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2011年7月

2011年7月29日 (金)

海自YS-11の後継に欧米の軍用輸送機導入検討か

Ys11m(上の写真はWikipediaよりYS-11 著作権はPublic Domain クリックにて拡大)
2011年7月24日(日)7時55分配信の産経新聞の報道「海自輸送機を刷新 中国牽制、軍用機導入へ」によりますと、海上自衛隊がYS-11の後継として欧米の軍用輸送機から機種選定を行う方針の模様です。この報道によりますと当初は民間機の導入を検討していたそうですが、東日本大震災で後部ランプドアの必要性(迅速な物資の搬出入への対応)が再認識された為に軍用輸送機導入に方針転換したと説明されています。災害派遣用途以外にも、大量のソノブイの輸送任務も念頭にあり、防衛大綱で盛り込まれました「動的防衛力」の概念に対応する目的もあるとの事です。「航続距離が長く搭載量も多い輸送機の導入」との記述ですので、新しく機体を導入することとなります。しかしその一方で2011年07月28日(木)22:00現在では防衛省のプレスリリースにはそういった発表は見受けられませんし、又その他の報道機関に関しましても同様の報道がありません。その為この記事の真偽の程は定かではありませんが、いずれにしましてもYS-11後継に関しましては検討されても不自然ではない時期であり、今回のこの記事ではこの産経新聞の報道をベースにYS-11後継機種に関して論じてみたいと思います。

 この産経新聞の報道によりますと新輸送機に要求されるであろう性能は下記三点であると思われます。

1.ランプ扉を有すること

2.数十トンの貨物の輸送が可能であること

3.厚木から約2千キロ離れた南鳥島(東京都小笠原村)の航空派遣隊にノンストップで物資が輸送可能な航続距離を有すること

そして上記三点の要求内容を満たすと思われる欧米の軍用輸送機は下記の三機種です。

Boeing C-17(米国製) (下の写真はWikipediaより 著作権はPublic Domain クリックにて拡大)800pxc17_3
Lockheed Martin C-130J (米国製) (下の写真は英語版Wikipediaより 2006年7月16日にMarc Evans氏撮影 クリックにて拡大) 800pxlockheed_martin_hercules_c5__n

Airbus Military Sociedad Limitada A400M (欧州製) (下の写真は英語版Wikipediaより 2010年07月17日 Chris氏撮影 クリックにて拡大)765pxa400m 上記候補機種以外としましては、C-27Jを推す見解もtwitterの一部つぶやきで散見されましたが、航続距離と搭載量の観点から前述の要求を満たしません。

 下の表は各輸送機のスペック対比となります。出展はWikipediaのA400に関する記事からです。クリックでに拡大大表示となります。Photo

 選定機種は「欧米の軍用輸送機」となっており、非常に解せない事ですが国産の川崎重工XC-2は候補となっていません。この理由がC-2がオーバースペックである為だとしますと、C-17は自動的に候補から脱落します。また実際に海自がC-17を導入しますと、海自が空自よりも最大積載量と航続距離の面で遥かに性能が優れた輸送機を保有することとなり、この意味でもC-17の可能性は極めて低いと私個人は考えます。

 そしてC-2が候補機種になっていない理由がオーバースペックである為だとしますと、C-17だけではなくC-2と要求性能がほぼ同スペックであるA400Mも候補から脱落することとなるでしょう。なおA400Mは12tの重量超過、4年の納期遅延、そして開発費予算オーバーに見舞われており、先行きが極めて不透明な状態となっています。

 ただもし防衛省がC-2よりも大型の輸送機の導入を検討しており、しかしもはや空自の輸送機導入計画は固まっており新機種導入の余地はなく、また従来の概念に縛られないということであれば、海自のC-17導入の可能性が皆無であるとは言い切れません。調べてみますと南鳥島の滑走路は1380mであり、そしてC-17の最大ペイロードでの離着陸距離は910mですから滑走路の長さだけを見ますと離着陸のみであれば問題はなさそうです。しかし重量の観点からはどうでしょう。これに関しては資料を見つけることは出来ませんでした。C-17はその重量から日本国内の一部空港での離着陸が難しいとの話も散見されます。そもそもレベルで定期便として最大積載量20tのC-130Hが月に一度、YS-11が週に一度の飛行で補給物資が賄えるのですから、最大積載量77tのC-17はどう考えてもやはりオーバースペックだと言わざるを得ないのです。そういった観点からも「数十トンの貨物の輸送」としている今回のこの産経新聞の報道は信憑性に若干疑義があります。また元記事には機雷投下との記述が見受けられますが、試作のみで終わっている模様です。
(下の写真はWikipediaより南鳥島 著作権はPublic Domain クリックにて拡大)800pxmarcus_island_dfst8708298 数十トンの最大積載量と2000Km以上の航続距離を有する機体で無難な候補となりますと、実質C-130Jのみとなります。

 C-130Jは航空自衛隊でも現在運用しているC-130輸送機の改良型です。コクピットがグラスコクピットとなっており、プロペラが四翅プロペラから、縦向きにした三日月形状の六翅プロペラに変更となっています。
(下の写真は航空自衛隊ホームページよりC-130H輸送機 引用元明記の上で転載自由) Pic01

(更に下の写真は英語版WikipediaよりC-130Jのプロペラ部分 著作権はPublic Domain 従来型とプロペラの形状が異なるのがよく分かる クリックにて拡大)800pxhercules_propeller_arp

もしこの件に関しまして続報がありましたら新記事の執筆ないしはこの記事に追記をしていきたいと思います。

2011年7月23日 (土)

ジブチに建設された自衛隊初の海外基地から見えるもの

 2011年07月14日付けの朝雲新聞で自衛隊初の海外基地となるジブチ拠点の開所式の模様が報道されました。写真も多数掲載されています。

初の海外活動拠点(ジブチ)で開所式副大臣が挨拶 「画期的な意義」 勤務環境など大幅に改善

ジブチの活動拠点 整備格納庫も建設 食堂やジムも完備

そして下はジブチとその周辺の地図です。
大きな地図で見る

大きな地図で見る

 新拠点の位置ですが、上記の朝雲新聞の報道によりますと「ジブチ国際空港の北側の土地約12ヘクタール」と記載されています(筆者注釈:1ヘクタール=10000平方メートル 東京ドームは約4.7ヘクタール)。ジブチ国際空港の位置を調べましたところ、座標が北緯11度32分50.39秒 東経43度09分34.13秒となっていました。下の画像はその座標をGoogle Earthで検索したものです。

大きな地図で見る

 新拠点の主要設備はこの朝雲新聞の報道2010年11月3日のしんぶん赤旗の記事「自衛隊、ジブチに恒久「基地」」、そして「衆議院議員赤嶺政賢君提出自衛隊のソマリア沖海賊対処「新活動拠点」に関する質問」に対し送付された2010年11月2日付の答弁書によりますと下記の様なものです。

司令部庁舎
電源室
隊舎7棟(収容人員約280人 面積約5900平方メートル)
P3C哨戒機整備用格納庫(収容機1機 面積約2700平方メートル)
P3C哨戒機用整備スペース及びクレーン(2機分)
駐機場(収容機3機分)
体育館及びジム
食堂や売店
医務室
風呂

 また活動拠点の整備のための経費は上記の答弁書によりますと総額約47億円となっています。またこの土地はジブチ政府との賃貸契約となっています。それでは自衛隊がわざわざ約45億円の予算を投じてまで、また賃貸料を支払いつつ、12ヘクタールもの広大な土地に本格的な「基地」をジブチに構築したことは一体何を意味するのでしょうか。無論それは朝雲新聞の報道にもあります通り、従来は米軍基地の一部を間借りしており、そこから「P3C2機が駐機する滑走路北側のエプロンまでの移動に長時間を要し、整備用格納庫もなかったことから、日中30度を超える炎天下での機体整備を余儀なくされていた」のであり、今回の新拠点建設により「乗員の勤務や機体維持の環境が大幅に改善」されることは大きいと言えるでしょう。しかしそれ以外に、これはあくまでも私の個人的な推測ですが、自衛隊としましては今後も長期間に亘りジブチに駐留したいとの思惑があるのかもしれません。そしてこの様な施設を構築した以上は長期滞在をしなくては意味がないのです。

 もしそうであるならばその動機は何でしょうか。実はそれに関しましては2010年12月20日(月)18時30分より総理大臣官邸に於いて行われました日ジブチ首脳会談にて、その動機解明の鍵となりそうな事柄を菅総理が明言しています。その会談の要旨は外務省のホームページにあります「日ジブチ首脳会談について」でも閲覧が可能です。それによりますと「菅総理から,ヨーロッパとアジアを結ぶ航路の要衝に位置するジブチは,貿易立国である日本にとって戦略的に極めて重要なパートナーである旨述べるとともに,ソマリア沖海賊問題の対応のためジブチを拠点に活動を行っている自衛隊等に対するジブチの協力に感謝する旨伝えました。」とあります。 

 この菅総理の発言を踏まえつつ当記事に掲載しましたジブチ周辺の地図を再度見てみますと、ジブチに自衛隊拠点を構築する意義がおぼろげながら見えてくる気がするのです。P3Cは対潜哨戒機との性質上、多彩なセンサーを搭載しており、洋上監視機としての使用も可能です。日本政府はジブチを資源確保と海上交通上の要衝と看做しており、そこに約45億円の予算を投入しつつ、且つ賃貸料をジブチ政府に支払いつつも日本の実力部隊を配置する価値を日本政府は見出しているのかもしれません。P3c
(上の写真はWikipediaよりP3C photo by Maryu taken 2005/10/09 クリックにて拡大)

 それではこの新拠点を構築するに当り、日本とジブチ政府の間にはどの様な権利義務関係となっているのでしょうか。前述の通り今回のこの新拠点の土地は、日本政府とジブチ政府との間で2010年5月8日に締結されました賃貸契約締結により借り上げられています。そうしますと賃貸料と賃貸期間はどの程度のものなのでしょうか。この賃貸契約の内容に関しては日本政府が情報開示を拒否しており、調べる術がありません。 その理由に関しまして日本政府は前述の答弁書にて「相手国との関係もあり、お答えは差し控えたい。 」としています。

 その一方で「ジブチ共和国における日本国の自衛隊等の地位に関する日本国政府とジブチ共和国政府との間の交換公文」(平成二十一年外務省告示第二百二十三号)(リンク先はPDF)ではジブチ国内で自衛隊員や海上保安官に治外法権的な保証が認められています。例えば4頁目の4(b)には「部隊、海上保安庁及び連絡事務所並びにこれらの財産及び資産(所在地及び占有者のいかんを問わない。)は、あらゆる形式の訴訟手続からの免除を享有する。」との規定があるのです。この圧倒的に日本側に有利な文言は何故でしょうか。

 まず第一に日本政府としましては自衛官や海上保安官を含む全ての日本国民の権利を保護することが最優先課題であり、だとしますと万が一何らかの不祥事が発生した場合にアフリカのジブチ国内の訴追手続きではなく、日本の司法制度による手続きが日本側にとり望ましいことは言うまでもありません。交渉に於いてそれを目指すのが当然です。

 そして第二に何よりもこれが国際政治に於ける冷徹な現実であるとも言えます。日本とジブチでは国力に圧倒的な差があります。それが相互の権利義務に於ける取り決めにも反映されていると言っていいでしょう。

 日本政府としましては日本国民の海外に於ける権利を最大限にすることは当然の目標であり、そして義務でもあるのです。しかしそれが追求出来ているのは日本の現在の国力があるからこそなのではないでしょうか。特に日本の場合は国力の根元が経済力と技術力にあります。こういった「不平等条約」をジブチ側に承諾させることが出来るのも、ジブチ側に豊富な見返りを提供出来るからなのです(日本側は2010年12月20日(月)18時30分より総理大臣官邸に於いて行われました日ジブチ首脳会談にてジブチ側に対して「水,エネルギー,教育等の分野で積極的に支援を行っていく方針である旨」を表明しています。従いまして日本の現在の国力(経済力)を維持向上させることが日本にとって最重要課題とも言えるのです。

 その意味で言えば例えば脱原発の動きがその観点から合理的かどうかは熟考する必要があるのではないかと私個人としては考えます。法人減税も未だに宙に浮いたままです。現実に即した政策と国際競争力強化が日本の国力維持に必須と言えるでしょう。

原発停止、電気代値上げ…製造業1・6兆負担増 (2011年7月15日10時24分 読売新聞)

関西経済5団体、政府に原発再稼働要望 空洞化を懸念(2011年7月21日 日経新聞)

(下の写真はある時に某所にて筆者が撮影 クリックにて拡大)593

 

2011年7月18日 (月)

日本国警察庁に対するサイバー攻撃に思うこと

 当ブログの過去記事「Lockheed Martin社に対するハッキング事件と米国の反応に思うこと」でもサイバー攻撃の脅威に関して書いたことがありました。今回はその続報的な記事です。各報道などによりご存知の方が多いと思いますが、警察庁のホームページに対して7月10日から7月11日未明にかけサイバー攻撃が行われ、警察庁のホームページが閲覧不能な状況となりました。サイバー攻撃の種類はDDoS攻撃の可能性があるとされています。なお7月7日に警察庁は昨年2010年9月(中国漁船衝突事件の発生した月)に同庁に対して行われたサイバー攻撃の発信元は9割が中国であったことを発表しています。

 それではDDoSとは如何なる攻撃方法でしょうか。Wikipediaによりますと下記の通りに説明されています。
-------------------------------------------------------------------
DDoS(Distributed Denial of Service attack)とはDoS(Denial of Service)攻撃の一種である。

DoS攻撃とは「イメージとしては、ターゲットの持つ電話機に無言電話やいたずら電話を大量に発信して、ターゲットが正常に電話機を使用(受・発信)できないような状態」にする攻撃方法である。

DDoS攻撃はDoS攻撃の発展型で、踏み台と呼ばれる複数の法人/個人のコンピュータ(ウイルスやマルウェアになど不正な手段により攻撃用プログラムをシステム内に組み込まれたコンピュータ。これらのユーザーは自分の端末が踏み台として利用されている事には気が付いていない)が、標的とされたサーバ等に対して攻撃を行うことである。

一台のパソコンからの場合はその特定のパソコンからのアクセスを遮断すれば解決するが、DDoS攻撃の場合は膨大な「踏み台」端末からのアクセスである為にアクセス拒否設定が難しく、また仮に通信を拒否した場合はその範囲が極めて広範囲に及ぶ為に、悪意のない通常のユーザーまでも遮断されてしまい、この攻撃を防ぐ事は難しい。

自分の端末が「踏み台」として利用されない為には、OSの頻繁なアップデートとトレンドマイクロやノートン等のセキュリティソフトの購入等が重要

(下の図はWikipediaよりDDoS攻撃のイメージ図 画像はフリーソフトウェア)424pxstachledraht_ddos_attack_svg_2-------------------------------------------------------------------
DDoSの攻撃により生じる被害はHPの閲覧が困難となることのみですが(尤も例えば金融機関のHPにこういった攻撃が行われた場合は、インターネットバンキング利用者等の決済が困難となる状況も考えられ、その場合は社会的/経済的混乱は大きい)、最近は具体的に重大な物理的損害が生じるサイバー攻撃も発生しています。その具体例がイランの核施設に大損害を与えたとされるコンピュータワーム"Stuxnet"「スタクスネット」です。この事件に関しましては日本でも報道されていました。

イラン核施設の妨害ウイルス イスラエルと米国が開発か 1頁(2011年1月16日23時17分 朝日新聞)

イラン核施設の妨害ウイルス イスラエルと米国が開発か 2頁(2011年1月16日23時17分 朝日新聞)

英語版WikipediaにこのStuxnetに関する詳細な説明が見受けられますが、それによりますとStuxnetはSiemens社の産業機械のみをターゲットとしています。しかし通常のSiemens社の産業機械には何ら被害を及ぼしません。英語版Wikipediaによりますと下記のように記述されています。
-------------------------------------------------------------------
Stuxnet does little harm to computers and networks that do not meet specific configuration requirements; "The attackers took great care to make sure that only their designated targets were hit.
Stuxnetは特定の構成要求に合致しないコンピュータやネットワークには全く害を及ぼさない。攻撃者は念頭のターゲットのみが攻撃されることに細心の注意を払った。

Siemens stated on November 29 that the worm has not caused any damage to its customers
シーメンス社は2010年11月29日にワームは顧客に如何なる損害も及ぼしていないと述べた。
-------------------------------------------------------------------
 Stuxnetが暴走することを防ぐ為に、開発者は様々な「安全装置」を盛り込んだ様子があります(Siemens社のソフトが搭載されていない関係のないコンピュータでは自動的に不活性化する、感染力を下げている、2012年06月24日に自動的に消去)。そして開発者の意図したターゲットが感染した場合にのみ活性化し、プログラムの内容を書き換え、機械が誤作動するように仕向けます。なお英語版Wikipediaによりますと国別の感染被害は下記の様な内訳となっています。
イラン 58.85%
インドネシア 18.22%
インド 8.31%
アゼルバイジャン 2.57%
米国 1.56%
パキスタン 1.28%
その他 9.2%

 英語版Wikipediaにも記述がありますが、Stuxnetの上記の様な非常に複雑な仕組みから国家の関与があったと噂されており、日本でも著名なロシアのセキュリティソフトウェア会社であるカスペルスキー研究所は"sophisticated attack could only have been conducted "with nation-state support"「緻密な攻撃は国家の支援があってこそ可能となった」と断言しています。このことから国家レベルの組織がイランの核施設のみをサボタージュする意図で制作したことが推測できます。そしてこのことは技術力さえあれば、世界のどの国でも外国に対してサイバー攻撃により物理的損害を与える事が可能なことが証明されました。ミサイル攻撃など従来型攻撃に併せてサイバー攻撃で敵国に物理的損害を与える時代となりつつあります(このStuxnetは空爆の代替手段として用いられたとの噂がある)。

 そしてStuxnetは米国とイスラエルの関与が疑われていますが、断言するに至っていません。攻撃者が断定出来ない可能性があることも、サイバー攻撃のもう一つの特徴であります。  

 サイバー攻撃は攻撃を受けていること自体を認識出来ない可能性があり(上記のイランのケースではStuxnetがセンサーには機械が正常に作動しているように誤認させ、機械に不具合が発生していることを作業者に認識させない)大きな脅威です。まさにステルス作戦とも言えるでしょう。その間に事態が悪化し、機器の誤作動による被害が拡大する虞も大きいのです。こういったサイバー攻撃を万が一にも原子力発電所、航空管制、鉄道交通管制で行われた場合は大惨事にもなりかねません。  

 高まりつつあるサイバーテロの可能性から、米国防総省は2011年07月14日に新たなサイバー脅威に関するプランを公表しています。Defense Newsの2011年07月15日13:04の記事"U.S. Deputy Defense Secretary Releases Cyber Threat Plan"でもその旨が報道されました。公開版(機密ではない)リポート(リンク先:米国防総省PDFリポート 注:全て英文)はWilliam Lynn国防副長官が発表しました新方針は下記の5つの柱から成り立っています。

Treating cyberspace as an operational domain, such as land or sea
サイバー空間を陸ないしは海の様に新たな作戦領域として扱う

Implementing new concepts in cybersecurity
サイバーセキュリティで新たな概念を実施

Partnering with other agencies and the private sector
その他の官公庁や民間部門との提携

Building relationships with international partners
同盟国との関係構築

Developing talent to spur innovation
イノベーションを起こす為の才能開発

 これらは何ら差し障りがなく、以前から提唱されていた内容を含むものであり、Defense Newsの記述にもありますが、"I was surprised that they would waste the deputy secretary's time on that," (「私は副長官にこんなことに時間を費やせたことに驚いた」)とも言えるものなのです。サイバー防衛に於ける同盟国との連携は先日の「日米安全保障協議委員会」(2プラス2)に於きましても「宇宙及びサイバー空間の保護並びにそれらへのアクセスに関する日米の協力を維持する。情報及び宇宙のシステムの安全を含む,死活的に重要なインフラの抗堪性を促進する。」と発表されました。その一方で国防副長官が発表を行ったということは、このサイバー防衛分野を米国として重視するとの姿勢の表れであるとも言えます。

 なお日本国防衛省は2012年03月にサイバー空間防衛隊を新設予定です。 (下の画像はサイバー空間防衛隊イメージ 防衛省「平成23年度防衛予算の概要」PDFファイルより クリックにて拡大)Photo

 

2011年7月 8日 (金)

陸自がM134通称"ミニガン"を評価試験中か

800pxusmc_gau17

(上の写真はWikipediaより"ミニガン" 著作権はPublic Domain) 

 Twitter上で実に興味深い情報が流れました。陸上自衛隊がM134通称「ミニガン」を評価試験中とのつぶやきが散見されたのです。具体的に防衛省の公開資料で確認出来た訳ではありません(日本は予算が公開されている。しかし防衛省の最近の一部の調達品に関しては「小銃」や「狙撃銃」等と抽象的に記載し、具体的な品名が特定されることを避けることがある)。しかしこの話は防衛産業の著名関係者であるKeenedge氏が一番初めにつぶやいており、非常に信憑性が高いと思われます。そしてkeenedge氏はこの話を「某筋(結構固い)から聞いてます」と述べました。またKeenedge氏によりますとM134の代理店は双日エアロスペースの模様です。Keenedge1

Keenedge2Keenedge3(バレットに関しましては当ブログの2011年5月31日 (火)の記事「陸自の「対人狙撃銃」の「対人」について」も参照願います。)調達に関しましては上記の様な形で特定不能な表記で予算計上された可能性が高いと私は考えます。M134通称ミニガンは7.62mm×51 NATO弾を毎分2,000-4,000発発射することが可能な6本の銃身を持つ電動式ガトリングガンです。英語版Wikipediaによりますと砲口初速は869m/sで、最大射程は1000mとなっています。

ここにMini-Gunの威力が分かるYouTube動画があります。
因みに一部の映画のように一人で手持ちで射撃( リンク先はYouTubeに掲載されている映画"Terminator 2"の一部シーン )する事は重量と反動により不可能です。

また陸上自衛隊補給統制本部の平成23年度5月19日付けの公示第39号の第7頁にも興味深い調達予定項目が並んでいます(下記はその別表。クリックにて拡大)2351939

これらの謎の調達予定項目が何であるかはKeenedge氏が自らのブログ「Keenedgeの湯治場」の2011年7月7日(木)付記事「分かったことと、分からないことであります。」にて推測をされています。上記以外にも特殊小銃(B)、高威力銃及び弾薬5000発(M134ではないかとの指摘も)、大口径拳銃、新対人狙撃銃(試験用)等が公開されている調達実績や公告に掲載されているとの事です。これらの調達予定項目が評価試験の結果として採用となった場合は特戦群のみでの運用となるのか、それとも普通科にも広く普及することとなるのかも興味深いところではあります。何らかの情報や続報があった場合はこの記事に追記するか新たな記事を執筆予定です。

 なお、Keenedge氏は今回の同記事でブログ更新が最後になるかもしれない旨を表明しています。興味深い情報が多かったので大変残念です。

2011年7月 6日 (水)

海自飛行艇を民間転用、インド輸出想定 防衛省承認へ

Us2_99032

(上の写真はWikipediaよりUS-2 著作権はPublic Domain クリックにて拡大)
 日経新聞の2011年07月2日(土)の報道「海自飛行艇を民間転用、インド輸出想定 防衛省承認へ」(注:全文を読む為には会員登録が必要)によりますと、民間転用/海外輸出を念頭に、防衛省が同省に帰属するUS-2の技術情報を開示することを新明和工業に承認するとのことです。新明和は同機をまず国内の自治体に災害対策目的で3~5機を販売し、また海外の輸出先としましてはインド及びブルネイと商談を進めていると報じられています。国内自治体や海外輸出向けの民間転用型は消防飛行艇となる模様です。Photo_2

(上の画像は後述の防衛省資料より ヘリコプター等と比較し、より速い速度で飛行し、より大容量の水を運ぶことが可能)
インド及びブルネイとしましては日本から民間転用した装備品を購入することにより、対日関係を強化し中国に対抗する目的もあると日経新聞の同報道は分析しています。今回の情報開示により、商談にて詳細なデータを海外顧客に提供可能になるとのことです。またこの報道では、第二段、第三段としまして川崎重工のC-2やP-1が予定されているとしています。US-2やC-2の輸出に関しましてはこのブログでも2010年10月20日(水)に「菅政権の「武器輸出三原則」緩和問題に関する一考察」との記事を書いたことがありました。従いまして今回の話題は以前より関係者の間で検討課題となっていた話ではあるのです。US-2とは水陸両用飛行艇(水上-河川、湖、海面-に離発着が可能な航空機)でUS-1Aの後継機種となっています。この動画はYoutubeよりUS-2の離陸の様子です。
 US-1及びUS-1Aの1976年07月~2008年3月31日までの救難実績は出動件数809回、救助人員792人(海上救難136件/救助人員111人、患者輸送612件/救助人員661人、船舶捜索61件/救助人員20人)となっています。新明和には過去US-1及びUS-1Aに関する問い合わせが約50カ国以上あったとのことです。

 US-1Aの後継機であるUS-2の開発は1996年から開始され、開発段階に於きましてはUS-1A改と呼称されていましたが、 2007年03月にUS-2と改称されました。US-2がUS-1Aとは別物であると防衛省が認識していることの証左と言えます。US-2の基本スペックは同社HPによりますと下記の通りです。

全長 33.3m
全幅 33.2m
全高 9.8m
エンジン Rolls-Royce AE2100J×4基
プロペラ Dowty R414
最大離陸重量/距離 47.7t / 490m
最大着陸重量/距離 47.7t / 1,500m
最大離水重量/距離 43.0t / 280m
最大着水重量/距離 43.0t / 330m
航続距離 4,500km以上
巡航高度 6,000m以上
巡航速度 480km/h以上
最大速度 560km/h以上

 US-2はUS-1Aと比較し、特に次の6点が改善されているとの事です。
(1)コンピュータ制御によるフライ・バイ・ワイヤ・システムの採用:外洋着水時の水衝撃を和らげる為に約100Km/hrの低速で着水することを可能とする為

(2)与圧キャビンの導入:これにより高度20,000ft(約6,000m)以上を飛行することが可能となり、飛行経路を最短ルートとすることが可能となった(US-1では与圧機能が付与されていなかった為に、高度10,000ft(約3,000m)以下の飛行を余儀なくされ、乱気流に巻き込まれ易くなり、飛行ルートも低気圧を避けたものとなりました。

(3)エンジンのパワーアップと6翅プロペラの採用:US-1Aと比較しエンジンが1.3倍のパワーアップ

(4)グラスコクピットの採用:最新旅客並の機器で、夜間の飛行でも画像が見やすくなる

(5)材質変更による軽量化:主翼、浮舟、波消板にチタン合金や炭素系複合素材を採用

(6)引き込み式FLIRターレットの装備

 2010年10月20日(水)付の日刊工業新聞の記事「新明和、民間転用時の救難飛行艇を70億円に-ボンバルディアに対抗」によりますと「東南アジアや欧州、地中海沿岸諸国、中東などが関心を示しており、これまで約35カ国から70件以上の引き合いがある」とのことです。以前より新明和はUS-2の海外輸出を積極的に目指しており、同社のHPにはUS-2の英語版HPがあります。また平成22年05月20日付けで新明和が防衛省に提出したと思われる資料「救難飛行艇US-2民間転用事業体制(案)と課題について」(計10頁)が防衛省HPよりPDFファイルにてダウンロードが可能です。海外顧客向けの販売ルートと課題に関しましては同資料の第9頁目に図解されています(下はその解説図 クリックにて拡大)Photoこれらの課題の中で特に検討を要するのは輸出先要員の教育訓練と整備補給態勢の構築です。現状我が国はそういった体制を構築出来ているとは思えません。メンテナンス/アフターサービス体制と部品供給ルートの構築が急務と言えるでしょう。その戦略なくしてはYS-11の二の舞となってしまう虞があります。また消防艇への改造となりますと、現状では実機が存在しておらず、若干の納期と開発費用、そして実証試験が必要です。そうなりますとライバル機と価格競争で不利となる局面もありそうです。防衛省への権利料支払いも最小限に留めるべきでしょう。

参考資料:
(1)参考文献 「飛翔」 財団法人 経済産業調査会 ISBN978-4-8065-2810-4
(2)Wikipedia US-2

2011年7月 2日 (土)

F-35のメンテナンスと国内生産可能性について

 時事通信の2011年06月28日(火)14:39の報道「F35、最終組み立て日本委託も=次期主力戦闘機選定-米ロッキード社」によりますと、Lockheed Martin社のジョン・ボルダーストン日本担当部長が27日に時事通信のインタビューにて、日本がF-35導入を決定した場合は「最終組み立てや機体のメンテナンス、アップグレードへの参加を日本企業に申し出る」と述べたとのことです。

 以前より米国政府やLockheed Martin社でこれは検討されていた模様です。2011年01月18日(火)のWALL STREET JOURNALの記事に於きましてもLockheed Martin社のF-35プログラム事業部長のコメントとしまして下記の記述が見受けられます。
(下記引用及び翻訳)
-------------------------------------------------------------------
“U.S. government has asked Lockheed to provide preliminary information on how it could build the Joint Strike Fighter with Japanese industrial input, building either major subcomponents or completing final assembly in Japan.”
日本国内での主要部品の製造ないしは最終アセンブリーでどの様に日本の業界とJSFを製造できるか関してロッキード社に米国政府が情報提供を要請した。
(引用終了)
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 因みに様々な識者からF-35の日本国内でのライセンス生産は技術的な側面からも困難である旨が各識者から指摘されています。

Keenedge氏ブログ「Keenedgeの湯治場」2010年08月24日記事「【真夏の怪談】次期戦闘機にF/A-18Eが有力のナゾ(その2)」
「F-35のライセンス国産は日本では無理です。ステルス機の構造は従来の機体とは全く違いますので、製造ラインも従来とは全く異なったものになります。以前のように従来のラインや治具をちょこっと換えただけで賄えるものではありません。すなわち、設備投資等の初度経費は莫大なものとなりますし(ハードだけでなく、工員のトレーニング等費用等も含めて)また、立ち上がるまでの時間もかなり時間が掛かります。いまの状況下では生産開始が10年位掛かっても不思議ではありません。」

もっさり氏ブログ「シベリアンジョーク集積所」2010年07月31日記事
「F-22やF-35を現状の日本の航空産業に生産しろと言うのは、1940年代の日本の航空産業にデ・ハビランド・モスキートを生産せよとか、あるいはラボーチキンやヤコブレフの戦闘機を生産せよと言う以上の無理があるもさ。」、「何が言いたいかと言えば、アメリカの航空技術は突出して進歩しているだけでなく、ステルス機と非ステルス機の生産技術は金属製航空機と木製航空機の生産技術くらい、あるいはそれ以上に異質でもあると言う話もさ。」

 ライセンス生産や国内での最終アセンブリーが技術的に可能なのかとの問題は私には難しすぎて分かりません。日本の防衛省と防衛産業がそれに関して慎重に検討している気配はあります。そのことは以前当ブログの過去記事「次期主力戦闘機選定で防衛省が国内防衛関連三社とアドバイザー契約を締結」でも書いたことがあります。もし日本国内での最終アセンブリーが技術的に可能であるかご存じの方がいらっしゃれば、コメント等でご教授頂ければ幸いです。

 今回のこの提案は興味深いものではあります。もし実現すれば日本が国産で戦闘機を開発する/国際共同開発をする上で貴重な経験となるでしょう。しかしそれが現実的に可能かどうかとなれば不明点も多いと考えます。また以前の記事「米「F35」計画遅延か 空自FX選定に影響」でも述べましたが、米国防総省が「任務に就く能力を持った機体の初期運用試験・評価が始まるのは2017年の春」との見通しを示しているのに対して、日本国防衛省は2016年の1号機納入を条件としているとされています。上記の時事通信の記事やその他の報道によりますとLockheed Martin社側は「最終型のソフトウエア「ブロック3」を搭載したF35の開発試験を2016年初めに完了し、同年中に日本に提供」が出来る旨を表明していますが、もしそうだとしますと日本は米軍よりも早くブロック3の運用を開始することとなり、そう考えますとこのLockheed Martin社のこの主張に対しては懐疑的にならざるを得ません。導入しましても不具合多発、低稼働率では意味がありません。

 その一方でF-35は今までにない最先端の機能を有する魅力的なマルチロールファイターではあります。これは最近公開されたF-35戦闘機の新公式ホームページです(若干重かったり、開きにくいことがある模様です)。その中のメンテナンスに関する項目がありますので抜粋し翻訳します。
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No matter how advanced an aircraft, it is only effective when it is in the air, flying its mission. The F-35 platform—the aircraft itself as well as the logistics and sustainment support systems—was designed to keep each plane in the air and fully operational.
如何に航空機が先進的であっても、それは空中で作戦遂行中の時にのみ実戦的である。F-35のプラットフォーム-兵站や維持支援システムと同様に機体そのものが-それぞれの機体を飛行させ全面稼働を継続する様に設計されている。

Advanced Monitoring, Maintenance and Prognostics
先進的モニタリング、メンテナンス、及び予測
To ensure near-continuous mission availability, each F-35, as well as the fleet as a whole, is monitored and measured against a host of parameters. Maintenance needs can be anticipated and met before performance degrades, and unnecessary flight line activity is minimized.
ほぼ切れ目のない作戦能力を確実なものとする為に、航空隊と全てと同様にそれぞれのF-35は多くのパラメーターに照らし合わされて監視と計測が行われる。メンテナンスの必要性は予測され性能が劣化する前に対応されし、不要な駐機整備地区は最低限にされる。

Streamlined Service Operations
合理化されたサービスオペレーション
Onboard sensors detect systems in need of maintenance—and report back this information while the F-35 is still in flight.Maintainers can procure parts, review procedures and be ready to service the aircraft as soon as it returns to its base or carrier. 機上のセンサーがメンテナンスを要するシステムを検知し-この情報をF-35がまだ飛行中の段階で報告する。整備士は部材を発注し、工程を見直し機体が基地や空母に帰還し次第、機体を整備する準備が整う。

(引用 翻訳終了)
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上記以外にもAutonomic Logistics Information System(自律兵站システム)やGlobal Logistics(グローバル兵站)等の特徴があると同ホームページではしています。どうやらメーカーがリアルタイムでメンテナンスのデータを世界的に収集し、分析し、追跡するシステムの模様です。(下の写真はF-35カタログより(PDF) クリックにて拡大)

F35broucher
PCや一部の産業機械にはインターネット接続があり、その製造元にてインターネット接続にて診断や遠隔操作が可能ですが、上記の内容はそういった事を言っているのでしょうか。また上記の記述によりますとF-35のデータリンクで飛行中に基地等に診断リポートを送信可能な模様です。前もって不具合予測が可能となれば、実際に不具合が発生する前にパーツ発注や対策が可能となり、高い稼働率の維持は可能かもしれません。しかしそれは海外メーカーですし、メンテナンスの必要性の事前把握と国内で部品を即時に調達可能な体制が整っていることとは別の問題ではあります。緊急時には米軍から提供を受けることは可能ですが、それはF-15や現在FXの別候補機でもあるF/A-18Eでも同じです。第五世代戦闘機の技術に直接触れることを重視するのか、現実的で国内生産基盤維持をしつつパーツも国内調達が可能な体制を維持するのか慎重な検討が求められています。
(下はF-15SEとF/A-18E SuperHornet International RoadmapのBoeing社公式ビデオ 注:音声は全て英語)

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