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« 2012年8月の一連の竹島・尖閣諸島問題に思うこと | トップページ | 尖閣諸島を如何に防衛すべきか »

2012年9月 1日 (土)

日本が滞空型無人偵察機の導入を本格検討開始か

 2012年8月19日(日)10時18分に毎日新聞が「<無人偵察機>16年度以降、日本も導入 中国警戒監視で」と報じました。 この記事によりますと「政府は」、海洋活動を活発化させている中国に対する警戒監視を強化する為に次期中期防衛力整備計画(16~20年度)期間中にグローバルホークを3機と情報解析装置1基を数百億円かけて導入し、導入後はグアムに配備して米軍と共同運用する方向で検討するとの事です。

 この記事にあります「情報解析装置1基」とは以前の記事にて執筆しましたミッションコントロール部隊(MCE)のことでしょうか。グローバルホークはコンテナ内の司令部からコントロールされます。一つの司令部で3機までコントロールが可能です。
(下の画像二つはNorthrop Grumman社のグローバルホークの公式パンフレットより-PDF-、クリックで画像拡大 一つ目の画像は運用方法の概略、二つ目の画像はコンテナを利用した司令部)Global_hawk

Mcelre

この動画はYouTubeに投稿されたグローバルホークの性能を大まかに説明するNorthrop Grumman社制作の動画)

今回の記事には「政府は」とありますが、この「政府」というのがどの政府機関のどのレベルを指すのかが明白ではありません。防衛省内部での検討事項に留まっているのか、それとも官邸(政府首脳)の方針なのかがこの記事では情報不足です。

 日本がグローバルホークの導入を検討しているとの報道は過去にも幾度かあり、私もそれに関して記事を執筆したことが何度かありました。

 「米国製無人偵察機、3機導入へ 中国や北朝鮮想定」(2010年10月 9日 (土))では2010年10月04日の共同通信と2010年09月24日のAviation Weekの記事の内容を比較し、共同通信では3機導入となっているのに対してAviation Weekの報道では4機導入となっていること、またAviation Weekの記事では日本がグローバルホークにAIRBOSSを搭載する構想について言及している旨を私は執筆しています。

 「東日本大震災で米空軍のグローバルホークが偵察活動」(2011年3月20日(日))の記事ではグローバルホークの仕様をNorthrop Grumman社のグローバルホークの公式パンフレットに基づき紹介し、その上で福島第一原発の偵察活動で「グローバルホークの有効性が実証されれば、日本がグローバルホーク導入を検討する上で大きな判断材料となる」と述べました。

 その後に米軍の無人偵察機グローバルホークで原発の状況を把握した経緯を踏まえ、無人機の研究を本格化させるよう菅直人首相が指示したことにより、防衛省が無人機やロボットの研究と開発を本格化させた旨を二件の記事で執筆しています。

「防衛省が無人機、ロボット、ATD-X機体の開発を本格化へ」(2011年8月23日 (火))

「防衛省、無人機とロボット購入へ 震災教訓、有事投入も」(2011年9月17日 (土))

 その流れを踏まえて考えますと、今回の毎日新聞の報道にある「政府」とは、官邸も含めたものかもしれません。

 また今回の毎日新聞の報道には、「日米両政府は今月3日、ワシントンで森本敏防衛相とパネッタ国防長官が会談し、無人機を含め共同の警戒監視活動について検討を深めることで合意した。」とあります。その会談の際の共同記者会見は防衛省の公式プレスリリースにて確認することが可能です。

「日米防衛相共同記者会見概要」平成24年8月4日(04時37分~05時03分)
森本大臣「滞空無人機に関する日米間の協力を含め、日米共同の警戒監視活動をどのようにするのかということについても検討していこう、ということを話し合ったところです。」

 日本のグローバルホーク導入の動向は一進一退を繰り返しています。今回の毎日新聞の報道も次期中期防衛力整備計画(16~20年度)期間中にグローバルホークを3機と情報解析装置1基を数百億円かけて導入し、導入後はグアムに配備して米軍と共同運用する方向で検討するとのことですので、検討しましたが導入しないとの結論に達することもあり得ます。そういった意味では従来の報道や動向から何ら進展はないとも言えるのです。

 その一方で平成24年8月28日(08時35分~08時39分)の防衛相記者会見では下記の受け答えがありました。
-------------------------------------------------------------------
Q:一部報道でも出ていますけれども、水陸両用車の導入とかは予算計上が決まりました。 離島防衛がクローズアップされる中で、今後、陸上自衛隊その他自衛隊でどのような施策をお考えでしょうか。

A:25年度の概算要求の作業を現在行っていますが、その中で、島嶼防衛に必要な水陸両用車のいわゆる参考品の購入というのを現在、計画しています。 それ以外に、潜水艦の増勢を強化するために潜水艦の艦齢を延長すること、あるいはサイバーの専門部隊を新設すること、 それから北朝鮮の事例もありましたので、滞空型無人機を導入することなど、いくつか25年度の概算要求の柱を現在作って作業中です。 細部はまだお話できませんが、大体ほとんど全てが防衛計画の大綱及び中期防に沿った装備体系を導入するという計画で進めております。

(引用終了)
-------------------------------------------------------------------
上記の森本防衛大臣のコメントは平成25年度の防衛予算の方向性の一部を明らかにしたものであり大変興味深いものです。
 

 しかしもう一点の不安材料としまして米空軍がグローバルホーク Block 30の調達中止を検討していることがあります。その件に関しましては当ブログの記事でも執筆したことがありました。

2013年度米国防予算が日本に与える影響 2012年1月29日 (日)

 2010年9月24日のAviation Weekの記事では日本が導入する有力候補はBlock 30であるるとしていました。もしBlock 30の調達が打ち切られた場合は、日本が導入するのはBlock 40となるのでしょうか。しかしBlock 30とBlock 40では運用思想が異なる模様です。その旨は2010年08月16日のFlightglobalの記事に下記の通りに記載があります。
-------------------------------------------------------------------
"There's the Block 30 and the U-2, and there we're looking at a big I [for intelligence], a little S and a big R for reconnaissance," he says. "But when you're talking about Block 40, that's big I, big S, little R.
「Block30とU-2はI(intelligence)に重点をおき、Sにはそれ程重点はなく、偵察であるRに 重きをおく」と彼(Northlop社Walby氏)は述べる。「しかしBlock40ということであれば、IとSに重点があり、Rはほぼない」
-------------------------------------------------------------------
この記事のIとはintelligence(インテリジェンス)、Sがsurveillance(監視)、Rはreconnaissance(偵察)です。

 若しくはこの「グローバルホーク」とは米海軍向けに開発中のMQ-4C Tritonのことでしょうか。そうであれば領海の警戒監視には最適です。Bams2 (上の画像は米海軍航空システム司令部公式ホームページよりBAMS UAS, 米政府の方針により配布自由,クリックで画像拡大)

このYouTube動画Northrop Grumman公式アカウントにより投稿されたMQ-4C Tritonの紹介動画

米海軍航空システム司令部公式ホームページBAMS UASにMQ-4C Tritonの仕様が掲載されています。

仕様
基本任務:継続的海洋ISR
請負者:Northrop Grumman
推進:Rolls-Royce AE3007H
継続性:30時間
全長:47.6フィート(14.5メートル)
翼幅:130.9フィート(39.9メートル)
高さ:15.3フィート(4.7メートル)
重量:最大設計総離陸重量:32,250ポンド(14,628.4Kg)
速度:310ノット(約357マイル毎時)
上昇限界:60,000フィート(18,288メートル)
航続距離:9,950海里未満(18,427キロメートル未満)燃料無補給最大航続距離
乗員:地上に4名(操縦士、司令官、センサーオペレーター2名)
ペイロード:通信中継能力、見通し線外及び見通し線通信及び360°動眼視野(FOR)センサー、多機能アクティブセンサー(MFAS)海洋レーダー、電子光学/赤外線(EO/IR)センサー、自動識別センサー(AIS)受信機及び電子支援手段(ESM)

 グローバルホークの運用主体が何処になるのかも影響されます。もし空自が運用するのであれば、米空軍向けのRQ-4Bのいずれかになりますが、情報本部の管轄であれば必ずしも米空軍が運用する機体と同一にはならないかもしれません。

 また今回の記事では「防衛省は有人機のP3C哨戒機やRF4E偵察機で日本周辺の警戒監視を行っているが」とRF4Eに関して言及もありました。しかし滞空型無人偵察機と戦闘機ベースの強行偵察では想定されている運用が根本的に異なります。滞空型無人偵察機は撃墜される危険性が比較的低い状況(平時の警戒監視、災害時の情報収集、戦闘機や対空火器を有しない武装勢力の監視)での運用に対して、戦闘機ベースの偵察機は有事や脅威度の高いターゲットに対して偵察を強行することも可能となる機体です。RF4Eの後継問題も早急に結論を出す必要があります。その為には今回のグローバルホーク導入問題と兼ね合わせて何を重視するのか、どういった運用構想を考えているのか明白化する必要があると言えでしょう。

 航空自衛隊が昨年12月に導入を決定したF-35Aはセンサー融合とデータリンクによりISR能力も有します。ステルス性により生存性も高いと言えるでしょう。F-4EJの後継としてだけではなく、RF-4Eの後継としてもF-35Aの追加導入を検討しても良いかもしれません。

このYouTube動画Northrop Grumman公式アカウントにより投稿されたF-35のAPG-81 AESAレーダーの紹介動画

このYouTube動画Northrop Grumman公式アカウントにより投稿されたF-35のAN/AAQ-37 EO DASの紹介動画

このYouTube動画F35 JSF Videosにより投稿されたF-35のEOTSの紹介動画

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コメント

国内では無人機の航行には制約があると思いますが、この種偵察機には制約が無いのでしょうか?
それならTACOMも本格的に運用できるハズなんですが・・・・

瓢箪様
返信が遅くなり誠に申し訳ありませんでした。今後とも宜しくお願い申し上げます。
無人機を航空法上どの様に解釈するかに関しましては実務レベルに於きましてまだ結論が出ておりません。そこでグアムに拠点を置き、グアムからの運用との方式を今回は検討していると考えられます。

ありがとうございました

瓢箪様
こちらこそコメント有り難うございました。

どうもこんにちは、記事の内容とは直接関係ないのですが、防衛省が来年度予算の概算要求で無人偵察機の開発の予算を計上するというニュースを見ました。そこで私は気になる点がいくつかあったので投稿させて頂きます。

このニュースは米軍の無人偵察機を導入せずに日本独自で開発していくと見て良いのでしょうか?それとも日本独自の開発と、米国の無人機導入の両方の計画を一緒に進めていくのでしょうか?とても気になります。

あと日本が独自で無人機を開発するとなれば、ますますサイバー・通信セキュリティに力を入れなけれた方がいいのかなと思います。


ニュースもと、http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121103-OYT1T00992.htm?from=top

yama様
こんにちは。
国産の滞空型無人機システムの研究(30億円)に関しましては、2012年9月16日 (日)の記事「防衛省平成25年度予算概算要求が公表される」でも執筆しました。
http://paper-wasp.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/25-5902.html
この日本独自の滞空型無人機は弾道ミサイル捕捉を主眼とした赤外線センサーを搭載した期待となる模様です。
もう一方のグローバルホーク導入に関しましてはあくまでも地上目標や海洋監視を主任務とするものであり、従いましてこの二つのプロジェクトは全く主旨が異なると私は解釈しています。

それぞれ別の運用目的があったんですね。
返信ありがとうございます

yama様
どういたしまして。TRDIの平成25年度概算要求の概要にも同機の運用構想が描かれていましたので、もし宜しければどうぞ。
http://www.mod.go.jp/trdi/org/pdf/25yosan.pdf

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