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2012年11月

2012年11月20日 (火)

FPS-7レーダーの探知能力は430km以上?

 Defense Newsの2012年11月12日(月)付けの記事"In Asia, C4ISR Market Is Growing ( アジアにてC4ISR市場が成長中 )"で非常に興味深い記述があります。それは下記の文脈です。
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In terms of its island radar chains, the military is asking for 4.5 billion yen to upgrade its FPS-20 general surveillance radar in Kyushu Island, southern Japan, to an FPS-7. The upgraded version has a search altitude of 100,000 feet and a range of 270 miles, while the existing version has a range of 200 miles.
列島のレーダー網に関しては、自衛隊は日本南部にある九州のFPS-20監視レーダーをFPS-7に改修する為に45億円を要求している。現行のレーダー(FPS-20)は200マイルの探知能力であるのに対し、改良型(FPS-7)は100,000フィートの高度と270マイルの探知能力がある。

(引用及び翻訳終了)
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確かに防衛省「平成25年度概算要求の概要」の1「 実効的な抑止及び対処」(第3頁6枚目から)の(1)「周辺海空域の安全確保」で「警戒監視能力の強化」の項目の中で、高畑山のFPS-20レーダーをFPS-7レーダーに換装する計画が掲載されています。承認された場合の予算は45億円です。高畑山分屯基地(たかはたやまぶんとんきち)とは、宮崎県串間市大字本城4に所在しています。下の画像はGoogle Mapから宮崎県串間市大字本城4です。


大きな地図で見る

(下の画像は防衛省「平成25年度概算要求の概要」より クリックで画像拡大)

Fps7(下の画像は高畑山より半径270マイル=432kmの円を描いたもの 地図は「地図に円を描く」のサイトで制作 クリックで画像拡大)Jasdf_takahatayama_sub_base

 また平成24年度の防衛予算では鹿児島県の沖永良部島分屯基地(おきのえらぶじまぶんとんきち)のレーダーをFPS-7に換装する為の予算が計上されており、この記事の記述が正確であるとするならば、換装された後の探知能力は下の地図の通りとなります(同じく「地図に円を描く」のサイトで制作 クリックで画像拡大)。Jasdf_okinoerabujima_sub_base
 そしてこの下の地図は二つの地図を重ねたものです(同じく「地図に円を描く」のサイトで制作 クリックで画像拡大)。Takahatayama_okinoerabujima
 この記事のFPS-7の性能に関する記述は非常に興味深いものではありますが、一般公開されている資料ではFPS-7の性能に言及したものは無い筈です。それではFPS-7の探知能力が高度100,000フィート、270マイルとしているのは何が根拠なのでしょうか。そしてこの数値はあくまで公開しても差し支えない範囲であり、これよりも更に性能が優れている可能性も当然あります。

 このDefense Newsの記事を執筆したのはDefense News紙のWENDELL MINNICK氏です。この記者に関しまして調べてみましたところ、2006年よりDefense News紙アジア支局の責任者と紹介ページでは記述されています。

Wendell Minnick, Asia Bureau Chief, Defense News

 また2000年から2006年の間はJane's Defence Weekly紙の台湾特派員だったとも紹介ページに書かれていました。アジアの軍事情勢を20年間に亘り専門にしており、900の記事を執筆したとのことです。

 この紹介ページの一番下にメールフォームがあります。そこで私はFPS-7の性能をどこで知ったのか聞いてみることにしました。私は返信があることは期待をしていませんでした。無名の何処の誰とも分からない私でしたし、またニュースソースの秘匿も当然重要であるからです。

 しかし驚いたことに、日本時間の2012年11月19日(月)11:42分に返信がありました。しかしやはりこの件に関しては具体的な回答はありませんでした。しかし「プレゼント」があり、日本のレーダーに関する歴史、予算、政策などの論文をPDFで頂きました。

 今後も南西諸島の防衛力構築は進んでいくものと思われ、その動向を注視していきたいと思います。

2012年11月15日 (木)

ソフトイーサー株式会社が遠隔操作ウイルスの通信記録・プロセス起動記録ソフトを開発し無償リリース

 遠隔操作型ウイルスに感染したパソコンから犯行予告が相次いで書き込まれ、警察が事件に関連して男性4人を誤認逮捕し、真犯人の特定が困難な状況が続いています。

「「犯行声明」 別のPCも操作示唆、被害者は5人に」事件発生経緯一覧表(2012年10月17日 00:17)

 所謂「踏み台」に関しましては、以前も当ブログで記事にしたことがありました。

「日本国警察庁に対するサイバー攻撃に思うこと」(2011年7月18日(月)執筆)

(下の図はWikipediaよりDDoS攻撃のイメージ図 画像はフリーソフトウェア)

424pxstachledraht_ddos_attack_svg_3
 こうした中で茨城県つくば市にある筑波大学発のベンチャー企業であるソフトイーサー株式会社が遠隔操作ウイルスによる冤罪防止のための通信記録・プロセス起動記録ソフト「パケット警察 for Windows」を開発しフリーウェアとしてリリースしています。

「パケット警察 for Windows (フリーウェア)」 遠隔操作ウイルスによる冤罪を防止するための通信記録・プロセス起動記録ソフト 2012年10月22日公開 筑波大学発ベンチャーソフトイーサ株式会社

 同社発表によりますと「万一、遠隔操作ウイルスによってあなたのパソコンが犯罪者にリモート操作され『踏み台』となった場合に、ウイルスの起動記録や犯人の通信記録がすべてログに残りますので、あなたの無実を証明したり、真犯人を追跡したりするための有力な証拠として利用可能です。」、「Windows 98, ME, NT 4.0, 2000, XP, Server 2003, Vista, Server 2008, 7, Server 2008 R2, 8, Server 2012 で動作します。さらに、IPv6 にも対応しています。」との事です。

 それではこのソフトイーサー株式会社とはどの様な会社なのでしょうか。同社の公式ホームページの製品・サービスのページによりますと、ソフトウェアや通信サービスの会社です。同社の会社概要は同社公式ホームページの会社概要のページに記載されており、役員・社員を合わせて9名で、代表取締役は登 大遊氏です。同社の公式ホームページの「ソフトイーサ株式会社 産学官連携活動」のページには下記の通りにあります。

「2004 年 4 月 1 日に、筑波大学発ベンチャー企業として設立されました。設立に関わった発起人および初代取締役の全員は、当時は筑波大学の学類生または大学院生でした。」、「現在でも当社の筑波大学との関連は深く、筑波大学内に合計 3 箇所の研究開発用のオフィスや実験室を設置させていただいております。」

(下の写真はWikipediaより同社本社があるリッチモンドビル Miyuki Meinaka氏が撮影 クリックで画像拡大 茨城県つくば市天久保二丁目 9 番地 2 リッチモンドビル1F ソフトイーサ・コア内)Richmond_2nd_street 会社規模は小規模ですが、実績は目を見張るものがあります。同社公式ホームページの導入事例のページによりますと、多数の企業等に納入実績がある模様です。会社沿革・概要及び実績から、筑波大学とも関係の深い会社であり、一部官公庁や大手企業にも納入実績があることから、一定の信頼があるということが言えると私個人は考えます。

 私が今回この情報に注目しましたのは、今回のこのフリーウェアが「ウイルスの起動記録や犯人の通信記録がすべてログに残ります」としている点です。素人考えですがこのソフトウェアはその他の証拠(ウイルス解析)などと併せますと、ある意味で動かぬ証拠となり得ます。そうだとしますと、抑止力として機能するかもしれません。ただ「踏み台」を二重以上に経由していることも考えられ、その場合は見えない戦いとなるのは変わりがないのかもしれませんが。それでも今回のこのソフトは非常に興味深いと個人的には考えた次第です。

「中国の攻撃能力「飛躍的向上」=サイバー空間で最大の脅威―米議会報告」(2012年 11月15日(木)0時15分配信 時事通信)

2012年11月 9日 (金)

J-31中国新型ステルス戦闘機に関する考察補足

1.はじめに

 当ブログの2012年10月7日(日)の記事「中国の空母と謎の新型ステルス機に関する各専門家の分析」2012年11月 5日 (月) 23時29分に「専門家の分析が待ち遠しいですね。」とのコメントを 浦島太郎様より頂きました。それは多くの方々の共通の思いではないでしょうか。今回はそういった分析を紹介したいと思います。

2.各報道や専門家によるJ-31に関する考察

 Defense Newsの2012年11月1日(木) 08:20AMの記事"State Media: New China Stealth Fighter in Test Flight ( 国営放送:中国の新型ステルス戦闘機が飛行試験 )"に漢和情報センターの軍事専門家の分析が掲載されていますので、内容を一部抜粋し翻訳します。
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The J-31, the second stealth plane to be unveiled by China in less than two years, flew for 11 minutes on the morning of Oct. 31, the state-run Global Times reported, citing an eyewitness.
二年にも満たない間に中国により公開となった第二のステルス機であるJ-31は10月31日の朝に11分弱飛行したと、目撃者を引用し国営の環球時報は報じた。

China’s first stealth fighter, the J-20, was unveiled in early 2011 but is not expected to enter service until 2018. The country’s first aircraft carrier entered service last month, with others capable of carrying aircraft expected to follow.
中国の最初のステルス戦闘機であるJ-20は2011年に公開されたが2018年までは配備されない見込みである。同国の最初の空母は先月に配備され、その他の空母が続く見込である。

The J-31 appears to be more mobile than the J-20, with its landing gear suggesting it is designed to be launched from an aircraft carrier, military expert Andrei Chang told AFP.
J-31はJ-20よりも機動性がある様に見え、着陸ギアから空母から離陸するように設計されていることが窺えると軍事専門家のAndrei Chang氏はAFPに述べた。

He said the J-31 appeared similar to the latest “fifth” generation of U.S.-designed stealth fighters, but with a less powerful engine and a lower proportion of sophisticated radar-blocking composite materials.
J-31は米国で設計されたステルス戦闘機の最新型第五世代に類似しているように見えるが、より少ない推力のエンジンと低い比率の洗練されたレーダー吸収複合素材が用いられていると彼は述べた。

“In terms of design it appears the J-31 is inferior to the latest U.S. planes,” said Chang, head of the Kanwa Information Centre, which monitors China’s military.
「設計の観点ではJ-31は最新の米国製戦闘機よりもJ-31は劣っているように見える」と中国の軍事動向を観察している漢和情報センターの責任者であるChang氏は述べた。

“The layout is similar, but the material and quality are inferior.”
「設計は類似しているが、素材と品質で劣る」

“It will take at least seven or eight years before it can be commercially sold,” Chang said, adding that the test flight was timed to coincide with the run-up to China’s once-in-a-decade leadership transition next month.
「同機を商業的に販売するまでに少なくとも7年~8年は要するであろう。」とChang氏は述べ、飛行試験は来月にある十年に一度の中国の権力移譲の準備期間中の真っ只中であったことを付け加えた。

“I think the regime is trying to show off to their colleagues that the Hu Jintao regime achieved a lot for China,” he said, adding that the J-31’s manufacturers hoped to export the plane to Chinese allies such as Pakistan.
「体制側は胡錦濤体制が中国にとり多くを達成した事を同志に誇示したいのだと私は思う」と彼は述べ、J-31の製造元がパキスタン等の中国の同盟国に同機を輸出することを望んでいると付け加えた。

(引用及び翻訳終了)
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 この記事の本文にありますJ-20の実戦配備が2018年以降となるとの記述は、米国防総省の分析に基づくものです。

 2012年5月18日の「中国の軍事力・安全保障の進展に関する年次報告書」の議会への提出に際し、David Helvey担当国防次官補代理が国防総省担当記者団への記者会見の中でJ-20に関しましても言及しており、その発言の詳細は同日のFlightglobalの記事"Chengdu J-20 could enter service by 2018(成都J-20が2018年までに配備か)"に下記の通りに掲載されています(以下は一部抜粋と翻訳)。
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"We expect the J-20 to achieve an effective operational capability no sooner than 2018," Helvey says. "That reflects our judgment and interpretation of how far they are along in doing the research and development and flight testing of the prototypes," he adds.)
「我々はJ-20が実質的な作戦能力を達成するのは2018年以降であると予想する」とHelvey氏は述べた。「それは彼等が研究、開発、プロトタイプの飛行試験でどの程度に進捗しているかに関する我々の判断と解釈を反映したものだ。」と彼は付け加えた。

Operational capability as the DoD defines it means that there should be enough aircraft, weapons and trained air crew to conduct real-world missions, Helvey says.
国防総省の定義では作戦能力とは現実の作戦を遂行するのに十分な機体数、武器、訓練された操縦士 があるべきことを意味するとHelvey氏は述べた。

(引用及び翻訳)
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 この時の発言の概要は国防総省の公式ホームページの当日の記者会見記録でも閲覧することが出来ますが、そこにもJ-20に関し"effective operational capability no sooner than 2018."との記述が見受けられます。

 このDefense Newsの記事に登場します「漢和情報センター」とは彼等の公式ホームページによりますと、「カナダのトロント市に登録している民間のニュース提 供機関です。中国、南北朝鮮、日本、インドなどアジア諸国の外交、安全保障問題を 中心に、モスクワやワシントンDC及びその他エリアの特派員からの最新情報、様々な ニュース、オリジナルの写真、分析記事などを定期的に発表しています。当社の記事 はこれまで、日本の朝日新聞、産経新聞、讀売新聞、軍事研究、英国ジェーンズ・イ ンフォメーション・グループ、米国ランド社など、有名メディアで多数採用されてき ました。」とあります。ホームページには英語、中国語、日本語での閲覧が可能です。

 Andrei Chang氏はJ-31に関しまして「着陸ギアから空母から離陸するように設計されている」、「最新の米国製戦闘機よりもJ-31は劣っているように見える」、「同機を商業的に販売するまでに少なくとも7年~8年は要するであろう。」と画像から判断しています。 

 インターネット上ではJ-31の画像が広く拡散されており、それを容易に見つけることが可能です。それらの中でも個人的に特に興味深いと感じましたのは、YouTubeにも投稿された中国広東省深圳市のテレビ局「深圳電視台(しんせんでんしだい):SZTV」で放送されたニュース番組であり、特にこの動画の55秒から58秒の間のこの分析(正しいかどうかは分かりませんが、もし正しいとするならば)は非常に貴重なものと言えるでしょう。
(下の画像は上記のYouTube動画よりSZTVによるJ-31の寸法の推測。クリックで画像拡大)

J31_dimensions
(下の表は日本語版WikipediaよりF-35A型とB型とC型の比較表 寸法的にはJ-31はF-35とほぼ同程度の寸法と言えるでしょう。)F35_dimensions_2
(下の画像は上記のYouTube動画よりJ-31を横から撮影したもの 前輪が二重タイヤとなっており、艦載機ではないかとの推測の根拠の一つとなっている。日本語の追記は筆者によるもの)J31
3.中国のステルス戦闘機は米国製と比較し劣るか否か

 誠に申し訳ありませんが、私の勉強不足によりこれに関しまして論じる程の知識はありません。しかしそれに関しまして間接的に推測出来る事件が米国内で発生しています。

 新型戦闘機の機体の材料として使う為に、400万ドル相当(約2トン分)の軍事グレードのカーボンファイバーTORAY製M60JB-3000-50B(東レトレカ®糸は、ポリアクリロニトル(PAN)を原料にした高性能炭素繊維)を違法に第三国経由で中国に輸出しようとしたとして、中国人のMing Suan Zhang(40歳)が 2012年9月に米国で逮捕・起訴された事件です。なお犯行グループは日本市場での入手を試みましたが、困難であった為に断念したことも判明しています。これらに関しましては下記の二つの資料に詳述されており、非常に興味深いものです。

資料1:ニューヨーク東部地区連邦地方裁判所で明らかにされた2012年9月7日付の刑事告訴状および宣誓供述書(PDF 英語)
第5頁:obtaining a license would be problematic, because the acquisition related to a “military matter” (入手目的は「軍事」に関連する為に、(輸出)許可を得ることは困難である。)

第7頁:The author of the email stated that he had found an end user for the carbon fiber, and that it was needed for the test flight of a new Chinese fighter jet.
Eメールの送信者はカーボンファイバーのエンドユーザーを見つけたこと、そして中国の新型戦闘機の飛行試験に必要とされているということを述べた。

第10頁:his customer needed a sample of the carbon fiber because it would be used for a test flight of a “fighter plane” on October 5, 2012. 2012年10月5日の戦闘機の飛行試験に使われるであろう為に、彼の顧客はカーボンファイバーのサンプルを必要とした。)

資料2:「軍事用カーボンファイバー」中国への密輸計画 (2012年10月01日(月) WIRED NEWS)

 2012年10月5日の戦闘機の飛行試験とは、実際には2012年10月31日に実施されたJ-31の飛行試験ではないかと私は愚考しています。逮捕によりJ-31の飛行試験日程や開発スケジュールに影響を及ぼしたかは不明です。

東レトレカ®糸製品カタログ(PDF)
(下の画像はカタログより クリックで拡大)M60jb

 ただWired紙の報道の末尾にもある通りに、中国が米国市場で日本製素材を手に入れようとしていた事実は、中国がそういった素材を中国国内では製造出来ない、或いは少なくとも同等の品質の製品を生産出来ないことを暗示していると言って良いと思われます。

 また2011年に初飛行したJ-20の実戦配備が2018年以降だとする米国防総省の分析が正しいとしますと、2012年末に初飛行しましたJ-31は2019年~2020年初頭の実戦配備になるのかもしれません。そう考えますと航空自衛隊のF-35導入には十分な時間があるのかもしれません。

 我々は中国が米国内で今回入手しようとした技術が第三国に流出しないように、目を光らせる必要があると言えるでしょう。今後は日本は最先端のステルス技術を扱うこととなるのですから。

「F35ステルス戦闘機、日本が共同製造参入へ」(2012年11月8日14時32分  読売新聞)

「政府は8日、航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)として2016年度に導入する最新鋭ステルス戦闘機F35に関し、17年度以降、米英などの企業が行う部品製造への国内企業参加を認める方針を固めた。 」、「政府は、国内防衛産業が製造する部品の将来的な海外輸出も視野に入れている。」

(下の写真は筆者にてJA2012で撮影のF-35A模型 クリックで写真拡大)121014_110901

2012年11月 1日 (木)

オート・メラーラ社が射程を大幅に延伸した127mm艦砲弾を生産開始へ

Dscf0271(上の写真はある日に筆者が撮影の海自某護衛艦のオート・メラーラ社127mm砲 クリックで写真拡大)

Defense Newsに"Long-Range Naval Ammo Extended to Smaller Calibers(長距離艦砲弾がのより小さい口径にも)"との興味深い記事が2012年10月25日(木)11:52AMに掲載されました。この記事によりますと、オート・メラーラ社が射程を100Kmまで延長した127mm砲弾を量産化する直前となっているとのことです。下記にその記事の本文の一部抜粋と翻訳を行います。

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Oto Melara, which developed successful 155mm extended-range and guided munitions for the Italian Army, now is on the verge of putting a 127mm round into production and is developing a similar round for 76mm guns.
イタリア陸軍向けに好結果の155mmの射程延長・誘導式の弾薬を開発したオート・メラーラ社は、127mm弾を生産する直前にあり、そして類似の76mm砲弾を開発中である。

The Vulcano technology employs a sub-caliber shell fitted with fins and canards for stabilization and terminal guidance. The munitions come in different versions, including an unguided, extended-range, multirole ammunition with a multifunctional, programmable proximity fuse; and guided, long-range ammunition with an infrared seeker for anti-ship actions.
ヴルカノ技術は安定化と最終誘導の為にフィンとカナードを有するサブカリバー弾を採用する。多機能のプログラム式近接信管の非誘導式射程延伸多目的弾と、対艦戦闘用の赤外線シーカーを有する誘導式長距離弾薬を含めて、弾薬には異なった種類が存在する。

The extended-range rounds bring new shore-support capability to hundreds of ships, Andrea Montobbio, a regional manager for Oto Melara, said here at the Euronaval naval exposition. The Vulcano 127mm, he said, has a maximum range of 100 kilometers.
射程延伸型弾は数百の艦船に新たな沿岸支援能力をもたらすであろうとAndrea Montobbioオート・メラーラ社の地域マネージャーはここEuronaval海洋博覧会で述べた。ヴルカノ127mmは100kmの最大射程を有すると彼は述べた。Dscf0308_2(上の写真はある日に筆者が撮影の海自某護衛艦のオート・メラーラ社76mm砲 クリックで写真拡大)

“Yes, the 76mm round is small, but the weapon has a very high rate of fire,” Montobbio said, noting that the 76mm gun has a maximum rate of fire of 120 rounds per minute and can maintain 60 rounds per minute for a long period of time.
「確かに76mm弾は小さいですが、しかしこの兵器は高い発射速度を有します」とMontobbio氏は述べ、76mm砲は最大で一分間に付き120発の発射速度があり、そして長時間にわたり一分間に付き60発を維持できることに言及した。

The 76mm extended-range round gives small ships a reach far beyond the 16 kilometers of existing shells. In its unguided, ballistic extended range configuration — suitable for anti-air, anti-surface and naval gunfire support missions — the Vulcano round can reach 30 kilometers.
76mm射程延長弾は現行弾の16kmより遥かに遠距離の射程を小型船に与える。それは非誘導の弾道延伸射程形状であり、対空、対地、海洋火力支援任務に最適であり、ヴルカノ弾は30kmに達する。

The guided long-range (GLR) version, fitted with global positioning satellite technology, can hit a target at 40 kilometers.
誘導式の長距離(GLR)バージョンは、全地球測位システムを有し、40kmの目標を攻撃できる。

Montobbio noted the ballistic munition can be fired from any Oto 76mm gun now in service, although new firing tables would be needed to handle the extended range.
Montobbio氏は射程延長型を扱うには新たな発射台が必要となるが、弾道体は現在配備されているどのOto 76mm砲からも発射が可能であることも注釈した。

The GLR round requires a software upgrade for existing mounts, plus addition of a multi-ammo selection system.
GLR弾は現行の砲塔にソフトウェアの改良とそれに加えて砲弾選択装置が必要である。

Full-scale production of the extended-range 127mm round, Montobbio said, will start in 2013 for the Italian Navy, while full production of the guided round will begin a year later.
イタリア海軍向けの127mm射程延長弾の量産は2013年に開始され、その一方で誘導弾の量産化はその一年後になるとMontobbio氏は述べた。

he company said the Vulcano 76mm will be ready for full-scale production in 2015.
同社はヴルカノ76mmは2015年に量産可能となるであろうと述べた。

(引用及び翻訳終了)
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YouTubeに上記の内容を分かりやすく解説した動画が二つほど投稿されていました。

この動画はヴルカノ155mm砲弾とヴルカノ127mm砲弾による攻撃を解説したものです。

もう一件の動画はヴルカノ76mm砲弾による攻撃を解説したものとなっています。

 新型127mm砲弾の100kmの射程は画期的と言えるでしょう。不幸にして実際に有事となった際には、空自は航空優勢の確保に忙殺され、CAS(近接航空支援)への対応が困難となる可能性が高いと考えられます。その旨は一部の識者により指摘されたことがありました。

「CAS(近接航空支援)であります。」(keenedgeの湯治場 2010年6月21日 (月)記事)

 その際に護衛艦が強力な火力を有していることは大きなアドバンテージとなり得るのではないでしょうか。砲撃はミサイルよりも安価であり、しかも連続的に且つ多数の攻撃を加える事が可能ですから、今後の我が国の防衛を考える上で検討に値するのではないかと私は考えます。

 またイタリア国防省の公式ホームページによりますと、CEP(平均誤差半径)は20m以下との記述との記述があり、そして同省公式ホームページの別のページでは64口径であれば120Kmの最大射程が達成可能との説明がありました。

 現在装備化されている127mm砲に改修が必要かどうかは上記記事には言及がありません。しかし76mmに関しましてはハードとソフトの両面で多少の改修が必要となる旨の言及がありましたが、砲塔自体の交換や新規導入は不要の模様です。この新型砲弾に関しましてはオート・メラーラ社の公式ホームページにも概要が掲載されており、127mm砲そのものに改修を要するか否かの回答が記載されていました。Vulcano127mm(上の写真は同社ヴルカノ砲弾パンフレット(PDF)より)

"VULUCANO" System 127mm Extended Ammunition Family (PDF 119KB)

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All the equipment required to operate VULCANO ammunition is integrated into the 127 mm LW Control Console and no mechanical modification to the 127mm gun is required nor reduction of barrel life is involved.
ヴルカノ弾運用に必要な全ての用具は127 mm LW コントロールコンソールに統合されており、127mm 砲への機械的な改修は不要であり、砲身への寿命短縮はない。

VULCANO is fully compatible with in-service 127mm naval gun by providing a module which is acting twofold:
二つの役割を果たすモジュールを備え付けることによりヴルカノは現用の127mm艦砲と互換性を有する:

・Programmer for ammunition’s fuse and guidance system;
弾薬の信管と誘導システムの為のプログラマ

・Mission Planning and Execution for Naval Fire Support stand alone or interaction with ship’s Network Centric System ( firing solutions, selection of ammunition, definition of trajectories and firing sequences, ballistic computations etc.).
作戦立案とスタンドアローン海洋火力支援実行、または艦艇のネットワーク中枢システムとの交流( 発射ソリューション、弾薬選択、弾道曲線の定義と発射薬系列、弾道計算)

(引用及び翻訳終了)
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上記の記述から判りますが、改良型のLW型であれば改修の必要性がありませんが、それ以外の従来型であれば、多少の改造を必要とする模様です。

 その改修の程度(予算面・納期)を総合的に検討するべきではありますが、性能が実証されました場合は離島防衛が喫緊の課題となりつつある今日に於きまして、前向きに検討するべきなのかもしれません。

(下の画像は「地図で円を描く」のサイトで筆者が制作した魚釣島から半径100kmの円 クリックで拡大)

100km_radius_from_the_senkaku

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