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2011年8月12日 (金)

中国空母ワリヤーグが海上公試運転

 
Usnwc_varyag01
(上の写真はWikipediaよりワリヤーグ 著作権はPublic Domain)
2011年08月10日の朝日新聞の報道「中国初の空母ワリャークが大連港出港 試験航行を開始」Defense Newsの記事"Sea Trials Begin for Chinese Aircraft Carrier "(中国空母の公試開始)によりますと、以前から注目の的となっていた中国の空母ワリヤーグの公試が開始となりました。Defense Newsの記事"Sea Trials Begin for Chinese Aircraft Carrier "(中国空母の公試開始)により詳しい記述があるので下記に一部引用と翻訳を行います。
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China's state-run Xinhua News Agency announced Aug. 10 the beginning of sea trials for China's first aircraft carrier, the former Soviet aircraft carrier Varyag.
中国国営通信の新華社が8月10日にそもそも旧ソ連空母ワリヤーグであった中国初の空母の公試開始を報じた。

Photos of the Varyag indicate it has been outfitted with an active phased array radar (similar to the U.S. Aegis System), a Type 381 Sea Eagle Radar, a 30mm Type-1030 close-in weapon system, and an FL-3000 Flying Leopard air defense missile system.
ワリヤーグの写真からワリヤーグがアクティブフェイズドレーダー(米国イージスシステムに類似したもの)、381式Sea Eagleレーダー、1030式30mmCIWS(筆者注:近接防御火器システムのこと)、FL-3000 Flying Leopard防空ミサイルシステムを備えている事が判る。

With 11 aircraft carriers at its disposal, the U.S. has little to fear from China's carrier program.
(米側は)11隻の空母を投入可能であり、米国が中国の空母プログラムを恐れることはない。

However, Taiwan, the Philippines and Vietnam face a different scenario. China has threatened to invade Taiwan if it continues to resist unification. An aircraft carrier off Taiwan's eastern coast would close off access by the U.S. military coming to the island's aid during a war.
しかしながら、台湾、フィリピン、ベトナムにとっては違ったシナリオに直面する。もし台湾が統一を拒否し続けるならば中国は台湾を侵略すると恫喝している。台湾の東岸側に空母が展開すれば、紛争時に米軍が台湾に援助に来るルートを遮断するであろう。

Vietnam and the Philippines have been facing problems with an aggressive Chinese Navy in the South China Sea, which China claims as a "core interest." On Aug. 3, the People's Daily, China's main Communist Party newspaper, warned the Philippines against building a shelter on the disputed Nansha Island in the Spratly Islands, calling it "a severe strategic error." As part of Vietnam's insurance against continued Chinese threats, the Navy is procuring Russian arms, including six Kilo-class attack submarines, two Gepard-class missile frigates and 20 more Sukhoi Su-30 fighter aircraft armed with anti-ship missiles. Vietnam's Navy has five aging Russian-built Petya-class frigates, two North Korean-built Yugo-class midget submarines, along with several missile corvettes. Any conflict between the navies of China and the Philippines or Vietnam would be an "unequal contest," said Carl Thayer, a Southeast Asia specialist at the Australian Defence Force Academy.
中国側が中核的利益とであると主張する南シナ海に於いて、ベトナムとフィリピンは好戦的な中国海軍との間で問題に直面している。8月3日付けの中国の主要共産党機関紙である人民日報はフィリピンに対して係争中のスプラトリー諸島の南沙諸島にシェルターを構築することに警告を発し、「重大な戦略の過ち」であると述べた。中国の脅威に対してベトナムは6隻のキロ級攻撃潜水艦、2隻のゲパルト級ミサイルフリゲート、対艦ミサイル搭載の20機のSu-30戦闘機を含むロシア製兵器を発注している。ベトナム海軍は5隻の旧式のロシア製ペチャ級フリゲートと2隻の北朝鮮製ユーゴ級潜水艇、そして数隻のミサイルコルベット艦を保有している。中国海軍とフィリピンないしはベトナム海軍の間に生じる紛争は「等しくないコンテスト」となるとオーストラリア国防大学の東南アジア専門家であるCarl Thayer氏は述べた。

"China's South Sea Fleet should be quite capable in fending off any threats that Vietnam could offer. The Philippines Navy in its present state would be destroyed at a distance due to lack of sensors, appropriate strike weapons and air cover," Thayer said.
「中国の南海艦隊はベトナム側の如何なる攻撃も防御する十分な能力を有する。センサー不足、攻撃兵器とエアカバーの不足により、フィリピン海軍の現在の能力では長距離で破壊されるであろう。」とThayer氏は述べた。
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このブログでも以前に三度ワリヤーグに関する記事を執筆したことがあります。

「中国が空母5隻建造へ 初の空母は2015年に行動」と中国網がAFP報道を引用し報じる (2010年11月28日執筆)

中国空母ワリヤーグが海上公試運転か (2011年02月02日執筆)

2011年度「日米安全保障協議委員会」(2プラス2)と中国空母ワリヤーグ最新動向 (2011年06月25日執筆)

 上記に列挙しました3件の当ブログ過去記事に於きましても述べましたが、中国の空母は日本にとってそれ程には大きな脅威とはなりません(インパクトはあるでしょうが)。中国の空母はスキージャンプ方式であり、空母に搭載可能な早期警戒機もなく、ASW能力もどうなのかが判然としません。空自と海自の防空能力と対艦攻撃能力は強力であり、中国の空母機動部隊が戦いを挑んだ場合は中国側が大打撃を受ける可能性が高いのです。

 しかし先述のDefense Newsにも記載がある通り、ベトナムやフィリピンには非常に大きな脅威となります。東南アジア諸国には十分な海軍力/空軍力を有する国は少ないのです。

 空母とは自国から遠く離れた地域で自国の空軍力を投射する目的で保有するものであり、中国側の真意に懸念を抱く国が多いのはそういった理由からなのです。従いまして日本も中国に対抗して空母を保有するべきとの議論は短絡的であると言えます。(日本の領土は空自のエアカバー範囲内)

 中国側は空母を何隻保有する予定なのでしょうか。2010年11月28日の当ブログの記事「中国が空母5隻建造へ 初の空母は2015年に行動」と中国網がAFP報道を引用し報じる では「中国は5つの空母戦闘群を配備し、2015年までに海上軍事活動を開始する予定」と書きました。そしてDefense Newsの2011年07月30日09:10の記事"Chinese General: Country Needs 3 Carriers"にも中国軍幹部の注目するべき発言があります。下記に引用し翻訳します。
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India will have three aircraft carriers by 2014 and Japan will have three carriers by 2014," Gen. Luo Yuan, a senior researcher with the Academy of Military Sciences, was quoted as saying by Beijing News.
「インドは2014年度までに3隻の空母を保有し、日本は2014年度までに3隻の空母を保有する。」と新京報は中国人民解放軍軍事科学院の上級研究員のLuo Yuan将軍の発言を引用し報じた。

So I think the number [for China] should not be less than three so we can defend our rights and our maritime interests effectively."
「従って我々の権利と海洋権益を守るために必要な中国の空母保有数は3隻以下であってはならない」
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ここでLuo Yuan将軍が述べている日本の空母と言うのは「ひゅうが級」と22DDHの事を指していると思われます。日本のDDHはあくまでヘリコプター搭載護衛艦であって、戦闘機の運用能力はないので言い掛りだとしか言いようがありませんが・・・。
(下の写真はWikipediaより「ひゅうが」 著作権はPublic Domain クリックにて拡大)800px1
 いずれにしましても中国側がこの発言を報道したということは、3隻以上の空母保有を目指しているのは間違いがなさそうです。

 しかし東南アジア諸国は兎も角としまして、日米両国にとり真の脅威はサイバー戦となるかもしれません。Defense Newsの2011年08月03日の記事に"Huge Cyber Spying Effort Revealed, China Suspected"(大規模サイバースパイの試みが明らかに、中国に容疑)との記事があり、McAfee社の調査によりますと

72 victims in 14 countries of a sophisticated hacking effort
洗練されたハッキングの試みで14ヶ国で72の被害者

five-year targeted operation by one specific actor"
「特定の1つの犯人による5年間に亘る標的を絞った作戦」

The "compromised parties" included the governments of Canada, India, South Korea, Taiwan, the United States and Vietnam, McAfee said, as well as a U.S. Department of Energy research laboratory and around a dozen U.S. defense contractors.
被害者はカナダ政府、韓国政府、台湾政府、米国政府であるとMcFee社は述べており、米国エネルギー研究所とだいたい12の米国軍需産業も同様であるとしている

となっています。むしろこういった攻撃の方が有事の際に大きな損害が出る可能性があり、空母より大きな脅威であると私は考えます。

サイバー攻撃の過去関連記事:
日本国警察庁に対するサイバー攻撃に思うこと

Lockheed Martin社に対するハッキング事件と米国の反応に思うこと

2011年08月13日(土)追記: 中国空母、13日に離着艦試験か 試験航行中の渤海で(2011年08月12日 19:49 共同通信) 「中国が開発中の国産戦闘機「殲(せん)15」が使われるとみられ、試験が行われれば殲15が完成に向けた最終段階にあるとの見方が強まりそうだ。」

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コメント

サイバー戦は情報化の進んだ日米両軍にとっての直接的な最大の脅威ですが、空母は東南アジア諸国への恫喝に用いうるという点で日米同盟にとっての最大の間接的脅威といえます。
そしてそのどちらがより脅威かといえば、当該海域を走るオイルルートへの依存が大きい日本経済にとっては、後者ではないでしょうか。

名無し様
コメント有り難うございます。
確かに鋭いご指摘だと思います。
その一方である程度時系列で区別する必要があります。現段階では運用のノウハウが皆無であり、一隻だけであるのでドック入りを考えても到底実戦に投入出来るものではありません。
しかし今後運用のノウハウを確立し、隻数も三隻以上となった場合は東南アジア諸国にとり大きな脅威となります。
しかしそれは日米豪(+韓国?)が何ら手を打たなかった場合です。インドもキープレイヤーとなるでしょう。如何にこれらの国々と連携を強化するかが鍵となると思います。

アシナガバチ様

なるほど、理解しました。ありがとうございます。
確かにサイバー戦は北の弾道弾と同レベルで「現在の」脅威であり、空母は「将来の」脅威であると言えます。対策を取る時間も、前者2脅威に比べればまだ長く残されているようです。

>インドもキープレイヤーとなる

確かに、ベトナムとの軍事協力が進展していますからね。
将来は印中の空母部隊が南シナ海で睨み合い、東シナ海・黄海では日中韓の航空部隊が牽制しあうというような構図になりそうです。そしてその2海域の後方には米軍の大部隊が控えるという形に。

名無し様
しかしその一方で、記事にも書きましたが、中国は「中国は5つの空母戦闘群を配備し、2015年までに海上軍事活動を開始する予定」との報道や、「インドは2014年度までに3隻の空母を保有し、日本は2014年度までに3隻の空母を保有する。」とのLuo Yuan将軍の発言もありますから、それまでの空母実戦配備を目指していると考えるのが妥当でしょう。尤もそれは彼等が技術的/運用上の課題に直面しなければですが。
アジア諸国で安全保障の枠組みを作る時間も残り少なくなりつつあります。

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