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2012年12月

2012年12月28日 (金)

第2次安倍内閣発足に思うこと

この動画はYouTubeに投稿された安倍総理の首相就任会見-首相官邸公式アカウントより-)

第2次 安倍内閣が発足しました。安倍内閣の閣僚名簿は下記の通りになっています。

首相官邸公式ホームページ 第2次安倍内閣 閣僚名簿 (平成24年12月26日発足)

 安倍総理は就任記者会見の中で「全ての閣僚に対しまして、経済再生、復興、危機管理の3つに全力で取り組むよう、指示をいたしました。」、「国益を守る、主張する外交を取り戻さなければなりません。」、「総理として、国民の生命、領土、美しい海を守り抜いていくという決意を示していきたいと思います。」と述べています。

首相官邸公式ホームページ 安倍内閣総理大臣就任記者会見 (平成24年12月26日)

 安倍氏が率いる自民党は、先の衆議院選挙中に於きましてタカ派的な公約が目立ちました。

自民党政権公約(PDF)

政権公約案 J-ファイル2012

132

328

(上の画像は政権公約案 J-ファイル2012より 項目132は第22頁、項目328は第54頁に)

しかし勇ましい公約とは裏腹に、実務レベルに於きましては、選挙後は尖閣・竹島・靖国神社参拝問題で安倍総理は一転して安全運転に徹しています。

「尖閣・竹島も慎重…安倍氏、靖国参拝見送り意向」(2012年12月23日(日)19時36分配信 読売新聞)

 またロシアにも特使としてプーチン大統領とも親しい森元総理を首相特使として派遣する意向の様です。

「ロシアに森元首相を派遣へ…大統領に親書」(2012年12月22日(土)23時3分配信 読売新聞)

森氏 訪ロ・大統領と会談の方向で調整(2012年12月24日 4時39分 NHK)
「プーチン大統領は、先週、北方領土問題を巡って、『日本で再び政権を担うことになった政党の指導部から平和条約を締結したいというシグナルを聞いており、高く評価する』と述べ、建設的な対話に期待を示しています。」

 外交に関しましては日米同盟を基軸に近隣諸国との関係改善していく方針であると思われます。私個人としては色々な意味で外交は今までの経緯の延長線にありますから、保守的であるべきですし、急な政策転換は避けるべきですし、またそれは困難です。それをやろうとして失速したのが鳩山政権でした。安倍政権の方針は現実的と言えます。

 その一方で上記の様に諸外国との直接的な摩擦激化は避けながらも、防衛力強化は公約通りに進める模様です。

 112

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(上の画像は政権公約案 J-ファイル2012より 項目112は第20頁、項目133は第22頁より)

 防衛政策を担うのは防衛大臣ですが、第2次安倍内閣では小野寺 五典氏(宮城県第6区-気仙沼など)が起用される事となりました。

(下の写真は米国防総省の公式サイトより小野寺 五典氏、 東日本大震災直後のトモダチ作戦にて 国防総省の方針にて配布自由、クリックで写真拡大)

Hires_110404n8607r023

この動画はYouTubeに投稿された小野寺防衛大臣・就任記者会見-首相官邸公式アカウントより-)

2013年1月3日(木)追記:小野寺五典氏 公式twitterアカウント 

 まず自民党から具体的な動きがありました。2012年12月26日 午前07:19:37に佐藤正久 防衛大臣政務官が「自民党国防部会は、早速、8時から防衛計画大綱・中期見直しの議論や補正予算議論を開始します。」とつぶやいています。

Satomasahisa201212260719

 これだけであれば族議員のデモンストレーションとも言えるのですが、政府内でも防衛大綱・中期防の見直しが安倍総理の指示により開始される事が決まりました。それは官邸での記者会見平成24年12月26日(26時09分~26時22分)の防衛大臣による大臣臨時会見概要でも確認が可能です。

「防衛大綱・中期防を見直し、自衛隊の体制強化」

「日米防衛協力ガイドライン等の見直しを検討」

「普天間飛行場移設を含む在日米軍再編を進める中で、抑止力の維持を図るとともに、沖縄を始めとする地元の負担軽減を実現」

「『国家安全保障会議』の設置に向けて、国家安全保障強化担当大臣に協力をする」

 こういった防衛力増強方針は私は支持します。しかしその一方で、安倍総理自身が危機管理上の問題になる可能性があると私は危惧するのです。安倍総理の健康問題が不安材料として未だにあるのではないかと私は思います。その旨は以前にも述べたことがありました。

 安倍総理は2012年秋号の雑誌で主治医との対談で潰瘍性大腸炎が新薬により「寛解状態が続き」、検査結果で「この40年間で初めての「何もない」状態です。」が続いていると述べました。即ち「寛解状態」であって「完治」とは診断されていません。恐らくまだ投薬を必要とする状態ではないかと推測します。ここは若干の不安材料であると私は感じるのです。

 しかし総理に選出されたのですから最早後戻りは出来ません。総理として最善を尽くして、公約通りに「日本を取り戻す」しかないのです。

 安倍総理は記者会見で「強い経済は、日本の国力の源であります。」、「この政権に課せられた使命は、まず、強い経済を取り戻していくことであります。」と安倍総理は述べました。私もそれが日本の最大の強みの一つであり、それを維持向上することが最大の課題であると考えます。そしてその経済力の源ともなっている製造業や技術力もです。それが結果として日本の国際的発言力を高め、税収を増やし、また最先端技術を防衛装備品にも転用する事が可能となると私は考えます。その旨は過去に当ブログでも何度か執筆したことがありました。

「ジブチに建設された自衛隊初の海外基地から見えるもの」(2011年7月23日 (土))

「再び美しい国を目指して」(2012年9月28日 (金))

「J-31中国新型ステルス戦闘機に関する考察補足」(2012年11月 9日 (金))

 方法論としては賛否両論があると思われますが、安倍総理のこの認識は賛同しており、総理となったからには是非とも日本を立て直して欲しいと思います。

 恐らくこの記事が当ブログ今年最後の記事となるでしょう。本年は皆様に大変お世話になりました。来年度もアシナガバチを宜しくお願い申し上げます。それでは良いお年を。

2012年12月30日(日)追記:「安倍首相「尖閣、交渉余地ない」=北方3.5島返還論、否定せず」((2012年12月30日(日)18:39 時事通信)

2012年12月24日 (月)

オスプレイ、自衛隊導入に向け検討へ

800pxvmm162_osprey_on_the_tarmac_in(上の写真は英語版WikipediaからMV-22 著作権はPublic Domain クリックで拡大)

1.はじめに
 
「オスプレイ、自衛隊導入に向け検討へ」と2012年12月22日(土)14時33分に読売新聞が報じました。この報道によりますと、南西諸島など離島の防衛強化の観点から、防衛省がMV22オスプレイの自衛隊への導入を検討する方針を固めたとのことです。MV-22の具体的な活用方法などに関する調査研究費500万円を13年度予算案に計上する方向で調整中とも報じています。この記事からは具体的に防衛省のどのレベルかは分かりませんが、もしこの記事が正しいとしますと、予算を計上する方向で調整しているとありますので、省として決定事項になりつつあると言って良いでしょう。

 V-22に関しましては以前も当ブログにて執筆したことがありました。

「V-22の安全性実績と騒音数値データから普天間基地配備反対論を検証する」(2011年6月19日 (日))

  V-22の基礎データはこの過去記事に執筆してありますので、そちらもその他のサイトと併せて参考にして頂ければ幸いです。

 今回は自衛隊がMV-22を導入する上で課題となり得る点を幾つか考えたいと思います。

2.オスプレイの利点から生ずる武装の必要性
 V-22の最大の利点はその航続距離と巡航速度にあります。森本防衛大臣が 仲井眞弘多沖縄県知事と佐喜眞淳宜野湾市長に平成24年9月19日付で提出しました「MV-22オスプレイ配備に関する再質問について(回答)」の別紙第二頁の中には「MV-22は、CH-46に比べて、速度2倍、搭載能力3倍、航続距離4倍という優れた性能」との記述があり、ここからもティルトローター機が従来型の回転翼機に対して有する優越性が明確であると言えるでしょう。
(下の画像は日本語版WikipediaよりH-60、V-22、C-130の速度を高度別に比較したもの 『オスプレイは危険な航空機なのか?』「航空ファン」2010年12月号、P.50-P.68 クリックで画像拡大)

V22_osprey_vs_aircraft_helicopter_j
(下の画像は日本語版WikipediaよりMV-22BとCH-46Eの戦闘行動半径を比較したもの 原点はGAO資料より 著作権はPublic Domain クリックで画像拡大)Mv22b_combat_radius_in_iraq_compare しかし同時にこの速度と航続距離に付随する課題もあります。それは護衛の戦闘ヘリが随伴出来ないという点です。この問題と暫定的な解決策はAir Force Timesの2012年2月14日(火)6:27AMの記事“Corps seeks better weaponry on Ospreys(海兵隊がオスプレイのより良い兵装を求める)”に記載されています。下記はその記事の引用と翻訳です。
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Today, in addition to a ramp-mounted machine gun, Osprey crews in the war zone have access to a bolt-on 7.62mm belly gun capable of providing “all quadrant” defense. It was procured as a short-term answer to the aircraft’s perceived vulnerability, but has not been used — even once — in the two years since first reaching Afghanistan.
ランプに搭載された機関銃に加えて、戦闘地域のオスプレイ乗員は全周囲防衛を可能とするボルト固定式の7.62mm腹部機銃が利用できる。同機種の認識された脆弱性の短期的な解決策として開発されたが、アフガニスタンに投入されてから2年間の間に一度も使われたことはなかった。

In Afghanistan, Marine tilt-rotor squadrons work in concert with helicopter gunships or fixed-wing fighters that act as armed bodyguards, of sorts, capable of providing fire support.
アフガニスタンでは、ティルトローター編隊は火力支援を提供可能な武装した護衛としての役割を果たすガンシップヘリコプターか固定翼機と共同で運用する。

The belly gun is one component of what’s formally known as the Interim Defensive Weapon System, or IDWS, that also includes an infrared camera capable of target acquisition or surveillance and reconnaissance. There are eight in the Corps’ arsenal right now, and plans to field 24 more starting in June, officials said.
腹部機銃は暫定防衛武器システム、又はIDWSとしてそもそも知られており、目標補足、監視、偵察能力のある赤外線カメラを含む。海兵隊の装備に現在は8式あるが、6月から更に24式を配備する計画であると政府関係者は述べる。

The Osprey will need its own firepower because it flies faster than the Corps’ other armed rotary-wing aircraft.
その他の海兵隊の回転翼機より早く飛行する為に、オスプレイは固有の火力を必要とするであろう。

The Osprey’s speed, however, remains its biggest asset, Marine officials maintain. When flying in airplane mode, it can reach speeds of 350 mph. An AH-1W Super Cobra, by contrast, tops out at 170 mph.
しかしオスプレイの速度は最大の利点であると海兵隊関係者は主張する。固定翼機モードにて飛行する場合は、350mphの速度に達することが可能である。AH-1Wスーパーコブラと比較すると、170mphが最高である。

But with the ability to travel faster and farther than any of the Corps’ armed helicopters, it will need a way to defend itself on long-range missions.
しかし海兵隊のどの武装ヘリコプターよりも長距離で早い速度で飛行する為に、同機種は長距離任務で自機を自衛する方法を必要とする。

(引用及び翻訳終了)
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このAir Force Timesの記事によりますとIDWSの重量は800ポンド(約363kg)としています。腹部の7.62mm機銃としていますが、実際にはM134です。M134に関しましては当ブログの以前の記事にも掲載したことがあります。

「陸自がM134通称"ミニガン"を評価試験中か」(2011年7月 8日 (金))

このYouTube動画からM134の破壊力が非常に良く判る)

YouTube上にIDWSが非常に良く分かる動画が投稿されていました。

 読売新聞の報道によりますと「MV22オスプレイ」、「南西諸島など離島の防衛強化をにらんだもの」となっていますので、この報道が正しいとしますと兵員輸送用で、そうだとしますと陸自で導入するのはMV22ではないかと思われます。そうだとしますとAH-1S(最高速度256km/h)AH-64DJP(最高速度270km/h)では随伴が不能であり、このIDWSも同時に導入が必要となるかもしれません。ただそれは搭載重量や航続距離と若干のトレードオフとなるでしょう。

3.搭載能力
 このブログの読者の方々であれば、富士総合火力演習などでCH-47から高機動車が搬出されるのを見られた方々も多いと思います。

 高機動車の全幅は2.15m、全高は2.24mですが、それに対してV-22はボーイング社の公式ホームページでは内部の寸法は下記の通りです。

全長, 最大, フィート (メートル) -- 20.8 (6.34)
幅 , 最大, フィート (メートル) -- 5.7 (1.74)
高さ, 最大, フィート (メートル) -- 5.5 (1.67)

 もしMV-22をCH-47後継と考えるのであれば、高機動車の機内搭載は困難と言えるでしょう。但し機外搭載は十分可能ではあります。

4.ドクトリン
 私としましてはこの点が一番疑問です。自衛隊に導入するとしてどの様な運用思想なのでしょうか。ただ自衛隊が導入するのであれば、結論が先にあるのではなくて、自衛隊として必要性があるのか、どの様な運用構想であるのか、まずそこを明確化しなくてはなりません。そもそもこの話が出てきたのは10月頃でした。

『「自衛隊にオスプレイを」 政府内で導入論浮上』(2012年10月30日 中國新聞)
外務省幹部「日本政府として安全宣言を出しているのに、なぜ東京の上空を飛ばせないのか。自衛隊も持つべきだ」
外務省側がオスプレイの安全性や信頼性を高めるため「日本自身が導入することも選択肢だ」

 日本国内の世論を鑑みてのみの導入論であれば、防衛政策的には余り適切とは言えず、むしろこの中國新聞の報道にもあります通り防衛省側も困惑しているのが現状でしょう。離島防衛強化であれば、当ブログでも執筆しました南西方面のSAMやSSMの増強長距離艦砲弾の導入P-1哨戒機の配備飛行船式早期警戒システムJLENSの導入等がより効果的であると私は考えます。

 その一方で数多久遠様からこういった興味深い提言もありました。

「オスプレイ配備で一挙三得」(2012年7月22日 (日))
「空自のCH-47は、三沢、入間、春日、那覇の各ヘリコプター空輸隊に配備され、主として一瞬たりとも止めることを許されないレーダーサイトへ、補用部品の輸送任務を行なっています。 補用部品は、入間基地にある第3補給処(SAM関連は、同じ入間の4補)から、C-1あるいはC-130で、三沢、春日、那覇に運ばれ、そこからCH-47に積み替えられて、サイトまで運ばれます。」、「オスプレイがあれば、航続距離もヘリより格段に長いので、入間の3補及び4補から、ダイレクトで日本全国のサイトまで、運ぶことが可能になります

 何れにしましても財政危機の中で、費用対効果の優れた装備の導入が望まれます。その中で安倍自民党総裁は民主党政権下の概算要求を見直す方針です。

「来年度予算編成、安倍カラーで組み替え」(2012年12月21日 日経新聞)

 今回のV-22の調査費用は、安倍総裁のこの方針を受けて、防衛省が予算案に恐らく付け加えたものでしょうか。予算編成のやり直しで公共投資等に重点を置いた予算となるでしょう。その中で防衛予算は勝ち組となるのか、それとも減額となるのか注視していきたいと思っています。

2012年12月16日 (日)

政権交代間際での尖閣諸島に於ける中国機による領空侵犯に思うこと

1.事件の概要 

各報道でご存じのことと思いますが、中国国家海洋局所属のY-12一機が尖閣諸島魚釣島南方約15km付近の領海上空を領空侵犯しました。この事態は防衛省ホームページでの公式報道発表でも確認をする事が出来ます。

中国機による領空侵犯について(平成24年12月13日 防衛省)

発生時刻は平成24年12月13日(木)11時6分頃とのことです。これに対して「航空自衛隊の戦闘機(F-15計8機)及び早期警戒機(E-2C計1機)が緊急発進を実施し対処した」と記事にはあります。

Y12 (上の写真は海上保安庁が撮影の領空侵犯をした中国国家海洋局所属のY-12 写真は防衛省ホームページ公式発表より(PDF) クリックで画像拡大)

 このF-15計8機とE-2C計1機も対応したことは、防衛省/空自が非常にこの事態を深刻に受け止めたことを物語っていると言って良いでしょう。

2.問題提起
 
私個人としましても、今回の自体は二つの観点から深刻視しています。一つは今回の領空侵犯をレーダー網で捕捉出来ず海上保安庁からの連絡で空自が急遽対処したこと、もう一つは今回のこの事態が今までとは次元が異なったレベルの問題となる極めて対処の難しい問題であることです。

(1)防空網の穴と対策
 空自のレーダーで中国国家海洋局所属のY-12を捕捉出来なかったこととその原因は複数の報道で確認することが出来ます。

「中国機領空侵犯:藤村官房長官、レーダー捕捉の限界認める」(毎日新聞 2012年12月14日 12時41分(最終更新 12月14日 13時01分))
「地上固定レーダーによる探知は対象機までの直線距離、飛行高度などの諸条件に依存する。レーダーが設置される沖縄本島、久米島、宮古島からは(尖閣まで)相当の距離があり、探知は困難さがある」

領空侵犯 監視態勢を再検討へ(2012年12月14日 4時16分 NHK)
「13日、尖閣諸島上空で、中国の国家海洋局のプロペラ機が日本の領空を侵犯しましたが、航空自衛隊は沖縄県内のレーダーサイトで捉えることができず、海上保安庁の巡視船からの連絡で初めて気づきました。」、「遠く離れた空域を低空で飛行している場合、相手機が水平線の下に隠れて探知できないこともあるということです。」

「自衛隊、中国領空侵犯探知なぜできぬ 「レーダー死角」解消策は2年前から「検討」」(2012年12月14日 19:18 J-Castニュース)
「 日本最西端の固定レーダーは宮古島に設置されているが、尖閣諸島からは210キロメートルも離れている。地球は丸い上にレーダーの電波は直進性があるため、低い高度で飛行機が侵入して来た場合、レーダーからすれば水平線の下に潜り込む形で「死角」となってしまう。

Propagation_vhf
(上の写真は英語版WikipediaよりVHFアンテナの見通し線の画像 作者はF1jmm氏 クリックで画像拡大)

 この死角を解消する為に政府は南西方面の警戒にE-2Cのみではなく、E-767を警戒任務に充てる方針の模様です。

「政府、AWACSで尖閣を警戒 領空監視を強化」(2012年12月14日 19:14 【共同通信】)

 何らかの対応をするにしても、相手を察知出来ないのであれば対処は不能です。E-2Cに加えてE-767の展開は一つの対処方法でしょう。しかし365日24時間飛行させるのは困難かもしれません。

 これ以外にも数多久遠様が「尖閣の領空侵犯に対する対策」を執筆されていますが、護衛艦による警戒を提唱されています。コストパフォーマンス的にも実務面でも現実的で、数多久遠様も述べていますが、自衛隊法第84条が「防衛大臣は、外国の航空機が国際法規又は航空法(昭和27年法律第231号)その他の法令の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる。」と空自のみに限定していませんので、法的にも問題はなさそうです。護衛艦はそのエリアに継続的に待機し警戒が可能なことが大きな利点と言えます。

 早期の警戒という観点からもう一つ興味深い選択肢を見つけることが出来ました。Raytheon社が研究開発中の飛行船型早期警戒システムJLENS(Joint Land Attack Cruise Missile Elevated Netted Sensors)です。母体が飛行船である為に10,000フィートの高度で30日間の滞空が可能で、360°全周囲を550kmの半径で数百の経空、海上、地上目標の監視をし、また味方の地対空ミサイルも誘導します。米国陸軍の実験では巡航ミサイルに見立てた目標の撃墜にJLENSとパトリオットで2012年4月30日に成功しました。

Raytheon JLENS

(上の画像は同社ホームページPDF資料よりJLENSのスペック説明 クリックで画像拡大)Jlens下は米国防省資料-PDF-から開発・調達スケジュール 実戦配備まであと1-2年であることが判る クリックで拡大)

Jlens_scheduleこの動画はRaytheon社公式アカウントがYouTubeに投稿したJLENSの性能説明

 JLENSはメーカーによりますとAWACS、JSTARS、またはE-2Cなどの固定翼機と比較しても1/5~1/7の運用コストとなっており、メーカーの主張通りであればコストパフォーマンスに非常に優れており、30日間の滞空時間であれば隙のない監視体制を構築可能ということが言えるでしょう。

(2)前例のない問題~武力衝突の危機~
 
しかしJLENSの実戦配備は米国でも2013年~2014年です。その一方で尖閣を巡る事態は非常に切迫しているのかもしれません。最初にも述べましたが、今回の中国国家海洋局所属のY-12に対して空自のF-15計8機とE-2C計1機を投入しています。つまり日本は軍隊を出してしまいました。中国人民解放軍が介入する口実を与えてしまった虞があるのです。そういった動向が早速散見されています。

「中国紙「尖閣に空軍派遣を」 空自の緊急発進に反発」(2012年12月14日 20:41)
「中国側は承知の上で軍用機でない航空機に領空侵犯させたとみられる。中国空軍が尖閣諸島周辺に展開する口実にするため、自衛隊を出動させるのが狙いだったとの見方がある。」

 即ちレベルが一段階上がった状態です。今後は自衛隊と中国人民解放軍が対峙・衝突する可能性があり、しかもそれは差し迫っている可能性があります。準備する時間はもう少ないのかもしれません。

3.その他の偶発的事故に対する抑止力整備 
 それでは現段階で日中の偶発的な軍事衝突を抑止する為にはどうすれば良いのでしょうか。それはやはり日米安保に頼らざるを得ないと考えます。

尖閣防衛義務を再確認=国防権限法案に異例の明記-米上院(2012年11月30日16:43)

尖閣領空侵犯、米が中国に直接「懸念」伝達 (2012年12月15日(土)6時30分配信)

 今回の領空侵犯に関して尖閣諸島が対日防衛義務を定めた日米安保条約の適用対象になるとの米政府の立場を改めて伝えたとされていますが、それは日本が中国に自制を促すよう米側に要請したとの一部報道がありました。それは当然でありまた米側がその方向で対応をしたことは成功であったのではないでしょうか。

 2012年12月16日(日)に実施されました衆議院選挙で、自公で300議席超となり安倍総理の誕生が確実となりました。自民党は当日午前中に「揺るぎない日米同盟を再構築し、アジアを平和で安定した地域にすることが喫緊の課題であり、こうした課題を克服していけるのは、自民党しかない」との声明を出しています。安倍次期総理に課された内外の課題は非常に重大だと言えるでしょう。

2012年12月17日(月)追記
「自・公で325議席獲得 政権交代へ」(2012年12月17日 6時4分 NHK)

▽民主党は、小選挙区で27議席、比例代表で30議席の合わせて57議席、
▽自民党は、小選挙区で237議席、比例代表で57議席の合わせて294議席、
▽日本未来の党は、小選挙区で2議席、比例代表で7議席の合わせて9議席、
▽公明党は、小選挙区で9議席、比例代表で22議席の合わせて31議席、
▽日本維新の会は、小選挙区で14議席、比例代表で40議席の合わせて54議席、
▽共産党は、小選挙区で議席を獲得できず、比例代表で8議席、
▽みんなの党は、小選挙区で4議席、比例代表で14議席の合わせて18議席、
▽社民党は、小選挙区で1議席、比例代表で1議席の合わせて2議席、
▽国民新党は、小選挙区で1議席、
▽新党大地は、比例代表で1議席、
このほか無所属が5議席で、新党日本と新党改革は議席を獲得できませんでした。
「民主党は議席を選挙前の4分の1以下に大きく減らす大敗となり、野田総理大臣は記者会見で、民主党の代表を辞任する考えを表明しました。」

2012年12月23日(日)追記
「尖閣諸島に安保適用 米で法案成立」(2012年12月22日(土) 9時9分)
「尖閣諸島は日本の施政下にあり、」、「「日本の施政権が及ぶ地域に対して、アメリカは日米安全保障条約の第5条に基づき、防衛の義務がある」

2012年12月 9日 (日)

P-1のASM最大搭載数は8発以上?

Jmsdf_kawasaki_xp1_aoki(上の写真はWikipediaよりXP-1哨戒機 Toshiro Aoki氏撮影 クリックで写真拡大)

防衛省装備施設本部中央調達に係わる公告のなかに「P-1 ASM用パイロン(爆弾倉)」との大変興味深い項目があります。日付は平成24年11月7日で入札年月日は平成24年12月10日(月)13時35分です。納入先は厚木の海上自衛隊第4整備補給隊となっています。

2242032010bd_3409(上の画像は同公告より、 クリックで画像拡大)

 P-1には主翼に計8箇所のハードポイントが設置されていますので、8発の対艦ミサイルを搭載する事が可能です。ハードポイントが計8箇所である旨は「次期固定翼哨戒機の実用試験に関する技術支援の役務に関する契約希望者募集要項」(厚空基公示第50号 平成24年1月24日 PDF)の第7頁の下記の記述にて確認出来ます。

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(上の画像は同募集要項より、赤い四角は筆者にて追加、主翼用パイロンが8式あることが分かる、クリックで画像拡大)

 主翼8か所のウィングパイロンに加えて更に爆弾倉にもASM用パイロンを装着可能となりますと、P-1に搭載可能なASMは8発を超過することとなります。

Px
(上の画像は次期固定翼哨戒機(P-X) 参考(PDF)より、 コクピットの直ぐ後ろに爆弾倉があることが分かる、 クリックで画像拡大)

 WikipediaのP-Xの記事の性能・主要諸元には空対艦ミサイル、短魚雷、対潜爆弾など9,000 kg(20,000 lb)以上とありますが、これに関しては公式資料では確認出来ませんでした。

2012年12月23日(日)追記:武装ペイロードに関しましては防衛省公式資料「次期固定翼哨戒機の機種に関する検討について」にて、「要求性能として兵装搭載を"P-3Cと同等以上の搭載能力」と明記されています。CHF様よりコメント欄にてご教授頂きました。 

 XP-1に関しましては、TRDI(防衛省技術研究本部)ニュースの平成24年度6月度記事「次期固定哨戒機(XP-1)性能評価を実施中」にAGM-65の発射実験を実施した写真が掲載されています。米海軍がP3CでAGM-65Fを運用していますので、恐らくAGM-65Fでしょう。

(下の写真はWikipediaよりAGM-65 クリックで画像拡大)Agm65_maverick_mg_1382AGM-65Fは対艦ミサイルとしてのイメージが強いですが、メーカーカタログによりますと地上目標の攻撃にも活用が可能であり、またに赤外線シーカーで捉えた画像をコックピットディスプレイに映し出すことが可能となっています。

Raytheon AGM-65

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The IR seeker presents a TV-like image on the cockpit display as it senses small differences in heat energy between target objects and the surrounding background. The tracking software for the IR missiles has evolved to accommodate a wide spectrum of ground and sea targets.
攻撃目標と背景の熱エネルギーの僅かな違いを察知し、IRシーカーはTVの様な画像をコックピットディスプレイに映し出す。IRミサイルの追尾ソフトウェアは多様な地上と海洋の目標に対応可能なように発展した。

(カタログからの引用及び翻訳終了)
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この動画はYouTube上に投稿されたP3CからのAGM-65F発射、赤外線シーカーからの画像や洋上目標破壊の様子が分かりやすい)

 もしWikipediaの9000kg(20,000 lb)との記述が正しいとしますと、AGM-65Fの重量は304kg (670 lb)ですので、重量のみの単純計算では8発~12発でも十分搭載が可能です。またASM-1Cの重量は600kg強程度と考えた場合も、やはり10発から12発の搭載は可能となります。しかし問題はサイズです。少し調べてみましたが、ネット上では少なくともP3Cの爆弾倉の寸法が幅2.03m、深さ0.88m、長さ3.91mとの情報が散見されましたが、公式資料では確認が全く出来ませんでした。

 AGM-65Fの寸法はRaytheon社カタログによりますと全長249cm、直径30.5cm、翼幅が72cmとなっています。ASM-1CはWikipediaでは全長4.0m、直径35cmとなっていますが、これも公的資料では確認出来ません。

2012年12月23日(日)追記:ASM-1Cの寸法は技術研究本部50年史誘導武器担当の193頁~194頁に掲載されており、全長4m、直径0.35m、翼幅1.2m、重量510kgであることが確認出来ました。CHF様よりコメント欄にて情報提供を頂きました

 こう考えますとP-1の爆弾倉がP3Cと同程度以上の寸法であり、上記のP3Cの爆弾倉やASM-1Cの寸法が正しいと仮定した場合は、国産対艦ミサイルは兎も角としまして、マベリックはP-1の爆弾倉に数発搭載が可能であると結論出来ると思います。

 そうだとしますと、低脅威度の紛争であればP-1はセンサーを満載した強力な対艦・対地攻撃機であり、F-2では飽和されるほどの大量の船団が日本領海内に侵犯した事態にも有効な対処方法として活用が可能であると言えるでしょう。

2012年12月 6日 (木)

日本の防空網はステルス機を防げるか、F-35Aを活用出来るか

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(上の写真は米空軍公式サイトからF-22AとF-35A, 米国空軍Jeremy T. Lock二等曹長が撮影, 米空軍の方針により配布自由, クリックで写真拡大) 

1.はじめに

 当ブログのひとつ前の記事「FPS-7レーダーの探知能力は430km以上?」のコメント欄でステルス機がレーダーで捕捉可能かどうか、また捕捉したとしましてもロックオンが不能である為に脅威であることには変わりがないのではないか、ステルス機の重要性は減少するのではないかとの議論が繰り広げられました。

 今回のこの記事ではAOL Defense等にステルス機の有効性に関しての議論が掲載されていましたので紹介することとします。

2."Will Stealth Survive As Sensors Improve? F-35, Jammers At Stake"

(1)記事内容

 今回紹介しますのはAOL  Defenseの2012年11月27日の記事"Will Stealth Survive As Sensors Improve? F-35, Jammers At Stake(センサーの発展の中でステルスは生存するか?F-35、電子妨害機が危機に)"です。これより下記に同記事の一部抜粋と翻訳を実施します。

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Is stealth still America's silver bullet? Or are potential adversaries' radars getting too smart for US aircraft to keep hiding from them?
ステルスはまだ米国の銀の弾丸であろうか。それとも潜在的な敵国のレーダーは米国の機体にとり隠れ続けるにはスマートになり過ぎているか?

With the B-2 bomber, the F-22 Raptor, the F-35 Joint Strike Fighter, and a future bomber system known as Long Range Strike, the Air Force has bet its future on an all-stealth combat fleet.
B-2爆撃機、F-22ラプター、F-35統合攻撃戦闘機、長距離攻撃として知られている将来爆撃機システムで空軍は全ステルス戦闘隊に将来を託した。

After the Navy's troubled A-12 stealth plane program was cancelled in 1991, by contrast, the sea service kept buying conventional aircraft, the F/A-18E/F Super Hornet.
1991年に困難に直面した海軍のA-12ステルス機計画がキャンセルされた後に、海軍は対照的にF/A-18E/Fスーパーホーネットを購入し続けた。

The Navy F/A-18 is "fine in the kind of threat environments that we've been used to operating in over the last 20 years," he said, against relatively backward foes like the Taliban or even Saddam Hussein, "but [non-stealthy] fourth generation aircraft --F-15s, F-16s, F-18s -- are not survivable in a modern double digit surface-to-air missile environment."
海軍のF/A-18E/Fは「過去20年間で我々が作戦遂行するのに慣れた通常の脅威環境には有効である」、比較的遅れた敵であるタリバンないしはサダム・フセインにすらであるが、しかし(非ステルス機である)第四世代機のF-15、F-16、F-18は近代的な"二桁地対空ミサイル"環境で生存可能ではないと彼(David Deptula退役空軍中将、インテリジェンス・監視・偵察初代空軍責任者)は述べた。

("二桁地対空ミサイル"とはNATOコードでSA-10, SA-20, SA-21など二桁の型番を有するロシア製地対空誘導弾, 下の写真は英語版WikipediaよりS-400地対空ミサイル, 著作権はPublic Domain, クリックで画像拡大)S400_triumf_sam"The rapid expansion of computing power also ushers in new sensors and methods that will make stealth and its advantages increasingly difficult to maintain," Adm. Greenert wrote in July. "It is time to consider shifting our focus from platforms that rely solely on stealth."
「コンピュータ能力の急激な拡張は新たなセンサーと対抗手段を導き、ステルスとその利点を維持することを更に困難とする」とGreenert 提督は7月に書いた。「ステルスのみに頼る基盤から我々の視点を移行する時期である」

So while the Air Force has bet on stealth to hide its planes from hostile radar, the Navy is still buying electronic-warfare aircraft to neutralize radar the old-fashioned way, by jamming it.
敵対的レーダーから機体を隠す為に空軍はステルスに頼るが、伝統的な方法であるジャミングによりレーダーを中和する為に海軍はまだ電子戦機を購入している。

"People need to understand stealth is not invisibility," Deptula told AOL Defense. As current sensor technology improves, he said, "you're going to be able to detect aircraft with current levels of low-observability at further distances." That said, non-stealth planes are much bigger targets, he said: "It's a piece of cake for an adversary with a sophisticated air defense system to engage and kill a 4th generation aircraft; it's very difficult for them to do that with a 5th gen aircraft. Will it get easier in the future? Possibly."
「ステルスは透明になることではないと理解する必要がある」とDeptula氏はAOL Defense紙に述べた。現状のセンサー技術が向上するにつれて、「更なる遠距離で現行レベルの低視認性の機体を探知が可能となる」と彼は述べた。とは言っても、非ステルス機は更に大きなターゲットであると彼は述べた。「高度な防空システムを有する敵にとり、第四世代戦闘機と交戦し撃墜することは容易である;第五世代戦闘機でそれをすることは彼等にとり非常に困難である。将来的にはそれはより容易となるであろうか?可能性はある。」

"You can't make something disappear, all right?" echoed Friedman. "What you can do is reduce the signature you get back [on the enemy's sensor screens]. More powerful processors buy you back part of the signal" – and thanks to Moore's Law, the processing power available to do that doubles every 18 months. The more powerful the processors and the more sophisticated their algorithms, the more effectively they can sift meaningful data out of the static. And no matter how stealthy an aircraft is, it still makes some noise, it still emits some heat as infra-red radiation, and – most critically – it still reflects back some portion of an incoming radar beam.
「何かを消し去ることは出来ない。分かりますね?」とFriedman氏(ステルス懐疑派の軍事アナリスト、理論物理学の学位者)は呼応した。「出来ることと言えば(敵のセンサースクリーンに)戻るシグネチュアを減らすことだ。プロセッサがより強力であれば、信号を一部を捕捉する。」ムーアの法則により、それをするのに利用出来る処理能力は18ヶ月毎に二倍となる。プロセッサが強力でアルゴリズムが精巧であればある程に、統計からより有意義なデータを抽出出来る。機体が如何にステルスであったとしても、ある程度のノイズを発生させ、赤外線として熱を発し、そして最も重大であるが、照射されたレーダービームの一部を反射してしまう。

(下の画像はWikipediaよりムーアの法則の図 作者はJulben氏 クリックで画像拡大)Moores_lawNot that all radars are created equal. Even back in the 1980s, author Andrew Cockburn warned that, ironically, the Soviet Union's oldest, crudest radars might detect stealth bombers that newer systems missed. Stealth aircraft rely on carefully designed shapes and thin surface coatings to baffle incoming radar beams. But the lower the frequency of the incoming radar, the longer the wavelength, which means the less it reflects such subtleties at all: It's essentially too stupid to be tricked.
全てのレーダーが均一に作られた訳ではない。1980年代にすら、作家のAndrew Cockburn氏は比較的新しいレーダーが見逃したステルス爆撃機を皮肉にもソ連の最も古く粗悪なレーダーは捕捉するかもしれないと警告した。ステルス機は照射されるレーダービームに対抗する為に緻密に設計された形状と薄い表面の塗料に頼る。しかし照射される周波数が低いほど、波長が長くなり、そしてそれは全く機微を反映しない。実質的に騙されるには鈍感過ぎるのである。

The upside is such relatively crude radars may detect a stealth aircraft is out there somewhere, but not accurately enough to shoot it down. The low-frequency, long-wavelength radars that are most likely to see through stealth are, for the same reasons of physics, the least precise. They're also too big to fit in anything but a ship or a fixed ground installation, where they are typically used to give warning that aircraft are in the general area. Actually tracking and hitting a target depends on smaller, shorter-wavelength radars which can fit in, say, an interceptor aircraft or surface-to-air missile and which offer more precision but are also more easily baffled by stealth technologies.
その様な原始的なレーダーはステルス機が何処かにいることを探知するかもしれないが、撃墜するには十分な精度を有しない。低周波で波長の長いレーダーがステルスを捕捉する可能性が最も高いが、物理学の同じ理由で最も不正確である。そしてそれらは大き過ぎであり艦船か陸上施設にしか利用できず、そしてそれらはその空域に航空機が存在するとの警報を与える為の典型として使われてきた。実際に目標を追尾し命中させるにはより小型で短波長のレーダーに頼っており、迎撃機や地対空ミサイルに搭載可能であり、より正確であるが、ステルス技術により妨げられ易い。

The problem is what happens when all the radars are working together in parallel instead of in a series. Rapid advances in computing technology don't just improve the individual radars. They also make it easier to share data among multiple sensors of multiple types – radar, infra-red, visual, acoustic – and thus put together scattered clues into a picture that's clear enough to kill.
問題は全てのレーダーが流れ作業的にではなく融合的に機能していた時に何が起きるかである。コンピュータ技術の急速な発展は単独のレーダーを進歩させるだけに止まらない。それらは複数のタイプの複数のセンサー(レーダー、赤外線、画像、音響)で共有することを容易にし、従ってばらばらの手掛かりを一つに纏めて撃墜するのに十分となる。

The issue is not just technology but tactics. Stealth aircraft still need to aim for the weak points in an enemy air defense system to fly through the gaps in radar coverage;
問題はテクノロジーだけではなく戦術もである。ステルス機は敵の防空システムの弱点を突きレーダー探知圏外の間を飛行する必要がある。

While a large enough armada of non-stealth strike planes and escorting jammers can batter their way through enemy air defenses, Deptula said, "you'd have to put together a significant force package with many aircraft to do the same job as a handful of fifth-generation jets [like] F-22s and F-35s."
非ステルス攻撃機の十分な大編隊とエスコートジャマーは敵防空を突破可能ではあるがとDeptula氏は述べ、「その場合は少数のF-22やF-35の様な第五世代機で行うのと同様の任務を多数の機体で一大のフォースパッケージを集約しなくてはならない」120919fzz987904(上の写真は米空軍公式サイトからF-22AとF-35A, 米国空軍Jeremy T. Lock二等曹長が撮影, 米空軍の方針により配布自由, クリックで写真拡大) 

For example, the F-35 possesses powerful jammers and highly classified electronic warfare capabilities, as well as boasting layers of designed-in low observability (aka stealth).
例えばF-35は長所である幾重もの低視認性(即ちステルス)と同時にに強力なジャマーと機密性の高い電子戦能力を有している。

"We have to get beyond the notion that 5th generation aircraft are single-role aircraft," said Deptula. "They're actually flying sensor nodes; they can collect ELINT [electronic intelligence], SIGINT [signals intelligence];
「私達は第五世代機が単一任務機であるとの認識から脱さなくてはならない。」とDeptula氏は述べた。これらは飛行するセンサー接点である。これらはELINT(電子偵察)とSIGINT(信号情報)を収集出来る。

But Friedman believes stealthy aircraft should not emit. "The more stealthy you want to be, the less you want to emit."
しかしFriedman氏はステルス機は放出するべきではないと考える。「よりステルス性を望むのであれば、放出をより少なくするべきである」

(引用及び翻訳終了)
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(2)記事の要旨と捕捉

 こう見ましても米国内でもステルスに対する見方が軍と海軍、または専門家により見解に大きな相違がある事が分かります。空軍の今後の主力はステルス機となるのに対して、海軍はF/A-18E/FとF-35Cの二本柱としているのです。

 まずステルスはレーダーにより(科学技術の進歩とセンサーの発達に伴い)捕捉される可能性に関しては上記記事の中では専門家の間でも異論はありませんでした。ただそれが撃墜可能であるか否かに関してはDeptula氏とFriedman氏は意見が異なる模様です。Deptula氏はステルス機は例えレーダーに探知されたとしても、ステルス機に対してはロックオン自体が困難である為に生存性を大きく向上すると確信し、Friedman氏は複数のセンサーを組み合わせ、データリンクを構築し、例えば飛行コースを予測すれば撃墜が可能となる可能性を指摘しています。その具体例が1999年のコソボでのF-117撃墜であるかもしれないとも記事にはあるのです。

 また生存性向上の為に電子戦機に関しても議論されていますが、Deptula氏は第五世代戦闘機はマルチロール機であり、高度の電子戦能力を有しており、またデータリンクも秘匿性が高く通信が探知困難であるとしています。それに対してFriedman氏はステルス機は電波自体を発信してはならないとの主張です。

 ステルスに関する上記の見解のどちらが正しいかは浅学な私には判断するだけの力量はありません。しかし私はこの二人の識者の視点は相互に矛盾するものではないと考えるのです。即ち

(a)ステルス機は捕捉される可能性があり、特にコンピュータ技術とセンサーの発達によりその危険性が高まる。しかし撃墜されるかどうかはまた別の問題である。

(b) 生存性を高める為にはレーダーの探知圏外を飛行する必要があり、また電子戦機の援護があることが望ましい。

 また私としましては、特にF-35はセンサーを満載したマルチロールファイターであることを重視したいと考えます。また機動性も思った以上に高い模様です。緊急時の回避機動にも役立つと思われます。

この動画はLockheed Martin社が自社のYouTube公式アカウントに投稿したF-35の迎え角の飛行試験

 あくまで第五世代戦闘機とはステルスを一要素として含んだ一つのシステムではなかというのが私の結論です。

 3.日本の防空網はステルス機を防げるか、F-35Aを活用出来るか

 上記の議論を日本にも当てはめて考えるとどうでしょう。日本のレーダーの探知能力がどの程度かは分かりませんが、狭い感覚で配備されている事が下の地図からも分かります。それぞれのレーダーの性能と、ステルス機自体のステルス性にもよりますが、ステルス機が飛行可能な探知圏外の区域は比較的少ないかもしれません。

(下の画像はWikipediaから日本のレーダーサイト位置 Los688氏制作 クリックで画像拡大)898pxjasdf_surveillance_stationssvg さらに日本はデータリンクも発展しており、空自のJADGEシステムはレーダーサイトは勿論のこと、早期警戒機、戦闘機、海自、陸自ともリンクされており(或いはその技術を開発中)、多数のセンサーが融合的に運用されていると言う事が出来ます。また米空軍横田基地には今年の3月に空自航空総隊司令部が移転しており、日米で防空情報が共有される体制が構築されているのは周知の事実です。

「空自新管制システム始動 MDの頭脳、情報一元化」(2009年07月01日 18:42 共同通信)

「総隊司令部 横田移転を完了 「同盟のシンボル」 日米共催で"同居"祝う 」(2012年3月29日付け 朝雲新聞社)

平成20年度政策評価書(事前の事業評価) 自衛隊デジタル通信システム(戦闘機搭載用)-PDF-

Jdcsf( 上の画像はJDCS(F)運用構想図 別紙より-PDF- クリックで画像拡大)

Adccs(上の画像は対空戦闘指揮統制システムの運用構想図 別紙より-PDF- クリックで画像拡大)

 こうして見ますと、日本には一定のレーダーの密度とデーターリンクがあり、上記の議論を当てはめますと、ステルス機にとって比較的難しい環境と言えるかもしれません。

 更に言えば日本はF-35Aを導入しますので、その高度なセンサーフュージョンとデータリンクはステルス機を捕捉する有効手段となり得ます。そして電子戦機としての活用も可能でしょう(もしF-35Aの一部を電子戦機としての活用を是認するのであれば)

(下の写真はJA2012会場にて筆者が撮影したEOTS模型 クリックで拡大)

Dscf0411_3

 またF-35Aの存在自体がステルス対抗策を構築する研究材料として活用が可能かもしれません。そういった意味合いでも私はF-35Aの導入は正解であったと考えます。

(下の写真はJA2012会場にて筆者が撮影した日の丸F-35A模型 クリックで拡大)

Dscf0403 

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