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2012年2月27日 (月)

日本のF-35導入中止はあり得るか

 価格高騰や納期遅延の懸念から、日本政府がF-35の調達中止を考えている旨が複数のメディアにより報じられました。

F35、高騰続けば導入中止 政府、米に価格維持求める (2012年2月22日(水)7時55分配 産経新聞)

官房長官 F35価格の厳守要請 (2月22日(水)15時8分 NHK)

F35 米に価格厳守など求める書簡 (2012年2月23日(木) 5時48分 NHK)

F35「価格高騰なら取得取りやめも」…防衛省 (2012年2月23日(木)19時28分 読売新聞)

 複数のメディアが同様の内容で報じていること、そして特に読売新聞の報道では「防衛省の徳地秀士経理装備局長が今月13日付で、ケンダル米国防次官代行に送付した」と具体的に記述があることから間違いがありません。それに対して政府の公式記者会見ではやや抑制された表現となっています。

防衛大臣記者会見 平成24年2月24日(09時46分~09時50分)

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Q:F-35なのですけれども、米国側に価格の高騰が続けば導入を見直しますと、導入中止もあり得るという事実関係をまず確認させていただいた上で、その後のオプションというのは一体いつ頃に明確に見えてくるのか教えてください。

A:今の段階では、いろいろ報道がありますが、「提案内容について厳守をしていただきたい」ということで防衛省としてはアメリカの方に申し上げておるところでありまして、当然、価格・納期については提案内容を厳守してもらうというのが立場であります。強く連絡をして要請をしておるところでございます。
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 また前述のNHKの報道にありました官房長官記者会見は首相官邸ホームページでも動画で見ることが出来ますが、官房長官も記者の質問に対して非常に抽象的な発言内容に留めています(官房長官の方から言及したのではなく、記者の質問に対して答えたのが経緯です)。

官房長官記者発表 平成24年2月22日(水)午前

 それでは実際に導入中止があり得るのでしょうか。あくまでも私の個人的な見解ですが、例え今ここでF-35の導入を中止したとしましてもF-4の後継選定が急務である事情は変わりません。選定レースを今更ながら再実施する余裕はないと思われます。候補となる機種も恐らく変わらないでしょう。最も重視される選定基準が性能であることを考えますと、結論も変わりません。個人的には「導入中止」は日本政府/防衛省のブラフではないかと考えます。今後も交渉は続くのではないでしょうか。

 色々と思わしくない報道が散見されるF-35ですが、良い情報も多々あります。Lockheed Martin社は強気の姿勢を崩していません。その一つが2012年02月23日(木)18:18:04 EST Air Force Timesの記事"Lockheed readies aggressive F-35 test schedule"(「Lockheed社が攻撃的なF-35の試験スケジュールを準備する」)です。下記にその内容の一部抜粋と翻訳を行います。
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Lockheed Martin is preparing to ramp up flight testing of the F-35 Joint Strike Fighter over the next year, including the first release of live weapons.
Lockheed Martin社は来年にかけてF-35統合打撃戦闘機の実弾の発射を含む飛行試験を強化する準備をしている。

The program is expected to conduct more than 10,000 test points per year in 2013, 2014 and 2015, Norman said Thursday at a briefing at an Air Force Association-sponsored conference.
計画は2013年、2014年、2015年のそれぞれの年で10,000試験ポイント以上を実施する予定であると木曜日に米空軍協会が主催する会議のブリーフィングでNorman氏(Lockheed社F-35チーフテストパイロット)は述べた。

(引用及び翻訳終了)
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 またDefense Newsの2012年02月23日(木)10:35AMの記事"Turkey Plans To Buy 100 F-35s"によりますと、トルコのIsmet Yilmaz国防相は160億ドルの予算でF-35を100機導入する方針を表明しました。最初の2機は2015年度に納入される予定との事です。

そして韓国もF-35を導入する方向で動いていると思われます。韓国も次期戦闘機を選定中ではありますが、F-35に関しまして調査費用を米側に支払った旨が韓国のマスコミに報じられました。韓国は2016年から新戦闘機を60機導入する予定です。

韓国次期戦闘機候補にF35 事前研究費を米に支給 (2012年01月19日(木)20時12分配信 聯合ニュース)

 世界各国がF-35を導入する方向性であることも日本政府/防衛省がF-35の導入中止をする事はないと私は考える理由の一つです。最先端兵器の導入にこだわる日本が世界のトレンドに遅れを取る選択肢を選ぶとは考えにくいと思います。 ある程度の納期遅れや予算高騰、そして世論の非難は織り込み済みであった筈ですから、今回の一連の報道も交渉の一環と見てまず間違いはないでしょう。

(下の画像はLockheed社による韓国向けのF-35広告 F35.comよりPDFでダウンロード可 クリックで画像拡大)

F35korea_2

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軍事」カテゴリの記事

コメント

自分も無いとは思います。ただ、オーストラリア方式みたいな方法もあったのでは?とも思っています。

普天間で少しは学習しただろうから、一度は下した閣議決定を覆さないだろうという「読み」は理解出来ますが…中露が第五世代機の開発を推し進めている以上、我が国もF-35は喉から手が出る程欲しい機体である事には違いはないでしょう。
でもねぇ、ブラフとやらって、相手に見透かされたら無意味だけどね。実際に、条項を楯に価格保証をする気ゼロだよ。

キンタさんが言う豪方式―数機は別機種を…ってヤツだけど、我が国の場合、財務省が確実に認めないね(-"-;)

ブラフとやらをかますのはいいけど、どうやって(ある意味に於いて)脅す訳? 石破辺りなら百戦錬磨で渡り合えるだろうけど、あんな「金魚大臣」に渡り合える訳など無い。せいぜい足元見透かされて、大損しない事を願うのみ。

自分としてもF35が導入中止になるような事態は開発中止にでもならないかぎり有り得ないと思っております

外交的、国内事情(武器輸出三原則等)、能力的な観点からも導入中止されるような事にはならないかと
F22に変えてくれるってんなら話は別ですけど
仮に中止になったとしてもF/A-18になる事でしょう。

私個人としてはタイフーン大スキーなんですがねw

将来的にはF35Bを22DDHで・・・なんて誇大妄想も膨らんだりなんかして
最後には宇宙戦艦ヤマトをゲフンゲフン

キンタ氏
運用機種が増えすぎますので、整備や教育体制の観点で難しいかもしれません。

土方氏
キンタ氏に説明しました理由から財務省以前に防衛省がそのプランは乗らないと思います。

モンキー氏
米国としましてはF-35の開発を中止する気は毛頭ありませんから、F-35の導入となるでしょうね。

リースという線もないのでしょうか。デイビスモンサンあたりに転がっているFー15であれば合理的のようにも思われますが

福様
津波で損失しましたF-2の埋め合わせに中古のF-15Dを米国から購入する可能性はありますが、リースに関しましては私は慎重な立場です。リースは所有権がわが国にありません。リース代を支払うのであれば、その予算をF-15改修やF-2改修にあてがう方が合理的かもしれません。

まあ少々のことでは「ない」でしょうね・・・

そもそも今回中止したところで、今更買うに値する戦闘機はない(時間オーバーです)。 半端な新世代機を買う位なら、F15C/Dの程度の良い中古機を買って改造して運用したほうが良いでしょう(FX無しよりまし)。

少なくとも次のFー15の後継の選択肢は広がります。

エンリステッド氏
純減だけは止めて欲しいですよね。次に現実的な選択肢となりますと精々F-15の中古しかないですからね・・・。F/A-18Eを入れると運用機種が増えるだけですし。
F-35のアジア整備拠点も日本になる可能性が高いですから、もしここでキャンセルしますと韓国に持っていかれかねませんしね。

私も純減には猛反対です! しかし、現実的には財務省が認めないでしょうねぇ(`o´)
どう足掻いても、価格の高騰は避けられんでしょうなぁ。条項を楯に、米は譲らんでしょう。ど~する? 防衛省(-"-;) ついでに議決した議会…説明つくのか(-"-;)

F-15ですが、SEだと中身がまるっきり別物になっちまうのね(-.-;) ベースは同じF-15なのにね…で、中古のD型だけど、何機位が妥当ですかねぇ?

土方氏
「現実的には財務省が認めないでしょうねぇ」
これの根拠は何でしょう。土方氏は財務省の真意をご存知なのですか?
>F-35価格
若しくはRF-4EとF-15J Pre-MSIPの後継もF-35としまして量産効果を狙い、トータルの価格を下げるかです。そうすることにより単価を下げるだけではなく、日米同盟の更なる強化も狙えます。
>必要な機数
F-4の後継に留めるのか、津波で失われたF-2の代替も含めるのか、それにより必要数が変わってきます。

普通に考えると今更やめるのは難しいでしょうが、これは、日本が公に国際入札で機種選定した初めての戦闘機なので、価格やスケジュール等提案条件(要求)を選定後に日本政府が変えたとなると、そもそも選定の透明性が疑われ、タイフーンを担いだ英国政府も黙ってないでしょうね。

田中防衛相の国会答弁もあり、価格高騰のまま契約に突入する政治リスクも新たな要素として考えないといけないと思います。衆員解散を控えている与党民主党ですから、そこはいろいろと考えないと、無理すると政治問題化されるリスクもありますよね。

米政府は、これは日本の問題と突き放すでしょうね。つまり、一々日本の値下げ交渉には付き合ってくれないと言う事です。何故なら、国防総省の2013年度の予算資料でLRIP8(2014年契約2016年納め)の米政府調達予定単価が2012年度の107Mから147Mに跳ね上がっており、米政府が調達する価格以下で日本に販売することはあり得ないと思うからです。米政府が日本の値下げに応じたら、他の開発参加国に対しても同じことをしないといけませんし、財政難にある米政府が米国民の税金で日本の補填をする可能性は、限りなくゼロだと思います。議会が許さないでしょう。大統領選前に、オバマ政権もそんなリスクあって見返りのないことはしないでしょう。年間4機とかしか買わない日本を一々相手にしてられないと見た方が、良いと思います。

因みに財務省は、防衛予算が削減できるなら喜んで応じると思います。防衛省が、内示された予算額では足りないから増額してくれと言わなければ、財務省はあまり本件に関わらないと思います。財務省的には、今回の予算で4機買えないなら機数を減らせばと言ってくるでしょうが、機数を減らす様では、そもそも初年度の4機の提案要求を満たさないことになり、機種選定上の問題になりますね。

僕の結論は、今更難しいとは思いますが、あり得なくはないという事です。

太郎氏
日本政府が本気で言っているのかどうかも見極める必要があると思います。
参議院では与野党の議席数が逆転しており、予算案の審議でもF-35選定は当然に問題となるでしょう。これは私の個人的な推測ですが、その際には政府としてアリバイがあった方が説明し易いという側面もあるのかもしれません。

>財務省
財務省に関しては概ね太郎氏の見解に同意します。財務省には防衛予算を削減する意図があるのは間違いないでしょう。
しかし財務省に関します前述の私のコメントは、意図があって述べさせて頂きました。その趣旨を察して頂ければ幸いでした。

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