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2012年4月22日 (日)

北朝鮮の新型ICBMに関する二つの疑惑

 当ブログの前の記事「小沢氏によるPAC3配備批判は的外れ」でも紹介しました北朝鮮により2012年04月15日の軍事パレードで公開されたICBM級と見られる新型弾道ミサイルが多くの方々により注目の的となっていますが、この新型ミサイルに関連し幾つかの疑惑が浮上しています。North_korea_icbm(上の画像はYouTubeに投稿された2012年04月15日北朝鮮軍事パレードの動画より問題の新型弾道ミサイル クリックで画像拡大)

一つは北朝鮮の弾道ミサイル開発に中国が関与している疑惑です。その疑惑は日本でも報道されています。

「北ミサイルへの中国支援疑惑、米が問題視」(2012年4月21日13時06分  読売新聞)

 この読売新聞の報道によりますと、2012年04月19日の米下院軍事委員会の公聴会で、北朝鮮のミサイル計画には、「中国から何らかの支援があることは確かだ」とパネッタ国防長官が発言したこと、そして米側がこの疑惑に関しまして中国側に問い合わせをしたとの事です。パネッタ国防長官のその発言はYouTubeに投稿されたこの動画でも確認出来ます。

下はその際のパネッタ長官の発言です。
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"We've made very clear to China that uh... China has responsibility here to make sure that uh...North Korea uh... if they want to improve the situation with their people if they want to become part of the international family if they in fact want to deal with the terrible issues that are confronting North Korea, there's a way to do that. And China ought to be urging them to uh... to engage in those kinds of uh...you know diplomatic negotiations. We thought we had we we thought were making some progress and suddenly we're back at provocation."
中国側にはこの件に関して責任があるという旨を我々は中国側に対し非常に明確な意思表示をしており、それは北朝鮮が彼等の国民の状況を改善したいと望むのであれば、もし彼等が国際社会の一員となることを望むのであれば、もし彼等が北朝鮮が直面している難題に対処に真摯に取り組みたいのであれば、その道はある。従って中国側は北朝鮮側にそういった外交交渉に取り組む様に促すべきである。我々は改善しつつあると思っていたが、突然に挑発行為に逆戻りした。

"I'm sure there's been some uh... some help coming from China. I don't know, you know, the exact extent of that. I think we have to deal with in another context in terms of uh... the sensitivity of that information. But uh... clearly there's been assistance along those lines "
私は中国側から(ミサイル開発の)援助があったと確信している。その度合いに関しては私は分からない。その情報の秘密度の面から我々は別の局面で対処しなくてはならないと私は考える。しかし明らかにこのルートで援助はあった。
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 そしてこれは中国の関与疑惑に関し中国側に問い合わせた旨に言及した米国務省のヌーランド報道官は2012年4月20日の記者会見です。
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QUESTION: Another topic. On these reported connections between China and this North Korean missile program, Secretary Panetta yesterday in testimony said that it appeared that there had been Chinese help in certain elements of the North Korean program. We mentioned this with Mark yesterday, but I’m wondering if you can tell us if you’ve raised this with the Chinese. I mean, have these – do these concerns amount to something that you would actually talk to Beijing about?
Q:話題は変わります。中国と北朝鮮のミサイル開発の関連性に関する報道ですが、北朝鮮の(ミサイル)開発の一部に中国の援助があった模様であるとパネッタ長官がきのう証言で述べています。昨日の会見でもMark氏に問い合わせましたが、しかしこの問題に関しまして中国側に問い合わせたか私に明らかにすることが出来ますか。つまり、中国政府に話をする程の懸念となっていますか?

MS. NULAND: We have. We have raised these alleged assistance of the Chinese Government as part of our ongoing discussions on North Korea.
ヌーランド報道官:しました。進行中である北朝鮮に関する議論の一環としましてこれらの中国政府の援助疑惑に関して採り上げました。

QUESTION: And have you – have they provided you with any clarification, or what’s been their response?
Q:そして彼等は説明しましたか、またはどの様な反応でしたか?

MS. NULAND: I think we are continuing to talk about the full range of issues with regard to North Korea, including these.
ヌーランド報道官:我々は、この問題も含めて、北朝鮮に関しまして全ての課題に関し会談し続けることになると私は思います。

QUESTION: North Korea, too?
Q:北朝鮮もですか?

MS. NULAND: Yes, please.
ヌーランド報道官:はい、どうぞ。

QUESTION: North Korea has mentioned yesterday in Pyongyang, North Korea will have – conduct another missile launch soon. What is your comment if there were another missile launch?
Q:昨日ですが北朝鮮は平壌で新たなミサイル発射を行う旨を実施する旨を発表しました。もし新たなミサイル発射があったとしたらどの様なコメントをしますか。

MS. NULAND: Well, you know where we are on this; that it is a very bad idea, that it is a violation of international law, that it is a provocation, and that it’s the wrong way to go.
ヌーランド報道官:我々の立場はご存じでしょう;それは賢明な発想ではなく、国際法の違反であり、挑発行為であり、誤った方法です。
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 この新型弾道ミサイルを運搬しているTELが中国製の可能性が高いと見られていることが今回の疑惑が明るみになった発端の一つとなっています。それに関しましては下記の記事に詳細な解説が掲載されていました。

"Experts: N. Korean missile truck likely foreign(「専門家:北朝鮮のミサイルトラックは海外製の模様」"(2012年04月19日(木)18:17:38 EDT)
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The large size of the vehicle “represents a quantum leap forward” for the North Koreans, said Wendell Minnick, a reporter on Asian military developments for Defense News, a Washington-based publication.
車両の巨大さは北朝鮮にとり「大躍進の現われ」であるとワシントンにある出版社であるDefense Newsのアジア軍事情勢のレポーターであるWendell Minnick氏は述べた。

Unlikely to have been made by North Korea because of its technical sophistication, experts said the design of the vehicle shows that China is the probable source. Pinning a sanctions-busting charge on Beijing would be difficult, however, because it would be hard to prove that Beijing provided the technology for military purposes or even that it sold the vehicle directly to North Korea, the experts said.
技術的な複雑さからして北朝鮮により製造されたとは考えにくく、車両のデザインから中国が製造元であると見られると専門家は述べた。しかしながら、中国政府が軍事目的で技術を提供したことはおろか、北朝鮮に直接的に販売したことすら立証することは難しく、中国政府に制裁違反の批判をすることは困難と見られると専門家は述べた。

The vehicle also can be used in other fields, like oil exploration. At the same time North Korea might have gotten it from another country in a re-export deal.
この車両は石油開発の様なそれ以外の分野にも使える。それ以外にも北朝鮮が再輸出取引で第三国から入手したかもしれない。

Analyst Ted Parsons of IHS Jane’s Defence Weekly first raised the possibility that the missile-carrying vehicle came from China, citing similarities to Chinese design patterns in the windscreen, the windscreen wiper configuration, the door and handle, the grill, the front bumper lighting configurations, and the cabin steps.
IHSジェーンズ・ディフェンス・ウイークリーの分析官であるTed Parsons氏が、フロントガラス、フロントガラスワイパー形状、ドアとハンドル、格子、フロントバンパー照明形状、ステップの類似性を列挙し、ミサイル運搬車両が中国から来た可能性を最初に指摘した。

“The 16-wheel TEL is apparently based on a design from the 9th Academy of the China Aerospace Science and Industry Corporation,” he said.
16輪TELは明らかに中国航天科工集团公司の第九研究院からのデザインに基づくものであると彼は述べた。

China military analyst Richard Fisher of the International Assessment and Strategy Center in suburban Washington agreed, citing technological challenges as a major reason to believe that Pyongyang could not have developed the vehicle on its own.
ワシントンの郊外にある米国際評価戦略センターの中国軍事研究家Richard Fisher氏は技術的な理由からその車両を北朝鮮独自で開発する事が出来ないかったであろうことを根拠に同意した。

“This is definitely a CASIC vehicle that was probably produced specifically for export to North Korea,” Fisher said. “The North Koreans don’t have the ability to make something like this themselves.”
「これは恐らく北朝鮮向けの輸出として生産されたCASIC車両であろうことは間違いがない」とFisher氏は述べた。「北朝鮮は彼等独自でこういったものを生産する能力はない。」

(引用及び翻訳終了)
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 このArmyTimesの記事にはIHSジェーンズ・ディフェンス・ウイークリーの分析官であるTed Parsons氏が中国から来た可能性を最初に指摘したとありますが(4月17日)、実はそれより前の4月15日の段階で日本でカリスマブロガーのJSF氏がその可能性を指摘していました。

「16輪の大型TEL車両に搭載された北朝鮮の新型長距離弾道ミサイル」(週刊オブイェクト 2012年04月15日21:00)

 CASICの公式ホームページの2010年10月19の記事には「近日,中国航天科工集团公司九院与某国用户达成WS51200大型非公路运输车出口协议,合同额达3000万元」との記述があります。また湖北三江航天万山特种车辆有限公司(Hubei Sanjiang Space Wanshan Special Vehicle Co., Ltd.)の公式ホームページの5月17日(年度は明記なしですが恐らく2011年)の記事に"The successfully delivery of WS51200(WS51200の納入成功)" "the consumer was very satisfied with the vehicle and indicated the possible of the next cooperation.(消費者は車両に対して非常に満足しており、次の協力の可能性を示唆した)"と記載されていました。この「某国」や"consumer"がどの国の誰を指し示しているのかは分かりません。しかし具体的なユーザー名を何故伏せる必要があったのか疑問が残ります。

 実は中国が最終的に北朝鮮を支援するであろうとの分析は防衛省防衛研究所の阿久津 博康氏(あくつ ひろやす:地域研究部北東アジア研究室主任研究官)により以前からなされています。その旨はDefense Newsの2012年03月29日の記事"N. Korea Confident of China Rocket Support: Analyst(「北朝鮮は中国のロケット支援に自信」:分析」の記事に掲載されています。しかしこれは北朝鮮がロケットを発射することに対しての支援に言及したものであり、積極的に開発/運搬手段への支援を指摘するものではありませんでした。

 今回の謎の新型ミサイルにはもう一つ疑惑があります。それはそもそも今回のミサイルが本物かどうかという根本的な疑惑です。それに関しましてもう一つ読売新聞が報じています。

北朝鮮の新型ミサイルは「はりぼて」…米専門家 (2012年4月21日 12:17 読売新聞)

 この記事で言及されているセミナーとはこれであると思われます。残念ながら具体的な内容までは見付けることは出来ませんでした。

North Korea’s Missile Launch Apr 20, 2012 from 03:30 pm to 05:00 pm

今回のミサイルが偽物であるとする根拠としましてDavid Wright氏は「報道陣が撮影したミサイル6基の鮮明な写真を比べたところ、胴体の表面に伸びる電線用ダクトの取り付け場所や、ミサイルを固定するベルトの位置が少しずつ異なる」としています。このことに関しましては二つの可能性が考えられます。一つはDavid Wright氏の分析の通りに偽物である可能性です。もう一つは北朝鮮の技術/品質管理の貧弱さを裏付けるものかもしれません。即ち同じ製品を同じどおりに製造することが出来ない、その程度の産業基盤ということを露呈しているのかもしれません。そうだとしますと、実際に発射しましても再び失敗に終わるでしょう。

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コメント

アシナガバチさん、みなさんこんばんは^^

今回も興味深い記事ありがとうございます。

細かい形状の違うミサイルについての考察ですが、記事にあげられた以外にも以下の二つの可能性を想定しました。

1.試作品の為、様々な形状もののがある
※当然、性能試験はなされると考えられますがパレード用にそのままもってきた。
 (制式化して量産(?)可能ならば脅威になるかもしれません)
2.中国などからの裏ルートによる購入で部品がそろっていないため形状を変えざるを得なかった。
※品質管理とは別の要因ではありますが、結果的に品質がばらつくことになり兵器精度は低くなりますね。

記事の中で張りぼて説がありますが
個人的見解ではありますが、パレード用の張りぼてを用意できるならばそれもまた戦略上ありに思います。
運搬にかかるコスト及びリスクを解消できるわけですから
また実戦の際にデコイとしての利用もできますしね

JSF氏、また最近更新ペースが復活しましたよね。
最近?は、ミサイル関係の話題が多い気がしますが、私もずいぶん勉強させて頂きました。

極東の情勢悪化がこのところ著しいと感じるのは私だけですかねぇ?
米と中の水面下の争いが、いよいよ太平洋上に浮上してきた感じがして今までに無い胸騒ぎを感じます。
中の空母保有、第一列島線問題、普天間問題、F35の遅延、韓のミサイル射程延長許可などなど。
米中に限った話をしているわけではないですが、北朝鮮問題の着地地点を先読みした攻防の方が先に激化しているような気がしてw

抽象的な表現で申し訳ないです。思ったことをただ書いてしまいました。

そういえば、昔、ソ連がハリボテの弾道ミサイルにバレ無いように中に錘を入れて撥ねないようにし、パレードに出したというのがありましたよね。

みなさんこんばんは。コメント返信が遅れまして誠に申し訳ありませんでした。

RoKo氏
モックアップではないかとの説もあります。その件に関して数多久遠氏が興味深い記事を執筆しています。
http://kuon-amata.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-a02e.html
その一方でWS51200をそれなりの費用で、特殊な調達ルートで入手したことは間違いがありませんから、ICBMを開発していることは間違いがないでしょうね。実戦の際のデコイはトラックのデコイも必要となるでしょうね。

sub.氏
JSF氏も復活した模様ですね。恐らく個人的な事情に一区切りがついたのでしょう。極東情勢の悪化は勿論のこと、激化する国際競争、深刻な財政状況、そういった問題に対処する為には安定政権による強力なリーダーシップが必須です。今の日本の政治は残念ながらそうではありません。

キンタ氏
ソ連は弾道ミサイルが技術的にも成熟していましたが、北朝鮮はまだプロットタイプ/現物が存在するかすら疑わしいですけれどもね・・・。

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