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2012年9月16日 (日)

防衛省平成25年度予算概算要求が公表される

1.はじめに

平成24年8月28日(08時35分~08時39分)の防衛相記者会見で森本防衛大臣は平成25年度の概算要求に関して下記の様に述べています。

「25年度の概算要求の作業を現在行っていますが、その中で、島嶼防衛に必要な水陸両用車のいわゆる参考品の購入というのを現在、計画しています。 それ以外に、潜水艦の増勢を強化するために潜水艦の艦齢を延長すること、あるいはサイバーの専門部隊を新設すること、 それから北朝鮮の事例もありましたので、滞空型無人機を導入することなど、いくつか25年度の概算要求の柱を現在作って作業中です。 細部はまだお話できませんが、大体ほとんど全てが防衛計画の大綱及び中期防に沿った装備体系を導入するという計画で進めております。」

 その後9月7日(金)に防衛省より公式ホームページにて概算要求の概要が掲載されました。総額は4兆6536億円となっています。

平成25年度概算要求の概要(PDF:2.9MB)

 内容は森本防衛大臣の前述の発言にもありますが「防衛計画の大綱及び中期防に沿った装備体系を導入するという計画」です。平成25年度概算要求の概要(PDF:2.9MB)の第2頁(5枚目)に関連性を分かりやすく図解化したものが掲載されています。

H25_gaisan_philosophy

(クリックで画像拡大 以降の画像及び表は特に言及が無い限りは「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)より)

2.航空機関連

 航空機関連は下記の要求内容です(クリックで拡大)。

Photo
 F-35A関連予算が2機で308億円となっており、単純計算で1機当たりの価格が約154億となり、2012年度契約価格(約102億円)の約1.5倍となることから、価格高騰を懸念する報道も散見されました。

「<F35>1機当たりの価格150億円に 防衛省概算要求」(2012年9月4日(火)15時1分配信 毎日新聞)

しかしこの価格差はこの毎日新聞の記事にもあります通り、昨年度の4機は米国から完成機を輸入したのに対し、2013年度契約分から日本の企業が製造に加わる為であり、またF-35Aの製造に習熟していない作業員が参加するため作業効率が低くなり、コストが上昇することに起因するものです。またこの報道によりますと「防衛省は最終組み立て工場の整備経費も概算要求に盛り込む方針」とあります。それに関しましては「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)の第6頁(9枚目)の記述によりますと国内企業参画に伴う初度費として、別途1,168億円を要求するとのことです。

 航空機関連で個人的に興味深く感じましたのは「早期警戒管制機(E-767)の能力向上」でした。「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)の第3頁(6枚目)「現有のE-767の警戒管制能力を向上するため、中央計算装置等の換装及び電子戦支援装置の搭載等の事業に着手」とあります。本事業に関します「平成24年度政策評価書(事前の事業評価)」(PDF)には「島嶼部等の狭い範囲に多数の航空機、艦艇等の混在が予想される事態等において、現有のE-767では脅威情報の判別等に必要な各種能力が十分ではないため、本事業による能力向上が必要である。」、「電子戦支援装置の搭載により、各種脅威の探知及び判別が可能となり、自機への脅威対処及び味方航空機への脅威情報の提供が可能となり、事態対処時の優位性が確保できる。」、「航跡処理能力の向上により、多数の航空機、艦艇等の混在が予想される狭い範囲に おいても適切な対処が可能となる。」との説明があり、また同資料の参考「早期警戒管制機(E-767)の情報処理能力等の向上概要」には図解を見つけることが出来ました(クリックで拡大)。

E767 

 上記以外で空自関連で私が重要と感じたのは「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)の第5頁(8枚目)に那覇基地における早期警戒機(E-2C)の整備基盤の整備(0.7億円)との項目がある事です。その項目には「南西地域においてE-2Cを常時継続的に運用し得る態勢を確保するため、那覇基地において使用する整備器材等を取得」とあります。これは昨年度の概算要求にも記述がありました。将来的にはE-2Cを常時継続的に那覇基地に配備することを視野に入れていると見て良いと思われます。

3.艦船関連

艦船関連は下記の要求となっています(クリックで拡大)。

Photo_2
 今回の艦船関連予算の目玉は25DDと言って良いでしょう。

25dd
「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)には同新型護衛艦の特徴に関しまして「① 諸外国の潜水艦の高性能化及び静粛化に対応するため、対潜探知能力を向上② 低燃費の新型推進形式(COGLAG※)を採用し、ライフサイクルコストを低減」とあります。 低燃費の新型推進形式(COGLAG※)とは本新型DDに関します「平成24年度政策評価書(事前の事業評価)」によりますとCOGLAG:COmbined Gas turbine eLlectric And Gas turbine。低速時はガスタービンエンジン発電機で電動機を動かす電気推進、高速時は電動機とガスタービンエンジンを組み合わせた複合推進で運転する推進形式」とのことです。また25DDと「あきづき型」の比較対比表が参考資料の「主要性能対比表」にあります(クリックで拡大)。25dd19dd この表を見ますと潜望鏡自動探知識別機能ありの対水上レーダーとマルチスタティック機能(複数の護衛艦や対潜ヘリコプター等のソーナーシステムを相互に密接に連携させ目標を捜索)あり水上艦用ソーナーシステムが25DDに追加されている事が「あきづき型」との違いです。

 25DD以外には潜水艦の追加と船体をFRP化した新型掃海艇(690t)型が要求されています。新型掃海艇の機関砲はRWSタイプでしょうか。25ms

4.誘導弾・火器車両、その他陸自関連

誘導弾及び火器・車両等関連は下記の通りの要求内容となっています(クリックで拡大)。

Photo_3

Photo_4 私個人としましては特に注目した案件はありませんでしたが、昨年度予算に於きまして「多用途ガン」と呼称されていたカールグスタフM3が84mm無反動砲(B)と改称されていました。車両関連ではこれ以外にも当記事の冒頭で紹介しました森本防衛大臣の発言にもありました「水陸両用車」が計4両の25億円が計上されています(「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)の第5頁(8枚目)。Aav_3

 これ以外には陸自関連で戦闘装着セットの取得(14,000セット:58億円)と個人用暗視装置の取得(1,000個:8億円)が要求されている旨が「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)の第10頁(13枚目)に記載がありました。与那国島に沿岸監視装置を設置する為と駐屯地建設に必要な各施設の設計及び敷地造成工事等を実施する為の予算も計上されています(「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)の第5頁(8枚目))。Photo_5 

 また(「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)の第15頁(18枚目)にあります射撃位置探知装置(所謂スナイパー探知装置)の取得(1式:1億円)も興味深いです。

Sniper_detection

5.研究開発費関連

 研究開発費は次の通りです(クリックで拡大)。Photo_7

 火力戦闘車は開発費の削減を図るため、99式自走155mmりゅう弾砲の砲部と重装輪回収車の車体部を活用するとの明記があります(第11頁・14枚目)。本事業の「平成24年度政策評価書(事前の事業評価)」によりますと、平成25年度から平成28年度まで試作、技術試験及び実用試験を実施する予定となっています。Photo_10

 新対艦誘導弾は陸自12式地対艦誘導弾とのファミリー化との事です(第7頁・10枚目)。同誘導弾の「平成24年度政策評価書(事前の事業評価)」によりますと、平成25年度から平成28年度まで試作を実施し、平成27年度から平成29年度まで技術試験及び実用試験を実施する予定となっています。Photo_11
 北朝鮮の弾道ミサイル対策としまして滞空型無人機システムの研究(30億円)が要求されていますが、グローバルホーク導入との関連性が分かりません。昨年度同様に第4頁・7枚目に高高度滞空型無人機の運用・維持・整備に係る海外調査が100万円が計上されています。以前にグローバルホークにAIRBOSSを搭載するとの構想があるとの報道もありましたが、この二つのプロジェクトは全く別の模様です。

6.サイバー攻撃等への対処

 サイバー攻撃への対処に212億円の予算が計上され、また「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)では第8頁から第9頁(11枚から12枚)に大きく取り上げられており、防衛省として重視していることが分かります。以前から一部の報道で報じられていましたが、サイバー空間防衛隊(仮称)の新編が要求されました。「防衛省・自衛隊のネットワークの監視及び事案発生時の対処を24時間体制で実施するとともに、各自衛隊に分散しているサイバー攻撃等に関する脅威情報の収集及び調査研究を一元的に行い、その成果を省全体で共有」するとのことです(クリックで拡大)。Cyber_space_defense_unit7.最後に

 全般的に現在日本が直面している防衛上の課題に重点を置いた予算となっていることが分かります。そうだとしますと海自の増強が必須となりますが、艦艇関連の予算を見てみますと艦齢延伸措置の予算が多数計上されており、これは日本の深刻な財政状況により選択肢が狭められていることの裏付けです。

 次の衆議院解散・総選挙はどれ程遅れたとしましても一年以内に実施され、政権の枠組みが大きく変わる可能性があります。その時に日本の防衛政策も現行のそれとは異なっている可能性もあるのです(下の画像はWikipediaの画像を筆者が編集 次の自民党総裁が誰になるかにより、自民党の政権奪還の可能性、日本の安全保障政策は大幅に変わる。安倍元総理と石破前政調会長は決選投票で連携する方向性 )。180pxabe_shinzishiba_shigeru
もう一点ですが離島の実効支配を強化する為には海保の増強も欠かすことが出来ません。老朽化が進んだ海保の巡視船への予算措置も優先するべきと言えるでしょう。

下の各画像は平成2 5 年度 海上保安庁関係 予算概算要求概要より、クリックで画像拡大 巡視艦艇の整備(17隻 [新規8隻 継続9隻])、航空機の整備(18機 [新規3機 継続15機])等が要求されているPhoto_12

Photo_15

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コメント

うわーい!
US-2!US-2!US-2!

 苦しい台所事情なりに練られた概算要求だと思いますが、財務省原案で一体どこまで削られるか考えると戦々恐々です(笑)。
 あと往生際が悪いですが、火力戦闘車とか本当に必要なのか疑問に思います。M777+空中機動の方が本土防衛以外にも使えて良いのではないかと。機動戦闘車開発といい、陸に疎いからか納得できません。

日本酒命様
機会があれば写真を撮って来ます!

だ様
予算の査定時にはまだ政権交代にはなりませんしね。来年度はどうなるかが注目です。解散も「近いうちに」はまだなさそうです。
>火力戦闘車
火力戦闘車ですが、まず防弾が自動装填されるのかどうかです。もし自動装填であれば車両から降りる事なく射撃が可能です。そうであればむしろ99式自走155mmりゅう弾砲とのハイローミックス的な存在なのかもしれませんね。

アシナガバチ様

25DDですが、「世界の艦船」などでは19DDよりもスペックダウンしたロー仕様になるのでは‥という見方が紹介されていましたが、今回の概算要求を見ると、19DDに近い仕様になるようですね。

ただ、問題はこれで数を揃えることができるのか‥という点です。

また、火力戦闘車ですが、この仕様だと重量が増えてしまい海自の輸送艦エレベーターに対応できないという見方があります。

初めまして。いつも勉強させていただいております。
新掃海艦については「世界の艦船」の中期防特集の時にも取り上げられており、今後のファミリー化も考えられているそうですね。事前の事業評価では自走式の機雷処分用弾薬やレーザー・レーダーが採用されると表記されていて海自掃海艦が新しい時代を迎えるのだなと思います。

しかし25DDのヘリ格納庫上のCIWSと煙突の間の凸が気になってしかたありません。

掃海艦はワンショット型機雷処分具(SEAFOXみたいなもの)を装備するようですね。機雷のインテリジェンス化は顕著ですから。機雷処分具そのものが、機雷の被害に遭いかねませんから、ワンショット型の装備というのも一つの流れかなと思います。
スナイパー探知機も対物ライフルとか長射程の物を使われた場合はどうなんでしょうね?

ブリンデン様

>ただ、問題はこれで数を揃えることができるのか‥という点です。


25DD型(仮称)で数を揃える必要はないのでは?
どうせ1桁護衛隊に2隻だけ残ったきり型の更新用ですし

25DDのヘリ格納庫上のCIWSと煙突の間の構造物、あきづき型はFCS-3(4台中2台)が搭載されていたのが形状が異なるので、FSC-3はイージス艦のように艦橋上に4台まとめて搭載するように見えます(ただイメージなので最終的にどうなるかは?ですが)。
私は火力戦闘車の操縦室上に付いているRWSらしきものが気になります。確か以前の予想図にはなかったと思いましたので。

25DDについては
むらさめ型の準同型艦、発展型のたかなみ型のような

あきづき型の準同型艦、発展型の位置づけになるのか気になるところです

ブリンデン様、2012年9月21日 (金) 05時56分様、ぽち様、2012年9月22日 (土) 19時39分
>25DD
最低でも2隻~4隻となりますね。中期防衛力整備計画(平成23年度~平成27年度)では計3隻の予定です。FSC-3はイージス艦のように艦橋上に4台まとめて搭載となうのではないかとの噂が想像図から散見されていますね。スペックのみから判断しますとあきづき型の発展型(若しくは全く異なる?)かもしれません。
>火力戦闘車
砲が自動装填装置と仮定しますと6×6のアーチャー自走榴弾砲が30t、ベースとなる8×8の重装輪回収車が24.8tですね。RWSだとしますと、車内から乗員が車外に下車することを想定しない車両(自動装填装置)の可能性が高くなります。

HAL様、キンタ様
HAL様はじめまして。今後とも宜しくお願い申し上げます。
>新掃海艦
http://www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/seisaku/results/24/jizen/youshi/02.pdf
・危害範囲の外から機雷を探知することが可能な機雷探知機を搭載
・機雷探知機は可変深度式
・爆破能力の増加した自走式機雷処分用弾薬を搭載
が主な特徴の模様ですね。
>スナイパー探知装置
国産で製造元は沖電気工業㈱さんと小松製作所㈱さんの模様です。要求仕様は不明ですが、スナイパー探知の特性から考えましても最低でも1Km級は対処出来ませんと意味がありません。

射撃位置探知装置(1式:1億円)は素人の私にはとても値段が高いと思ってしまいます。もっと安くならないのかと考えてします。

25DDの中期防衛力整備計画(平成23年度~平成27年度)における整備予定は2隻だと思います。確か3隻というのは24DDHを含めた“護衛艦”の数量では。

2012年10月5日(金)03時26分様

はじめまして。今後とも宜しくお願い申し上げます。
価格が高いと感じるとの事ですが、それは同等品と比較してとの事でしょうか。それとも一億円との価格がでしょうか。
大変申し訳ありませんが、私の知識不足と調査不足によりこの価格が適正価格であるかは判断が出来ませんでした。
世界各国のスナイパー探知装置は歩兵が携行するものから、車両に搭載するものまであります。今回の予算に計上されたタイプは後者の模様です。
今回の予算では一式となっていますので、その構成が分からないのも一つにはあります。装置の台数もさることながら、スペアパーツや車両への搭載費用も含まれるのか、それとも装置一式単体なのかも適正価格かどうかの判断材料となります。
また初回ロットで調達数も一式のみという事も考慮に入れる必要があるかもしれません。これが継続調達され、ロットも増加しますと価格は低減する可能性があります。

ぽち様
ご教授有り難うございます。その解釈が正しいと思われます。

質問に答えていただきありがとうございます。装備の調達価格は多面的に考えると、価格が高い、やすいと安易に決める事ができないのですね、とても勉強になりました。

yama様
どういたしまして。今後とも宜しくお願い申し上げます。

火力戦闘車の砲って先進軽量砲システムを使うんじゃないんですか。少しがっかり…

通りすがり様
既存の実績のある技術を活用し、最小限のリスクと予算で開発をするとの主旨だと思われます

ところで今月9日、機動戦闘車の試作車両が公開されるとの事ですが…

通りすがりの者様
確かソース元は某キヨさんでしたよね・・・。実際にお披露目になるのが楽しみですね。

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