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2012年7月14日 (土)

豪が日本の「そうりゅう」をベースに新型潜水艦の開発を希望


(上の動画はモフィット退役豪海軍大将によるコメント)

「豪新型潜水艦、日本と協力か:三菱重・川重のそうりゅう型導入」との興味深い記事が2012年7月10日(火)のNNAニュースに掲載されました。

 NNAとは同社の公式ホームページの会社概要によりますと「東京、北九州、香港、台湾、上海、北京、広州、大連、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンに現地法人ないし現地事務所を設置。さらに韓国、オーストラリア、英国の会社と提携して、各地の経済ビジネス情報を日本語で提供している。」となっており、「有料サービスを利用する会員企業数は約7,000社(2012年4月) 」であり、代表取締役社長は佐井郁文氏、資本金が2億5,000万円、従業員数はグループ会社全体で162人です。 共同通信が同社に出資をしています。

 この記事によりますと「豪海軍が進めているコリンズ級潜水艦に代わる次世代潜水艦の導入計画(2009年に発表した国防白書で水中排水量が4,000トンを超える大型潜水艦12隻を20年代の終わりまでに導入する必要があると指摘)」に関連し、豪の関係者が海上自衛隊の「そうりゅう」型潜水艦の技術に注目しているとのことです。6月6日~13日に豪州を訪問した杉本海上幕僚長と導入計画の代表を務めるモフィット退役豪海軍大将が「そうりゅう」型潜水艦に搭載されている技術について意見交換を行った旨と、「性能面で、海上自衛隊が配備している潜水艦に強い関心がある。日本との協力による新型潜水艦の導入はオプションの一つだ」とのモフィット退役豪海軍大将のコメントを2012年07月09日付のシドニー・モーニング・ヘラルド紙が報じたと同記事はしています。またNNA社によるこの報道は「日本を訪れていた豪州のカー外相は9日、玄葉外相と会談し、2国間安全保障分野に関する協力関係を確認したもようだ」と締め括っていました。

杉本正彦海上幕僚長の6月6日(水)~13日(水)の豪州出張の事実は海上自衛隊の公式プレスリリースにて確認できます。

幕僚長のご挨拶

 出張の内容に関しましては「アジア・太平洋地域の情勢、海洋安全保障に関する取り組み、今後の防衛協力等について、幅広く意見交換を実施しました」となっており、具体的な内容は書かれていません。

 また記事で触れられていました日豪外相会談も外務省の公式プレスリリースに掲載されていますが、やはり内容が抽象的でした。

日豪外相会談 平成24年7月9日

 そして記事では豪国防省が2009年に発表した国防白書とあります。それは豪国防省の公式ホームページでPDFにてダウンロード可能です。

The 2009 Defence White Paper

 この白書には下記の記述があります。

-------------------------------------------------------------------
The Government intends to replace and expand the current fleet of six Collins class with a more capable class of submarine,(略 同白書13頁)
政府は現行の6隻のコリンズ級の艦隊をより能力の高い船級の潜水艦で代替し拡張する予定である。

The Government will double the size of the submarine force (12 more capable boats to replace the current fleet of six Collins class submarines),(略 同白書64頁)
政府は潜水艦隊の規模を倍増する(現行の6隻のコリンズ級潜水艦の艦隊をより能力の高い12隻の潜水艦で置き換える)

The Future Submarine will have greater range, longer endurance on patrol, and expanded capabilities compared to the current Collins class submarine. It will also be equipped with very secure real-time communications and be able to carry different mission payloads such as uninhabited underwater vehicles.(同白書70頁)
現行のコリンズ級潜水艦と比較し、将来潜水艦はより航続距離が長く、哨戒に於けるより長い持続性、高い能力を有するものとなる。将来潜水艦は安全なリアルタイム通信と無人潜水艇の様な異なった作戦ペイロード運搬可能ともなるであろう。

The Future Submarine will be capable of a range of tasks such as anti-ship and anti-submarine warfare; strategic strike; mine detection and mine-laying operations; intelligence collection; supporting special forces (including infiltration and exfiltration missions); and gathering battlespace data in support of operations.(同白書70頁)
将来潜水艦は対艦、対潜水艦、戦略攻撃;機雷探知、機雷敷設作戦;情報収集;特殊部隊支援(侵入と脱出作戦);作戦支援で戦場データ収集等の任務を遂行することが可能となる。

They require low signatures across all spectrums, including at higher speeds. The Government has ruled out nuclear propulsion for these submarines.(同白書70頁)
将来潜水艦は全ての側面で低い音響を要する;高速であってもである。政府はこれらの潜水艦を原子力とすることを否定した。

For this project to succeed, we need to engage with a number of overseas partners during the design and development phase. In particular, the Government intends to continue the very close level of Australia-US collaboration in undersea warfare capability.(同白書71頁)
この計画が成功する為に、設計及び開発段階で複数の海外とのパートナーと提携する必要がある。海中での戦闘能力に於ける非常に緊密な豪米協力を政府は特に維持する意思である。

-------------------------------------------------------------------881pxhmas_rankin_2007(下の写真はWikipediaよりコリンズ級潜水艦 著作権はPublic Domain クリックで拡大)
 当ブログの2011年04月25日(月)の記事「豪首相が日本との安保関係強化を希望」にてギラード首相が2011年4月22日に都内の日本記者クラブで会見し、日本国自衛隊と豪州軍の装備や人的協力の推進を提唱した旨が一部報道により報じられた旨を執筆しました。今から考えますと彼女はこのことを言っていたのかもしれません。

 そしてNNA社によるこの記事のソースとなったのは2012年07月09日付けのシドニー・モーニング・ヘラルドの記事"Seventy years after deadly raid, Japanese submarines may partner Australian fleet(致死的な急襲の70年後に、日本の潜水艦がオーストラリア艦隊の提携の可能性)です。その中でNNA社の報道にはなかった情報を下記に抜粋し翻訳します。

-------------------------------------------------------------------
The 4200-tonne Soryu is the only new conventional submarine of the size set out in Canberra's 2009 Defence white paper for a new fleet of 12 submarines to replace the navy's existing Collins class from the late 2020s.
4200トンのそうりゅうは規模面で、2020年度後半より現役のコリンズ級潜水艦を置き換える12隻の新型艦隊を求める豪政府の2009年度国防白書の要求を満たす唯一の通常動力潜水艦である。

As well as having a close alliance with the US similar to Australia's, Japan's navy operated in the same Asia-Pacific environment, which was reflected in its submarine design, he said.
オーストラリアに類似した米国との緊密な同盟関係を有し、日本の海上自衛隊は同じアジア太平洋地域で行動しており、潜水艦の設計にも反映されていると彼(筆者注:モフィット退役豪海軍大将)は述べた。

Until the Soryu became theoretically available, off-the-shelf conventional submarines included only European designs of about 2000 tonnes, much smaller with more limited capabilities than the 4000-tonne future subs envisaged in the white paper.
そうりゅうが理論的に利用可能となるまでは、候補の既成の通常動力型潜水艦は約2000トン級の欧州製のみであり、白書で謳われていた4000トン級将来潜水艦よりも小型で能力が限定的であった。

Japan's Soryu is a late entry to the field, with the advantage of having three boats already in service, and three others being built by shipyards Mitsubishi and Kawasaki.
日本のそうりゅうはこの分野へ遅れての参加となるが、3隻が既に配備されており、三菱と川崎の造船所で更に3隻が建造中という利点がある。

(引用及び翻訳終了)
-------------------------------------------------------------------
このシドニー・モーニング・ヘラルド紙の記事にもありますが、そうりゅう級以外の欧州の候補は豪の要求水準を規模面で満たしません。

スペイン製 S-80級 潜航時排水量2426t

スペイン・フランス製 スコルペヌ型潜水艦 潜航時排水量1800t

ドイツ製 214型 2020t

 ただ勘違いしてはならないのは、オーストラリアが導入を計画している将来潜水艦はあくまでオーストラリアの国産となります。その将来潜水艦を開発する上で参考にする潜水艦を探しており、技術上の提携先を模索しているという主旨です。ですので日本のそうりゅう級が選定されたとしても、そうりゅう級そのものが輸出される訳ではありません。そもそも昨年12月に緩和された武器輸出三原則を以てしても潜水艦の輸出は困難と言えるでしょう。それは下記の様な基準であるからです。

(1)装備品の海外移転は平和構築や人道目的に限定(巡視艇やヘルメット、防弾チョッキなど、人を直接殺傷する可能性が低いものに限定)
この基準ですと潜水艦は平和構築や人道目的に該当しないと言えます。

(2)国際共同開発・生産の対象国は同盟国の米国と北大西洋条約機構(NATO)加盟国などの友好国に限定(戦闘機などの国際共同開発・生産への参加)
これは戦闘機やミサイル防衛などの共同開発が念頭にありますが、「そうりゅう」級は我が国が独自に国産で開発したものと言えますから、そうだとしますと「そうりゅう」級そのものはこの基準に該当しません。しかし潜水艦の一部技術を友好国に提供することは出来ると解釈することは可能でしょう。

 その一方で、潜水艦は国家機密の結集とも言えます。オーストラリアの関係者は「そうりゅう」級に関して前述のシドニー・モーニング・ヘラルド紙の記事で下記の通りに述べています。

"The Japanese submarine is out there, but it's an enigma,"
日本の潜水艦は確かにあるが、エニグマである。

"We know more about Russian submarines."
我々はロシアの潜水艦の方を(日本の「そうりゅう」級よりも)知っている。

 例え同盟国であったとしても、潜水艦の技術を提供するか否かは難しい判断と言えるでしょう。

(下の写真はある日に某所で筆者撮影の海自潜水艦 クリックで拡大)Dscf0282

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コメント

>将来潜水艦は対艦、対潜水艦、戦略攻撃;機雷探知、機雷敷設作戦;情報収集;特殊部隊支援(侵入と脱出作戦);作戦支援で戦場データ収集等の任務を遂行することが可能となる。

この文は「そうりゅう」のことを指しているわけではないと思いますが、これに近い能力が「そうりゅう級」にも備えられいるってことでしょうか?

イーグル氏
潜水艦には対艦、対潜水艦、情報収集の能力が備わっています。また4000tともなるとそれなりの潜在的な発展性ないしは将来性を有すると思われます。
少なくともオーストラリアは4000t級であればこれらの作戦遂行能力を付与することは可能と考えている模様です。
そして通常動力型で4000tを現時点で実現したのは日本だけです。オーストラリアはその日本の技術に注目しています。

こんにちは。

「豪海軍、海上自衛隊潜水艦に関心示す
コリンズ級潜水艦の失敗教訓に信頼できる技術をと」
http://nichigopress.jp/ausnews/world/40075/

同じくシドニー・モーニング・ヘラルド紙の報道を受けてのことのようで、「6月には、自衛隊海上幕僚長の杉本正彦海将が訪豪した際に、そうりゅう型潜水艦の技術をオーストラリアに輸出することも話し合われた。」とされています。

これは日本語新聞「日豪プレス」の発行元が運営するオーストラリアでのビジネスなどの情報を発信しているサイトにアップされているのですが、他にこのような情報はありましたでしょうか。

朝雲新聞のサイトでは訪豪での意見交換の事実に触れているだけでしたので、この技術輸出について話し合われたとの内容にはちょっと驚いてしまいました。

まりゅー様
情報提供有難うございます。私の調査不足によりこれ以外の情報を得ることは出来ませんでした。
今回の一連の報道では日本側の反応が報じられていません。オーストラリア発の情報がメインです。オーストラリアからの要請に対して杉本正彦海上幕僚長の反応はどうであったのかがまず興味深いところです。
更に一連の報道はモフィット氏とゼリンスキー代表の訪日に関しても触れています。しかしこの訪日がいつであったのかが分かりません。興味深いことですが、
NNA2012年7月10日(火曜日)報道:「日本を訪問し、そうりゅう型潜水艦を視察している。」(過去形)
シドニー・モーニング・ヘラルド紙2012年7月9日(月)報道:"travel to Japan this month to look at its Soryu-class submarines which came into service three years ago."3年前に配備となったそうりゅう級潜水艦を見る為に今月に日本を訪問する(過去形ではなく、今後の予定)
日豪プレス2012年7月9日(月)報道:「3年前から日本国海上自衛隊のそうりゅう型潜水艦を見学するため、訪日すると報じられている。」(確定していない予定、翻訳ミス?)
とそれぞれ訪日の時期に関する報道が若干異なります。しかしNNAとシドニー・モーニング・ヘラルド紙は訪日をした/する予定であることは確定としています。そうだとしますと日本側から訪問のアポが取れたことを意味します。日本側から訪問のアポが取れたということは、そうりゅうの技術提供に関して日本側は豪を門前払いしなかったことを意味します。むしろ情報提供に関して前向きであると言えます。
そして訪日が行われる時には、今後関係者の動向や意向が公式プレスリリースを含めて報じられる可能性があります。構想が更に具体化・本格化しますと日経新聞や日刊工業新聞からも報道されると思われます。そうしますと、更に具体的な情報が分かると思います。

コリンズ級は初期不良で、改造とかする事になってましたからね。それがトラウマになっているのでしょうか。スウェーデン以外で同規模の排水量の通常潜水艦を開発可能とすれば、他に、ワルラス級を開発したオランダぐらいしかないわけで。フランスのスコルペヌ級、ドイツの214型も一回りは小さいですから、要求性能的には合わないと・・・。オランダがワルラス級の後継をどうするか考えているのか不明ですが、共同開発という手もあるとは思いますね。ドイツとイタリアの212A型のように。オランダは台湾に改ズヴァールドヴィス級の輸出実績がありますね。

興味深い記事でした。

日豪は今年5月に軍事情報保護協定(GSOMIA)を締結しているので、直接武器を輸出せず、技術(情報)を渡すだけなら、相当のことができるはずです。

そうりゅうの技術(情報)を渡すバーターとして、演習場を借りる等の措置が、水面下で交渉されているのかもしれないな、と思いました。

もしも、そうりゅう型ベースの潜水艦をオーストラリアが作るとなったら気になることが…
確か潜水艦の溶接は独特の溶接方法っだたので現地に技術指導員を送るのでしょうけどこの場合は兵器製造に携わることになるのでは?
その辺が武器輸出に引っかかるのか微妙な気がします。
企業の思惑も絡んでくるのでややこしいことになりそうです。

個人的には、オーストラリアはいい防衛関係(おもに中国に対して)を築けそうなので今回の話は興味深いです

キンタ様
私も技術提供や共同開発はドクトリンも一致し要求性能が合致し、外交的立場を共有出来るのであれば前向きに考えて良いと思います。

数多久遠様
豪州とは今後とも提携関係を強化する方向性だと思われますので、色々な計画が水面下で進められているのかもしれませんね。

フラケ様
彼等自身もある程度の技術は有しているとは思われます。彼等は特に4000t級を可能にした日本の推進動力システム、動力に興味を有している模様です。技術者の派遣は製造だけではなく、メンテナンスでも同様のことは言われています。これはUS-2輸出でも同じ課題です。

写真は横須賀か
なんで寄港したんだろうね

それはともかく日本にとってうまみはあるのかな

名無し様
ライセンス料が入りますし、日豪同盟強化の観点からメリットは大きいと考えます。

▼先月、豪のバーク環境・水・人口相が中国を訪問した際、尖閣国有化での発言内容が不透明です。意図的に中国サイドから発信されたといえど、豪の真意を更に見極めるべきです。潜水艦は機密の塊です。その上でのそうりゅうの技術をどうするかを判断すべきだと私は思います。
▼防衛省より次世代潜水艦の構想がでています。個人的には推進は超伝導モーター搭載、攻撃を受けた時の艦内での衝撃緩衝帯としてハイドロゲルであるアクアマテリアルの応用、そして嘘か誠かOHMASA-GAS発電をかってに妄想しております。

清十郎様
はじめまして。今後とも宜しくお願い申し上げます。また返信が遅れまして誠に申し訳まりません。
>豪のバーク環境・水・人口相の中国訪問の際の発言
発言内容が分かりません。中国側が都合の良いように解釈し、発表した可能性があります。
その一方で「潜水艦は機密の塊です。その上でのそうりゅうの技術をどうするかを判断すべき」との件には同意します。

>次世代潜水艦
私はエンジニアではありませんし、不勉強ですので詳しいことは分かりませんが、通常動力型潜水艦は日本が強い分野ですので、是非とも革新的な技術を実現し、静粛性/秘匿性に優れた技術を開発して欲しいところですね。

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