菅「ゾンビ」政権に対する不信任案否決に思うこと
(上の写真は筆者がある時期に撮影の首相官邸 クリックで拡大)
自民、公明、たちあがれ日本の3党が提出しました内閣不信任決議案が6月2日(木)午後に反対多数で否決されました。6月1日(水)の夜の段階では民主党内部の対立激化により、不信任案可決の可能性も十分ありました。特に小沢グループの集会には71人が集結し、民主党分裂の危機とも言えました。
それが一転して状況が変わったのは6月2日(木)午前の菅総理と鳩山前総理の会談でした。その会談で菅首相は震災や原発事故対応で一定のめどがついた段階で首相を辞任すると約束したと鳩山前総理は述べています。鳩山前総理は数日前まで退陣を菅総理に要求し、不信任案にも賛成する方針でした。そして6月2日(木)午後の民主党代議士会でも菅総理は「大震災への取り組みに一定のメドがついた段階で、若い世代に責任を引き継いでいきたい」と述べました。また鳩山前総理は菅総理と三項目の覚書を交わした事を明らかにしました。この流れを受けて小沢元代表も「今までなかったことを引き出したんだから、自主的判断でいいだろう」と述べ、また鳩山前総理も不信任案決議を結束して否決するよう呼び掛け、不信任案が否決されることがこの時点でほぼ確実となりました。菅総理の退陣の時期に関しまして鳩山前総理は6月中との認識を示しました。
この菅総理と鳩山前総理の合意内容ですが、全く退陣時期が明記されておらず、いかにも解釈が可能な内容でした。案の定、菅総理は不信任案否決後の6月2日(木)夜の記者会見で「退陣時期としては、(原発)事故の収束に向けた政府と東京電力の工程表で、今年10月中旬から来年1月中旬終了をメドとした「ステップ2」が完了し、「放射性物質がほぼ出なくなるまでもっていくために全力を挙げ、一刻も早い実現を目指すのが私の責任だ」と説明し続投の意欲を表明しました。鳩山前総理はこれに関して「不信任案が出る直前には『辞める』と言い、否決されたら『辞めない』と言う。こんなペテン師まがいのことを、時の首相がしてはいけない。不信任案に賛成しておくべきだった」と述べて怒りをあらわにしましたが、後悔先に立たずです。今回のこの事態は鳩山前総理が招いたとも言えます。鳩山前総理は以前より言動が変遷する/人によって言うことが異なる傾向があります。小沢氏もそもそも菅総理に震災対策や原発事故対処を任せられないと述べていたにも関わらず、菅総理が震災・原発事故対処の目処がたった時点で辞職する旨を表明するやいなや小沢グループを自主投票にするのですから、ただ単に菅総理を辞めさせるだけが小沢氏の目的だったことを物語っています。
その一方で今回の事態は実は3月11日の東日本大震災前の政局の延長線上なのです。私は2月19日(土)の時点で「菅内閣末期に思うこと」との記事を執筆していました。支持率低迷、小沢派との内紛、予算関連法案不成立の危機、統一地方選、普天間移設問題で遅かれ早かれ菅政権は終焉を迎えるというのが私の予測でした。更にこれに加えて外国人からの違法献金疑惑が3月11日の朝日新聞によりスクープ報道されました。その約一週間前には前原氏が外務大臣を在日韓国人からの違法献金疑惑問題で辞職しており、菅政権にとっては致命傷となる可能性がありました。この時点で既に死に体だったのです。やや不適切な表現かもしれませんが「ゾンビ」だったのです。それが3月11日の東日本大震災で一時的に「時間が止まって」いた状態だったのです。そして菅総理は将来的な退陣を今回表明しました。これにより菅総理は急速に求心力を失いレームダック化が更に進むことは間違いがありません。この非常事態時にレームダック化した総理の下で有効な震災復興計画推進と原発事故対処が可能な訳がないのです。レームダック化しているのですから、リーダーシップを発揮出来る訳がありません。党内抗争は更に激化し、次の総理の座を巡る闘争も始まります。そうしますと復興計画や原発事故対処は更に遅れることとなります。こうなってしまった以上は、菅総理の早期退陣と新総理大臣の選出、そして衆参両院で最低でも過半数の議席を有する政策が一致した勢力による連立政権樹立が喫緊の課題と言えるでしょう。
(下の写真は筆者にてある時期に撮影した国会議事堂 クリックにて拡大)
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