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2011年8月

2011年8月25日 (木)

中国軍がサイバー攻撃を実行中の映像を中国が誤ってテレビ番組で放送か

 一部の報道等でご存知の方も多いと思いますが、中国側は中国もサイバー攻撃の被害者である旨を今まで主張していました。

「中国はサイバー攻撃の世界最大の被害国」、新華社が報道(8月12日(金)11時11分配信 Scan )

 しかしそういった中国側の被害を訴える一連の報道の中で、中国軍がサイバー攻撃ソフトウェアを使ってサイバー攻撃をしているパソコン画面を中国が誤って放映してしまったのではないかとの情報が散見される様になりました。 私がその情報を知ったきっかけはマングース氏のブログ「東京の郊外より・・・」の2011年08月24日05:00の記事「中国発サイバー攻撃の証拠」でした。
(下が問題の画像。「法輪功」や「攻撃」等に見える単語が識別出来る 画像は問題のTV映像のYoutubeより クリックで拡大)Chinacyberattack1(下の画像は問題の映像の継続で、法輪功のウェブサイトのリストを選択出来る様に見える。 問題の番組のYoutube動画より クリックで拡大)Chinacyberattack2

そもそものソースはEpoch Times紙の2011年08月21日の報道"Slip-Up in Chinese Military TV Show Reveals More Than Intended"(「中国軍TV番組のミスで意図した以上のものが判明」)であり、詳細に報じています。下記に記事の一部引用し翻訳します。
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A standard, even boring, piece of Chinese military propaganda screened in mid-July included what must have been an unintended but nevertheless damaging revelation: shots from a computer screen showing a Chinese military university is engaged in cyberwarfare against entities in the United States.
非常にありふれた、つまらなくさえある 7月中旬に報道された中国軍プロパガンダに意図はしていなかったであろうがそれでも打撃的な発覚を含んでいた:コンピュータの画面の映像で中国人民解放軍大学が米国の施設に対してサイバー戦に従事しているところが映っていた。

The screenshots appear as B-roll footage in the documentary for six  seconds—between 11:04 and 11:10 minutes—showing custom-built Chinese  software apparently launching a cyber-attack against the main website of  the Falun Gong spiritual practice, by using a compromised IP address  belonging to a United States university.
問題の映像は資料映像としてドキュメンタリーに11:04から11:10の間の6秒間に亘り表示され、特注の中国製ソフトウェアが、感染した米国の大学のIPアドレスを利用して、明らかにサイバー攻撃を法輪功のメインサイトに対して行っているのを映している。

The screenshots show the name of the software and the Chinese university  that built it, the Electrical Engineering University of China's  People's Liberation Army—direct evidence that the PLA is involved in  coding cyber-attack software directed against a Chinese dissident group.
映像はソフトウェアの名称と開発した中国の大学を映しており、中国人民解放軍の電子工学大学であり、人民解放軍が中国反体制派に対するサイバー攻撃ソフトウェア開発に関与している直接的な証拠となった。

The software window says "Choose Attack Target." The computer operator  selects an IP address from a list—it happens to be 138.26.72.17—and then  selects a target. Encoded in the software are the words "Falun Gong  website list," showing that attacking Falun Gong websites was built into  the software.
ソフトウェアのウインドウは「攻撃対象選択」と述べる。コンピュータのオペレーターはそれからリストよりIPアドレスを選択し-今回は138.26.72.17だった-ターゲットを選択する。ソフトウェアにエンコードされた単語は「法輪功ウェブサイトのリスト」であり、ソフトウェアに法輪功のウェブサイト攻撃が組み込まれているのを示している。

The shots then show a big "Attack" button on the bottom left being pushed, before the camera cuts away.
映像は更に下部左の大きな「攻撃」ボタンが押されるのがカメラが切り替わる前に映している。

(引用終了)
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私は中国語が分かりませんので確実な事は言えません。中国語に詳しい方は解説して頂ければ幸いです。このEpoch Timesは中国共産党に批判的な大紀元であり、ソースとしては中立性に難があります。この動画自体は本物の様に見えますし、また漢字から判断して「攻撃」や「法輪功」との文字が識別可能であり、サイバー攻撃を掛けるソフトの様に思われます。(問題のシーンはYoutubeの40秒前後より。)
 もしこの記事が事実だとしますと、中国側はうっかり報道してしまったのでしょうか。日本に於きましても2011年8月4日に東海テレビが不適切なテロップを誤って流した報道事故がありました。私達の日常生活に於きましてもFAXやメールの誤送信、郵便物の誤配達は時折散見されます。場合によっては大きな問題に発展することもしばしばです。

 この映像が事実だとしますとこのソフトウェアの操作自体はそれ程難しくない様にも見受けられます。攻撃ソフトウェアの開発者は少数エリート制であっても、オペレーターはそれ程技能がなくとも人海戦術で大量に投入することも可能なのかもしれません。尤もこれは法輪功のみに対するサイバー攻撃ソフトの模様です。問題となりつつある世界各国の政府や軍需産業等に対するハッキングやその他のサイバー攻撃(詳細は下記の過去関連記事を参照のこと)にどの様な手法やソフトが用いられているのかは分かりません。しかしこの画像が事実だとすれば中国側の手口を分析する糸口とはなり得るかもしれません。

過去関連記事
Lockheed Martin社に対するハッキング事件と米国の反応に思うこと(2011年6月5日(日)執筆)

日本国警察庁に対するサイバー攻撃に思うこと(2011年7月18日(月)執筆)

2011年8月23日 (火)

防衛省が無人機、ロボット、ATD-X機体の開発を本格化へ

 2011年8月17日5時2分の朝日新聞の記事で「防衛省、無人機開発を本格化 調査費増額要求へ」 と報じられました。この朝日新聞の記事には菅総理の指示があった旨の記述がありますので、それが誤報ではない限りこれは確定事項と言えるでしょう。菅総理の判断の背景には「福島第一原発事故の際、米軍の無人偵察機グローバルホークで原発の状況を把握した経緯を踏まえ」とこの記事にはあります。私にとり驚きだったのはこの記事が「防衛省は日本独自の無人機開発を本格化する方針を固めた」と報じていることです。「日本独自の無人機開発」ということですので、これはグローバルホークではないということになります。

 グローバルホークに関しましては当ブログにても以前に記事を二回執筆したことがあります。

「米国製無人偵察機、3機導入へ 中国や北朝鮮想定」 (2010年10月09日)

「東日本大震災で米空軍のグローバルホークが偵察活動」(2011年03月20日執筆)

763pxnorthrop_grumman_rq4_global_ha

(上の写真はWikipedia英語版よりグローバルホーク Jim Gordon氏撮影 Kwj2772氏によりFlickrにアップロード クリックで拡大 グローバルホークの製造元であるNorthrop Grumman社によると(リンク先は全て英文)RQ-4 Block 10 は「高度65000フィート=19810mまでの上空を35時間まで340ノット=629.7 km/h近くのスピードで飛行可能である。一回のミッションにつきイリノイ州のサイズの面積=14,997平方Kmが偵察可能である」としている。)

 私は2011年03月20日の記事で「もしこれでグローバルホークの有効性が実証されれば、日本がグローバルホーク導入を検討する上で大きな判断材料となると思われます。二次災害を避ける為や、今回の様に人が立ち入ることが困難な場所で活用可能なことが分かれば、グローバルホークの様な長時間に亘り広範囲で詳細なデーターが収集可能な機体は天災大国の日本にとり有意義な装備であるからです。」と述べました。しかし結論としましてグローバルホーク導入ではなく、「日本独自の無人機開発を本格化」となりました。この「日本独自の無人機開発」とは多用途小型無人機(通称TACOM)と高高度無人機を指すものと思われます。多用途小型無人機がミサイルの様に飛行し瞬間的に任務を果たすのに対し、高高度無人機はグローバルホークの様に長時間に亘り一定の空域に留まり情報を収集するタイプとなります。

 前述の朝日新聞の記事にあります「多用途の小型ジェット無人機」とはこのうち多用途小型無人機の事でしょう。F-15等から発射され、自律飛行で滑走路に着陸します。YoutubeにTACOMの分かりやすい動画がありました。

 情報本部から開発要求のあった高高度無人機に関しましては資料が少なく、また計画の現状がどうなっているのかが判然としません。公的な資料としましては防衛省の平成14年度の政策評価書(PDFファイル)のみを見付けることが出来ました。この政策評価書によりますと高度はグローバルホークを上回るものを要求しています。
(下の表は同政策評価書より「類似手段との比較」 クリックで拡大)Photo
 この資料を見るだけでもグローバルホークより大型で、高度も上回る無人機を日本独自で開発しようとする極めて野心的なプロジェクトだと言えます。大変夢のある話ではありますが、予算、納期、技術力で果たして日本に可能なのでしょうか。慎重に検討する必要はあります。

 そして今回の朝日新聞の記事にはロボット技術の研究開発も推進する旨の記述があります。防衛省が開発中のロボットで最近話題となったものは球体型の飛行ロボットがありました。それは海外でも報道されています。2011年08月05日 10:32のDefense Newsの記事"Japanese Inventor Develops Flying Sphere Drone"(日本の発明者が空飛ぶ球体の無人機を開発)にも記事がありました。下記に内容を一部抜粋し、翻訳します。
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Japanese defense researcher has invented a spherical observation drone that can fly down narrow alleys, hover on the spot, take off vertically and bounce along the ground.
日本の防衛技術者は狭い道を飛行し、一箇所で宙に浮かび、垂直に飛び立ち、地面に沿ってバウンドすることが出来る球状の観測無人機を発明した。

About the size of a beach ball and jet black, the remote-controlled Spherical Air Vehicle,
だいたいビーチボール程の大きさで漆黒であるリモコン式の球体飛翔体、

It is powered by a propeller protected by a spherical shield with large openings for airflow, meaning a knock into a wall or a tumble to the ground will not damage it.
それは空気の流れ様の大きな穴の開いた球体のシールドで保護されたプロペラで飛行しており、壁への衝突や地面への転倒では破損しないということである。

It can zip through the air at up to 37 miles per hour.
それは毎時37マイルの速度で飛行可能である。

weighs just 12.3 ounces and has a diameter of 16.8 inches.
12.3オンスの重さで直径は16.8インチである。

it can only fly within the field of vision of the controller,
それは操縦者の視覚の範囲内のみで飛行可能である。

(引用終了)
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百聞は一見に如かずと言います。Youtubeにこのロボットの動画がありました。
 
 これ以外にも以前当ブログにてパックボットに関する記事を執筆しましたが、そういったロボットも開発されてくるのかもしれません。

 また日刊工業新聞の2011年08月16日の報道「防衛省、戦闘機の先進技術実証プロで三菱重工に機体製作委託」によりますと、防衛省は2011年度中にも三菱重工業にATD-Xの機体製作を委託し、また来年度予算の概算要求にATD-Xの予備部品や整備用機材などの費用約90億円(約3年間)を盛り込む方針とのことです。更にこの報道で興味深いのはF2戦闘機後継機の開発に繋げるとしている点です。

 ATD-Xにしましても非常に高度な技術力が要求されます。防衛産業関係者である著名ブロガーのKeenedge氏のブログ「keenedgeの湯治場」の古い記事「○○○-Xであります。」(2006年10月06日執筆)「○○○-Xであります(その2)」(2006年10月08日)に目標性能、高運動性、要素研究、担当メーカー、技術的重要事項、「高運動FLCSの研究」要素、「統合アビオニクス・システムの研究」主要な目標性能・緒元が列挙されています。これを見ても目標としている性能が非常に高いものである事が分かります。その一方でKeenedge氏の「ATD-Xが動き出したであります。」(2010年04月16日)によりますと、機体そのものに利用されるパーツはF-1やT-2のものを多く流用しており、中古品か長期保管品しかなく、品質保証が困難とのことです。

 F-2戦闘機の後継に関しまして、以前に二回このブログにて記事を執筆したことがありますが、日本で第六世代戦闘機を開発しようという極めて野心的な計画です。
(下は防衛省が発表したF2戦闘機後継とされるi3 Fighter コンセプト画像 防衛省ホームページより クリックで拡大)I3fighter_2「F2戦闘機後継、16年度にも開発着手へ 防衛省」(2010年08月29日)

「第六世代戦闘機日米共同開発の可能性について」( 2011年02月24日)

夢のある話と見るか、それとも日本の技術水準や財政難を考えますと夢は夢と考えるかは難しいところではあると思った次第です。

2011年09月14日(水)追記:「原子力災害対策、無人偵察機・軍事用ロボ配備へ」(9月14日(水)3時8分 読売新聞)「無人偵察機は米ボーイング社などが開発した「スキャンイーグル」2機と国産の2機を購入する予定」

2011年8月19日 (金)

都心に陸自対テロ部隊拠点を設営へ

 2011年8月17日01:30の産経新聞『都心に「対テロ部隊」霞が関から3キロ圏内、数百人規模』との報道によりますとテロ対策の一環としまして、霞ヶ関から3キロ範囲内に陸自の数百人規模の拠点を設けるとのことです。記事の内容としましては

(1)「霞が関から3キロ圏内の防衛省(新宿)周辺で数百人規模の隊員を収容できる拠点を設ける。」

(2)「NBC(核・生物・化学)兵器テロに備える専門部隊の一部も併せて配置する。」
としています。

 この記事の真偽の程は現時点では不明です。この件を報じているのは8月18日(木)午前6時現在では産経新聞のみとなっています。しかしこの報道は防衛省の「防衛力の実効性向上の構造改革」8月5日の報告書と具体的なソースに言及しました。防衛省公式ホームページに確かに「防衛力の実効性向上のための構造改革推進委員会」とのページがあり、そこには「防衛力の実効性向上のための構造改革推進に向けたロードマップ~動的防衛力の構築に向けた全省的取組」との8月5日付けのPDF報告書があります。この報告書の10頁目に、「重点地域(南西地域及び首都圏等都市部)における対処能力の向上」が検討課題として挙げられており、今後の方向性として「重点地域における基本部隊の在り方について検討」するとしています。確かに首都圏に関し言及があり、対策を講じていく方針が明記されてはいますが、具体的な方向性は言及されていません。また内容はどちらかと言えば南西地域の防衛体制に関してより重点的に記載されていました。従いまして産経新聞が何を根拠に今回の件を報じたのかは不明です。この記事は「防衛省が」としていますが、防衛省の誰がそれを明らかにしたのか、それは公式な確定方針なのか、それともまだ検討中の事項なのかわかりません。いずれにしてもこの報告書の中では首都圏等都市部を含む重点地域における対処能力の向上に言及がある以上は、何らかの方向性が打ち出されることだけは確かだと考えられます。
(下は筆者が数年前に撮影の防衛省 クリックにて拡大)

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 こういった自衛隊の重要施設等の警備が検討される度に必ず問題となるのが警察による警備との役割分担です。(下の写真は筆者がある時に撮影した警視庁。クリックにて拡大)Photo
 以前より原発警備に自衛隊を当てるべきかどうかが類似した議論として存在しますが、現状は第一義的には警察の特殊部隊が原発の警備を担っています。永田町と霞ヶ関に関しましては警視庁機動隊による厳戒警備体制が敷かれているのであり、ハードターゲットと言えます。
(下の写真二枚は筆者がある時に某所にて撮影した機動隊の車両 クリックにて拡大)1

2_2
 当然のことですがMP5機関拳銃を装備した機動隊員も警戒に当たっていると考えるのが自然です。尤も高度に訓練された武装工作員が相手であった場合は対応が困難なものとなるでしょう。

 しかしそもそも根本的に軍隊と警察では役割が異なります。日本の警察の主たる役割は事件の捜査です。証拠の保全、犯人の生きたままの逮捕が最優先課題となります(SAT等の一部例外を除く)。そしてそれは罪刑法定主義による逮捕、刑事訴訟法に則った捜査でなくてはなりません。それに対して軍隊の主任務は敵の排除にあります。即ち射殺が原則となるのです。この事からテロリスト側からしましても軍隊系特殊部隊が出動することと、警察系特殊部隊が出動してくることは全く意味合いが全く異なるのです。

 逆に言えば自衛隊は警備やテロリストの排除は出来ますが、警察と比較した場合に職務質問の技術は足元にも及ばないでしょうし、ましてやデュープロセス(法の適正手続)に則った被疑者の処遇に関しましてはノウハウが皆無と言っても過言ではないでしょう(警務隊等の一部の例外を除く)。この事から軍隊と警察は一見しますと類似している様に見えますが、全く異なった性格の組織なのです。

 今回のこの報道が事実であったとしますとどの様な事態を想定しているのでしょう。一つは「NBC(核・生物・化学)兵器テロに備える専門部隊の一部」との記述がありますので、地下鉄サリン事件の様な化学兵器等が首都中枢で使用される事態である事は明白です。もう一つはムンバイ同時テロの様な銃撃戦でしょう。その場合は出動の際の法的根拠や権限も重要となります。出動の根拠は自衛隊法第七十八条の治安出動となるでしょう。ただし1995年に発生しました地下鉄サリン事件は災害派遣でした。治安出動の場合は自衛官の権限は警察官職務執行法により正当防衛と緊急避難の場合を除き、当該部隊指揮官の命令によらなければならないとしています(自衛隊法第八十九条)。それ以外に第九十条の規定で「次の各号の一に該当すると認める相当の理由があるときは、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。」との規定があり、それは次の様な場合です。

一 職務上警護する人、施設又は物件が暴行又は侵害を受け、又は受けようとする明白な危険があり、武器を使用するほか、他にこれを排除する適当な手段がない場合

二 多衆集合して暴行若しくは脅迫をし、又は暴行若しくは脅迫をしようとする明白な危険があり、武器を使用するほか、他にこれを鎮圧し、又は防止する適当な手段がない場合

三 前号に掲げる場合のほか、小銃、機関銃(機関けん銃を含む。)、砲、化学兵器、生物兵器その他その殺傷力がこれらに類する武器を所持し、又は所持していると疑うに足りる相当の理由のある者が暴行又は脅迫をし又はする高い蓋然性があり、武器を使用するほか、他にこれを鎮圧し、又は防止する適当な手段がない場合

 私としましてはやはり軍隊と警察では役割が異なるということを重視します。(日本には軍隊はありませんが)即ち軍隊の主任務は敵の排除(殺害)であり、捜査(逮捕)ではないということです。このこと自体が抑止力となるのです。そういった体制をハード面とソフト面で構築することの検討は有意義と言えるのではないでしょうか。

2011年8月12日 (金)

中国空母ワリヤーグが海上公試運転

 
Usnwc_varyag01
(上の写真はWikipediaよりワリヤーグ 著作権はPublic Domain)
2011年08月10日の朝日新聞の報道「中国初の空母ワリャークが大連港出港 試験航行を開始」Defense Newsの記事"Sea Trials Begin for Chinese Aircraft Carrier "(中国空母の公試開始)によりますと、以前から注目の的となっていた中国の空母ワリヤーグの公試が開始となりました。Defense Newsの記事"Sea Trials Begin for Chinese Aircraft Carrier "(中国空母の公試開始)により詳しい記述があるので下記に一部引用と翻訳を行います。
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China's state-run Xinhua News Agency announced Aug. 10 the beginning of sea trials for China's first aircraft carrier, the former Soviet aircraft carrier Varyag.
中国国営通信の新華社が8月10日にそもそも旧ソ連空母ワリヤーグであった中国初の空母の公試開始を報じた。

Photos of the Varyag indicate it has been outfitted with an active phased array radar (similar to the U.S. Aegis System), a Type 381 Sea Eagle Radar, a 30mm Type-1030 close-in weapon system, and an FL-3000 Flying Leopard air defense missile system.
ワリヤーグの写真からワリヤーグがアクティブフェイズドレーダー(米国イージスシステムに類似したもの)、381式Sea Eagleレーダー、1030式30mmCIWS(筆者注:近接防御火器システムのこと)、FL-3000 Flying Leopard防空ミサイルシステムを備えている事が判る。

With 11 aircraft carriers at its disposal, the U.S. has little to fear from China's carrier program.
(米側は)11隻の空母を投入可能であり、米国が中国の空母プログラムを恐れることはない。

However, Taiwan, the Philippines and Vietnam face a different scenario. China has threatened to invade Taiwan if it continues to resist unification. An aircraft carrier off Taiwan's eastern coast would close off access by the U.S. military coming to the island's aid during a war.
しかしながら、台湾、フィリピン、ベトナムにとっては違ったシナリオに直面する。もし台湾が統一を拒否し続けるならば中国は台湾を侵略すると恫喝している。台湾の東岸側に空母が展開すれば、紛争時に米軍が台湾に援助に来るルートを遮断するであろう。

Vietnam and the Philippines have been facing problems with an aggressive Chinese Navy in the South China Sea, which China claims as a "core interest." On Aug. 3, the People's Daily, China's main Communist Party newspaper, warned the Philippines against building a shelter on the disputed Nansha Island in the Spratly Islands, calling it "a severe strategic error." As part of Vietnam's insurance against continued Chinese threats, the Navy is procuring Russian arms, including six Kilo-class attack submarines, two Gepard-class missile frigates and 20 more Sukhoi Su-30 fighter aircraft armed with anti-ship missiles. Vietnam's Navy has five aging Russian-built Petya-class frigates, two North Korean-built Yugo-class midget submarines, along with several missile corvettes. Any conflict between the navies of China and the Philippines or Vietnam would be an "unequal contest," said Carl Thayer, a Southeast Asia specialist at the Australian Defence Force Academy.
中国側が中核的利益とであると主張する南シナ海に於いて、ベトナムとフィリピンは好戦的な中国海軍との間で問題に直面している。8月3日付けの中国の主要共産党機関紙である人民日報はフィリピンに対して係争中のスプラトリー諸島の南沙諸島にシェルターを構築することに警告を発し、「重大な戦略の過ち」であると述べた。中国の脅威に対してベトナムは6隻のキロ級攻撃潜水艦、2隻のゲパルト級ミサイルフリゲート、対艦ミサイル搭載の20機のSu-30戦闘機を含むロシア製兵器を発注している。ベトナム海軍は5隻の旧式のロシア製ペチャ級フリゲートと2隻の北朝鮮製ユーゴ級潜水艇、そして数隻のミサイルコルベット艦を保有している。中国海軍とフィリピンないしはベトナム海軍の間に生じる紛争は「等しくないコンテスト」となるとオーストラリア国防大学の東南アジア専門家であるCarl Thayer氏は述べた。

"China's South Sea Fleet should be quite capable in fending off any threats that Vietnam could offer. The Philippines Navy in its present state would be destroyed at a distance due to lack of sensors, appropriate strike weapons and air cover," Thayer said.
「中国の南海艦隊はベトナム側の如何なる攻撃も防御する十分な能力を有する。センサー不足、攻撃兵器とエアカバーの不足により、フィリピン海軍の現在の能力では長距離で破壊されるであろう。」とThayer氏は述べた。
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このブログでも以前に三度ワリヤーグに関する記事を執筆したことがあります。

「中国が空母5隻建造へ 初の空母は2015年に行動」と中国網がAFP報道を引用し報じる (2010年11月28日執筆)

中国空母ワリヤーグが海上公試運転か (2011年02月02日執筆)

2011年度「日米安全保障協議委員会」(2プラス2)と中国空母ワリヤーグ最新動向 (2011年06月25日執筆)

 上記に列挙しました3件の当ブログ過去記事に於きましても述べましたが、中国の空母は日本にとってそれ程には大きな脅威とはなりません(インパクトはあるでしょうが)。中国の空母はスキージャンプ方式であり、空母に搭載可能な早期警戒機もなく、ASW能力もどうなのかが判然としません。空自と海自の防空能力と対艦攻撃能力は強力であり、中国の空母機動部隊が戦いを挑んだ場合は中国側が大打撃を受ける可能性が高いのです。

 しかし先述のDefense Newsにも記載がある通り、ベトナムやフィリピンには非常に大きな脅威となります。東南アジア諸国には十分な海軍力/空軍力を有する国は少ないのです。

 空母とは自国から遠く離れた地域で自国の空軍力を投射する目的で保有するものであり、中国側の真意に懸念を抱く国が多いのはそういった理由からなのです。従いまして日本も中国に対抗して空母を保有するべきとの議論は短絡的であると言えます。(日本の領土は空自のエアカバー範囲内)

 中国側は空母を何隻保有する予定なのでしょうか。2010年11月28日の当ブログの記事「中国が空母5隻建造へ 初の空母は2015年に行動」と中国網がAFP報道を引用し報じる では「中国は5つの空母戦闘群を配備し、2015年までに海上軍事活動を開始する予定」と書きました。そしてDefense Newsの2011年07月30日09:10の記事"Chinese General: Country Needs 3 Carriers"にも中国軍幹部の注目するべき発言があります。下記に引用し翻訳します。
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India will have three aircraft carriers by 2014 and Japan will have three carriers by 2014," Gen. Luo Yuan, a senior researcher with the Academy of Military Sciences, was quoted as saying by Beijing News.
「インドは2014年度までに3隻の空母を保有し、日本は2014年度までに3隻の空母を保有する。」と新京報は中国人民解放軍軍事科学院の上級研究員のLuo Yuan将軍の発言を引用し報じた。

So I think the number [for China] should not be less than three so we can defend our rights and our maritime interests effectively."
「従って我々の権利と海洋権益を守るために必要な中国の空母保有数は3隻以下であってはならない」
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ここでLuo Yuan将軍が述べている日本の空母と言うのは「ひゅうが級」と22DDHの事を指していると思われます。日本のDDHはあくまでヘリコプター搭載護衛艦であって、戦闘機の運用能力はないので言い掛りだとしか言いようがありませんが・・・。
(下の写真はWikipediaより「ひゅうが」 著作権はPublic Domain クリックにて拡大)800px1
 いずれにしましても中国側がこの発言を報道したということは、3隻以上の空母保有を目指しているのは間違いがなさそうです。

 しかし東南アジア諸国は兎も角としまして、日米両国にとり真の脅威はサイバー戦となるかもしれません。Defense Newsの2011年08月03日の記事に"Huge Cyber Spying Effort Revealed, China Suspected"(大規模サイバースパイの試みが明らかに、中国に容疑)との記事があり、McAfee社の調査によりますと

72 victims in 14 countries of a sophisticated hacking effort
洗練されたハッキングの試みで14ヶ国で72の被害者

five-year targeted operation by one specific actor"
「特定の1つの犯人による5年間に亘る標的を絞った作戦」

The "compromised parties" included the governments of Canada, India, South Korea, Taiwan, the United States and Vietnam, McAfee said, as well as a U.S. Department of Energy research laboratory and around a dozen U.S. defense contractors.
被害者はカナダ政府、韓国政府、台湾政府、米国政府であるとMcFee社は述べており、米国エネルギー研究所とだいたい12の米国軍需産業も同様であるとしている

となっています。むしろこういった攻撃の方が有事の際に大きな損害が出る可能性があり、空母より大きな脅威であると私は考えます。

サイバー攻撃の過去関連記事:
日本国警察庁に対するサイバー攻撃に思うこと

Lockheed Martin社に対するハッキング事件と米国の反応に思うこと

2011年08月13日(土)追記: 中国空母、13日に離着艦試験か 試験航行中の渤海で(2011年08月12日 19:49 共同通信) 「中国が開発中の国産戦闘機「殲(せん)15」が使われるとみられ、試験が行われれば殲15が完成に向けた最終段階にあるとの見方が強まりそうだ。」

2011年8月 6日 (土)

クリントン国務長官がインドにF-35を破格の値段で提案か

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(上の写真は英語版WikipediaよりF-35A戦闘機 著作権はPublic Domain クリックにて拡大)
 Flightglobalの記事にF35に関する非常に興味深い記事が掲載されました。記事の題名は"Hillary Clinton makes unbelievable F-35 pitch to India"(「ヒラリー クリントンがインドに信じがたいF-35の販促活動を行う」)です。ヒラリークリントン米国務長官が先月19日(2011年07月19日)にインドを訪問しました際に、ニューデリーで行われた米印戦略会談にて、インド側にF35戦闘機を提案し、しかも一機あたりの価格を6500万ドルにて提示したというのです。下記にこの記事の引用と翻訳を行います。
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She expressed her country's willingness to sell state-of-the-art F-35 warplanes to India at "unbelievable" prices.
彼女(クリントン国務長官)は最新鋭のF-35戦闘機を信じがたい価格でインドに売却するとの米国としての意思を表明した。

The Americans are understood to have asked the Indian government to open its purse strings for the Lockheed built fifth generation super stealth F-35 Lightning the basic model of which is being made available to India for $ 65 million apiece.
一機あたりの単価6500万ドルでインドが導入出来るようにしたロッキード社製第五世代ステルス戦闘機F-35ライトニングの基本モデルに財布のひもを緩めるよう米国側がインド側に要請したことが判明している。

The Indian defence establishment  would naturally find the offer too good to be true as much inferior  fourth generation French Rafale is priced at $ 85 million and  Eurofighter Typhoon (also a fourth generation aircraft) at $ 125 million apiece.
より劣った第四世代の仏ラファールが8500万ドルの価格設定であり、ユーロファイタータイフーン(同機も第四世代である)が1億2500万ドルの単価であるので、インド防衛当局はこの提案をうますぎる話として見るであろう。

American fighter aircraft manufacturers - Lockheed (F-16) and  Boeing (F-18) - got eliminated in the recent Indian MMRCA deal worth $  10.4 billion.
米国の戦闘機メーカーであるロッキード社(F-16)及びボーイング社(F-18)は百四億ドル相当の取引となる最近のインドMMRCAで選定から外れた。
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 米印戦略対話でのクリントン米国務長官とクリシュナ印外相の共同会見の全文は米国務省の公式ホームページでも閲覧が可能です。そしてこれがその時の動画です(米国国務省のホームページより)
この共同記者会見に於きましてF35に関する発言は両者のどちらからも特にありません。従いましてこのFlightglobalの記事が事実であるか否かは確認が出来ません。そもそものソースは学識者や元政府関係者で構成されているインドのシンクタンクである South Asia Analysis Group の模様です。そしてSouth Asia Analysis Groupのサイトにて大本の記事を見つける事が出来ました。

HILLARY CLINTON'S HITS AND MISSES IN INDIA by Rajeev Sharma on 20/7/2011

この記事を執筆したRajeev Sharma氏はジャーナリストの模様ですが、氏が誰/何処からこの情報を得たのかは不明です。

 しかし今回の報道で思い起こされるのが2011年7月22日の「F35、1機51億円=製造ライン日本に-米ロッキード幹部」との一部報道です。今回米側がインド側に提示したとされる6500万ドルとの金額は、この時事通信のインタビューにてロッキードマーティン社のスティーブ・オブライアン担当副社長が述べた金額と一致します。また日付も米印戦略対話が7月19日であり、この時事通信のインタビューが7月22日と非常に近いのです。そう考えますと、クリントン国務長官がインド側にこの金額を提示したというのは全くの誤報ではないと思われます。

 そしてもしクリントン国務長官がクリシュナ印外相にこの金額を提示したのが事実であれば、それはほぼ国際公約に近いものです。また時事通信のインタビューで副社長との役職にある人物が発言したとなりますと、これもメーカーとしての確約に近い意味合いがあると言えるでしょう。

 しかしこれらの金額はあくまで機体そのものの単価であると思われます。それ以外の諸経費は含まれていない可能性が高いのです。特に日本の場合は国内の防衛産業の何らかの製造関与(主要部品の国内製造かアセンブリー)を要求しており、だとしますとこの金額に国内防衛産業や国内商社に支払う設備投資諸経費や仲介手数料が当然加算されます。それ以外にもメンテナンスに必要となる治具類やその他施設も準備する必要があるのです。そう考えますと関係者から提示されたこの金額はあくまで参考価格としての考慮に留める必要があると私は考えます。更に言えばF-35戦闘機が現在開発中であることを考えますと、開発予算の負担を要求される可能性も少なくありません。従いまして候補となっている三機種のどの機体を選定しましても、結局は単価が100億円を下らない可能性があると思われます。こういった事を考えますと、ロッキード・マーティン社のスティーブ・オブライアン担当副社長がインタビューで述べ、クリントン国務長官がインド側に提示したとされるこの単価はやはり"too
good to be true"なのかもしれません。そしてF-35の完成型であるBlock3仕様は一部報道で日本側がRFPにて要求しているとされている2016年の1号機納入の納期に合致しない可能性が高いのです。その一方で米国としてこの単価を提示したという事は、予算を概算で算出が可能となります。いよいよ空自FX選定レースは佳境に突入しつつあると言えるでしょう。

 そしてF-35に関しましてはまず開発が順調に進んでいることが前提なのです。しかしこういった新たな不具合情報もあります。
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F-35s Grounded After Power Package Fails (2011年08月03日 Defense News)
「F-35がパワーパケッジ不具合の後に飛行停止」

All 20 U.S. F-35 Lightning IIs have been grounded following a failure of the aircraft's integrated power package (IPP).
米国の20機全てのF-35ライトニングⅡが統合電源パケッジの不具合により飛行停止となった。

(筆者注 IPP:補助電源装置、緊急電源システム、環境コントロールの機能を統合したもの)
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あらまあ・・・。
(下の写真はWikipediaよりF-35 著作権はPublic Domain 画像はクリックにて拡大)800pxfirst_f35_to_arrive_at_eglin_a

2011年08月13日(土)追記:F-35 Test Fleet Cleared For Ground Operations(F-35試験飛行隊の地上での作業が許可)Defense News 2011年08月10日 
The F-35 Lightning II fleet has been cleared to resume ground operations after a preliminary investigation found the cause of an electrical subsystem failure, but a Pentagon official refused to speculate when the next-generation fighters will be back in the air.
予備調査で電気サブシステム不具合の原因が発見された後にF-35ライトニングII飛行隊に地上での作業を再開する許可が出たが、国防総省職員は次世代戦闘機の飛行再開がいつになるかの明言を避けた。

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