フォト

twitter

無料ブログはココログ
2017年1月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

今日の時事英語

  • 今日の時事英語

« 2012年3月 | トップページ | 2012年5月 »

2012年4月

2012年4月30日 (月)

小沢裁判「無罪判決」は実質上の有罪判決

動画はANNnewsCH公式アカウントによりYouTubeに投稿された小沢氏無罪を報じる速報

皆様もご存知の通りに小沢一郎民主党元代表(69)に対する陸山会事件の判決が4月26日(木)午前10時過ぎに、東京地裁(大善文男裁判長)で無罪判決が言い渡されました。NHKのサイトに今回の判決の要旨が掲載されていますので、今回はその内容を抜粋した上で、私個人が感じた事を執筆したいと思います。斜体文字が判決の要旨から抜粋したもので、普通の文字は私の見解です。

「主文 被告人は無罪」

(上記に関する私の見解)
 まずこれが最も重要な点です。少なくとも東京地裁は小沢氏が無罪、即ち「シロ」との判断を下しました。しかしこの「シロ」の判断ですが、極めて「クロ」に近いものなのです。しかし100%「クロ」でなくてはならず、99%の「クロ」の場合は、有罪としないのが刑事事件の鉄則なのです。それでは「シロ」との結論を下した根拠に関して分析してみます。

収支報告書の記載内容〕
「平成16年分の収支報告書には、本件4億円は記載されておらず、りそな4億円のみが記載されている。 本件土地の取得及び取得費の支出は、平成16年分の収支報告書には計上されず、平成17年分の収支報告書に計上されている。」

(上記に関する私のコメント)
まずこれが客観的事実です。これが虚偽記載に該当するのか、小沢氏は共謀共同正犯となるのかが争われたのが陸山会事件です。

総務省「政治資金収支報告書の要旨(官報)」

平成16年分(平成17年 9月30日付け官報) 陸山会はPDFファイルの162頁より

平成17年分(平成18年 9月 8日付け官報) 陸山会はPDFファイルの164頁より

下の画像は総務省「(参考)収支報告関係の罰則」(PDF)よりPhoto
〔本件預金担保貸付、りそな4億円の転貸の目的〕
「石川元秘書が、本件4億円を本件売買の決済に充てず、本件預金担保貸付を受け、りそな4億円の転貸を受けた目的は、本件4億円が本件土地の取得原資として被告人の個人資産から陸山会に提供された事実が、収支報告書等の公表によって対外的に明らかとなることを避けるため、本件土地の取得原資は金融機関から調達したりそな4億円であるとの対外的な説明を可能とする外形作りをすることにあった(このような本件預金担保貸付の目的を「本件4億円の簿外処理」という)。」、「石川元秘書が、本件4億円の簿外処理を意図した主な動機は、本件土地の取得原資が被告人の個人資産から提供された事実が対外的に明らかになることで、マスメディア等から追求的な取材や批判的な報道を招く等して、被告人が政治的に不利益を被る可能性を避けるためであった。」

〔本件合意書の目的〕
石川が、本件売買契約の内容を変更し、所有権移転登記について本登記を平成17年1月7日に遅らせる旨の本件合意書を作成した目的は、陸山会が本件土地を取得し、その購入代金等の取得費を支出したことを、平成16年分の収支報告書には計上せず、1年間遅らせた平成17年分の収支報告書に計上して公表するための口実を作ることにあった(このような本件合意書の目的を、「本件土地公表の先送り」という)。

〔本件土地の所有権移転時期及び収支報告書における計上時期〕
「本件土地の所有権は、本件売買契約に従い、平成16年10月29日、陸山会に移転した。」、「石川元秘書は、本件土地公表の先送りを実現するために、本件土地の売主と交渉したが、不成功に終わり、本件土地の所有権の移転時期を遅らせるという石川元秘書らの意図は、実現しなかったというべきである。」、「陸山会は、平成16年10月29日に本件土地を取得した旨を、平成16年分の収支報告書に計上すべきであり、この計上を欠く平成16年分の収支報告書の記載は、記載すべき事項の不記載に当たり、平成17年1月7日に取得した旨の平成17年分の収支報告書の記載は、虚偽の記入に当たる。」

〔収支報告書における本件土地の取得費等の計上時期〕
「これ(平成16年10月5日および同月29日、本件土地の売買に関して陸山会から支出された合計3億5261万6788円を)を計上しない平成16年分の収支報告書の記載及びこれを平成17年の支出として計上した平成17年分の収支報告書の記載は、いずれも虚偽の記入に当たる。

〔本件4億円の収入計上の要否〕
「本件4億円は、本件土地の取得費等に費消されたものと認められ、りそな4億円は、陸山会の資金繰り等に費消されているから、このいずれも被告人からの借入金として計上する必要がある。」、「本件4億円を収入として計上していない平成16年分の収支報告書の記載は、虚偽の記入に当たる。」

(上記に関する私の見解)
 裁判所によるこれらの事実認定は非常に重大であると私は考えます。少なくとも石川元秘書による虚偽記載に実質上の「有罪判決」を出しているのです。辻褄合わせの為に様々な工作をしていた旨を裁判所は事実認定しました。またその動機を「被告人の個人資産から提供された事実が対外的に明らかになることで、マスメディア等から追求的な取材や批判的な報道を招く等して、被告人が政治的に不利益を被る可能性を避けるためであった。」としているのも注目に値します。

〔被告人の故意・共謀〕
「被告人の政治的立場や、金額の大きい経済的利害に関わるような事柄については、石川元秘書ら秘書は、自ら判断できるはずがなく、被告人に無断で決定し、実行することはできないはずであるから、このような事柄については、石川元秘書ら秘書は、被告人に報告し、了承の下で実行したのでなければ、不自然といえる。」、「本件土地公表の先送りや本件4億円の簿外処理について、石川元秘書ら秘書が、被告人に無断でこれを行うはずはなく、具体的な謀議を認定するに足りる直接証拠がなくても、被告人が、これらの方針について報告を受け、あるいは、詳細な説明を受けるまでもなく、当然のことと認識した上で、了承していたことは、状況証拠に照らして、認定することができる。」、「さらに、被告人は、平成16年分の収支報告書において、本件4億円が借入金として収入に計上されず、本件土地の取得及び取得費の支出が計上されないこと、平成17年分の収支報告書において、本件土地の取得及び取得費の支出が計上されることも、石川元秘書や池田元秘書から報告を受け、了承していたと認定することができる。」、「「しかし、被告人は(略)本件土地の取得及び取得費の支出が平成17年に先送りされたと認識していた可能性があり、本件土地の取得及び取得費の支出を平成16年分の収支報告書に計上すべきであり、平成17年分の収支報告書には計上すべきでなかったことを認識していなかった可能性がある。」、「また、被告人は、本件4億円の代わりにりそな4億円が本件土地の購入資金に充てられて借入金になり、本件4億円を原資として設定された本件定期預金は、被告人のために費消されずに確保されると認識した可能性があり、(中略)したがって、本件4億円を借入金として収支報告書に計上する必要性を認識しなかった可能性がある。」

(上記に関する私の見解)
 これは一連の流れに関して実質的に小沢氏が報告を受け、了承していたと裁判所が見ていると言うことです。しかしその一方で「収支報告書における虚偽記入ないし記載すべき事項の不記載の共謀共同正犯として、故意責任を問うために必要な要件」を「認識しなかった可能性」があった為に無罪との判断を東京地裁は下しました。ここは分かり難い部分ですので少し解説をします。

 ここで裁判所が言っているのは錯誤の問題です。即ち犯人側に事実誤認があった、想定外の出来事が起きた、法律の解釈の誤りがあったことを言います。例えば下記の様な事例です。

AはBを殺害しようとB宅に深夜に忍び込み、布団の中で睡眠中である様に見えたBを刃物で刺した。しかしBは犯人が刺す前に既に病気で死亡していた(この場合は犯人が実際に行った行為は死体損壊のみなので、死体損壊のみしか成立しません)。

Aを殺害しようとして銃を発砲したが、弾がそれてBに命中してしまった(この場合は殺意をもって銃を発射したので、誰に命中したかは論点ではなく、殺人罪は成立します)

Aは商品Bを販売することは合法であると思っていたが、実際は違法であった(この場合は違法であることを知らないことは違法性阻却事由とはならないので、違法となります)。

 しかし今回の様に故意があることを要件とした場合は、被告側に事実の錯誤があった場合は犯罪が成立しないこともあります。事実の錯誤で無罪となった有名な判例としましては、大正13年に発生した「たぬき・むじな」事件があります。これは猟師が「ムジナ」を狩ったのですが、「タヌキ」の捕獲を禁じた狩猟法に違反するとして起訴された事件です。生物学的には「ムジナ」=「タヌキ」となっています。しかしその猟師と彼の地元では「ムジナ」≠「タヌキ」との認識がありました。1925年6月9日に大審院(当時の最高裁)は無罪判決を出しています。

 これを今回のケースに当てはめますと、小沢氏が当該不動産取引は交渉が平成16年に妥結せず平成17年度に先送りされたと誤認していた可能性があること、りそな4億円が土地購入に充てられ小沢氏からの4億円は消費されないと誤認していた可能性があることから無罪となりました。

 それでは刑事事件で「可能性がある」ことのみで無罪となる理由は何でしょうか。それはまず立証責任はそれを主張する側にあるからです。刑事裁判では即ち検察側/指定弁護士側となります。それを立証出来ないのであれば無罪なのです。もし被告人側に自分が無罪である旨を立証する責任があるとすると、例えば1年前、5年前、10年前のアリバイを被告人は立証する必要があり、それはほぼ不可能に近いこととなります。今回の小沢裁判は異なりますが、刑事裁判は国家対個人の対決です。検察側が圧倒的に有利であることは言うまでもありません。

 刑事裁判で有罪となりますと、刑事罰(場合によっては行政処分も)を科せられるだけだはなく、民事裁判(損害賠償)でも不利になり(刑事事件で無罪であっても民事裁判では損害賠償を命じられることもある)、そして社会的制裁(退学・解雇、村八分、差別、いじめ、本人だけではなく家族や親戚に対しても)もあります。刑務所で懲役刑/禁固刑に服すだけではなく、場合によっては死刑で国家により生命を奪われる可能性もあるのです。刑事事件で「間違えていました。申し訳ありませんでした。」はあってはなりません。

 その一方で今回の判決は実質的には有罪判決であると私は考えます。その旨は裁判所による上記事実認定からも読み取れる部分もありました。下記の様に言及する場面もあった模様です。

「地裁判決、小沢氏の政治姿勢と法廷発言も批判」(2012年4月27日08時17分 読売新聞)「供述に変遷や不自然な点がある」、(小沢氏が)「政治資金収支報告書は一度も見ていない」と発言したことについては「全く信用できない」

 私はこの裁判に関して以前は有罪になる可能性も十分あると考えていました。その旨を私は何度かtwitter上でつぶやいたこともあります。(下は筆者の2012年04月21日(土)19:19:06のつぶやき クリックで画像拡大)

Twitter20120421
 私がそれを感じたのは読売新聞の2012年01月12日03時09分の記事「『4億円、関心ないのか』裁判官が小沢氏ただす」の部分でした。この記事を読んだ時に裁判官は小沢氏の説明に明らかに納得をしていない、そう感じたのです。それが判決での厳しい指摘に繋がったと言えるでしょう。

 しかし前述しました通り、疑わしきは罰せずが刑事裁判の大原則です。今回の裁判は虚偽記載の問題のみなのですから、その関与の立証が不十分であったので、無罪判決は当然です。それは尊重される必要があります。

 今回の無罪判決は尊重しますが、その一方で小沢氏は資金に関しては非常に問題の多い政治家だと考えます。三人の秘書が有罪となっていること、四億円の原資に関して説明が度々変わっていること(2007年2月「献金してくれた皆さまのお金」、2009年10月「銀行融資」、2010年1月「個人資産」2012年1月「両親からの相続財産。自身の本の印税や議員報酬」、「正確な記憶がなかっただけで、(原資に関する説明を)変えていない」)、そもそも不動産を多数保有した理由等です。これらは今回の裁判では直接的に問題とはなっていません。今回の裁判はあくまでも虚偽記載に関するものであった為です。また私が列挙した問題も起訴に至っていません。それは小沢氏の違法行為を立件するに足る証拠がいずれも不十分であったからです。無罪判決を歓迎している方々は、小沢氏のその他のこういった問題はどう考えるのか、そこは別の論点として考察することは出来ない事ではありません。それに関しては人によって意見は様々でしょう。不動産を幾ら所有したとしても、それ自体は何ら違法性はありません。しかし著しく不可解であると言わざるをえないのです(固定資産税、維持費やその他の管理費用もどうなっているのか、実質的にコスト)。その動機や不動産取得の過程で何かしら違法なものがある、少なくとも社会通念に照らして不適切な何かがあると考えるのが自然と言えるでしょう。

 小沢氏は裁判で無罪と言えども、それを免罪符とせず、しっかりと説明する義務があるのではないでしょうか。

2012年4月22日 (日)

北朝鮮の新型ICBMに関する二つの疑惑

 当ブログの前の記事「小沢氏によるPAC3配備批判は的外れ」でも紹介しました北朝鮮により2012年04月15日の軍事パレードで公開されたICBM級と見られる新型弾道ミサイルが多くの方々により注目の的となっていますが、この新型ミサイルに関連し幾つかの疑惑が浮上しています。North_korea_icbm(上の画像はYouTubeに投稿された2012年04月15日北朝鮮軍事パレードの動画より問題の新型弾道ミサイル クリックで画像拡大)

一つは北朝鮮の弾道ミサイル開発に中国が関与している疑惑です。その疑惑は日本でも報道されています。

「北ミサイルへの中国支援疑惑、米が問題視」(2012年4月21日13時06分  読売新聞)

 この読売新聞の報道によりますと、2012年04月19日の米下院軍事委員会の公聴会で、北朝鮮のミサイル計画には、「中国から何らかの支援があることは確かだ」とパネッタ国防長官が発言したこと、そして米側がこの疑惑に関しまして中国側に問い合わせをしたとの事です。パネッタ国防長官のその発言はYouTubeに投稿されたこの動画でも確認出来ます。

下はその際のパネッタ長官の発言です。
-------------------------------------------------------------------
"We've made very clear to China that uh... China has responsibility here to make sure that uh...North Korea uh... if they want to improve the situation with their people if they want to become part of the international family if they in fact want to deal with the terrible issues that are confronting North Korea, there's a way to do that. And China ought to be urging them to uh... to engage in those kinds of uh...you know diplomatic negotiations. We thought we had we we thought were making some progress and suddenly we're back at provocation."
中国側にはこの件に関して責任があるという旨を我々は中国側に対し非常に明確な意思表示をしており、それは北朝鮮が彼等の国民の状況を改善したいと望むのであれば、もし彼等が国際社会の一員となることを望むのであれば、もし彼等が北朝鮮が直面している難題に対処に真摯に取り組みたいのであれば、その道はある。従って中国側は北朝鮮側にそういった外交交渉に取り組む様に促すべきである。我々は改善しつつあると思っていたが、突然に挑発行為に逆戻りした。

"I'm sure there's been some uh... some help coming from China. I don't know, you know, the exact extent of that. I think we have to deal with in another context in terms of uh... the sensitivity of that information. But uh... clearly there's been assistance along those lines "
私は中国側から(ミサイル開発の)援助があったと確信している。その度合いに関しては私は分からない。その情報の秘密度の面から我々は別の局面で対処しなくてはならないと私は考える。しかし明らかにこのルートで援助はあった。
-------------------------------------------------------------------
 そしてこれは中国の関与疑惑に関し中国側に問い合わせた旨に言及した米国務省のヌーランド報道官は2012年4月20日の記者会見です。
-------------------------------------------------------------------
QUESTION: Another topic. On these reported connections between China and this North Korean missile program, Secretary Panetta yesterday in testimony said that it appeared that there had been Chinese help in certain elements of the North Korean program. We mentioned this with Mark yesterday, but I’m wondering if you can tell us if you’ve raised this with the Chinese. I mean, have these – do these concerns amount to something that you would actually talk to Beijing about?
Q:話題は変わります。中国と北朝鮮のミサイル開発の関連性に関する報道ですが、北朝鮮の(ミサイル)開発の一部に中国の援助があった模様であるとパネッタ長官がきのう証言で述べています。昨日の会見でもMark氏に問い合わせましたが、しかしこの問題に関しまして中国側に問い合わせたか私に明らかにすることが出来ますか。つまり、中国政府に話をする程の懸念となっていますか?

MS. NULAND: We have. We have raised these alleged assistance of the Chinese Government as part of our ongoing discussions on North Korea.
ヌーランド報道官:しました。進行中である北朝鮮に関する議論の一環としましてこれらの中国政府の援助疑惑に関して採り上げました。

QUESTION: And have you – have they provided you with any clarification, or what’s been their response?
Q:そして彼等は説明しましたか、またはどの様な反応でしたか?

MS. NULAND: I think we are continuing to talk about the full range of issues with regard to North Korea, including these.
ヌーランド報道官:我々は、この問題も含めて、北朝鮮に関しまして全ての課題に関し会談し続けることになると私は思います。

QUESTION: North Korea, too?
Q:北朝鮮もですか?

MS. NULAND: Yes, please.
ヌーランド報道官:はい、どうぞ。

QUESTION: North Korea has mentioned yesterday in Pyongyang, North Korea will have – conduct another missile launch soon. What is your comment if there were another missile launch?
Q:昨日ですが北朝鮮は平壌で新たなミサイル発射を行う旨を実施する旨を発表しました。もし新たなミサイル発射があったとしたらどの様なコメントをしますか。

MS. NULAND: Well, you know where we are on this; that it is a very bad idea, that it is a violation of international law, that it is a provocation, and that it’s the wrong way to go.
ヌーランド報道官:我々の立場はご存じでしょう;それは賢明な発想ではなく、国際法の違反であり、挑発行為であり、誤った方法です。
-------------------------------------------------------------------
 この新型弾道ミサイルを運搬しているTELが中国製の可能性が高いと見られていることが今回の疑惑が明るみになった発端の一つとなっています。それに関しましては下記の記事に詳細な解説が掲載されていました。

"Experts: N. Korean missile truck likely foreign(「専門家:北朝鮮のミサイルトラックは海外製の模様」"(2012年04月19日(木)18:17:38 EDT)
-------------------------------------------------------------------
The large size of the vehicle “represents a quantum leap forward” for the North Koreans, said Wendell Minnick, a reporter on Asian military developments for Defense News, a Washington-based publication.
車両の巨大さは北朝鮮にとり「大躍進の現われ」であるとワシントンにある出版社であるDefense Newsのアジア軍事情勢のレポーターであるWendell Minnick氏は述べた。

Unlikely to have been made by North Korea because of its technical sophistication, experts said the design of the vehicle shows that China is the probable source. Pinning a sanctions-busting charge on Beijing would be difficult, however, because it would be hard to prove that Beijing provided the technology for military purposes or even that it sold the vehicle directly to North Korea, the experts said.
技術的な複雑さからして北朝鮮により製造されたとは考えにくく、車両のデザインから中国が製造元であると見られると専門家は述べた。しかしながら、中国政府が軍事目的で技術を提供したことはおろか、北朝鮮に直接的に販売したことすら立証することは難しく、中国政府に制裁違反の批判をすることは困難と見られると専門家は述べた。

The vehicle also can be used in other fields, like oil exploration. At the same time North Korea might have gotten it from another country in a re-export deal.
この車両は石油開発の様なそれ以外の分野にも使える。それ以外にも北朝鮮が再輸出取引で第三国から入手したかもしれない。

Analyst Ted Parsons of IHS Jane’s Defence Weekly first raised the possibility that the missile-carrying vehicle came from China, citing similarities to Chinese design patterns in the windscreen, the windscreen wiper configuration, the door and handle, the grill, the front bumper lighting configurations, and the cabin steps.
IHSジェーンズ・ディフェンス・ウイークリーの分析官であるTed Parsons氏が、フロントガラス、フロントガラスワイパー形状、ドアとハンドル、格子、フロントバンパー照明形状、ステップの類似性を列挙し、ミサイル運搬車両が中国から来た可能性を最初に指摘した。

“The 16-wheel TEL is apparently based on a design from the 9th Academy of the China Aerospace Science and Industry Corporation,” he said.
16輪TELは明らかに中国航天科工集团公司の第九研究院からのデザインに基づくものであると彼は述べた。

China military analyst Richard Fisher of the International Assessment and Strategy Center in suburban Washington agreed, citing technological challenges as a major reason to believe that Pyongyang could not have developed the vehicle on its own.
ワシントンの郊外にある米国際評価戦略センターの中国軍事研究家Richard Fisher氏は技術的な理由からその車両を北朝鮮独自で開発する事が出来ないかったであろうことを根拠に同意した。

“This is definitely a CASIC vehicle that was probably produced specifically for export to North Korea,” Fisher said. “The North Koreans don’t have the ability to make something like this themselves.”
「これは恐らく北朝鮮向けの輸出として生産されたCASIC車両であろうことは間違いがない」とFisher氏は述べた。「北朝鮮は彼等独自でこういったものを生産する能力はない。」

(引用及び翻訳終了)
-------------------------------------------------------------------
 このArmyTimesの記事にはIHSジェーンズ・ディフェンス・ウイークリーの分析官であるTed Parsons氏が中国から来た可能性を最初に指摘したとありますが(4月17日)、実はそれより前の4月15日の段階で日本でカリスマブロガーのJSF氏がその可能性を指摘していました。

「16輪の大型TEL車両に搭載された北朝鮮の新型長距離弾道ミサイル」(週刊オブイェクト 2012年04月15日21:00)

 CASICの公式ホームページの2010年10月19の記事には「近日,中国航天科工集团公司九院与某国用户达成WS51200大型非公路运输车出口协议,合同额达3000万元」との記述があります。また湖北三江航天万山特种车辆有限公司(Hubei Sanjiang Space Wanshan Special Vehicle Co., Ltd.)の公式ホームページの5月17日(年度は明記なしですが恐らく2011年)の記事に"The successfully delivery of WS51200(WS51200の納入成功)" "the consumer was very satisfied with the vehicle and indicated the possible of the next cooperation.(消費者は車両に対して非常に満足しており、次の協力の可能性を示唆した)"と記載されていました。この「某国」や"consumer"がどの国の誰を指し示しているのかは分かりません。しかし具体的なユーザー名を何故伏せる必要があったのか疑問が残ります。

 実は中国が最終的に北朝鮮を支援するであろうとの分析は防衛省防衛研究所の阿久津 博康氏(あくつ ひろやす:地域研究部北東アジア研究室主任研究官)により以前からなされています。その旨はDefense Newsの2012年03月29日の記事"N. Korea Confident of China Rocket Support: Analyst(「北朝鮮は中国のロケット支援に自信」:分析」の記事に掲載されています。しかしこれは北朝鮮がロケットを発射することに対しての支援に言及したものであり、積極的に開発/運搬手段への支援を指摘するものではありませんでした。

 今回の謎の新型ミサイルにはもう一つ疑惑があります。それはそもそも今回のミサイルが本物かどうかという根本的な疑惑です。それに関しましてもう一つ読売新聞が報じています。

北朝鮮の新型ミサイルは「はりぼて」…米専門家 (2012年4月21日 12:17 読売新聞)

 この記事で言及されているセミナーとはこれであると思われます。残念ながら具体的な内容までは見付けることは出来ませんでした。

North Korea’s Missile Launch Apr 20, 2012 from 03:30 pm to 05:00 pm

今回のミサイルが偽物であるとする根拠としましてDavid Wright氏は「報道陣が撮影したミサイル6基の鮮明な写真を比べたところ、胴体の表面に伸びる電線用ダクトの取り付け場所や、ミサイルを固定するベルトの位置が少しずつ異なる」としています。このことに関しましては二つの可能性が考えられます。一つはDavid Wright氏の分析の通りに偽物である可能性です。もう一つは北朝鮮の技術/品質管理の貧弱さを裏付けるものかもしれません。即ち同じ製品を同じどおりに製造することが出来ない、その程度の産業基盤ということを露呈しているのかもしれません。そうだとしますと、実際に発射しましても再び失敗に終わるでしょう。

2012年4月16日 (月)

小沢氏によるPAC3配備批判は的外れ

上の動画はYouTubeに投稿された北朝鮮のロケット失敗の様子を描いたCG

皆様も既にご存じの通り、北朝鮮が2012年04月13日(金)午前7時39分にロケットを発射しましたが、1分以上飛行した後に何らかの不具合の発生により空中分解し、失敗に終わりました。それは各国の公的機関や政府の発表でも確認が可能であり、それぞれ下記の様に報じています。

NORAD(北アメリカ航空宇宙防衛司令部)の公式発表
North American Aerospace Defense Command and U.S. Northern Command officials acknowledged today that U.S. systems detected and tracked a launch of the North Korean Taepo Dong-2 missile at 6:39 p.m. EDT. The missile was tracked on a southerly launch over the Yellow Sea.

Initial indications are that the first stage of the missile fell into the sea 165 km west of Seoul, South Korea. The remaining stages were assessed to have failed and no debris fell on land. At no time were the missile or the resultant debris a threat.

米国大使館が発表した上記NORAD発表の日本語訳
「北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)と米北方軍司令部(USNORTHCOM)は、米国のシステムは米国東部夏時間午後6時39分、北朝鮮によるテポドン2号ミサイルの発射を探知したことを確認した。ミサイルは南の方角の黄海上空に向けた発射後、追尾された。  初期の観測によると、ミサイルの第1段目は韓国・ソウルの西165キロの海上に落下した。2段目以降は失敗したとみられ、破片は陸地に落下しなかった。ミサイルおよびその破片は一切、脅威をもたらさなかった。」

防衛大臣臨時会見 平成24年4月13日(08時24分~08時25分)
田中防衛大臣「防衛省から、発表させていただきます。7時40分頃、北朝鮮から何らかの飛翔体が発射されたとの情報を得ております。飛翔体は1分以上飛行し、洋上に落下した模様であります。我が国の領域への影響は一切ありません。」

平成24年4月13日 内閣官房長官声明
「本日7時40分頃、北朝鮮から何らかの飛翔体が発射された。飛翔体は1分以上飛翔し、洋上に落下した。その後の情報収集の結果、当該飛翔体は北朝鮮が「人工衛星」と称するミサイルであることが確認された。なお、我が国領域内に落下したという情報は一切なく、また、国民への被害も報告されていない。」

やがて朝鮮中央通信ですら同日の正午過ぎに失敗であったことを公式に認めました。これはYouTubeに投稿されたその時の発表です。

 今回の失敗は15日に行われた故 金日成主席の生誕100周年記念にも大きく影を落とすものとなりました。

 そもそも北朝鮮の技術水準を考慮すれば打ち上げ失敗の可能性も少なからずありました。それは彼等が工業国と呼べる水準にないことは明らかであるからです。彼等が国産で国際市場に通用する航空機を開発したことはありません。ごく一部の韓国資本を除いて外資が積極的に投資している訳でもないのです。ローテクの武器を製造している軍需産業を除いて製造業が発達しているとは言えません。そういった国が宇宙に人工衛星を打ち上げるだけの技術力と産業基盤を有しているかは甚だ疑わしいと言えます。更に言えば作業員の質/水準も分かりません。品質管理制度が整っているのか、ルーズな工程となっていないか、そこも私は疑問に感じるのです。もし粗悪な部品を製造していた場合は、そしてそういった部材を製品に使用して制作されたとしますと、製品も当然のことですが不良品となる可能性が非常に高くなります。報道によりますと一部の専門家が今回の打ち上げは失敗に終わることを予見したとのことでした。

「北のミサイル発射失敗、米専門家が直前に予想」(2012年4月13日19時52分 読売新聞)

この専門家とは米専門家ジェームズ・オバーグ(James Oberg)氏であり、NBCテレビのサイトで語ったものであり、失敗に終わると考えた根拠は次の二点です。

政治的なイベントとして日程上のプレッシャーがあった

作業員からの異論や疑問を受け入れる能力が非常に低く、発射を強行する空気

 即ち安全や品質が重視されず、メンツにこだわって納期と打ち上げのみを考慮したことが失敗の原因と言えるでしょう。

 皆様もご存じの通り、日本政府は落下物が万が一あった場合に備え(これはロケットに不具合が発生した/北朝鮮が予想外の行動に出たことが前提となっている)イージス艦とPAC-3を各地に展開しました。

「北朝鮮による「人工衛星」と称するミサイル発射の発表に関する対応」(24.3.30 首相官邸 PDFファイル) (下の画像はそのPDFファイルより。クリックで拡大)

Photo
大臣会見概要 平成24年3月30日(08時35分~08時38分)
田中防衛大臣「先程、『弾道ミサイル等に対する破壊措置等の実施に関する自衛隊行動命令』を発令しました。これは、今般の北朝鮮による発射予告を受け、航空総隊司令官を指揮官とするBMD統合任務部隊に、弾道ミサイル等に対する破壊措置を命ずるものでございます。この命令により、イージス艦を日本海及び東シナ海へ、PAC-3部隊を首都圏並びに沖縄本島、宮古島及び石垣島へ展開させ、我が国領域への落下に対する万全の備えをしたいと考えております。」
(下の画像は筆者がある時に某所で撮影したパトリオット クリックで画像拡大)Dscf0070

北ミサイル対処 破壊措置命令を発出 イージス艦3隻が展開(2012年04月05日 朝雲新聞)

 今回の発射は発射してから僅か一分後に分解との結果でしたので、結果論としましては日本に危険が及ぶ事はありませんでした。しかし不具合が沖縄上空で発生していた場合は、日本国土が直接的な危険に晒された可能性があったのです。そういった最悪の事態を想定しての今回の破壊命令でした。その様に考えますと先日の小沢一郎氏の批判が如何に的外れであるかが分かると思います。

小沢氏、PAC3配備を批判「有事は予告なし」(2012年4月12日19時52分 読売新聞)

 小沢氏による今回の発言の全体の流れは分かりませんが、今回は今まで私が述べていた不具合発生の可能性があった為に政府としましては対策を講じたのであって、「本当にそういう(武力攻撃)事態になる時は予告なしにくるわけだから、何日もかけてあちこちに運ぶのは全くナンセンスだ」というのは議論のすり替えにしか思えません。国民の生活が第一とは思えない発言と言って良いでしょう。

2012年04月16日(月)15:15追記
YouTubeに投稿された2012年度北朝鮮軍事パレード

北朝鮮が新型弾道ミサイル公開 軍事パレードで(4月15日(日)17時2分配信 聯合ニュース)で記事となったICBMもこの動画に写っています。

2012年4月 7日 (土)

日英両政府が武器共同開発の枠組み作りに着手へ

Officialphotocameron(上の写真はWikipediaよりDavid William Donald Cameron英首相 配布自由 クリックで拡大)

 2012年3月7日 (水)に『「日英武器共同開発」の報道は誤報』との記事を執筆しましたが、その後に産経新聞以外のマスコミからも続報が出ました。

「<武器共同開発>三原則緩和後で初、英国と着手へ」(2012年4月4日(水)02時32分 毎日新聞)

「日英で武器共同開発 10日の首脳会談で合意へ」(2012年4月4日(水) 19:49 日経新聞)

 これらの二つの報道は内容がより具体的になりました。まず協議を開始する舞台と日時ですが「来日するキャメロン英首相との10日の首脳会談」(毎日新聞報道)、「野田佳彦首相が10日にキャメロン英首相と会談し」(日経新聞報道)となっていますので、4月10日(火)の日英首脳会談で共同開発の枠組み作りを開始する旨に合意する方向であることが分かります。

 ただこの二つの報道を読みますと4月10日の日英首脳会議では「正式に協議に入ることを確認する」、(毎日報道)、「枠組みづくりについて合意する。」、「共同開発を厳格に管理する枠組みづくりを急ぐ。英側が目的外使用や第三国移転する場合には日本の事前同意が必要な手続きを盛り込む。」(日経新聞)となっています。即ち、まだ具体的なことは何も決まっておらず、今からルール作りに着手する事を日英首脳が同意するとの事なのです。どういった装備を共同開発するかすらまだ決めていません。そして日経新聞はそのルール作りは「年内合意をめざす。」と報じています。

 英国と装備を共同開発する方式を固めた理由に関しましては、「『昨年末の航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)選定の際、英国が強く推したユーロファイターではなく米国中心に開発しているF35を選定した埋め合わせ(政府筋)』の意味合いもあるという。」(毎日新聞)、「日英はともに米国の同盟国であり、互いの技術力を装備品開発に生かせると判断した。」(日経新聞)となっていました。因みに毎日新聞は「三原則緩和を受け、オーストラリアやフランスなど複数の国が日本との共同開発に関心」を示したと報じていました。オーストラリアが日本との装備品の共同開発に興味を示している旨は以前の当ブログの記事でも触れたことがありました。

「豪首相が日本との安保関係強化を希望」(2011年4月25日 (月))

 また「日英武器共同開発」の報道は誤報の2012年4月 4日 (水) 11時30分のまりゅー氏のコメントで「『F-X選定で英国が強く推したユーロファイターではなくF-35を選定した埋め合わせ』というコメント。既定の路線があったことを匂わせたのかもしれません。」とのご指摘がありました。私はこのコメントを読んだ時に、思い当たることがありました。それは朝雲新聞の2011年05月26日の記事「防衛省 欧州製品の情報取得へ NCS(NATO装備カタログ制度)に加入」との記事です。共同開発とは直接的な関係はないかもしれませんが、NATO加盟国との装備共同開発を行う上では必要な情報と言えるでしょう。800pxtyphoon_5
(上の写真はWikipediaよりRAFのユーロファイター 著作権はPublic Domain クリックで画像拡大)

 共同開発の対象となるのは「小型のものから徐々に進める(外務省幹部)」(毎日新聞)、「戦闘機、火器、銃器は想定しておらず、化学防護服など小型装備品を念頭に置く。将来は艦船のエンジンなどの共同開発が視野にある。」(日経新聞)との方向性の模様です。

 私は2012年3月7日 (水)に『「日英武器共同開発」の報道は誤報』との記事では日英の装備共同開発の件は完全に誤報であると決めつけてしまいました。しかし毎日新聞と日経新聞が続報を報じたことにより、事実である可能性が高まりました。そのことに関しまして深くお詫び申し上げます。

 田中防衛大臣が2012年3月6日(火)の記者会見産経新聞の2012年3月3日(土)7時55分の報道を「ご指摘のような事実は一切ありません。」と否定しました背景には「155ミリ榴弾(りゅうだん)砲(火砲)の自動装填(そうてん)装置」に関する報道や「英国と武器・装備品の共同開発に踏み切るという方針を固めた」の件であると思われます。まだそういった具体的な段階には達しておらず、4月10日の日英首脳会談ではこれから協議を開始する方針に合意するのみであったからでしょう。また一部の識者や防衛省には産経新聞に対しやや不信感がある模様です。

(下の画像は2012年4月6日(金)13:37の小川和久氏のつぶやきKazuhisa_ogawa_20120406 しかしやはり産経新聞としましてもソースがあり、そのソースをもとに記事を執筆していますので、報じたのが産経新聞だけであるということだけで完全な誤報扱いは避けていきます。前回の記事は誠に申し訳ありませんでした。深くお詫び申し上げます。

 より詳しい事実関係は4月10日(火)の日英首脳会談で判明するでしょう。新たな事実が判明した場合は新記事を執筆するか、この記事を改定したいと思います。

2012年04月11日(水)追記:
平成24年4月10日 日英首脳会談( 首相官邸公式ホームページ 動画ニュース )

日英首脳会談及びワーキングディナー(概要)(平成24年4月10日外務省公式ホームページ)
「安全保障に関しては,外相戦略対話,今後防衛当局間で作成される覚書,情報保護協定の交渉開始及び防衛装備品等の共同開発・生産に向けた取組等を通じた二国間の安全保障・防衛協力の一層の深化への期待を表明した。」

「日英両国首相による共同声明(仮訳)~世界の繁栄と安全保障を先導する戦略的パートナーシップ~」(平成24年4月10日 外務省公式ホームページ)
•地域及び国際環境の評価及び戦略的視点を共有するため,外務大臣による「戦略対話」を開始する。

•政府間の情報保護協定の交渉を開始する。

•両国防衛担当大臣が次の機会に,防衛協力覚書に署名することを支持する。

•新たな協力の分野を特定することにより,防衛協力覚書の署名及び研究協力等の防衛上の関与を基礎に更に発展させる。

•両国の安全保障に資し,産業の機会を提供する,2011年に発出された防衛装備品等の海外移転に関する基準に従って実施され得る共同開発及び共同生産のための適当な防衛装備品等を特定する。

•そのような防衛装備品等に関する少なくとも一つの計画を,可能な限り早期に開始することを追求し,両国の安全保障及び平和的意図に資する将来の主要な計画の実現可能性を探求する。

•防衛装備品に関し,第三国移転及び目的外使用に係る厳格な管理を確保する政府間の適当な取決めを検討する。

•共同演習,訓練及び部隊間交流を含む安全保障及び防衛協力の更なる強化の方途を探求する。

「英首相「日本とヘリ共同開発も」読売単独会見」(2012年4月10日(火)14時25分配信 読売新聞)

2012年4月 5日 (木)

米国がアジア・中東でミサイル防衛シールド構築を検討

Aegis_ashore
(上の画像はMissile Defense Agencyの資料(PDF)よりAegis ashoreの概念図 クリックで画像拡大)

 米国が欧州にて推進している欧州ミサイル防衛構想を、北朝鮮とイランを念頭にアジアと中東でも計画していることが判明しました。

米国、アジア・中東でミサイル防衛シールド構築を検討=国防次官補(2012年03月27日 13:37 JST*ロイター)

 この記事によりますと「米国防総省のクリードン国防次官補(グローバル戦略担当)が、同省ミサイル防衛局が共催した会合で語った」、「同次官補によると、米国は米・日・豪および米・日・韓という2つの三国間協議を通じて防衛シールド建設計画を進める方針」とあります。米国防総省の公式ホームページに掲載されています2012年3月27日の記事"Growing Missile Threat Needs Robust Defenses, Official Says(増大しつつあるミサイルの脅威で強化された防衛が必要)"とを読みますと、この「同省ミサイル防衛局が共催した会合」とは10th Annual U.S. Missile Defense Conferenceであることが分かります。その一方でこの国防総省の公式記事の中にはアジアや中東に於けるミサイル防衛シールド構想に直接的に言及した記述はありません。唯一それらしき記述があるのが下記の一文です。

-------------------------------------------------------------------
"She detailed U.S. progress in sustaining a strong homeland defense, strengthening regional missile defense, and fostering increased international cooperation."
彼女(クリードン国防次官補)は強力な本土防衛の維持、地域ミサイル防衛の強化、国際的な協力の推進に関する米国の進展を詳述した。
-------------------------------------------------------------------Hires_081511123414_creedon_madelyn_
(上の写真は国防総省公式サイトよりクリードン国防次官補 米国政府の方針により配布自由)
 

 ロイター通信の報道以外で直接的にアジアや中東に於けるミサイル防衛シールド構想に言及したものは、私が確認した範囲ではほぼなく、2012年04月05日(木)午前00時00分現在で公式資料では確認出来ませんでした。しかし発言者と発言した場所が明記されており、この報道は誤報ではないと考えられます。

 ロイター通信の報道によりますと、「米国は米・日・豪および米・日・韓という2つの三国間協議を通じて防衛シールド建設計画を進める方針」であり、「欧州のミサイル防衛システムが採用する『段階的適応アプローチ』を手本」とする旨をクリードン国防次官補は表明したとのことです。 この欧州のミサイル防衛システムに関しましては前述の国防総省の記事にその概要が記載されていました。下記にその該当部分を抜粋し翻訳します。
-------------------------------------------------------------------
The commitment to missile defense is growing among NATO nations, Creedon said, and the United States deployed the first phase of its European-based system with the guided missile cruiser USS Monterey, carrying SM-3 interceptors, in the Mediterranean Sea.
ミサイル防衛へのコミットメントはNATO諸国の間で増しつつあるとクリードン氏は述べ、地中海にSM-3迎撃ミサイルを装備したミサイル巡洋艦モントレーにより欧州に於ける第一段階を米国は展開した。

In August, Turkish officials announced they would host a forward-based radar system, and it was deployed in December, Creedon said. And the U.S. Air Operations Center’s command and control capabilities at Ramstein Air Base, Germany, now are operational, she said.
8月にトルコ政府は前線レーダーシステムを受け入れる旨を表明し、12月に配置されたとクリードン氏は述べた。そしてドイツのラムシュタイン空軍基地に於ける米国作戦センターの指令・制御能力は現在稼働していると彼女は述べた。

In Phase 2, a land-based SM-3 site will be developed in Romania, with Block II interceptors deployed on land and sea, and is expected to be operational in 2015, Creedon said. Spain has agreed to host four U.S. Aegis destroyers in Rota, with the first two ships scheduled to arrive in 2014, she said.
第二段階では、BlockII仕様が地上と海上に配備され、地上配備型SM-3基地がルーマニアに展開される予定であり、2015年に運用可能となる見込みであるとクリードン氏は述べた。スペインはロタに4隻の米海軍イージス駆逐艦を受け入れることに同意しており、最初の2隻は2014年に到着予定であると彼女は述べた。

In Phase 3, a second land-based SM-3 site will be deployed to Poland, with SM-3 Block IIA interceptors deployed on land and sea, extending coverage to all NATO European countries.
第三段階ではSM-3 BlockIIA迎撃ミサイルが地上と海上に配備され、第二の地上配備型SM-3基地がポーランドに展開し、全てのNATO欧州諸国を防護するまで拡大する。

n Phase 4, the SM-3 IIB will be deployed around 2020, which Creedon called “an important enhancement.”
第四段階ではSM-3 IIBが2020年前後に配備され、「重大な強化」とクリードン氏は主張した。

(引用及び翻訳終了)
-------------------------------------------------------------------800pxuss_monterey_cg61
(上の写真はWikipediaよりミサイル巡洋艦モントレー 著作権はPublic Domain クリックで画像拡大)
SM-3の各仕様は下記リンクに詳細が掲載されています。

SM-3 Weapons School

実際のスペックは機密でありますが、2008年度の人工衛星迎撃ではSM-3 Block1Aが高度130 nautical miles(240Km上空)で撃墜に成功しています(リンク先は当時の米国防総省公式記者会見記録)。またオーストラリア政府の公式資料(PDF)には下記の興味深い記述があります。
-------------------------------------------------------------------
The SM-3 Block 1 missile is being developed to achieve exoatmospheric intercepts of medium to long range ballistic missiles at ranges to 1,200 km and altitudes of 70–500 km.
SM-3 Block 1ミサイルは中距離から長距離弾道ミサイルを1200Kmの射程で70-500Kmの射高で大気圏外迎撃を達成する様に開発されている。
-------------------------------------------------------------------
現在日本が開発中のものはSM-3 BlockIIAです。Block Iは1段ロケットが直径21インチ(53cm)、2段および3段目が直径13.5インチ(34cm)全長約7mであるのに対し、BlockIIAは2段および3段ロケットを1段と同じ直径21インチ(53センチ)に大型化しており、更に射程と射高が大幅に伸びているものと推測されます。

 現段階ではこのアジア版ミサイル防衛シールド構想がどの程度まで具現化しているのかは不明です。日本政府がどの程度までこの構想を知っているのか、政府のどのレベルで検討されているのか、タイムテーブル等詳しいことはまだ何も分かりません。しかし今後は横田基地に移転しました空自航空総隊司令部が中枢を担うこととなるでしょう。

総隊司令部 横田移転を完了 「同盟のシンボル」 日米共催で"同居"祝う (2012年03月29日 朝雲新聞)

 4月中旬の北朝鮮による「人工衛星打ち上げ」は日米の連携、ミサイル防衛の有効性が試されることになる「実戦」です。また場合によっては中国側が挑発してくる/情報収集を行う可能性も考えられ、それに対しては空自のF-15がイージス艦の護衛に当たることが報道されています。またこれはあくまでも私個人の推測ですが、潜水艦も護衛に中っていると考えて良いのではないでしょうか。今回の破壊措置命令による自衛隊の展開は今までになく緊張を伴ったものとなるかもしれません。

この動画は2009年9月16日、米ニューメキシコ州の米軍ホワイトサンズ射場に於ける弾道ミサイルを迎撃する地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)の航空自衛隊による発射実験。)

« 2012年3月 | トップページ | 2012年5月 »

最近のトラックバック