批判的な見解の論拠の一つとして、経緯を述べているのが平田氏しか居ないことが挙げられています。即ち自分に有利な証言のみをしているのではないかというのです。警察や検察による冤罪事件や証拠隠滅事件も最近複数明るみになり、警察の証言のみでは信用出来ないとの主張が散見されます。確かに刑事事件の被告人が自分に有利な証言しかしないことは考えられますが、それを積極的に立証出来ないのであれば疑わしきは罰せずの原則が優先します。
 今回の事件で私が結論を出す上で最も重視するのは警察官が発砲したということなのです。実際に発砲するとなると心理的にもかなりハードルが高いものがあったと思われます。警察官であれば拳銃の発砲が如何なる意味を持つか十分認識していたでしょうし、また発砲の結果として被疑者が死亡する可能性があることも分かっていたでしょう。法律用語でいえば「未必の故意」があったとも言えます。それにも関らず発砲した事実は大きいと考えます。即ち平田氏はそこまで追い込まれたということが言えると考えるのです。平田氏が生命の危険を感じていたと考えるのが合理的であると言えます。
 今回の事件に関しまして右左両翼から非常に感情的な意見が散見されます。それは今回の事件で射殺されたのが偶然中国人であったからであり、また警察官が拳銃を発砲し、結果として中国人を射殺してしまったからです。しかし私から見れば今回の事件はただの犯罪であり、結果的に射殺されたのが偶然中国人であっただけに過ぎないと考えています。
 因みに現行の国家公安委員会による「警察官等けん銃使用及び取扱い規範」ではテロ対策や治安悪化への対処から威嚇射撃や警告をしなくとも、被疑者に向けて直接発砲することが認められています。

2011年02月25日(金)追記:西方町の警官発砲:中国人死亡 付審判無罪に不服、控訴--検察官役弁護士 /栃木(2月24日(木)12時23分配信 毎日新聞)
2011年04月30日(土)追記:警官発砲、県に賠償命令…中国人遺族が逆転勝訴(2011年4月28日20時08分 読売新聞)

Masao2

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