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2011年12月10日 (土)

ロシアとシリアの「同盟」に思うこと

Dmitry_medvedev_21_august_20081(上の写真はWikipedia英語版よりロシアのメドベージェフ大統領(左)とシリアのアサド大統領(右) 2008年08月21日にロシア政府により撮影)

 シリア政府による反政府運動弾圧の死者数が4000人を超過することが国連の調査で判明しました。これに対して国際社会からシリアのアサド政権に対する批判が高まっています。

シリア反体制派デモ弾圧による死者4000人超(2011年12月2日00時47分 読売新聞)

 その一方でシリアを擁護しているのがロシアです。ロシアは軍事的にシリアを支援する動きを見せています。Defense Newsにより二つの興味深い記事が掲載されましたので当ブログで紹介します。

 まず一つ目が2011年11月28日 11:51(モスクワ発) Russia To Send Warships to Syria in 2012: Report ( ロシアが軍艦を2012年にシリアに派遣 )との報道です。下記に一部抜粋と翻訳を行います。
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Russia will send a flotilla of warships led by its only aircraft carrier to its naval base in Syria for a port call next year amid tensions with the West over the Syrian crisis, a report said Nov. 28.
11月28日の報道によると、シリア危機で西側諸国と緊張が生じている真っ只中に、ロシアは唯一の空母により率いられた軍艦の小艦隊をシリア国内の海軍基地に寄航させる。

The ships, headed by the Admiral Kuznetsov aircraft carrier, will dock at the little-utilized Russian base in the Syrian port of Tartus in spring 2012, the Izvestia daily said, quoting the Russian navy.
ロシア海軍発表を引用したイズベスチア紙が報じたところによると、空母アドミラル・クズネツォフにより率いられた艦隊は、2012年の春にシリアのタルトゥース港の殆ど使用されていないロシア海軍基地に寄航する。

A naval spokesman confirmed the plan to send the ships but insisted it had nothing to do with the deadly violence in Syria between forces loyal to President Bashar al-Assad and the opposition.
海軍の報道官は艦隊を派遣する計画を認めたが、シリアに於けるアサド大統領派と反体制派の衝突とは無関係であると主張した。

"This was planned already in 2010 when there were no such events there. There has been active preparation and there is no need to cancel this," added the spokesman.
「これはその様な出来事がなかった2010年度に既に計画されていた。活発な準備が行われていたのであり見送る理由はない」と報道官は付け加えた。

Russia and the West have become deeply split over the situation in Syria, with Moscow insisting that sanctions and pressure against the Assad regime are not the way to solve the crisis.
ロシアと西側はシリア情勢に関して意見の隔たりが大きく、ロシア政府はアサド体制に対する制裁と圧力は危機を解決する道ではないと主張している。

It would also carry around a dozen aircraft.
空母は12機前後の航空機を搭載するであろう。

(抜粋及び翻訳終了)
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(下の画像はGoogle Earthよりタルトゥース港の位置)


大きな地図で見る

(下の写真はWikipediaよりロシア海軍「アドミラル・クズネツォフ」 配布自由 クリックで拡大)__2010_2

 確かに今回の空母派遣は以前より計画されていたものなのかもしれません。また今回の寄航は「燃料、水、食料などを補給した後、艦隊はロシアへの帰途につく」のであり、また「シリアでの水兵の上陸およびセレモニーなどは予定されていない」としています(2011年12月06日 13:53 「ロシアの声」報道)。従いまして軍事的な意味合いは余りありません。しかしその一方で一部から「内戦状態」(12月7日(水)1時10分配信 毎日新聞)とも評されている、ここまで政情不安定となっている国に「見送る理由はない」としてロシア海軍唯一の空母を一時的にせよ派遣することは、やはり世界第二位の軍事大国であるロシアの意思表示なのかもしれません。たとえロシアにその意図がないとしましても、国際社会がどの様に受け止めるかは別問題です。少なくともアサド大統領が政権を維持することがロシア側の前提となっていると考えて良いでしょう。

 因みにタルトゥースのロシア海軍基地は拡張され、ロシア海軍の恒久基地となる計画があります。

RIAノーボスチ通信社 2010年08月02日16:21報道 Russian Navy to base warships at Syrian port after 2012(2012年後にロシア海軍が軍艦をシリアの港に駐留へ)
Russia's naval supply and maintenance site near Syria's Mediterranean port of Tartus will be modernized to accommodate heavy warships after 2012, the Russian Navy chief said on Monday.
シリアの地中海に面したタルトゥースのロシア海軍の補給及びメンテナンス拠点は2012年以降に近代化され大型戦艦を収容可能となるであろうとロシア海軍の長は月曜日に述べた。
According to Navy experts, the facility is being renovated to serve as a foothold for a permanent Russian naval presence in the Mediterranean.
海軍専門家によると、この施設は地中海に於ける恒久的なロシア海軍のプレゼンスの拠点となる為に近代化されている。

 そして次の報道はより軍事的意味合いが強いものです。2011年12月01日 12:38 (モスクワ発) Russia Delivers Missiles to Syria: Report( ロシアがシリアにミサイルを納入)です。 下記に抜粋と翻訳を行います。
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"The Yakhont supersonic anti-ship cruise missiles have been delivered to Syria," a military source told the Interfax news agency without disclosing when the shipment was made.
いつ出荷されたかは言及しなかったが、軍の関係筋がインテルフアックス通信に「ヤホント超音速対艦巡航ミサイルがシリアに納入された。」と述べた。

Reports said Russia intended to deliver 72 of the missiles to Syria in all.
報道によるとロシアは全て合わせて72発のミサイルをシリアに納入することを意図した。

It was not immediately clear how many of the missiles Russia has delivered to Syria so far.
現時点でシリアにロシアが何発のミサイルを納入したかは不明である。

(抜粋及び翻訳終了)
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(下の写真はWikipediaよりYakhont クリックで拡大)Yakhont

Yakhontは飛翔速度がマッハ2.5、最大射程距離が300Km、弾頭が250Kg通常HEです。詳しい解説は下記サイトでも見ることが可能です。

Weapons School-ヤホント

また下の画像はヤホントがシリア沿岸部やレバノン南部から発射された場合の最大射程の範囲を表したものです。この地図はこのサイトで作成しました。

「地図に円を描く」

レバノン南部からであればイスラエルの沿岸部全てを射程範囲内に収めることがわかります。クリックで拡大します。Yakhontsyrialebanon

 武器輸出に対する批判にロシア側はあくまで強気の姿勢を崩していません。

ロシア シリアへの兵器供給を停止せず(2011年12月02日 19:35ロシアの声)

イワノフ第一副首相「それは禁止されているのか?」

 ロシアは2008年度にシリアとの間でMiG-29SMT、 Pantsir-S1防空システム、イスカンダル戦術ミサイル、Yak-130、Amur-1650潜水艦の多数の最新鋭兵器売却契約を締結しています。

2008年09月29日18:19 UPI通信社報道 Russia defends arms sales to Syria(ロシアがシリアへの武器輸出を擁護)

(下の写真は英語版WikipediaよりPantsir-S1防空システム 作者はUMKH77R氏 クリックで拡大)

1024pxpantsirs1weapons 私はロシアのシリアに対する武器輸出の賛否に関して論じる意図はありません。またシリアでの反政府運動の是非に関しても私には難しすぎて分かりません。今回の運動がアサド体制打倒との目的では一致していても、その後にどの様な統治機構を樹立するのかが全く見えない為です。しかし一つだけ言えることはあります。大国の軍事的プレゼンスや大国との軍事同盟は外国からの軍事介入を躊躇わせる大きな抑止力なのです。武力による国民弾圧が国際社会から許容されなくなりつつあり、リビアでは多国籍軍による空爆に繋がり、カダフィ体制が崩壊したのは記憶に新しいところです。しかしシリアに関しましてはロシア等の強い反発があり、ケースがやや異なるかもしれません。ましてやもしタルトゥースにロシア海軍が常駐することとなりますと、シリアに対する軍事制裁はより困難なものとなるでしょう。

 しかしその一方でロシアではプーチン首相の大統領職への復帰はロシア国民から不信感を招き、選挙戦での与党の不振や、一部による反政府運動となっていることは広く知られているところです。ロシアでも今後は何らかの大きな政治的混乱が発生するかもしれません。

ロシア 下院選巡り批判強まる12月8日 6時31分 NHK報道 Photo余談ですが今回の記事は当ブログ100件目の記事となります(本当は現在執筆中の某記事を100件目にしたかったのですが・・・。勘の良い方は何の記事か察しがついているかもしれませんが・・・。)上の画像はそれを記念して。今までのご愛読御礼申し上げますとともに、今後とも宜しくお願い申し上げます。

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コメント

どうもです。

奇々怪々なる中東情勢の一幕というトコロでしょうか・・・

シリア情勢と言えば、自衛隊のPKO部隊が少数とは言えシリアに展開していることを日本のマスコミさんは忘れてるんでしょうか・・・

一説には内戦状態言われていましたが。

エンリステッド氏
そう言えば全く報道されていませんね。日本人は中東方面に対する関心は薄いかもしれません。統合幕僚監部の公式ホームページにも余り現在の状況は掲載されていませんね。
http://www.mod.go.jp/jso/Activity/Pko/pko_undof.htm

シリア序に、同空軍のMiG-23(本家ロシアと同規格の「フロッガーG」!)のイスラエルへの亡命事件を。1989年10月11日、シリア空軍のムハーマード・アデール・バセーム少佐操縦のMiG-23MLが、イスラエルのメギド飛行場に飛来・着陸。このMiGをイスラエル空軍の防空レーダー(更にE-2C AEW機も装備)が探知出来なかった事で同国では大問題に。「イスラエル版ベレンコ事件」と言った所です。

所謂「中東」は、「Middle East」の和訳語ですが、これは「ヨーロッパ(厳密にはイギリス)から見て東」に位置するのでこう呼びます。「日本から見て西」なので、御面倒ですが「南西アジア・北アフリカ」と呼んだ方が、実態に即していますね。シリア/UAE/イラクにイスラエル/トルコ/イラン等が属する地域はアジアですので。又、イスラエルは「アジア大会」に1974年の第7回テヘラン大会まで出場していました。

ストライクイーグル氏
色々と雑学有難うございました。まあ「中東」の方が一般に利用されていますので、どうしてもそうなってしまうのですよね。

 >大国の軍事的プレゼンスや大国との軍事同盟は外国からの軍事介入を躊躇わせる大きな抑止力なのです。

 おっしゃるとおりですね。先だって金正日総書記が亡くなった北朝鮮も、「悪の枢軸」と言われながらもアメリカの軍事的制裁を受けずにいるのは、中国ならびにロシアの後ろ盾があるからだと思います。
 日本の場合は一応アメリカということになるのでしょうが、普天間問題などで失策を重ねている現状ではいささか心配な気が…。

 下のプーチン首相の写真、凄味がありますね(^-^;。
 東日本大震災の時、日本への天然ガスの支援をいちはやく表明するなどしているので、個人的にはプーチン首相に対して悪いイメージは持っていませんが…。

Mr.トリデ氏
北朝鮮の場合はイラク情勢が泥沼化したことにも救われたのですが、やはり米国が北朝鮮を攻撃した場合は中国が黙っていないものと思われます。
日本の場合は在日米軍基地があることがアジア全体の抑止力となっていますね。鳩山政権当時の普天間問題の迷走はアジア諸国からも強い懸念が表明されました。そしてその一方で中国海軍は更に活動を活発化させました。
東日本大震災の際の米軍によるトモダチ作戦はNHKの報道によりますと、日米の連携に中国側が強い警戒感を示したとのことです。

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