イランによる米軍最新鋭ステルス無人偵察機確保から分かるUAVとステルス機の限界
(上の画像はWikipediaよりRQ-170の模型 Truthdowser氏作品 クリックで拡大)
既に様々なメディアにより報道されているのでご存じのことと思いますが、イランが何らかの手段により米国最新鋭ステルス無人偵察機RQ-170をほぼ無傷の状態で確保しました。そのニュースが報じられたのはほぼ一週間前程度でした。イラン国営通信とイラン革命防衛隊に近いとされるファルス通信が第一報を報じました。そのニュースを世界各国のメディアも採り上げています。そのうちの一つが2011年12月04日(土)18:47分 アルジャジーラ報道 Iran military 'downs US drone' ( イラン軍が「米無人機を撃墜」 ) です。以下に内容の一部抜粋と翻訳を行います。
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"Iran's military has downed an intruding RQ-170 American drone in eastern Iran," Iran's Arabic-language Al Alam state television network quoted an unnamed source as saying on Sunday.
イランのアラビア語のアル アラム国営テレビネットワークが日曜日の匿名筋による「イラン軍が侵入したRQ-170米国無人機をイラン東部で撃墜した」との発言を引用した。
The state news agency IRNA and the the semiofficial Fars news agency reported that the plane is now in the possession of Iran's armed forces. The Fars news agency is close to the powerful Revolutionary Guard.
国営のIRNAニュース局と半官のファルスニュース局は機体が現在イラン軍の手中にあると報じた。ファルスニュース局は強力な革命防衛隊に近い。
Fars reported that the drone had been brought down through a combined effort by Iran's armed forces, air defence forces and its electronic warfare unit after the plane briefly violated the country's airspace at its eastern border.
ファルスの報道によると無人機は機体が短時間イランの東側領空を侵犯した後にイランの軍、防空軍そして電子戦部隊の統合した努力により撃墜された。
The drone "was downed with slight damage. It is now under the control of our forces," Fars reported, quoting an unnamed military source.
無人機は「ほぼ無傷の状態で撃墜された。それは現在我が軍の管理下にある。」とファルスが匿名の軍事筋を引用し報じた。
(抜粋及び翻訳終了)
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これに関して世界各国の情報は暫く錯綜しました。中にはイラン側のこの主張に懐疑的ないしは楽観的な分析も報じられています。その一つが2011年12月06日16:57のDefense Newsの記事"Analysts: Lost USAF UAV Likely Malfunctioned"(分析:行方不明の米空軍無人機は故障発生の可能性が高い)です。この記事も一部抜粋と翻訳を行います。
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Iran's claims to have brought down one of the U.S. Air Force's stealthy unmanned RQ-170 Sentinel reconnaissance aircraft are highly dubious, analysts and Pentagon officials said.
イラン側による米空軍のRQ-170 Sentinelステルス無人偵察機を撃墜したとの主張は非常に疑わしいと専門家とペンタゴン筋は述べた。
Later, government officials claimed that it had used an electronic or cyber attack to bring down the bat-winged drone and that the aircraft was recovered largely intact.
後に(イラン)政府筋は蝙蝠型の翼を有する無人機を迎撃するのに電子戦ないしはサイバー攻撃を使用し、機体はほぼ無傷で回収されたと主張した。
Pentagon spokesman U.S. Navy Capt. John Kirby added that there is no evidence to that suggests any kind of hostile activity was involved in bringing down the aircraft.
国防総省の報道官である米海軍のJohn Kirby大佐は機体撃墜に如何なる敵対的行動があったことを示す証拠がないことを付け加えた。
Loren Thompson, an analyst at the Lexington Institute, Arlington, Va., said that the Iranians have no way to detect or engage the stealthy Sentinel. "It would be almost impossible for Iran to shoot down an RQ-170 because it is stealthy; therefore, the Iranian air defenses can't see it," Thompson said. "Partly for the same reason, it is exceedingly unlikely that they used a cyber attack to bring down the aircraft."
バージニア州アーリントンにあるレキシントン研究所の分析官であるLoren Thompson氏はイランにはステルス性のSentinelを探知する手段も攻撃する手段もないと述べた。「ステルス機であるのでイランにとってRQ-170を撃墜することはほぼ不可能であろう。従ってイランの防空には見えない」とThompson氏は発言した。「同じ様な理由で彼等が撃墜するのにサイバー攻撃を用いたということはまずあり得ない。」
Thompson said the most likely scenario with the crash is a malfunction with the aircraft. If the plane crashed due to a hardware or software glitch, Iran is likely sitting on practically useless wreckage with little intelligence value, he said.
Thompson氏は機体の故障による墜落が最も考えられるシナリオであると述べた。もし機体がハードウェアないしはソフトウェアの故障により墜落したとすれば、イランは実質的に殆どインテリジェンス上の価値がない残骸に座っていると氏は述べた。
"The RQ-170 has a RTB [Return to Base] feature," Thompson said. "In the event of a loss of the command link, the aircraft will automatically return to its point of origin and land itself."
「RQ-170はRTB(基地帰還)性質がある」とThompson氏は言った。「指令リンクが失われた場合、機体は自動的に出撃地に戻り自身で着陸する。」
(抜粋及び翻訳終了)
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ところがこれらの楽観論は見事に打ち砕かれました。2011年12月08日にイランは撃墜したとするほぼ無傷のRQ-170の画像を公開したのです。
2011年12月09日(金) 9時49分ロイター通信 「イランが「米ステルス偵察機」の映像公開、機体に損傷見られず」
そしてこのYoutube動画はイランが公開したものです。
こうなってきますと当然のことですが技術流出の虞があります。そのことに関しまして2011年12月09日 10:09のDefense Newsの記事"Iran's Captured RQ-170?: How Bad Is the Damage"( イランがRQ-170を捕獲:損害はどの程度か )との記事が出ました。以下に抜粋と翻訳を行います。
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"There is the potential for reverse engineering, clearly," said Air Force Chief Gen. Norton Schwartz. "Ideally, one would want to maintain the American advantage. That certainly is in our minds."
「リバースエンジニアリングの危険性が明らかにある」とノートン・シュワルツ空軍大将は述べた。「米国の優位性を維持したいと理想的に考えるだろう。それは想定している」
One source said the aircraft in the footage was definitely the Sentinel, a subsonic, high-altitude reconnaissance aircraft built by Lockheed Martin.
情報源の一つは機体は間違いなくLockheed Martin社製の亜音速、高高度偵察機のSentinelであると述べた。
Dan Goure, an analyst at the Lexington Institute in Arlington, Va., compared it to the Soviet shoot-down of Francis Gary Powers' U-2 spy plane, a tactical and strategic disaster for the U.S.
バージニア州アーリントンにあるレキシントン研究所の分析官であるDan Goure氏は今回の出来事を米国にとり戦術上及び戦略的な大損害であったソ連によるフランシス・ゲーリー・パワーズのU-2スパイ機撃墜と比較した。
The capture of the Sentinel calls into question the viability of the very concept of stealthy unmanned aircraft penetrating enemy airspace, Goure said.
Sentinelの捕獲は敵国空域にステルス無人機を侵入させる根本的概念の実行可能性に疑問を投げかけるものであるとGoure氏は述べた。
"It kind of undermines the whole argument for replacing manned aircraft with unmanned systems," he said. "Unless you want to use it as a one-way missile."
「有人機を無人機で置き換えるとのそもそもの議論を覆すものである。」と彼は述べた。「使い捨てのミサイルとして使うのでなければ」
The captured aircraft will help adversaries copy U.S. stealth design techniques, coating materials, engine technology, and UAV command-and-control systems, he said. It will also help them develop countermeasures against stealthy U.S. aircraft.
捕獲された機体は敵国が米国のステルス設計、コーティング材質、エンジン技術、UAV指令及びコントロールシステムを模倣する助けとなるであろうと彼は述べた。それは米のステルス機に対する対抗手段を開発することにも助けとなる。
Teal Group analyst Richard Aboulafia was more measured in his response.
Tealグループ分析官のRichard Aboulafiaのコメントはより緻密であった。
The Iranians will undoubtedly share the technology or even the crashed aircraft with other nations, he said - and Iranian news site Nasim reported Dec. 8 that Russian and Chinese experts were already on their way to visit. But the manufacturing know-how to build such aircraft can't be duplicated from a captured machine, he said.
イランは疑いなく外国に技術ないしは機体そのものすらを共有するであろうと彼は述べた。-イランのニュースサイトであるNasimは12月8日にロシアと中国の専門家が既に向かったと報じた。しかしその様な機体を製造するノウハウは捕獲された機械からは複製出来ないと彼は述べた。
"From a secrecy standpoint, it's like dropping a Ferrari into an ox-cart technology culture," Aboulafia said. "But I'm sure they can sell it to someone who can get some kind of information out of it. But the mission systems are likely to be too encrypted to be of use to anyone."
「機密上の観点からすると、フェラーリを牛車技術文化に落とす様なものである」とAboulafia氏は述べた。「しかし私は彼等がそこから何らかの情報を得る事が出来る誰かに売ることが出来ると確信している。しかしミッションシステムは誰にも利用できない程に高度に暗号化されているであろう」
Still unknown is how Iran captured the stealthy aircraft in the first place. Tehran claims to have used cyberwarfare to hack the drone's systems.
まだ不明な点はそもそもどの様にしてイランがステルス機を捕獲したかである。イラン政府は無人機のシステムにハッキングするのにサイバー戦を使ったと主張する。
Aboulafia pronounced himself flummoxed that the RQ-170 was not programmed to self-destruct. "I would really hope they'd have a kill switch. Is the world really that poorly run?" he said.
Aboulafia氏はRQ-170が自爆プログラムを有していないことに絶望したとしている。「キルスイッチを持っていると望む。そんなに適当なものなのか?」と彼は言った。
(抜粋及び引用終了)
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もしイラン側の主張が事実だとしますと、このDefense Newsの記事にもありますがイランがどの様に高度のステルス性を有するRQ-170無人偵察機を補足したのか、そしてそれを如何なる方法でほぼ無傷で確保したのかです。
技術流出に関しましてはこの機体にどの程度の技術が使われていたかにもよります。それを両当事者が開示することは今後も無いと思われますので、その点は評価不能です。ただ米側はRQ-170に用いられた技術が全て流出したとの前提で対策を講じるでしょう。
このDefense Newsの記事でAboulafia氏の"Is the world really that poorly run?"とのコメントが紹介されていますが、これが実は今回の米国の失態の本質を突いていると私は思います。それは前述しましたもう一つのDefense Newsの記事"Analysts: Lost USAF UAV Likely Malfunctioned"(分析:行方不明の米空軍無人機は故障発生の可能性が高い)で私が赤文字で強調した部分にも共通します。「イランにはステルス性のSentinelを探知する手段も攻撃する手段もない」、「ステルス機であるので(中略)、従ってイランの防空には見えない」とあります。実はそうではないのです。このブログでもステルス機の優位性に関して賛否両論から読者の間で議論はありました。ステルス機はレーダーに映らないのではないのです。映り難い/映り難いように欺瞞をしているだけなのです。twitterでも議論されていましたが、例えればステルス機とは透明人間ではなく、迷彩服を着用して隠れている歩兵なのです。従いましてデータを蓄積された場合や戦術を誤れば見えます。そのことを以前にも指摘した識者は複数います。
シベリアンジョーク集積所2010年03月06日記事「ステルスの話を少し」
もう一つの点ですがもし本当にECMやサイバー攻撃で無人機を乗っ取ったとしますと(それが技術的に可能であるかどうかは私には判断が難しいのですが、それは兎も角として本当の理由は不明ですが、ほぼ無傷のままでイラン側に機体が渡った/着陸したことは間違いありません)、前述のDefense Newsの記事でも少し言及がありますが今後の無人機の運用に根本的な課題を残したこととなります。第五世代戦闘機の次は無人戦闘機になるとの説も散見されますが、電子戦やサイバー攻撃で無人機の乗っ取りが可能となりますと、今後は無人機に頼ることは危険となります。
(下の画像は防衛省資料「将来の戦闘機に関する研究開発ビジョン」(PDF)より クリックで拡大)
そもそもこれが有人偵察機であれば、搭乗員は機密保持の為に破壊しなくてはならない電子機器を熟知していますから、不時着の前後にそれらの機器をハード上、ソフト上で破壊します。例えば2001年度に発生しました「海南島事件」では米海軍のEP3Eの搭乗員が中国側に拘束される前に15分間に亘り機器やデータを破壊しています。無人機の操縦者が遠隔操作でそれを行い得る場合であれば別かもしれませんが、無人機そのものはそういったことは現代の技術では自分で判断しません。
今回の事件はステルス性、無人機という二つの現代戦のトレンドに冷や水を浴びせるものと言えます。まさしくステルス機や無人機の限界が露呈した事件と言えるでしょう。
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コメント
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古くはアリューシャンの零戦から、冷戦期のベレンコ中尉亡命事件まで、最新兵器を無傷で鹵獲された事例は数多くあります。また有人航空機には、手動で機材の破壊を行えるという利点はありますが、同時に人間兵士という最も高度なデータベースを敵に明け渡す(自殺を強要できない限りは)危険を伴うという欠点ももちます(この問題が表面化しなかったのは、単に海南島事件当時、人民解放軍が拷問に訴えるほど米中関係が緊張していなかったからに過ぎません)。機密保持目的の破壊そのものについていえば、無人機は空中での爆破・撃墜も可能ですが、有人機では困難でしょう。そういった点を考えますと、この事件は確かにショッキングではありますが、有人機の無人機に対する機密保持上の優位を示すものではないように思えます。
投稿: 名無し | 2011年12月11日 (日) 14時48分
にしては、無傷過ぎるのも気になるのですがね・・・。F-117Aが撃墜された時と比べれば。まぁ、ステルスも万全ではないというのは、コソボ紛争で証明されていますが。
投稿: キンタ | 2011年12月11日 (日) 15時11分
名無し氏
こんばんは。確かに仰せのとおりです。そもそも無人機は人的損失を最小限に抑える目的で開発したものですしね。
パイロットを拘束した場合は確かにその機体の詳細なスペックを聞き出すことは可能でしょう。また何をしていたかも尋問出来ます。ただそれが米軍のパイロットや乗員であった場合は、拷問をする覚悟がその国にあるかです。湾岸戦争当時のイラクでもそれはやっていません。またパイロットが捕らえられるとすれば、それは機体そのものは撃墜/墜落している可能性も高いです。
しかしその一方でパイロットはその機体の製造技術やソフトウェアまでは分からない筈です。そこまで知っているのはメーカーや国防総省の一部でしょう。
キンタ氏
少し気になるのはなぜ台の様なものの上に載せているのかなのですが、本当にほぼ無傷ですね。一体どのような状況だったのか詳細が知りたいところです。
ステルスが完全ではないというのは米が一番知っていると思うのですが、もしイランが何らかの方法でRQ-170を探知して捕獲したというのが事実であれば、米側に油断があったのかもしれませんね。
投稿: アシナガバチ | 2011年12月12日 (月) 00時14分
イランの発表したRQ-170を見て、はりぼてか、発泡スチロール製に見えてしまうのは、私だけでしょうか?
波打った表面が、子供の頃作ったはりぼて人形に似ていたものですから。
この波打った表面も、何がしかのノウハウかな?
投稿: ユロ | 2011年12月12日 (月) 08時26分
>少し気になるのはなぜ台の様なものの上に載せているのかなのですが、本当にほぼ無傷ですね。一体どのような状況だったのか詳細が知りたいところです。
私も本記事を読む以前からこの件について調べていましたが、撃墜の状況を示すような資料は見つかりませんでした。
出先なので本記事で掲載されている動画が見れず、本動画から継ぎ目の有無が確認できるかはわかりませんが、別記事の写真には、主翼と胴体の接合部に継ぎ目が見られたことから、墜落で折れた両翼をつなぎ直していたように見受けられました。
その他のRQ-170の紹介写真etでは継ぎ目が見られないので、ノーダメージというわけではなさそうです。
アシナガバチさんのおっしゃる通り、全くレーダーに映りえないという技術ではない以上、数十、数百と出撃を繰り返せば、目視やレーダーによる発見、被撃墜という事態が起こるのは当然でしょう。
今回でなくてもいずれ起りうる出来事なのだと思われます。
F-15の非撃墜記録の方が信じ難くはありますが、ステルス>飛行性能という構図は一概には成り立たないということなのでしょうね。
唯一撃墜されたF-15が航空自衛隊機というのは些か皮肉ではありますがw
投稿: sub. | 2011年12月12日 (月) 10時53分
ユロ氏
私にもハリボテに見えましたが、関係者がマスコミに匿名を条件に本物であることは間違いがないと述べている模様です。
この機体が本物であるかどうかはまずエンジン吸気口に網のような物がある(レーダーブロッカー?)ことと、前部にあるスリットのようなもの(センサー?)の位置で関係者は判断したのではないかと思います。これらの特徴は恐らく今まで関係者にしか知られていなかったのではないでしょうか。
またロシアと中国の専門家が既にイランに向かったとの情報から、イランが機体を入手した事は間違いありません。
形状は明らかにノウハウでしょうね。
sub.氏
確かにつなぎ目の様なものが両翼に見えます。動画が不鮮明なので断定は出来ませんが、確かに墜落時の損傷にも見えますし、またほぼ両翼均等に真直ぐになっているようにも見えますからもともとのようにも見えます。
見られないという油断が米側に今回あったのかもしれませんね。
投稿: アシナガバチ | 2011年12月12日 (月) 12時55分
ちなみに、配備されているRQ-170にはそのようなつなぎ目は見られません。
http://www.veteranstoday.com/wp-content/uploads/2011/12/uav_sentinel_en_xb47.jpg
ウソかホントか、プレデターが戦闘機に被発見にあって、格闘の末マニューバキルカウントがついたつかなかったという噂話もささやかれていますがw
ステルス機の被発見のみなら、結構頻繁に起こっているようです。
投稿: sub. | 2011年12月12日 (月) 19時25分
アシナガバチさん、みなさんこんにちは^^
今回の件は大変興味深くおもいます。
皆さんが指摘されています翼の結合部分の継ぎ目ですが
①左右の同位置同形状で見られること
②結合部にそって盛り上がりが見られること
の二点から翼と胴体部分がばらばらの状態で運搬して現地で結合組み立てを行った可能性が高いと考えます。
画面で見た大きさならば翼を取り外すことによりトラックで簡単に運搬できるように見受けられます。
特殊作戦の可用性を向上させる事を念頭に改良(?)された可能性があります。
sub. さんが引用された写真ですが特に下の機体で光沢があり表面がなめらかに見えます。
なめらかな表面では、電波を乱反射あるいは吸収するにはあまり向いているとはいえませんから公開用の機体またはステルス加工をする下地に思えました。
これは、個人的感想ですが(^^;
また、無人偵察機であるならば
①操縦操作信号の受信
②操縦に必要な画像データーや偵察データーの送信
※最低でも衛星回線にアクセスできる出力が必要
を行わなければらなず、電子的なステルス性は損なわれることとなります。
要するにレーダーで受信できなくても探知できる可能性が高いということです。
また、どちらも電波で行いますから近くで強い電磁波を発生させればコントロール不能となり不時着する可能性が高くなりますね。
私は、そのような手段で確保されたのかなと考えます。
投稿: RoKo | 2011年12月13日 (火) 17時12分
sub.氏
確かにsub.氏ご提示の写真にはその様なものは映っていませんね。
RoKo氏
>特殊作戦の可用性を向上させる事を念頭に改良
ここまで大幅に改造するとなるとロット数にもよると思いますが、費用、納期、実証試験の観点からどうなのかとの疑問もあります。
その一方でsub.氏にご提示頂いた写真とこの動画のものは若干違う特徴が見受けられます。まずエンジン吸気口に網のような物があること(レーダーブロッカー?)、前部にあるスリットのようなもの(センサー?)ことです。sub.氏の写真ではそれが見受けられません。またこのRQ-170は所属が軍ではなくCIAであったとの報道(未確認情報)や放射性物質探知装置(イランの核施設発見の為)があったとの情報(専門家の推測)もあります。
>墜落/着陸の原因
本文にもありますが、リンクが途切れた場合は基地に帰還する機能や、リンクが復帰するまで周囲を飛行し続けるとの情報もあります。しかしリンク復帰を待っている間に燃料が切れる可能性があります。もし強力な電波妨害で指令を妨害した場合は、やがて燃料切れとなり今回の様な事態が発生するかもしれません。
投稿: アシナガバチ | 2011年12月14日 (水) 12時55分
アシナガバチさん、こんにちは
>特殊作戦の可用性を向上させる事を念頭に改良
RQ-170の使用用途を考えますと前線で使われることが多いですね
また、動画を見る限り
「降着装置 」
が見当たらりません。
このことから基本設計より胴体・主翼のユニットで運用する物であったと考えられるため
「改良(?)」
としました。
滑走路が確保できない前線での使用を前提とするならば完成品で運搬しなければならないのならば運用が大きく制限されます。
ユニット単位での運用であるのならば、偵察目的により装備を変えることが容易になります。
汎用性を持たせて使い回す手段もありますが、機体再利用を前提としないのであれば目的に特化したユニットを使用した方が合理的です。
>墜落/着陸の原因
今回のような特殊作戦の場合
「リンクが途切れた場合は基地に帰還する機能」
は大変使いづらい機能に思えます。
まず、基地が固定施設の場合機動が予測され大変捕獲されやすくなります。
続いて基地が、回収ポイントであった場合回収スタッフの位置をさらすこととなり大変危険になります。
よって、もしそのような事態にった場合は回収が困難な場所に移動することが合理的に思います。
※記事にのありますが本来そのような事態では自爆するのが最良に思いますけど
「リンクが復帰するまで周囲を飛行し続ける」
は捕獲リスクを高めるだけですね。
もし私が、仕様を決めるならば
1.基本コースはあらかじめ定めておく。
2.リンクが切れた場合しばらくは基本コースを飛行する。
3.リンクが一定時間以上復帰しない場合位置により機体回収不能なコースととる。
といった設定にします。
しかし、基本コースを入力するには巡航ミサイル並のデータを入力してあげなければなりませんので野戦でも使用ではそこまでできなかったのかと考えます。
※もとからそこまでできず単純なリモコンなのかもしれませんが(^^;
投稿: RoKo | 2011年12月15日 (木) 12時52分
事の真偽はわかりませんが・・・
損害を余り気にしなくて良いのが無人機のはずなのに、「各種機密が漏れたのでは?」と大騒ぎしなくてはならない当該の機体って、どうよ?ってとは思います・・・
この種の機体は汎用品の固まりで、低コストで大した技術を使ってないものの方が適切なような気がします。 コーユーのって日本の方が得意のような・・・
投稿: エンリステッド | 2011年12月17日 (土) 11時54分
RoKo氏
降着装置は台の様なものに機体が設置されていて下部が見えないのでコメント困難です。しかし恐らくパキスタン国内の空軍基地から運用されていたのではと推測します。比較的短いUAVであればユニットで運用されるかもしれませんが、この機体はどうやら滑走路からの離着陸を前提としているのではないでしょうか。
任務の汎用性に関しましては例えばグローバルホークはオープンシステム構築であり、機体の管理コンピューターを再設計せずに新たなセンサーを機体に統合可能です。
http://paper-wasp.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-fb24.html
>回収スタッフの身を危険に晒す
今回は原因が何であるにせよ、米側の慢心/油断があったと私は考えます。
エンリステッド氏
私もそう思います。無人機は使い捨て程度の認識が丁度いいのではないかと考えます。その一方で高度な偵察遂行能力も要求されているのが現代のトレンドであるわけでして。グローバルホークなどは到底使い捨てに出来る分類とは言えないでしょうね。
投稿: アシナガバチ | 2011年12月18日 (日) 18時24分
今晩は。数多久遠様のブログを介して知り、以前から訪問してましたが、コメントは初めてのストライクイーグルです。宜しく御願いします。所で、行き成り「マニアック」なコメントで済みませんが、イランが実は「UAV大国」で、しかもアメリカよりもイスラエルよりも先に攻撃型UAVを実用化したのを御存知でしょうか。其の攻撃型UAVとは「モハージェール Mohajer 渡り鳥」です。大きさは2名で搬送可能、RPG-7を改造したランチャーを翼下に計6基搭載、1980年代のイラクとの戦争で用いられました。其の後改良され、「モハージェール4」まで配備されています。又、「アバービール Ababil 燕」シリーズとして偵察型の「アバービールS」と攻撃型の「アバービールT」が配備され、前者はレバノンのヒズボラにも供与され2006年にイスラエル領空を侵犯して同空軍のF-16に撃墜されています。そしてより大型の攻撃型UAVとして「カラール Karrar 打者」の配備が始まった所です。長々としたコメントで誠に済みませんでした。
投稿: ストライクイーグル | 2011年12月18日 (日) 21時20分
アシナガバチさん、こんばんは^^
降着装置の件は
「台の様なものに機体が設置されていて下部が見えない」
事からの分析ですので、イラン側が何らかの意図を持って見せなかった可能性も否定できません。
しかし、動画では細かい部分まで見せるような構成でできていたので
「降着装置」
があるならば見せない事の方が不自然との観点での分析です。
モジュール化ですが、センサーと管理コンピュータとの接続との観点からではなく
センサーと機体バランスの観点からです。
基本的にセンサーは記録情報を電子データー化し(おそらく機体内部の有線経由で)送信する物と考えられます。
この段階での送信手続きはあらかじめ決まっており、インターフェースも共通の物が利用可能と考えられます。
極論を言えば、民生品のUSBでも良いわけですから
それを管理コンピュータ側である程度蓄積の後に転送プロセスに従って基地に送信することになると考えられます。
問題は、センサーをいつどのようにして取り付けるかです。
ここで三つの可能性があります。
1.任務によりセンサーを機体に取り付ける。
2.機体とセンサーの一体設計を行いモジュールの組み合わせにより任務を遂行する。
3.余計なセンサーも含めてあらかじめセンサーを機体と一体に取り付けておく。
この中で、1、3は外見上大きなバリエーションは発生し得ないと考えられます。
具体的にいえばsubさんがあげられた画像との相違点が素人な私で気づくほどに発生しえないと考えました。
機首左部分のスリットや右翼だけにみられるセンサー用の開口部などをみてそう感じました。
機首左部分のスリットがセンサー関係ならば、任務によって機体をいじらなくてはならない事になると思います。
また、きわめて主観的な分析なのですが空気取り入れ口の格子状の部分はsubさんがあげられた画像では黒くなっているように見えます。
これは、通常ステルス性の向上からもう少し目が細かい形状の部品を使っているのだけど、砂漠での作戦で目詰まりを想定してあのように粗い物を使用しているのではと邪推します。
投稿: RoKo | 2011年12月19日 (月) 23時22分
ストライクイーグル氏
こんばんは、此方こそ今後とも宜しくお願いします。また返信が遅れましたことを深くお詫び申し上げます。
イランのUAVに関して興味深い情報提供有り難うございます。しかし問題は彼等のUAVにどの程度の実用性があったかなのです。その実績が思わしくなければ、余り意味がありません。
RoKo氏
センサーに関する詳しい解説有り難うございました。
しかし私が最も疑問なのは、以前にも述べましたが、全く新しいバリエーションを開発するだけの予算と時間的余裕があるのかなのです。こういった機体の開発はそれ相応の予算が必要であったと思われます。ましてや「翼を取り外すことによりトラックで簡単に運搬」可能な機体となりますと、通常型とは全く異なった、根本的に新しいバリエーションと言えます。そうなりますと安全性も含めて飛行試験等の検証が必要となります。
尤も極秘裏にステルス型ブラックホークを開発してしまう国ですから、RoKo氏がご指摘になられる様に全く新しいバリエーションを開発している可能性は否定出来ませんが。
投稿: アシナガバチ | 2011年12月24日 (土) 00時13分
アシナガバチさん
認識がずれているようですのでまとめます
私の見解としては
「全く新しいバリエーションを開発」
ではなく
「基本設計としてモジュール構造で設計されている」
です。
無人機として運用されているわけですから、
アクロバットな飛行する必要性はあまりなく機体強度も有人機と比較してそれほどシビアに考えなくて良いと思います。
また、固定翼機でも艦載機であれば主翼が折りたためるような特殊な構造を採用している例は昔からありますね。
使用目的にあわせて柔軟な運用を行うのであるならば
基本設計段階から柔軟に運用できるような構造をとっていると考える次第です。
むろん、マルチな設計は特定用途に対する性能では専用設計に及びませんし製造単価が上がることとなります。
しかし、諜報も含めた偵察機とした場合柔軟な運用ができる事により結果としてコストパフォーマンスが良くなると考えます。
投稿: RoKo | 2011年12月25日 (日) 22時26分
RoKo氏
確かに初めからモジュール化が可能な様に設計されたのであれば運用の幅がひろがりますね。
投稿: アシナガバチ | 2011年12月28日 (水) 21時04分
初めてコメントさせてもらいます。
撃墜されたRQ-170はより厳重な場所で保管されていて、今回映像に出たのは撃墜をアピールするために作られた実物大模型という可能性はないのでしょうか。イランはアメリカから好条件を引き出す交渉材料だと考えているだろうし、もっと大事に扱う気がします。しかし、電子戦で撃墜したという部分に関しては「本当かな?」と疑ってしまいます。件の偵察機が毎回同じルートを飛行する・あるいはルートを予測されていたなら、そういう可能性もありますが実際はどうなんでしょうね。
投稿: Amber | 2011年12月29日 (木) 09時52分
Amber氏
はじめまして。今後とも宜しくお願い申し上げます。
少なくとも米国側の関係者は今回の映像の機体は本物であると判断している模様です。
サイバー戦で撃墜したとのイラン側の主張は私もやや疑問視しています。人工衛星からの通信は高度に暗号化されており、それを解読するのは困難な筈です。
投稿: アシナガバチ | 2011年12月29日 (木) 12時29分