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2012年6月 8日 (金)

森本敏氏の防衛大臣起用から考える防衛大臣の資質

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(上の写真はWikipediaより森本敏新防衛大臣 Joi Ito氏が2007年10月25日, 10:05に掲載 クリックで画像拡大)

森本敏・拓殖大教授が民間人で初となる新防衛大臣となりました。

防衛相に森本敏・拓殖大教授が内定・・・民間人初(2012年6月4日10時51分 読売新聞)

自衛官から外務省に、自民ともパイプ・・・森本氏(2012年6月4日13時19分 読売新聞)

 この件に関しましては数多久遠様も別途「森本新防衛相についての懸念」との記事を執筆されています。今回の人事に関する興味深い論点が執筆されていましたので、それに関しまして当ブログでも触れたいと考え、新記事を執筆することとしました。

懸念①&②文民統制の点で問題/議員ではない:これに関しましては二つの観点から論じられています。(1)森本新防衛大臣が自衛官であったことからシビリアンコントロールの観点から問題を指摘する見解(2)民間人であって政治家ではないので責任を担いきれないのではないかとの懸念

 まず(1)のシビリアンコントロールの問題を論じたいと思います。森本新防衛大臣が1965年~1979年の間に航空自衛官であったことから、日本国憲法第六六条第二項の「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」との規定に抵触するのではないかとの指摘です。しかしこの批判は現在では本人が民間人ですので的外れです。過去にも永野茂門・法務大臣(羽田内閣)や中谷元・防衛庁長官(小泉内閣)の実例があります。

 小泉第一次内閣当時の中谷元・防衛庁長官に関します憲法第六六条第二項との兼ね合いに関する政府見解は下記の通りです。

平成13年5月22日「衆議院議員平岡秀夫君提出憲法第六六条第二項の文民規定に関する質問に対する答弁書

・「文民」は、その言葉の意味からすれば、「武人」に対する語であって、「国の武力組織に職業上の地位を有しない者」を指すものと解される。

・元自衛官は、過去に自衛官であったとしても、現に国の武力組織たる自衛隊を離れ、自衛官の職務を行っていない以上、「文民」に当たる

 またこの件に関しまして大臣臨時会見概要 平成24年6月4日(22時47分~23時10分)に於きまして、森本防衛相本人はこの問題に関しまして下記の通りに述べています。
-------------------------------------------------------------------
A:「 文民である内閣総理大臣が自衛隊の最高の指揮監督権を持っておられ、国の予算や防衛の体制は、全てが国会の審議を経て承認をいただいて国の防衛の体制が成り立っているわけで、国の防衛に任ずる国務大臣、文民である国務大臣、防衛大臣も内閣総理大臣の指揮監督の下に、自衛隊の隊務を統括するという任務が与えられているわけで、先進国の中では、国防大臣、国防長官が必ずしも国民から選ばれた議会のメンバーであるという場合でないケースも見られるわけで、そのことが必ずしもシビリアン・コントロールという本来の目的と趣旨を損なうものではないと、私は考えているわけです。」

(引用終了)
-------------------------------------------------------------------
 日本国憲法第六十七条には「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。」とありますので、自衛隊の最高指揮官たる内閣総理大臣(自衛隊法第七条)は国会議員となります。

 次の(2)の民間人であるとの懸念に関しましては憲法第六八条第一項に「内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない」とありますので、逆に言いますと民間からの起用は憲法上認められており、何ら問題はないのです。防衛大臣以外でも国務大臣である以上は重責を担う訳であり、防衛大臣のみを民間人の任命不可とする積極的な理由はありません。

懸念③:森本氏の持論:これに関しましてはやはり大臣臨時会見概要 平成24年6月4日(22時47分~23時10分)に於きまして、森本防衛相は記者団の指摘に下記の通り答えています。
-------------------------------------------------------------------
Q:「大臣は今まで、集団的自衛権について、その行使を容認するというような発言であったり、記述を度々されてきたかと思います。この考えについてはお変わりないのかということと、今後、集団的自衛権の行使を可能にするといったような政策の指示を行うことはあるのでしょうか。」

A:「私は、昨日まで学者というか、大学で教育に携わりつつ、一方で研究という事務を行ってきたわけです。学者とか研究者というのは、自由な発想で、自由に物を考えて、いろいろな意見を多くの人と闘わせながら、最も現実の政策を以て、どのように貢献できるのかということに従事する仕事に携わってきました。その間、今、ご指摘のように、集団的自衛権という問題についても、私は一研究者、一学者として、個人の考え方があったことは確かであり、それは認めるところです。しかし今日、大臣としての拝命を受けて、野田政権の閣僚の一員になっているわけです。我が国政府が従来から集団的自衛権という問題を、有権解釈として認めていないということは十二分に理解しているところでありますし、 私は野田政権の方針の下で、自分の大臣としての職務を全うするつもりでありますので、私の任期中、大臣としてこの問題について、集団的自衛権の考え方の変更をするという考え方は、毛頭ありません。」

(引用終了)
-------------------------------------------------------------------
 私は集団的自衛権の問題に関しまして、意見を変えたとの批判に関しましては的外れであると考えます。その組織に所属するからには、その組織のルールに従うのが社会通念的にも当然であると考えるからです。

 また憲法上も「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。」との憲法尊重擁護義務が日本国憲法第九九条に規定されています。尤もそれは日本国憲法第一九条には「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」とあり、また同第二一条には「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」とありますので、個人の見解や心情、言論を制限するものではありません。即ち閣僚としての立場と、個人としての立場は異なる事までを否定するものではないのです。また余談ですが、憲法尊重擁護義務は日本国憲法第九六条に憲法改正の規定が定められていますので、憲法改正の議論を封じるものではありません。

 即ち野田内閣の一員となったからには、野田内閣の憲法解釈に則って実務を遂行するのが当然なのです。その一方で野田内閣の一員としての立場と個人としての立場が異なるのは何ら問題がありません。

 法学に於きましては「悪法も法なり」との格言があります。例え悪法であったとしましても、その法律自体は現行法なのですから、国民はその法律が改正されるまでは従う義務があるのです。

 それでは次ですが海外は森本新防衛大臣の起用をどう見ているのでしょうか。読売新聞の2012年6月5日10時42分の報道「米国防総省『同盟強化を継続』・・・森本氏に好意的」によりますと「オバマ政権は、安全保障問題に詳しく、米政府当局者との人脈も深い森本氏の起用を好意的に受け止めている。」と報じられています。しかしこれに関しましては公式ソースを確認することは出来ませんでした。

 その一方で中国側の反応に関しましては、日経新聞の2012年06月04日22:47の記事「民間起用の防衛相に中国が警戒感 野田内閣改造 各国が詳報」が「中国政府系のニュースサイト、中国新聞網は森本防衛相について『日米軍事同盟を強固にして中国と対抗しようという傾向がある』と中国側は報じている旨を記事に掲載していました。

 野田総理が防衛大臣に民間人を抜擢した理由は何でしょう。森本敏・拓殖大教授の防衛相起用に関しまして野田首相は、「安全保障に関する我が国の第一人者の一人だ。我が国を取り巻く安全保障環境が不透明となる中、大いに力を発揮していただけると確信している。情報発信にも万全を尽くしてもらえる」(2012年6月4日13時51分 読売新聞報道)とその理由を述べています。この「我が国を取り巻く安全保障環境が不透明となる中」に関する言及は実は以前にもより具体的で明確な形でありました。

 野田総理は2011年10月16日に行われました平成23年度航空観閲式の内閣総理大臣訓示で「我々が踏まえなければならないのは、自然災害だけではありません。いざという時にしっかりこの国を守れる自衛隊でなくてはなりません。」、「挑発的な行動を繰り返す北朝鮮の動き、軍事力を増強し続け周辺海域において活発な活動を繰り返す中国の動き我が国を取り巻く安全保障環境は不透明さを増しております。」(リンク先は首相官邸公式ホームページ) と述べました。

この動画は防衛省公式アカウントがYouTubeに投稿したその際の訓示の動画 北朝鮮と中国を名指しした場面は7:10-7:50の間)

 そうであれば、そもそも今年1月の内閣改造で田中直紀氏を起用するべきではなかったとの指摘をすることも可能かもしれませんが。私見ですが、田中直紀氏は素人である為に批判された訳ではないと考えます。北澤俊美氏が鳩山内閣発足の時に防衛大臣に就任した際に、2009年10月01日付けの朝雲新聞でのインタビューに対してこの様に述べています。

Q.「防衛省改革の方向性について見解を。」

A.「私もまだ詳しくないので三役会議を開いて政務官の一人に精査してもらって民主党としての防衛省改革が新たにできるのか早急に対応したいと思っています。」

 この回答では北澤氏が「素人」であることを認めているのです。しかしこの受け答えが特に問題となることはありませんでした。それどころか北澤防衛相は評価が民主党政権の中では相対的に高かったことは注目に値します。即ち大臣に求められる資質は知識ではなく、政治家としての指導力が必要不可欠だと言えます。この点に関しましては森本新防衛相は未知数なのです。この防衛大臣に求められる資質に関しまして北大路機関のはるな様が2012年6月4日の記事「新防衛大臣に森本敏氏 元3佐の外交官で防衛大臣補佐官経験のある大学教授」の中で「必要なのは防衛政策を把握し代表し運用を司る人材」であり、「素人ではないかと言われつつ調整型の人材であれば知識量が能力を図るものではないという証明のような大臣もいました。」とコメントしています。 また興味深い分析としまして米国のRobert Gates前国防長官を例に「仮に総選挙が行われ自民党政権となった場合でも防衛大臣として留任させることが出来るでしょう。 」ともしているのです。それが現実になるかは兎も角(衆議院で自民党が過半数以上を獲得したとしても、参議院では議席が大幅に不足する)、森本新防衛相の自民党とのパイプに野田総理が着目したとの分析も無きにしも非ずなのです(久遠数多氏の記事はるな氏の記事にもそういった記述があり)。

 今回の内閣改造は民主党政権の一つの転換点になるかもしれません。野田総理の真意はまだ分かりませんが、自民党との連携を模索する動きも見えますし、解散・総選挙となる可能性すらあります。展開次第では2009年の政権交代の結論付けとなる民主党の佳境となるのかもしれません。

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コメント

政権与党内に基盤を持たない民間人が入閣した場合、職責を全うしようとすればその成否は総理との個人的な関係に大きく左右されると思います。

つまり目標達成と課題解決の手法について、個人として党内力学が及ばない民間人であるが故に総理とのより強固な共通認識と信頼関係が不可欠だということです。

ことの良し悪しはともかく、郵政民営化成就のプロセスにおいての小泉総理(+飯島秘書官)と竹中大臣との一体感はまさに好例と言えるでしょう。

森本氏の大臣就任はもちろん防衛省改革が第1の目的ではないでしょうが、見識ある氏の登用が記事にあるように安全保障環境が不透明化しているとの総理の認識に基づく施策なのだとしたらまだ救いがあります。

論客である森本氏と官僚との軋轢も懸念されますし上述の総理との関係云々とはやや矛盾しますけれども、史上初めて時の政権や党派を超え一定期間継続して防衛を司り得る人物がトップとして登場した…個人的にはそう期待させられる内閣改造でした。

前の大臣が馬鹿過ぎましたから。前よりはマシだとは思います。笑点の大喜利でネタにされてましたからね。

管元総理が、名ばかりの政治主導で登用した例の民間出身の中国大使のようでなく、今までの、民主党人事でもっともまともな人選だと思います。ただ、おしいのは、沖縄の火消しのためだけに、任命されたように、思われるので、たいしたことは、出来ないでしょう。次の自民党政権でも留任させていただけると、うれしいです。これを、端に民間の優秀な人材が、大臣等の重要なポストについていけるようになると喜ばしいですね。

まりゅー様
国会議員ではありませんので、選挙の事はそれ程は心配することはない(地元や一部の圧力団体により政策が影響を受けない)というのも強みであると思います。
ご指摘の総理との信頼関係の重要性は全く仰せの通りだと思います。自分の信念に基づいた政策を遂行する場合は総理の支持が必要となってくるでしょう。
学者と実務は異なりますが(元裁判官の小川前法務大臣が母校で裁判官はつまらなかったと述べたのはその典型、個人的に某所で直接この人と話をしたことがありましたが、好感を持てませんでした)、森本氏の防衛大臣としての手腕に期待したいと思います。

キンタ様
田中氏の場合は知識以前にコミュニケーション能力や常識が欠けていると思われる事が何度かありました。
知識に関しましても自衛隊の憲法合憲解釈を知らないなど法学部学生以下だと思います。

けろりん様
初めまして。今後とも宜しくお願い申し上げます。
確かに新鮮な人事ではあると思いますが、実務の手腕は分からないですね。それでも個人的には専門家としての知識を活用出来ることを期待をしたいと思います。

おはようございます

民主党にしてはマトモな人事をしましたな。一川にしろ田中にしろ、あんな程度のバカが三軍を統轄するのかと思うと…
欲を言えば志方センセと言いたいですが、生憎別の椅子に座っていますから…
鳩山や一川が、やれシビリアンコントロールだの選挙の洗礼が云々言ってるけど…オノレ等に言われんのか!? ですな(-"-;)
大体志方センセにしろ、今度の森本センセにしろ、退役してますから全く問題なしですねぇ。私個人としては、三軍出身者の防相の方が安心です。
ふと思ったんだけど、もしも北のミサイルが我が国の領土や領海に落下したら、田中を始め、民主党のバカ共はどんな責任を取るつもり? 尖閣の漁船体当たり事件よろしく、隠蔽するのでは? と疑いたくなりますな。
民主党から別の党に代わるだろうけど、森本センセは引き続き防相やって欲しいですな。

こんにちは

例え三軍出身でなくても、石破みたいに見識がある、ビジョンがある―って言うのであれば、別に文句もありませんが…(最も防衛官僚がウザがるでしょうが…)
さて、F-35の板で書くべきか迷いましたが…田中がF-35の納期遅れや価格上昇で「見直しも有り得る」発言あったけど…森本防相は、どんな判断を下しますかねぇ(-.-;)

土方氏
北朝鮮のミサイル万が一にも我が国の領土に落下した場合は、その根本的な責任は北朝鮮にあると言えますから、それに対して日本側の政治家が責任を負うのは余程の重過失がない限りは不適切ではないかと私は考えます。

>F-35
既に三月に契約の概要がLockheed Martin社から日本政府に提示され、それに日本側は同意しています。6月中に正式に契約締結予定となっています。その旨は過去記事でも執筆したことがあります。
http://paper-wasp.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/flig-844b.html
Tokyo is expected to approve a letter of agreement for the deal in March, with this document likely to be signed in June, says Stephen O'Bryan, Lockheed vice-president F-35 programme integration and business development.
日本政府は3月に取引の同意書を承認する見通しであり、6月にこの書面は署名されるであろうとLockheed社F-35計画統合事業発展副社長Stephen O'Bryan氏は述べた。

選挙の洗礼うんぬんは全く問題なく、逆に何かあるのでは?と勘繰りされかねない批判になります。
憲法の規定に基づく起用であり、法的な問題は無い。
六法全書の内閣の規定を読み直しなさい。
と言ってしまえば、済んでしまう問題です。
逆に文民=国会議員の根拠は?と、聞かれたら、批判的立場の石破先生達の立場が潰れそうですね。

Suica割様
私も今回の批判は批判の為の批判であると思います。
批判をするのであれば実務面で批判するべきであると私は考えます。

こんにちは

成程、つまり森本防相は閣議決定に従って、粛々と進めるという事でしょうか?
さて、今オスプレイで揺れてますが…そんなに市街地に墜ちたら云々言うんだったら、尚更普天間から辺野古に移設すればいいのにね。バカだらけの民主党に、身内(?)から足を引っ張られて(案の定前原がゴネた)国防計画に、これ以上齟齬が生じなきゃいいんだけど…

土方様

野田内閣の一員ですので、野田内閣の方針に従うのが原則となると思います

おはようございます

二週間前だったかしら…BSフジのプライムニュースに森本防相と石破が出てました。我が国に空母はオーバースペックなのは、以前賢兄の板及び放送で解りましたが…
強襲揚陸艦は如何でしょうかねぇ…竹島や北方領土問題で韓露を睨む以外にも、3.11といった任務にも活用できませんかい?

土方様
>強襲揚陸艦
「強襲揚陸艦」をどの様に定義するかにもよりますが、海自には「おおすみ」型とLCACそして「ひゅうが」級があり、さらに将来的には19500トン型護衛艦が2隻配備されます。ただ北海道、本州、四国、九州の災害に投入するのであれば、隣接地域の陸自のヘリコプターでも対処可能かもしれません。

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