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2012年9月

2012年9月28日 (金)

再び美しい国を目指して

(これは自民党公式アカウントによりYouTubeに投稿された2012年9月26日(水)の安倍自民党第25代新総裁の記者会見の動画

 安倍元総理が自民党第25代総裁に選出されました。総裁の再登板は1955年の自民党結党以来初めてとの事です。特に2007年9月に体調不良により総理・総裁を辞職(ソース元:「安倍氏、自民新総裁に…決選投票で石破氏を逆転」2012年9月26日14時46分  読売新聞)したことを考えますと、極めて異例と言えるでしょう。

 党員票も含めました2012年9月26日(水)第25代自民党総裁選挙の第1回投票結果は下記の通りです(ソース元:Twitter 自民党公式アカウント2012年9月26日13:45の投稿)。

石破茂 199票(議員34票/党員165票)
安倍晋三 141票(議員54票/党員87票)
石原伸晃 96票(議員58票/党員38票)
町村信孝 34票(議員27票/党員7票)
林芳正 27票(議員24票/党員3票)

 過半数を獲得した候補が居なかったことから、石破氏と安倍氏の決選投票(党所属国会議員のみによる投票)となり安倍晋三 108票、石破茂 89票との投票結果となり安倍元総理が新総裁に選出されました(ソース元:Twitter自民党公式アカウント2012年9月26日(水)14:16の投稿)。

 首相経験者が総裁に再登板することも前例がありませんが、今回の自民党総裁選の経緯自体も極めて異例づくしと言えるでしょう。そもそも今回は石破氏と石原氏の決選となると見られていました。

 安倍氏が石原氏よりも優位となったのは、石原氏が谷垣総裁を総裁選出馬断念に追い込んだと見られていること、石原氏による「中国は尖閣に攻めてこない」、「福島サティアン」等の度重なる失言や、それに加えて尖閣諸島をめぐる中国への対応など安倍氏の得意とする外交・安全保障分野が総裁選の争点となり、これが安倍・石破両氏への支持を伸ばすこととなったとの分析も一部にはあります。

「自民総裁選、安倍が逆転勝利も!決選投票で石破を制するとの見方」(2012年09月24日 ZAKZAK)

「安倍・石原氏の2位争いが焦点…自民党総裁選」(2012年9月25日10時18分 読売新聞)

 もしこれらの報道にあります分析通りだとしますと、中国と韓国は藪をつついて蛇を出してしまったことになるのです。彼等が強硬な姿勢を貫き尖閣諸島や竹島への対応を深刻化させた事により、結果としまして次期総理の最有力候補である自民党新総裁に強硬派を誕生させる結果を招いてしまったとも言えます。逆に言えば日本側もこれ以上は事態を深刻化させない自制心が要求されるのかもしれません。

 本記事冒頭の記者会見の動画にもあります通り、第一回目投票で石破氏が党員票の過半数を獲得したのにも関わらず、国会議員のみによる決選投票では安倍氏が新総裁に選出された事に対して批判があります。石破氏が党員票の過半数の支持を得たことは私も個人的には高く評価するべきであると考えていますし、また安倍氏は「重く受け止めなければならない。協力することが求められている。来たるべき総選挙を勝ち抜くことができる強力な布陣にしたい」と述べたと報道があります(ソース元:「石破氏と協力強調…安倍新総裁、早期解散要求も。」(2012年9月26日17時58分 読売新聞)。この発言を知った時に石破氏を幹事長ポストに起用する可能性が高いと私は解釈していましたが、実際にその方向性であり、本人も受け入れた模様です。

「安倍氏に敗れた石破氏、自民幹事長に起用へ」(2012年9月27日(木)10時3分配信 読売新聞)

 非常に冷徹な考えかもしれませんが、石破氏が総裁選で地方票の過半数を獲得したのも実力ですが、議員票で伸び悩んだことも彼の実力なのです。そして最終的には勝ち残ったのも安倍新総裁の実力だと言えます。

 それでは安倍新総裁・石破新幹事長の自民党政策は如何なるようなものとなるのでしょうか。読売新聞の記事「自民党総裁選、5氏の立会演説会の発言要旨」(2012年9月14日(金)23時16分)によりますと、その日に自民党本部で行われた総裁選立候補者による立会演説会では安倍氏と石破氏は下記の通り述べています。

安倍晋三氏発言要旨
「尖閣諸島海域に中国の公船が領海侵犯した。日本の領土、領海、国民の命を断固守ると宣言したい。」
「日米同盟をより対等にする。集団的自衛権の行使を認めるよう憲法解釈を変更しなければならない。」
「北朝鮮による拉致問題は、北朝鮮に国際的な圧力をかけ、対話に持ち込むしかない。」
「消費税を上げる前にデフレを脱却しなければならない。」

石破茂氏発言概要
「我が国の主権、領土が脅かされ、税と社会保障、農業、農村もこのまま行けばどうなるとの思いを大勢が持っている。」
「独立主権国家にふさわしい憲法を作る。国家安全保障基本法を作り、集団的自衛権の行使を可能にする。」

 また9月24日午前のTBSの番組では沖縄県の尖閣諸島など離島防衛を念頭に、海兵隊を自衛隊に創設すべきだとの考えを安倍氏と石破氏は示しました(ソース元:「安倍・石破氏「海兵隊を」…石原・林氏は慎重」(2012年9月24日10時55分 読売新聞))。

 安倍新総裁と石破氏では安全保障政策に限りますと非常に共通点が多いことが分かります。しかし安倍新総裁には非常に懸念材料が多いと私個人としては考えます。その旨は当ブログの2012年09月06日(木)の記事「尖閣諸島を如何に防衛すべきか」のコメント欄で2012年09月09日(日)23時39分に述べた事があります。

 特に安倍新総裁の場合は健康上の問題により総理を辞職した過去が私を含め多くの有権者の脳裏に焼き付いています。この件に関しまして安倍新総裁は09年末に国内で発売された新薬が効き、現在は「ほぼ完治した」(ソース元:「安倍新総裁、山登ってアピール「持病ほぼ完治」」(2012年9月27日09時00分 読売新聞))と説明していますが「ほぼ完治」では完治ではありませんから十分ではないかもしれません。

 また参議院に於ける自民党の議席数は過半数に遥かに達しないのです。2012年9月12日現在の参議院の議席配分(総議席:242)は下記の通りとなっています。

民主党 89議席
自民党 83議席
国民新党 3議席
公明党 19議席
新党大地・真民主 2議席
国民の生活が第一 12議席
みんなの党 11議席
共産党 6議席
社民党 4議席
たちあがれ日本 3議席
新党改革 2議席
無所属 8議席

 このデータから自民党と公明党が連立を組んだとしましても過半数には遠く及ばず、例え次期衆議院選挙で自民党が単独で過半数を獲得したとしましても、非常に厳しい政権運営となることが予想されます。それに安倍氏が精神的に耐えられるかなのです。

 今日の日本の政界の混乱の多くは与党が参議院で過半数を有しない事に起因すると私は考えます。この様な状況で首相が指導力を発揮出来る訳がないのです。安倍→福田→麻生→鳩山→菅→野田と政権が短命で変わり続ける悪循環は打ち切るべきだと言えるでしょう。尤もこの状況を生み出したA級戦犯が安倍氏なのですが。

 幸か不幸か衆院解散・総選挙の先送りを主張してきた輿石氏の民主党幹事長の再任で、野田首相が谷垣自民党総裁と交わした「近いうち」の衆院解散の合意が事実上、白紙になるとの見方が有力です(ソース元:「輿石幹事長再選、首相の解散戦略に影響も。」(2012年9月24日09時57分  読売新聞))。そうだとしますと2013年度衆参同時選挙の可能性が高まります。

 若しくは自民・民主・公明の大連立が現段階では最も現実的な選択肢であると個人的には考えます。但しそれは野田総理が旧社民党系と旧小沢派を排除すればとの条件でですが。野田総理の中国脅威論や尖閣の対応はむしろ自民党に近いと考えます。しかし民主党内には旧社民党出身の議員も少なからずおり、それが決断出来ない政治という不幸な状況を生じさせていると私は考えます。

野田首相が26日午後(日本時間27日未明)、ニューヨークで行った記者会見の要旨(2012年9月27日18時46分 読売新聞)
「【尖閣諸島】歴史上も国際法上も我が国固有の領土で、領有権の問題は存在しないというのが(日本政府の)基本だ。そこから後退する妥協はありえない。もともと日本国民が持っていたものを国が買うことにした。あくまで(国内の)所有権移転の問題だ。(日中)関係に悪影響を及ぼさないよう、理性的な、冷静な対応を堅持し、様々なレベル、チャンネルを通じて対話を図りたい。中国国内の邦人や日系企業に攻撃、略奪、破壊行為が行われており、どんな理由があろうと暴力は許されない。」

 安倍新総裁率いる自民党は政権を奪還し、そして日本の為にも安定政権を築き「美しい国」を今度こそ実現出来るか、そのチャレンジは始まったばかりと言えるでしょう。

(下の写真二枚は日本国内の某所である日に筆者にて撮影。 日本は数多くの美しい自然に恵まれている。クリックで画像拡大)120826_095401

120506_105901
(下の写真はある日に筆者にて撮影した名古屋駅。クリックで拡大。日本の国力の根源は経済力にある。強い経済力と世界最先端の技術力を有していればこそ強固な防衛力を実現出来る)111009_151301(下の画像は最近ネットに流出した中国の新型ステルス機J-21かJ-31かF60? J-20より形状が洗練された印象を受ける。これも中国の経済力の賜物と言える。クリックで拡大)New_j60_17_18_212_25_fifth_generati

2012年9月26日 (水)

日米安保は尖閣諸島防衛の抑止力として機能するか

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(上の写真は米国防省の公式サイトに掲載されているErin A. Kirk-Cuomo氏により撮影された9月19日(水)に行われたパネッタ米国防長官と習近平国家副主席の会談 米国防省の方針により画像は配布自由 クリックで画像拡大)

 NHKよる2012年9月21日(金)12時10分の報道「米 中国に“尖閣は日米安保内”と説明」によりますと、アメリカのパネッタ国防長官が9月19日に訪問先の中国で習近平国家副主席と会談した際に、尖閣諸島が日米安保条約の適用範囲内だと直接説明したとのことです。

 この会談に関しましては国防総省の公式サイト掲載記事に概要が記載されているのみで、NHKの報道にあります「尖閣は日米安保内」との発言は掲載されていませんので、その発言は公式の資料では確認出来ません。下記に国防総省の公式サイト掲載記事の一部内容を抜粋し、翻訳を行います。
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Panetta said his message on the topic is consistent to any country claiming disputed territory in the East China Sea or South China Sea: while the United States doesn’t take sides in territorial disputes, “we strongly urge the parties to exercise restraint and to work together to find a peaceful resolution to these issues.”
この件に関するメッセージは東シナ海ないしは南シナ海で領土問題を主張している如何なる国に対するものと一貫しているとパネッタ氏は述べた:米国は領土問題には一方の味方をすることはないが、「我々は関係国に自制と、これらの問題に対する平和的な解決法を見付けるよう互いに努力するよう求める。」

(引用及び翻訳終了)
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 9月20日(木)のアメリカの議会上院に於ける国務省・キャンベル次官補による尖閣諸島が安保条約の適用範囲内であり、それと同時に「対話による平和的な解決を望んでいる」(「尖閣問題 米公聴会で中国の姿勢に懸念の声」日本テレビ系(NNN) 9月21日(金)10時8分配信)との発言とも、このパネッタ国防長官の発言は矛盾しません。領土問題は関係国の話し合いによる解決が最も望ましいのであり、その一方で不幸にも米国の同盟国が「施政の下にある領域」に攻撃を受けた場合はその同盟国との条約上の取り決めにより米国が「共通の危険に対処するよう行動する」のも当然のことなのです。

 この様に米国の政界でも中国の一連の動向に懸念が生じつつあります。それでは米国内の世論は中国をどの様に見ているのでしょうか。日本経済新聞の2012年9月21日10:55分の記事「米世論調査「中国は最も危険な国」」との非常に興味深い記事があります。この記事によりますと

中国は信頼できる国 26%
日本は信頼できる国 62%

「米国に対して最も危険な国」
中国 26%
イラン 16%
北朝鮮 13%

となっています。一般市民1004人と専門家305人が回答しており、沖縄県尖閣諸島を巡る日中間の摩擦が高まる前に実施したとのことです。しかしこの日経新聞この記事名には日本側の若干の願望が含まれているのかもしれません。

 日経新聞の上記記事の「米世論調査」の原本はピュー・リサーチ・センターの公式サイトよりダウンロードが可能です。

U.S. Public, Experts Differ on China Policies (PDF)

この一般市民に対する世論調査は同資料の29頁(37枚目)によりますと、2012年4月30日~2012年5月13日の間に実施され、米国50州と全米50州とコロンビア地区在住の1004人の18歳以上の成人を対象に電話にて無作為で実施されたとしています。

専門家に対する世論調査は同資料の30頁(38枚目)によりますと、2012年5月1日~2012年5月15日の間に実施され、54人の政府関係者、52人の退役軍人、74人の財界首脳、93人の学者、シンクタンク・NGO責任者、32人のマスコミ関係者を対象に実施したとの事です。

この世論調査を見ますと軍事面よりも経済面で中国を競争相手と見ているニュアンスが強いかもしれません。

その一方で日経新聞の紹介にもあります通り、米国にとっての危険な国のトップとして挙げられています。(下の表は同資料の13頁(21枚目)より 、左側の数値は一般世論、右側の数値は分野ごとの専門家の見解の割合を%で表している。中国はトップで一般世論で26%、退役軍人で50%となっている。その一方で財界関係者ではイランを最大の脅威と見る割合が50%で中国は23%となっている)

Countries_representing_greatest_dan
。(下の表は同資料の8頁(16枚目)より 、「どの国が信用出来るか」との設問で左側の数値は一般世論、右側の数値は分野ごとの専門家の見解の割合を%で表している。英国は一般世論で78%、政府関係者と退役軍人で100%となっている。日本は一般世論で62%、政府関係者で96%、退役軍人で100%、財界で94%、学者で96%、マスコミ関係者で100%となっており、政府関係者や退役軍人を含む専門家からの信頼は極めて高い。三位はフランスとなっている)

Most_in_us_trust こういった日本に対する米国の信頼は重要です。信頼関係は結果として同盟関係の強さに繋がります。

 中国は尖閣諸島が日米安保条約の対象となることに反発しており、これが意味することは中国が尖閣諸島が日米安保条約の対象となっていることを恐れていることであり、結論として米国の「尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲内」との方針は抑止力となっているのです。

2012年9月16日 (日)

防衛省平成25年度予算概算要求が公表される

1.はじめに

平成24年8月28日(08時35分~08時39分)の防衛相記者会見で森本防衛大臣は平成25年度の概算要求に関して下記の様に述べています。

「25年度の概算要求の作業を現在行っていますが、その中で、島嶼防衛に必要な水陸両用車のいわゆる参考品の購入というのを現在、計画しています。 それ以外に、潜水艦の増勢を強化するために潜水艦の艦齢を延長すること、あるいはサイバーの専門部隊を新設すること、 それから北朝鮮の事例もありましたので、滞空型無人機を導入することなど、いくつか25年度の概算要求の柱を現在作って作業中です。 細部はまだお話できませんが、大体ほとんど全てが防衛計画の大綱及び中期防に沿った装備体系を導入するという計画で進めております。」

 その後9月7日(金)に防衛省より公式ホームページにて概算要求の概要が掲載されました。総額は4兆6536億円となっています。

平成25年度概算要求の概要(PDF:2.9MB)

 内容は森本防衛大臣の前述の発言にもありますが「防衛計画の大綱及び中期防に沿った装備体系を導入するという計画」です。平成25年度概算要求の概要(PDF:2.9MB)の第2頁(5枚目)に関連性を分かりやすく図解化したものが掲載されています。

H25_gaisan_philosophy

(クリックで画像拡大 以降の画像及び表は特に言及が無い限りは「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)より)

2.航空機関連

 航空機関連は下記の要求内容です(クリックで拡大)。

Photo
 F-35A関連予算が2機で308億円となっており、単純計算で1機当たりの価格が約154億となり、2012年度契約価格(約102億円)の約1.5倍となることから、価格高騰を懸念する報道も散見されました。

「<F35>1機当たりの価格150億円に 防衛省概算要求」(2012年9月4日(火)15時1分配信 毎日新聞)

しかしこの価格差はこの毎日新聞の記事にもあります通り、昨年度の4機は米国から完成機を輸入したのに対し、2013年度契約分から日本の企業が製造に加わる為であり、またF-35Aの製造に習熟していない作業員が参加するため作業効率が低くなり、コストが上昇することに起因するものです。またこの報道によりますと「防衛省は最終組み立て工場の整備経費も概算要求に盛り込む方針」とあります。それに関しましては「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)の第6頁(9枚目)の記述によりますと国内企業参画に伴う初度費として、別途1,168億円を要求するとのことです。

 航空機関連で個人的に興味深く感じましたのは「早期警戒管制機(E-767)の能力向上」でした。「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)の第3頁(6枚目)「現有のE-767の警戒管制能力を向上するため、中央計算装置等の換装及び電子戦支援装置の搭載等の事業に着手」とあります。本事業に関します「平成24年度政策評価書(事前の事業評価)」(PDF)には「島嶼部等の狭い範囲に多数の航空機、艦艇等の混在が予想される事態等において、現有のE-767では脅威情報の判別等に必要な各種能力が十分ではないため、本事業による能力向上が必要である。」、「電子戦支援装置の搭載により、各種脅威の探知及び判別が可能となり、自機への脅威対処及び味方航空機への脅威情報の提供が可能となり、事態対処時の優位性が確保できる。」、「航跡処理能力の向上により、多数の航空機、艦艇等の混在が予想される狭い範囲に おいても適切な対処が可能となる。」との説明があり、また同資料の参考「早期警戒管制機(E-767)の情報処理能力等の向上概要」には図解を見つけることが出来ました(クリックで拡大)。

E767 

 上記以外で空自関連で私が重要と感じたのは「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)の第5頁(8枚目)に那覇基地における早期警戒機(E-2C)の整備基盤の整備(0.7億円)との項目がある事です。その項目には「南西地域においてE-2Cを常時継続的に運用し得る態勢を確保するため、那覇基地において使用する整備器材等を取得」とあります。これは昨年度の概算要求にも記述がありました。将来的にはE-2Cを常時継続的に那覇基地に配備することを視野に入れていると見て良いと思われます。

3.艦船関連

艦船関連は下記の要求となっています(クリックで拡大)。

Photo_2
 今回の艦船関連予算の目玉は25DDと言って良いでしょう。

25dd
「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)には同新型護衛艦の特徴に関しまして「① 諸外国の潜水艦の高性能化及び静粛化に対応するため、対潜探知能力を向上② 低燃費の新型推進形式(COGLAG※)を採用し、ライフサイクルコストを低減」とあります。 低燃費の新型推進形式(COGLAG※)とは本新型DDに関します「平成24年度政策評価書(事前の事業評価)」によりますとCOGLAG:COmbined Gas turbine eLlectric And Gas turbine。低速時はガスタービンエンジン発電機で電動機を動かす電気推進、高速時は電動機とガスタービンエンジンを組み合わせた複合推進で運転する推進形式」とのことです。また25DDと「あきづき型」の比較対比表が参考資料の「主要性能対比表」にあります(クリックで拡大)。25dd19dd この表を見ますと潜望鏡自動探知識別機能ありの対水上レーダーとマルチスタティック機能(複数の護衛艦や対潜ヘリコプター等のソーナーシステムを相互に密接に連携させ目標を捜索)あり水上艦用ソーナーシステムが25DDに追加されている事が「あきづき型」との違いです。

 25DD以外には潜水艦の追加と船体をFRP化した新型掃海艇(690t)型が要求されています。新型掃海艇の機関砲はRWSタイプでしょうか。25ms

4.誘導弾・火器車両、その他陸自関連

誘導弾及び火器・車両等関連は下記の通りの要求内容となっています(クリックで拡大)。

Photo_3

Photo_4 私個人としましては特に注目した案件はありませんでしたが、昨年度予算に於きまして「多用途ガン」と呼称されていたカールグスタフM3が84mm無反動砲(B)と改称されていました。車両関連ではこれ以外にも当記事の冒頭で紹介しました森本防衛大臣の発言にもありました「水陸両用車」が計4両の25億円が計上されています(「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)の第5頁(8枚目)。Aav_3

 これ以外には陸自関連で戦闘装着セットの取得(14,000セット:58億円)と個人用暗視装置の取得(1,000個:8億円)が要求されている旨が「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)の第10頁(13枚目)に記載がありました。与那国島に沿岸監視装置を設置する為と駐屯地建設に必要な各施設の設計及び敷地造成工事等を実施する為の予算も計上されています(「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)の第5頁(8枚目))。Photo_5 

 また(「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)の第15頁(18枚目)にあります射撃位置探知装置(所謂スナイパー探知装置)の取得(1式:1億円)も興味深いです。

Sniper_detection

5.研究開発費関連

 研究開発費は次の通りです(クリックで拡大)。Photo_7

 火力戦闘車は開発費の削減を図るため、99式自走155mmりゅう弾砲の砲部と重装輪回収車の車体部を活用するとの明記があります(第11頁・14枚目)。本事業の「平成24年度政策評価書(事前の事業評価)」によりますと、平成25年度から平成28年度まで試作、技術試験及び実用試験を実施する予定となっています。Photo_10

 新対艦誘導弾は陸自12式地対艦誘導弾とのファミリー化との事です(第7頁・10枚目)。同誘導弾の「平成24年度政策評価書(事前の事業評価)」によりますと、平成25年度から平成28年度まで試作を実施し、平成27年度から平成29年度まで技術試験及び実用試験を実施する予定となっています。Photo_11
 北朝鮮の弾道ミサイル対策としまして滞空型無人機システムの研究(30億円)が要求されていますが、グローバルホーク導入との関連性が分かりません。昨年度同様に第4頁・7枚目に高高度滞空型無人機の運用・維持・整備に係る海外調査が100万円が計上されています。以前にグローバルホークにAIRBOSSを搭載するとの構想があるとの報道もありましたが、この二つのプロジェクトは全く別の模様です。

6.サイバー攻撃等への対処

 サイバー攻撃への対処に212億円の予算が計上され、また「我が国の防衛と予算-平成25年度概算要求の概要-」(PDF:2.9MB)では第8頁から第9頁(11枚から12枚)に大きく取り上げられており、防衛省として重視していることが分かります。以前から一部の報道で報じられていましたが、サイバー空間防衛隊(仮称)の新編が要求されました。「防衛省・自衛隊のネットワークの監視及び事案発生時の対処を24時間体制で実施するとともに、各自衛隊に分散しているサイバー攻撃等に関する脅威情報の収集及び調査研究を一元的に行い、その成果を省全体で共有」するとのことです(クリックで拡大)。Cyber_space_defense_unit7.最後に

 全般的に現在日本が直面している防衛上の課題に重点を置いた予算となっていることが分かります。そうだとしますと海自の増強が必須となりますが、艦艇関連の予算を見てみますと艦齢延伸措置の予算が多数計上されており、これは日本の深刻な財政状況により選択肢が狭められていることの裏付けです。

 次の衆議院解散・総選挙はどれ程遅れたとしましても一年以内に実施され、政権の枠組みが大きく変わる可能性があります。その時に日本の防衛政策も現行のそれとは異なっている可能性もあるのです(下の画像はWikipediaの画像を筆者が編集 次の自民党総裁が誰になるかにより、自民党の政権奪還の可能性、日本の安全保障政策は大幅に変わる。安倍元総理と石破前政調会長は決選投票で連携する方向性 )。180pxabe_shinzishiba_shigeru
もう一点ですが離島の実効支配を強化する為には海保の増強も欠かすことが出来ません。老朽化が進んだ海保の巡視船への予算措置も優先するべきと言えるでしょう。

下の各画像は平成2 5 年度 海上保安庁関係 予算概算要求概要より、クリックで画像拡大 巡視艦艇の整備(17隻 [新規8隻 継続9隻])、航空機の整備(18機 [新規3機 継続15機])等が要求されているPhoto_12

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2012年9月 6日 (木)

尖閣諸島を如何に防衛すべきか

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(上の写真はWikipediaよりAAV-7 著作権はPublic Domain クリックで画像拡大)
日本がAAV-7を導入する方針であることを複数のマスコミが報じました。

「島嶼防衛を強化 陸自に水陸両用車両 導入へ」(2012年8月27日(月)7時55分配信 産経新聞)

「陸自に水陸両用車=南西諸島の防衛強化-防衛省要求」(2012年08月27日(月)20:54 時事通信)

 この件に関しましては平成24年8月28日(08時35分~08時39分)の防衛相記者会見で防衛省の公式方針である事が確認されました。

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Q:一部報道でも出ていますけれども、水陸両用車の導入とかは予算計上が決まりました。 離島防衛がクローズアップされる中で、今後、陸上自衛隊その他自衛隊でどのような施策をお考えでしょうか。

A:25年度の概算要求の作業を現在行っていますが、その中で、島嶼防衛に必要な水陸両用車のいわゆる参考品の購入というのを現在、計画しています。 それ以外に、潜水艦の増勢を強化するために潜水艦の艦齢を延長すること、あるいはサイバーの専門部隊を新設すること、 それから北朝鮮の事例もありましたので、滞空型無人機を導入することなど、いくつか25年度の概算要求の柱を現在作って作業中です。 細部はまだお話できませんが、大体ほとんど全てが防衛計画の大綱及び中期防に沿った装備体系を導入するという計画で進めております。

(引用終了)
-------------------------------------------------------------------
 産経新聞が「侵攻された島嶼部の奪還を前提」としており、また時事通信が「南西諸島の防衛を強化するのが目的」としていますが、森本防衛大臣の公式見解は「参考品の購入」としており、報道とはやや温度差があります。因みに平成23年度8月の「公共調達の適正化について(平成18年8月25日付財計第2017号)に基づく随意契約に係る情報の公表(物品役務等)」には「将来水陸両用車構成要素技術の研究のための調査書(その1)」の項目が見られます(下の表はその項目 クリックで拡大)。

23ekimuzuikeih8 

 それではこういった国産開発の試みがあるのにも拘らず、AAV-7を導入する理由は何でしょうか。業界関係者は下記の通り述べています。
下はkeenedge氏の2012年8月27日0:49のつぶやき クリックで拡大
 

Keenedge20120827049AAV-7仕様
全長 8.161m
全幅3.269m
全高 3.315m
重量 25.652kg
乗員数 3名 + 兵員25名収容
主武装 Mk19 自動擲弾銃×1
副武装 M2 12.7mm重機関銃×1
速度 72.42km/h (地上整地時) 13km/h(水上航行時)
行動距離 483km(地上整地時) 72km(水上航行時)

この動画はYouTubeに投稿されたAAV-7の解説

 

 その一方で尖閣などの離島防衛の観点でAAV-7を導入する事に関しましては、一部で有効性を疑問視する論説も散見されました。南西方面の珊瑚礁をAAV-7で航行するのは困難なのではないかとのことです。

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 上記のつぶやきに関して検証し、確たる結論を出すことの出来る資料は、私の調査不足と力量不足により見付けることは出来ませんでした。しかしその一方で米国海兵隊が2005年2月17日に発行した資料(PDF)にそれに関して記述があります。全部で262頁に及び、全てを読むことは出来ませんが、運用や仕様に関して詳述しており、非常に興味深い資料です。

Employment of Amphibious Assault Vehicles (AAVs) (「水陸両用強襲車(AAVs)の運用」)

この資料の第34頁目にサンゴに関する記述を見つける事が出来ましたので、下記に引用し翻訳します。

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Surf beat is the distinct rise and fall of the mean water level within the surf zone. Surf beat can be of significance to AAVs approaching submerged obstacles such as sandbars or reefs. Normally, surf beat is equal to 10 percent of the breaker height. This quick raising and dropping of almost a foot at times can throw an AAV against a reef hard enough to severely damage the suspension, because reefs can be composed of coral or rock. The damaging effects of surf beat upon a vehicle can be overcome if the tide provides sufficient water depth over the obstacle or if the composition of the sandbar or reef is soft material.
サーフビートとは磯波帯に於ける平均水位の明白な上昇と下落である。サーフビートは砂洲や岩礁などの海中の障害物に接近しているAAVに一大事となり得る。通常サーフビートは砕波高の10%に等しい。岩礁はサンゴや岩で構成されているかもしれない為に、約1フィートの急な上昇や下降は時折サスペンションの深刻な破損になるに足りる程にAAVを岩礁に衝突させる。もし潮が十分な水深を障害物上に提供するか、若しくは砂洲や岩礁の構成が柔軟な物質であれば、強襲車への損傷作用は乗り越えることが可能である。

(引用及び翻訳終了)
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 この資料のこの記述から判断しまして、サンゴ礁がAAVに損傷をもたらし得るのは間違いがないと思われます。逆に言えばこの地域に侵攻する側にも同じことが言えるのかもしれませんが。その一方で十分な水深があれば運用も可能であるとしています。実際にどの程度の水深で、そして潮の満ち引き等のタイミングの要素も今後の検討課題となるでしょう。

 しかしそもそも最も重要なことは離島が敵国により占領されない様にすることです。その為にはどの様にするべきでしょうか。そのヒントが米国内で2012年8月20日にForign Policy誌に掲載されましたJAMES R. HOLMESアメリカ海軍大学准教授に掲載された下記の記事です。

The Sino-Japanese Naval War of 2012 (2012年の日中海戦) 第1頁

The Sino-Japanese Naval War of 2012 (2012年の日中海戦) 第2頁

 この論文は尖閣諸島を巡り日本単独で中国と戦争となった場合は、装備の質、隊員の練度から日本の勝利に終る可能性が高いとしています。その中でも個人的に興味深いと感じた点を引用し翻訳します。

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Consider the Senkakus, the hardest assets to defend from the Japanese standpoint. They lie near the southwestern tip of the Ryukyu chain, closer to Taiwan than to Okinawa or Japan's major islands. Defending them from distant bases would be difficult. But if Japan forward-deployed Type 88 ASCMs -- mobile, easily transportable anti-ship weapons -- and missile crews to the islets and to neighboring islands in the Ryukyu chain, its ground troops could generate overlapping fields of fire that would convert nearby seas into no-go zones for Chinese shipping. Once dug in, they would be tough to dislodge, even for determined Chinese rocketeers and airmen.
日本側からして防衛が最も困難である尖閣諸島を考える。尖閣は琉球諸島の南西先端にあり、沖縄ないしは日本本土よりも台湾に近い。遠く離れた基地から防衛するのは難しい。しかしもし日本が前線に可搬式で用意に輸送が可能な対艦兵器である88式地対艦誘導弾と、琉球諸島の近隣の島々にその要員を配備したとしたら、その地上部隊は中国海軍にとって近隣の海域を侵入不可の区域とする多重層の火力を構築するであろう。塹壕にすれば、士気の高い中国軍のロケット部隊と空軍にとっても撃退は困難であろう。

Whoever forges sea, land, and air forces into the sharpest weapon of sea combat stands a good chance of prevailing. That could be Japan if its political and military leaders think creatively, procure the right hardware, and arrange it on the map for maximum effect. After all, Japan doesn't need to defeat China's military in order to win a showdown at sea, because it already holds the contested real estate; all it needs to do is deny China access.
海空陸軍を海戦での最も優位な兵器として編成した国が勝利する可能性が高い。 もし政治と軍事の上層部が創造的に考慮し、適切な装備を発注し、最大の効果を生むように地理的に配備すれば、それは日本となるかもしれない。日本は既に問題の不動産を有効支配しており、結局のところ、海上での対決に勝つ為に日本は中国軍を打ち負かす必要はない。日本側は中国の接近を阻止すれば良いだけである。

(引用及び翻訳終了)
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 周辺の離島に移動式の対艦誘導弾等を配備し、掩体壕を設ければ南西諸島方面が難攻不落の要塞となることをこの論文は示唆しています。対艦ミサイル以外に防空網も構築することが必須となるでしょう。またそれらを防護する掩体や秘匿する工夫もです。しかしそれは逆に言えば敵側に南西方面を奪われ同様の措置を講じられた場合は日本の奪還が困難になることも意味します。

 この論文にもあります通り、米側の日本の88式地対艦誘導弾に対する評価は高いものです。一部の未確認情報によりますと「SSM-1は米海軍のポイント・マグー・ミサイル射場で発射試験を行ったが、極めて小さな洋上目標に全弾が命中した。その中には米国側によって高度な電波妨害が施された場合も含まれ、米国側に衝撃を与えたと言われている。」とのエピソードもあります。

(下の写真は陸上自衛隊パンフレットより88式地対艦誘導弾とその改良型の12式地対艦誘導弾 クリックで画像拡大)Type_88_ssm

Type_12_ssm_2 現在はA2AD(接近阻止・領域拒否)への対処が課題となっていますが、南西諸島に同様の体制を整えることにより、日本は南西諸島の防衛力・抑止力を高めることが出来るかもしれません。

2012年9月 1日 (土)

日本が滞空型無人偵察機の導入を本格検討開始か

 2012年8月19日(日)10時18分に毎日新聞が「<無人偵察機>16年度以降、日本も導入 中国警戒監視で」と報じました。 この記事によりますと「政府は」、海洋活動を活発化させている中国に対する警戒監視を強化する為に次期中期防衛力整備計画(16~20年度)期間中にグローバルホークを3機と情報解析装置1基を数百億円かけて導入し、導入後はグアムに配備して米軍と共同運用する方向で検討するとの事です。

 この記事にあります「情報解析装置1基」とは以前の記事にて執筆しましたミッションコントロール部隊(MCE)のことでしょうか。グローバルホークはコンテナ内の司令部からコントロールされます。一つの司令部で3機までコントロールが可能です。
(下の画像二つはNorthrop Grumman社のグローバルホークの公式パンフレットより-PDF-、クリックで画像拡大 一つ目の画像は運用方法の概略、二つ目の画像はコンテナを利用した司令部)Global_hawk

Mcelre

この動画はYouTubeに投稿されたグローバルホークの性能を大まかに説明するNorthrop Grumman社制作の動画)

今回の記事には「政府は」とありますが、この「政府」というのがどの政府機関のどのレベルを指すのかが明白ではありません。防衛省内部での検討事項に留まっているのか、それとも官邸(政府首脳)の方針なのかがこの記事では情報不足です。

 日本がグローバルホークの導入を検討しているとの報道は過去にも幾度かあり、私もそれに関して記事を執筆したことが何度かありました。

 「米国製無人偵察機、3機導入へ 中国や北朝鮮想定」(2010年10月 9日 (土))では2010年10月04日の共同通信と2010年09月24日のAviation Weekの記事の内容を比較し、共同通信では3機導入となっているのに対してAviation Weekの報道では4機導入となっていること、またAviation Weekの記事では日本がグローバルホークにAIRBOSSを搭載する構想について言及している旨を私は執筆しています。

 「東日本大震災で米空軍のグローバルホークが偵察活動」(2011年3月20日(日))の記事ではグローバルホークの仕様をNorthrop Grumman社のグローバルホークの公式パンフレットに基づき紹介し、その上で福島第一原発の偵察活動で「グローバルホークの有効性が実証されれば、日本がグローバルホーク導入を検討する上で大きな判断材料となる」と述べました。

 その後に米軍の無人偵察機グローバルホークで原発の状況を把握した経緯を踏まえ、無人機の研究を本格化させるよう菅直人首相が指示したことにより、防衛省が無人機やロボットの研究と開発を本格化させた旨を二件の記事で執筆しています。

「防衛省が無人機、ロボット、ATD-X機体の開発を本格化へ」(2011年8月23日 (火))

「防衛省、無人機とロボット購入へ 震災教訓、有事投入も」(2011年9月17日 (土))

 その流れを踏まえて考えますと、今回の毎日新聞の報道にある「政府」とは、官邸も含めたものかもしれません。

 また今回の毎日新聞の報道には、「日米両政府は今月3日、ワシントンで森本敏防衛相とパネッタ国防長官が会談し、無人機を含め共同の警戒監視活動について検討を深めることで合意した。」とあります。その会談の際の共同記者会見は防衛省の公式プレスリリースにて確認することが可能です。

「日米防衛相共同記者会見概要」平成24年8月4日(04時37分~05時03分)
森本大臣「滞空無人機に関する日米間の協力を含め、日米共同の警戒監視活動をどのようにするのかということについても検討していこう、ということを話し合ったところです。」

 日本のグローバルホーク導入の動向は一進一退を繰り返しています。今回の毎日新聞の報道も次期中期防衛力整備計画(16~20年度)期間中にグローバルホークを3機と情報解析装置1基を数百億円かけて導入し、導入後はグアムに配備して米軍と共同運用する方向で検討するとのことですので、検討しましたが導入しないとの結論に達することもあり得ます。そういった意味では従来の報道や動向から何ら進展はないとも言えるのです。

 その一方で平成24年8月28日(08時35分~08時39分)の防衛相記者会見では下記の受け答えがありました。
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Q:一部報道でも出ていますけれども、水陸両用車の導入とかは予算計上が決まりました。 離島防衛がクローズアップされる中で、今後、陸上自衛隊その他自衛隊でどのような施策をお考えでしょうか。

A:25年度の概算要求の作業を現在行っていますが、その中で、島嶼防衛に必要な水陸両用車のいわゆる参考品の購入というのを現在、計画しています。 それ以外に、潜水艦の増勢を強化するために潜水艦の艦齢を延長すること、あるいはサイバーの専門部隊を新設すること、 それから北朝鮮の事例もありましたので、滞空型無人機を導入することなど、いくつか25年度の概算要求の柱を現在作って作業中です。 細部はまだお話できませんが、大体ほとんど全てが防衛計画の大綱及び中期防に沿った装備体系を導入するという計画で進めております。

(引用終了)
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上記の森本防衛大臣のコメントは平成25年度の防衛予算の方向性の一部を明らかにしたものであり大変興味深いものです。
 

 しかしもう一点の不安材料としまして米空軍がグローバルホーク Block 30の調達中止を検討していることがあります。その件に関しましては当ブログの記事でも執筆したことがありました。

2013年度米国防予算が日本に与える影響 2012年1月29日 (日)

 2010年9月24日のAviation Weekの記事では日本が導入する有力候補はBlock 30であるるとしていました。もしBlock 30の調達が打ち切られた場合は、日本が導入するのはBlock 40となるのでしょうか。しかしBlock 30とBlock 40では運用思想が異なる模様です。その旨は2010年08月16日のFlightglobalの記事に下記の通りに記載があります。
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"There's the Block 30 and the U-2, and there we're looking at a big I [for intelligence], a little S and a big R for reconnaissance," he says. "But when you're talking about Block 40, that's big I, big S, little R.
「Block30とU-2はI(intelligence)に重点をおき、Sにはそれ程重点はなく、偵察であるRに 重きをおく」と彼(Northlop社Walby氏)は述べる。「しかしBlock40ということであれば、IとSに重点があり、Rはほぼない」
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この記事のIとはintelligence(インテリジェンス)、Sがsurveillance(監視)、Rはreconnaissance(偵察)です。

 若しくはこの「グローバルホーク」とは米海軍向けに開発中のMQ-4C Tritonのことでしょうか。そうであれば領海の警戒監視には最適です。Bams2 (上の画像は米海軍航空システム司令部公式ホームページよりBAMS UAS, 米政府の方針により配布自由,クリックで画像拡大)

このYouTube動画Northrop Grumman公式アカウントにより投稿されたMQ-4C Tritonの紹介動画

米海軍航空システム司令部公式ホームページBAMS UASにMQ-4C Tritonの仕様が掲載されています。

仕様
基本任務:継続的海洋ISR
請負者:Northrop Grumman
推進:Rolls-Royce AE3007H
継続性:30時間
全長:47.6フィート(14.5メートル)
翼幅:130.9フィート(39.9メートル)
高さ:15.3フィート(4.7メートル)
重量:最大設計総離陸重量:32,250ポンド(14,628.4Kg)
速度:310ノット(約357マイル毎時)
上昇限界:60,000フィート(18,288メートル)
航続距離:9,950海里未満(18,427キロメートル未満)燃料無補給最大航続距離
乗員:地上に4名(操縦士、司令官、センサーオペレーター2名)
ペイロード:通信中継能力、見通し線外及び見通し線通信及び360°動眼視野(FOR)センサー、多機能アクティブセンサー(MFAS)海洋レーダー、電子光学/赤外線(EO/IR)センサー、自動識別センサー(AIS)受信機及び電子支援手段(ESM)

 グローバルホークの運用主体が何処になるのかも影響されます。もし空自が運用するのであれば、米空軍向けのRQ-4Bのいずれかになりますが、情報本部の管轄であれば必ずしも米空軍が運用する機体と同一にはならないかもしれません。

 また今回の記事では「防衛省は有人機のP3C哨戒機やRF4E偵察機で日本周辺の警戒監視を行っているが」とRF4Eに関して言及もありました。しかし滞空型無人偵察機と戦闘機ベースの強行偵察では想定されている運用が根本的に異なります。滞空型無人偵察機は撃墜される危険性が比較的低い状況(平時の警戒監視、災害時の情報収集、戦闘機や対空火器を有しない武装勢力の監視)での運用に対して、戦闘機ベースの偵察機は有事や脅威度の高いターゲットに対して偵察を強行することも可能となる機体です。RF4Eの後継問題も早急に結論を出す必要があります。その為には今回のグローバルホーク導入問題と兼ね合わせて何を重視するのか、どういった運用構想を考えているのか明白化する必要があると言えでしょう。

 航空自衛隊が昨年12月に導入を決定したF-35Aはセンサー融合とデータリンクによりISR能力も有します。ステルス性により生存性も高いと言えるでしょう。F-4EJの後継としてだけではなく、RF-4Eの後継としてもF-35Aの追加導入を検討しても良いかもしれません。

このYouTube動画Northrop Grumman公式アカウントにより投稿されたF-35のAPG-81 AESAレーダーの紹介動画

このYouTube動画Northrop Grumman公式アカウントにより投稿されたF-35のAN/AAQ-37 EO DASの紹介動画

このYouTube動画F35 JSF Videosにより投稿されたF-35のEOTSの紹介動画

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