次期主力戦闘機選定で防衛省が国内防衛関連三社とアドバイザー契約を締結
2011年3月6日(日)23:45の日本経済新聞電子版の記事「FX選定本格化 防衛省、海外メーカーに月内要求書」(注:全文を読む為には会員登録が必要)によりますと、航空自衛隊新戦闘機のRFP(提案要求書)を防衛省が今月中にも海外メーカーに提示するとのことです。
またこの報道によりますと防衛省が三菱重工、三菱電機、IHIとアドバイザー契約を締結しており、防衛省がRFP作成で民間企業と契約するのは初めてであり、趣旨としましては「民間の視点を選定作業に反映させる」ことと「国内防衛産業の戦闘機生産に関する技術力を把握し、FX生産への関与の程度を判断すること」とのことです。私も以前このブログにて「次期戦闘機の予算計上へ 来年度防衛費、数機分」 2010年6月28日 (月)で記事にしたことがありますが、昨年のほぼ同時期の2010年03月02日のDefense Newsが“Japan's Fighter Contest Heats Up”「日本の戦闘機選定が加熱」で“request for proposals (RfP) could be issued as early as next month.”「提案要求書(RfP)は来月にも提示される可能性がある。」と報道しており、その為に今回のこの日経新聞の報道に対してもTwitterで一部に懐疑的な見解が散見されます。実際に現段階では防衛省、三菱重工、三菱電機、IHIの公式ホームページで今回のこの報道に関連する公式発表を2011年03月08日(火)12:30現在で私は見つけることが出来ませんでした(もし当ブログの読者の方でご存知の方がいらっしゃればコメント欄などで御教授頂ければ嬉しいです。)
しかしその一方で、今回のこの報道は財界と関係の深い日経新聞による報道です。今回のこの報道は上記三社周辺からの情報である可能性があり、「アドバイザー契約を結んだ 」と過去形になっていることから、今回のこの報道は信憑性が高いと私は感じます。
また今回の報道で興味深いのは防衛省が上記三社とアドバイザー契約を締結したとの部分です。「民間の視点を反映させたい」との部分は兎も角、「国内防衛産業の戦闘機生産に関する技術力を把握し、FX生産への関与の程度を判断すること」との記述が非常に興味深いです。「国内防衛産業の戦闘機生産に関する技術力を把握し、FX生産への関与の程度を判断すること」との記述には主語がありませんので、防衛省が判断するのか、それともこの三社が判断するのかが正確に読み取れません。文脈から判断しますと防衛省が判断するとの意味だと思われますが、そうしますと防衛省が候補機種の部材を日本国内でどの程度製造可能かを判断することになります。別の言い方をしますと防衛省は候補機種がどの程度まで国内生産が可能かを見極めようとしているとも解釈できるのです。(下の写真は現在開発中のF35)
もし主語が国内メーカーであれば、国内メーカーが生産の関与を判断するということになり、そうしますと可能な限り国内生産部材が多くなる機種を選定するという判断になります。(下の写真はF/A-18E Super Hornet International Roadmap 通称"Silent Hornet" Boeing社ホームページより) (当ブログに過去記事あり)
この二つの違いで新戦闘機(FX)選定の結論が若干変わるのではないかと思うのです。
ただ防衛省が「民間の視点を反映させたい」というのであれば、国内生産基盤維持の観点からも配慮するということにはなると思います。
RFPが出て内容が判明しましたら、続報を書きたいと思います。
(下の写真は数年前筆者撮影の防衛省。一番手前の建物は数年前に完成した新庁舎。地上二階、地下五階。完成まで数年間を要しており、その間にコンクリートミキサー車が頻繁に出入りしていた。アクエリアン氏の2005年08月02日と2007年02月14日のブログに解説あり。)
2011年03月09日(水)追記:空自戦闘機商戦:欧米3陣営しのぎ (2011年3月8日 12時42分毎日新聞) 「今月、必要な性能や経費を書いた提案要求書がメーカー側に示され、年末の決定に向けて実質的な選考の火ぶたが切られる。」
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