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2011年6月 5日 (日)

Lockheed Martin社に対するハッキング事件と米国の反応に思うこと

Hi390060 (上の写真は某イベントでのLockheed Martin社のブース ある時期に筆者にて撮影 クリックで拡大) 
Lockheed Martin社が米国現地時間の2011年5月21日(土)に何者かによりハッキング攻撃を受けました。そのハッキング攻撃に対して同社が直ちに自衛手段を講じ、特に被害はなかったことが同社の公式発表で確認できます。下記に2011年05月28日(土)の同社の発表を抜粋し、翻訳します。
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Lockheed Martin Customer, Program And Employee Data Secure
Lockheed Martin社顧客、プログラム、従業員データは安全

Swift, Deliberate Response Thwarts IT Breach
迅速で思慮深い対応がIT侵入を阻止する。

On Saturday, May 21, Lockheed Martin detected a significant and tenacious attack on its information systems network. The company’s information security team detected the attack almost immediately, and took aggressive actions to protect all systems and data. As a result of the swift and deliberate actions taken to protect the network and increase IT security, our systems remain secure; no customer, program or employee personal data has been compromised.
5月21日(土)にLockheed Martin社は同社の情報システムネットワークに重大で執拗な攻撃を探知した。同社の情報セキュリティーチームが攻撃をほぼ直ちに察知し、全てのシステムとデータを保護する為に活発な行動をとった。ネットワーク保護の為にとった迅速で思慮深い行動とITセキュリティーの増強により、弊社のシステムは安全なままである;顧客、プログラム、または従業員データに漏洩はなかった。

Throughout the ongoing investigation, Lockheed Martin has continued to keep the appropriate U.S. government agencies informed of our actions. The team continues to work around the clock to restore employee access to the network, while maintaining the highest level of security.
現在進行中の調査を通じてLockheed Martin社は適切な米国政府機関に我々の行動を継続的に報告している。チームは最高度の警戒態勢を維持しつつ、24時間体制で従業員のネットワークへのアクセスを復旧している。
(引用終了)
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 このLockheed Martin社の発表ではサイバー攻撃の性質や攻撃元など具体的な内容は全く開示されていません。しかし私はこの話を聞いた時に過去の類似の事例を思い出しました。2009年04月21日のWSJ紙の"Computer Spies Breach Fighter-Jet Project"(コンピュータスパイが戦闘機プロジェクトに侵入)との報道です。WSJ社のこの報道によりますと、航空自衛隊FX選定の有力候補でもあるF35戦闘機の開発プロジェクトのデータをハッカーが盗んだというものでした。盗まれたデータは数テラバイトものF35の機体と電子システムに関するものでした。800pxf35a_threeview

(上の画像はF-35戦闘機 Wikipediaより 著作権はPublic Domain)
この時は最も機密度の高い情報はネットに接続されていないコンピュータに保存されており、被害はありませんでした。この2009年当時のWSJの報道はハッカー侵入が少なくとも2007年度から発生していた可能性を指摘しました。またこの事件の説明を受けた関係者が流出元はLockheed Martin社、Northrop Grumman 社、BAEシステムズ社のいずれかであるとWSJ社に語っています。この2009年度のWSJ紙報道でF-35戦闘機データハッキング事件「容疑者」として名指しされたのは中国でした。"Investigators traced the penetrations back with a "high level of certainty" to known Chinese Internet protocol, or IP, addresses and digital fingerprints that had been used for attacks in the past, said a person briefed on the matter."(この問題で説明を受けた人物によると調査関係者は侵入を中国のインターネットプロトコルないしはIPまで高い確実性で逆探知しており、アドレスとデジタル指紋は過去の攻撃にも使われたものだったとしている。)またこの時は米空軍の航空管制システムも侵入されたことが報じられています。

 今年の今回のLockheed Martin社への侵入は具体的に何者による如何なる行為であったのか2011年05月28日(土)のLockheed Martin社発表では明らかにされていません。従いまして上記2009年の事例を連想させるものでしたが、私は暫く推移を見守っていました。しかし今回のハッカー事件でも再び中国の関与が疑われ始めました。ロイター通信の2011年06月02日(木)の報道"China under suspicion in U.S. for Lockheed hacking "(Lockheed Martin社ハッキングで中国に米国内で嫌疑」によりますと、"But a U.S. official familiar with progress on the investigation said there was increasing suspicion the Lockheed hack originated with "someone in China."(調査の進捗に詳しい米政府関係者はLockheedハッキングの攻撃元が中国国内の何者かによるものとの疑惑が深まっていると述べた)としています。

 Lockheed Martin社に対するハッキング攻撃以外に、Google社のGメールにも中国からと見られるハッキング攻撃が判明しています。攻撃対象の中には、米政府高官や韓国などアジアの高官、ジャーナリスト、中国の政治活動家などが含まれるとのことです(2011年6月2日10時08分  読売新聞報道)

 犯人が誰であるかに関わらず、これらのハッキング攻撃が近年に於ける安全保障上の脅威となりつつあるのは衆目の一致するところです。そういったことから米国国防総省は報告書で"Major Cyber Attack Is Act of War: Pentagon Report"(重大なサイバー攻撃は戦争行為である:国防総省報告書)としています。この記事は2011年05月30日にDefense Newsに掲載されていますので下記に抜粋し、翻訳します。
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The Pentagon has adopted a new strategy that will classify major cyber attacks as acts of war, paving the way for possible military retaliation, the Wall Street Journal reported on May 31.
国防総省は重大なサイバー攻撃を戦争行為として分類する新たな戦略を採用し、軍事報復の可能性に道を開くとWSJ紙は5月31日に報じた。

The newspaper said the Pentagon plans to unveil its first-ever strategy regarding cyber warfare next month, in part as a warning to foes that may try to sabotage the country's electricity grid, subways or pipelines.
同紙によると米国の電力網、地下鉄、パイプラインの破壊工作を試みるかもしれない敵国に警告する目的も兼ねて、ペンタゴンはサイバー戦争に関する初の戦略を来月公開する。

"If you shut down our power grid, maybe we will put a missile down one of your smokestacks," it quoted a military official as saying.
「もし貴国が我々の電力網をシャットダウンしたならば、我々は貴国の煙突の一つにミサイルを撃ち込むかもしれない」と軍関係者の発言をWSJ紙は引用した。

(引用終了)
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 不思議なことに、日本の防衛省や防衛産業に対する重大なサイバー攻撃があったとの報道はあまり目にしません。中国からと思わしきウイルスメールが防衛省関係者に送信されてくるとの新聞報道は過去に読んだことがあります。しかし機密情報が漏えいした、重大な施設のネットワークに侵入されたとの報道はありません。全くないのか、あることはあるのですが官公庁が公表していないのか、それとも気が付いていないのかは分かりません。しかし日本も強固な対策を講じるべきだと言えるでしょう。それは安全保障上の理由だけではなく、武器をの共同開発に参加する上でも必須条件とも言えます。
 上記の国防総省のサイバー戦に関する報告書は特定の国を名指ししていませんが、明らかに中国も念頭にあると考えて差し支えがないと思われます。サイバー上でも中国との冷戦が開始されつつあると言えるでしょう。
 ゲーツ国防長官は6月4日(土)に訪問先のシンガポールでアジア地域諸国による対中包囲網の構築を進める意向を表明しました。シンガポールにも新型艦艇「沿海域戦闘艦」(LCS)を配備する方針も示しています。

米国:南シナ海安保 多国間で中国包囲網を…ゲーツ長官2011年6月4日(土) 17時24分 毎日新聞)

以前も幾度か執筆しましたが、日本も選択を迫られる時が近づいてきていると言えるでしょう。
下の写真は「沿海域戦闘艦」(LCS) Wikipediaより 著作権はPublic Domain)

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