空自FXの提案要求書説明会の日程が官報に掲載される
(写真は数年前に筆者撮影の防衛省 一番手前の建物は地上二階、地下五階という奇妙な構造となっている)
3月8日の記事「次期主力戦闘機選定で防衛省が国内防衛関連三社とアドバイザー契約を締結」で航空自衛隊新戦闘機のRFP(提案要求書)を防衛省が三月中にも海外メーカーに提示する予定との報道が日経新聞で流れ、恐らく財界からの情報であり蓋然性が高い旨を私は書きました。しかし皆様もご存じの通り、3月11日に東日本大震災が発生し、その影響で空自FX選定レースは当面先送りされるであろうと私は考えました。実際に私が3月20日に執筆しました「東日本大震災で米空軍のグローバルホークが偵察活動」でも紹介させて頂きましたAviation Weekの3月18日の記事"Tsunami Damages Squadron of Mitsubishi F-2s"は、今回の震災を受けまして三月中に予定されていた航空自衛隊FXのRFP提示が延期される可能性を示唆していました。そして実際に三月中のRFP提示はありませんでした。しかしその一方でこのAviation Weekの記事では航空自衛隊と防衛省はまだ三月中のRFP発行に向け努力している旨(財界首脳情報)、また3月中にRFPが提示されない場合は2012年度の新戦闘機の予算計上が時間不足により困難となる旨の岩崎茂航空幕僚長によるコメントが掲載されていました。
そして4月2日の読売新聞朝刊に4月13日にRFP発表会が行われる旨が報道されました。(この記事はヨミウリオンラインには掲載されていません。)この報道によりますと、4月1日の政務三役会議で4月の第2週に官報に日程を公告し、4月13日に提案要求書説明会を実施することが決められたとのことでした。
そしてこの報道通りに4月5日(火)の官報(本紙5529号、公告、官庁)に「航空自衛隊が新たに直接取得しようとする次期戦闘機の提案要求書に関する説明会」の日程が岩崎茂 防衛省航空幕僚長の名前で公告されました。この官報によりますと
4月11日午後1時に提案希望申込書の配布
4月13日午後1時までに提案希望申込を行った企業を対象に、同日説明会を実施。その際に提案要求書の概要を説明し、その概要を説明し、質疑応答の場を設けるとのこと。
(提案希望申込自体は平成23年4月18日午後1時まで受け付ける)
とされています。
尚2011年1月13日付けの朝雲新聞の報道によりますと候補機種は「①米F22Aラプター②米F35ライトニングⅡ③米F15FXイーグル④米F/A18E/Fスーパーホーネット⑤ユーロファイター・タイフーン⑥仏ラファールの6機種」となっています。これらの候補の中で米F22は嘗ての最有力候補でしたが、米国が海外輸出を禁じており、まもなく生産が打ち切られることから、選定は事実上不可能です。また仏ラファールは採用の可能性が低い為に、メーカーは選定に参加しない旨を表明しています。米F15FXに関しましてはメーカーがF15よりもF/A18E/Fを推しているとされており、必ずしも有力とは言えない情勢と思われます。
日本政府は今までF22輸出解禁を目指してFX選定を先送りして来ましたが、今年に入りいよいよ次期戦闘機の選定手続きが公式レベルで本格的に始動しました。最有力候補は日本政府の動向やJ-20初飛行を受けたゲーツ長官の発言を考慮しますと、F22と同じ第五世代戦闘機のF35とも思えますが、しかし東日本大震災で莫大な復興費用を要する事も考慮しますと、日本に第五世代戦闘機を選定する余力があるかどうかは疑問があります。また松島基地のF2B戦闘機が全滅したこともやや選定に影響を及ぼす可能性もあります。今回は比較的現実的な選択肢を余儀なくされるかもしれません。RFPが公開されればもう少し方向性がはっきりするかもしれません。今回の災害の混乱の中で発表が行われることは私にとってもやや驚きでした。逆に言えば政府が非常に強い危機感を感じている事の証左とも言えるかもしれません。具体的な内容が判明次第続報を書きたいと思います。
(下はLockheed Martin社のYouTubeアカウントからのF35戦闘機動画)
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