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2013年5月

2013年5月30日 (木)

接続水域に於ける潜水したままの潜水艦の法的位置づけに関して

1.問題の概要

 皆様も各報道でご存知のことと思いますが、国籍不明の潜水艦が接続水域を潜水したままで航行しました。

久米島沖の接続水域に国籍不明潜水艦(2013年5月13日 11時45分 NHK)

外国の潜水艦 また接続水域に(2013年5月19日 19時13分 NHK)

そしてこれらは防衛省の公式発表でも確認可能です。

国籍不明潜没潜水艦の動向について(平成25年5月13日 防衛省)

潜没潜水艦の動向について(平成25年5月19日 防衛省)

 また産経新聞は5/13付けの潜水艦の潜航コースを地図上に描いています。

「潜水艦の潜航コース」(2013年5月14日(火)7時55分配信産経新聞)

2.領海・接続水域とは

 それでは領海・接続水域とは一体どのようなものでしょう。それは海洋法に関する国際連合条約 (国連海洋法条約)にて定められています。領海に関しましては同条約第3条で「いずれの国も、この条約の定めるところにより決定される基線から測定して十二海里を超えない範囲でその領海の幅を定める権利を有する」としており、また接続水域に関しましては同条約第33条第2項で「接続水域は、領海の幅を測定するための基線から二十四海里を超えて拡張することができない」と規定しており、下の図はそれを判り易く図解化したものです(出典はWikipediaより、クリックで図拡大)。

Coast_zone_ja

3.日本は国際法に照らしてどの様な対応が可能であるか

(1)「北大路機関」はるな様の問題提起

北大路機関」はるな様がこの件に関しまして対応策を提案していました。

「接続水域への外国潜水艦潜航侵入問題について 国連海洋法条約・公海条約・領海条約」(2013年05月18日)

「領海での沿岸国に認められている主権行使を行うことはできないのですが、領海へ影響が及ぶ脅威や危険に対し、必要な予防措置を執ることは認められています。即ち、接続水域に入ったことを理由として攻撃を行うことはできません、しかし、威嚇射撃などは予防措置にあたるため沿岸国に認められる。 」

「沿岸国は領海だけではなく接続水域においても発生した不法行為に対し、継続追跡権を有すると示されています。継続追跡権は、接続水域の外側に設定されている排他的経済水域においても域内で生起した不法行為に対し行うことが認められているのですが、これは言いかえれば、接続水域において生じた不法行為にたいし、沿岸国が管轄権を有することが認められているということを改めて確認できるところ。 」

(2)国連海洋法条約上の規定

 国連海洋法条約第33条第1項では「沿岸国は、自国の領海に接続する水域で接続水域といわれるものにおいて、次のことに必要な規制を行うことができる。 」、「(a) 自国の領土又は領海内における通関上、財政上、出入国管理士又は衛生上の法令の違反を防止すること。 」、「(b) 自国の領土又は領海内で行われた(a)の法令の違反を処罰すること。 」と規程しています。従いまして安全保障上の問題に関しましては明文での規定がないのが現状です。

 領海内の潜水艦の航行に関しましては国連海洋法条約第20条で「潜水船その他の水中航行機器は、領海においては、海面上を航行し、かつ、その旗を掲げなければならない。 」と明記されています。

(3)わが国の法規

 わが国の法律では「領海及び接続水域に関する法律」が制定されており、同法第四条では「我が国が国連海洋法条約第三十三条1に定めるところにより我が国の領域における通関、財政、出入国管理及び衛生に関する法令に違反する行為の防止及び処罰のために必要な措置を執る水域として、接続水域を設ける。」としており、文言的には国連海洋法条約第33条第1項と全く同じです。即ち密輸や密入国に関しましては処罰が可能となりますが、それ以外には規定がありません。

 通常は国際条約を締結した後は、立法府で承認を得て、そして条約内容に基づいた国内法を制定するというプロセスを踏みます。

(4)どう解釈するべきか
 国連海洋法条約第20条では潜水艦は領海内では浮上しなくてはならないと明文化されており、その一方で接続水域に関しましてはそういった規定がないことを考えますと、接続水域では潜水艦には浮上する義務はないと反対解釈をすることが出来ると考えます。その一方で領海内で国籍不明の潜水艦が領海に侵入した場合は強制力を伴う措置を講じるとすることが国際法上は妥当です。

「質問なるほドリ:接続水域、外国船は通れない?=回答・鈴木泰広」(2012年10月27日 毎日新聞)
「接続水域は公海と同じように、外国の船でも自由に通れるんです。ただし、密輸や密入国などを防ぐため、疑わしい船を立ち入り検査し、外に出すことなどができます。海上保安庁が取り締まっていて、日本の法律に違反した疑いがある船は接続水域の外まで追いかけることも可能です。でも、こうした対応は軍艦(ぐんかん)や公船(こうせん)(各国政府の船)にはできません。」

防衛大臣会見概要(平成25年5月21日(08時17分~08時24分))
「接続水域を航行することに関しては、特に国際法上、違反というわけではありません。私どもが注視をしているのは、領海に入ってくるということであります。今回の状況も領海に入るような状況ではなかったということですから、これは、警戒・警告、このようなことについて、有効に機能していると思っています。」

(5)わが国の対応
 安倍総理は国会で名指しを避けながらも、けん制する発言をしました。

「接続水域潜航「重大な行為」=安倍首相がけん制、中国艦の公算-参院予算委」(2013年05月14日 18:20時事通信)
「「領海に近い距離まで来たことは重大な行為だ。国籍は申し上げないが、当該国には二度と行わないよう認識していただかなければならない」、「「ある種の意図を感じざるを得ないので、事実関係を公表するという判断をした」

 従いましてあくまで政策的な判断として政府は公開したということが出来ます。国際法上は強制力を伴う有効な措置はありません。

 その一方でもし領海に侵犯した場合は1996年12月安全保障会議及び閣議で決定された「我が国の領海及び内水で潜没航行する外国潜水艦への対処について」の方針や、「(2004年11月10日に発生した)中国原子力潜水艦による領海内潜没航行事案を踏まえての措置」に基づき海上警備行動が発令されることになります。

「領水内潜没潜水艦への対処」(2005年度防衛白書)

 海上警備行動を発令した実績が2004年の事案ではあり、またその方針は不変であることが一種の抑止力となっていると言えるでしょう。

2013年5月17日 (金)

橋下大阪市長が普天間基地司令官に風俗活用を推奨したことの問題点

(この動画はYouTube維新の会公式アカウントに投稿された【2013.5.13】橋下徹 大阪市長 登庁時 ぶらさがり取材の動画)

(この動画はYouTube維新の会公式アカウントに投稿された【2013.5.13】橋下徹 大阪市長 退庁時 ぶらさがり取材の動画)

1.はじめに 

 橋下徹大阪市長が従軍慰安婦問題に関して日本のみが批判されるのはアンフェアである旨の趣旨の主張を2013年5月13日の記者会見で展開し、また2013年5月1日に米軍普天間基地を訪問した際に同基地の司令官に風俗を活用するよう推奨したと発言した事は既に皆様も報道でご存知の事と思います。橋下発言に対し、米国防総省がコメントを出す事態にまで発展しました。

「橋下提案「ばかげている」=米国防総省」(2013年05月14日01:21 時事通信)
「国防総省内で買春を禁じる法律がある。提言はありがたいが、われわれは法と米政府の政策に従う」

今回はこの橋下市長の一連の発言内容を検証し、問題点を整理することとしました。

「慰安婦は必要だった」「侵略、反省とおわびを」橋下氏(2013年5月13日(月)11時48分 朝日新聞)

「沖縄米軍に『もっと風俗活用を』 橋下氏が司令官に発言」(2013年5月13日(月)21時19分配信 産経新聞)

 またTwitterで本人がその持論や米軍司令官への発言を繰り返し投稿しており、事実関係は間違いがないと言えるでしょう。それではこのTwitterでの投稿を検証してみます。

2.Twitterに於ける橋下市長の投稿

(1).従軍慰安婦問題に関して日本のみが批判されるのはアンフェアとの主張に関して

「日本の慰安婦制度を正当化するつもりはないが、しかし、日本「だけ」が慰安婦制度を持ったレイプ国家だと言われるものではない。」(2013年5月15日00:17の投稿)

201305150017

「第二次世界大戦当時、日本国軍だけでなく、世界各国の軍もいわゆる慰安婦制度を活用していた。」、「当時はそうだった。日本国の慰安婦制度を正当化するのではない。日本だけが不当に侮辱を受けることには反論しなければならない 」(2013年5月15日00:20の投稿)

201305150020

「戦時下では世界各国もいわゆる性奴隷を活用していたのに、なぜ日本「だけ」が性奴隷を活用していたと世界から非難を受けているのか。」(2013年5月15日08:51の投稿)

201305150851

「他の国がやっていたから日本の慰安所は良いでしょなんて一言も言ってません。慰安所はダメなのは当たり前です。しかし世界は、日本だけ特殊な性奴隷を活用していたと思っているんです。そこは違う。」(2013年5月15日09:08の投稿)

201305150908

 これら一連の投稿から橋下市長は慰安婦制度は正義に反すると考えていますが、その他の諸国も同様に買春をしており、従って日本のみが批判されるのはアンフェアであるとしていることが分かります。

(2).米軍司令官に風俗の利用を推奨した事に関して

「風俗=売春業と早合点して、そんなことは法律では許されていない!と言う声。」、「今の法律では売春業は認められていない。しかしそのレベルに達しない所で、風俗業が法律上認められている。要は最後の性行為に至らないところでの風俗業。 」(2013年05月14日15:41の投稿)

201305141541

「買春なんて誰も言ってないでしょ。日本の法律で認められている風俗業は買春でないことくらい国防総省は知らないのかね。買春は日本でも認められていない。繰り返すが、日本には法律上認められている風俗業が存在する。」(2013年5月14日23:45の投稿)

201305142345

「僕が普天間の司令官に、風俗業の活用を進言したのは、法律違反のことをしろと言っているわけではない。」、「僕は、法律上認められている風俗業を活用しろと言ったんだ。建前は止めた方が良いと。」(2013年5月14日07:24の投稿)

201305140724

「米軍は、法律上認められている風俗業にも、出入り禁止としているらしい。出入り禁止としても、軍人の性的欲求が0になるわけではない。」(2013年5月14日07:27の投稿)

201305140727

「法律上認められる風俗も、買春ではない。」、「僕か現実を見据え、法律上認められる風俗業を活用したらどうだと進言した。」(2013年5月15日11:47の投稿)

201305151147

3.橋下市長の主張の要約とそれに対する私の第一印象

橋下市長の主張を要約すると下記の三点となります。

(1)太平洋戦争中の慰安婦制度は当然許されないが、日本以外の国も買春行為があったのであり、日本のみが批判されるのはアンフェアである。また戦争中にはそういったことが起きるのは当然である。

(2)在日米軍の不祥事の問題があり、そういった性欲のコントロールする為に風俗の活用を普天間基地司令官に提言したが断られた。

(3)風俗は日本では合法であり、風俗=買春ではない。米軍は活用を検討するべきだ。

 これらに関する私の第一印象としましては、なぜ(1)の主張が(2)や(3)と結び付くのかが分かりません。戦争中の人権問題と同盟国の規律の問題は全く異なる問題です。もし関連性があるとしても(1)では慰安婦制度は許されないとしながらも、(2)と(3)で風俗を推奨するというのが根本的に矛盾していると言えるでしょう。

4.米国はどのように見ているか、米国の法規はどう規定しているか

 米国がどう考えているかに関しましては私個人の見解としましては下記三点が重大なポイントではないかと考えます。

(1)橋下市長と米軍司令官の会談の際に通訳は何と翻訳したか

(2)普天間基地司令官はどう解釈したのか

(3)風俗≠売春/買春なのか。日本ではそうであったとしても米国ではどうなのか。

 (1)及び(2)に関しましては公式資料がなく、検証する事が出来ません。しかしそのヒントとなる文献は見つける事は出来ました。米軍の準公式機関誌と言っても良い星条旗新聞です。2013年5月14日の記事"Osaka mayor: ‘Wild Marines’ should consider using prostitutes"(「大阪市長:「野蛮な海兵隊」は売春婦を使うことを考慮すべきだ」)です。そこには今回の発言を下記のように報じています。(下記は記事の一部抜粋と翻訳)

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he visited with Marine Corps Air Station Futenma’s commander last month and told him that servicemembers should make more use of Japan’s legalized sex industry.

彼(橋下市長)は先月に海兵隊の普天間航空基地司令官を訪問した際に、海兵隊員達は日本の合法なセックス産業をより活用するべきだと司令官に告げた。

Hashimoto said that the commander responded with a bitter smile and told him that brothels are off-limits to U.S. servicemembers.
橋下市長によると司令官は苦笑いをし、米国軍人は売春宿が禁じられていると橋下市長に告げた。

Marine Corps officials in Okinawa were not immediately available for comment Tuesday afternoon.
沖縄の海兵隊関係者からは火曜日の午後にコメントを直ちに得ることは出来なかった。

Patronizing a prostitute is now subject to court-martial under the Uniform Code of Military Justice.
買春行為は統一軍事裁判法により今は軍法会議の対象となる。

(引用及び翻訳終了)
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 この記事によりますと普天間基地の海兵隊関係者からはコメントが得られておらず、具体的にどの様なやりとりがあったかは分かりません。そうだとしますと5月13日の橋下市長が記者会見で述べたことが事実であると推定するしかありません。

 もしそうだとしますと、5月13日の橋下市長が記者会見で述べた内容に基づき執筆された星条旗新聞のこの報道は買春と風俗の区別をしていません。実際に筆者も風俗を英訳するならばprostitution程度しか思いつきません。

 日本は売春防止法により売春を防止する一方で、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律により浴場業の個室で「異性の客に接触する役務を提供する営業」、「個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」、「性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行」など一部業種に関しては公安委員会の許可により営業を許可しています。

 しかし星条旗新聞の記事にもありましたが、米軍に於きましては「買春行為」は統一軍事裁判法により軍法会議の対象となります。そしてそれは米国本土以外の米軍兵士にも当然適用となります。

 統一軍事裁判法の第十章のPunitive Articles(懲罰規定)の第134条にGeneral article(一般条項)があり、その他の違法行為ほど違法性は強くありませんが、軍の規律を乱す行為や対外的な信用を損なう行為に対しては懲罰の対象となる旨が記載されています。

参考資料:Uniform Code of Military Justice

 そして軍法会議マニュアルはこの統一軍事裁判法、134条の一般条項に抵触する行為の一つとしてpatronizing prostitution(買春)を挙げているのです。

参考資料:Manual for courts-martial (要注意;PDF、非常に重いです)

 米国軍人は休暇中であっても、国内外及び基地内外を問わず、Uniform Code of Military Justiceが適用されます。

5.さいごに

 橋下市長は弁護士でもあります(大阪弁護士会所属 登録番号25196 この情報を日弁連の公式サイトの弁護士情報検索にて検索しますと登録があることが判る。下はそのスクリーンショット)。

25196

 弁護士と言いましても当然それぞれ得意分野がありますし、ましてや米軍の統一軍事裁判法を熟知している弁護士は日本国内ではもし居るとしてもごくわずかなのではないでしょうか。しかし日本の風俗を活用することが米軍兵士にとり違法の可能性があることは、普天間基地司令官との会談時か、またはここ数日間で橋下市長は知ったのではないでしょうか。そうだとしますと、弁護士が違法の虞のある行為を推奨していることになってしまいます。そして弁護士であれば当然知っていると思われますが、悪法も法なのです。法律が如何に不条理であっても、欠陥があったとしても、改正されるまで法律は法律として遵守する必要があります。

 そして違法であるかどうか以前の問題としまして、軍人は性犯罪を起こす可能性が高い為に風俗を活用するべきと言われたらならば、米国軍人だけに限らず、軍人は人としてどの様な気分になるしょう。そう考えますと今回の発言は非常に不適切であったと言えると思います。

2013年5月13日 (月)

米国防総省の北朝鮮に関する議会への報告書を読んで

1.はじめに

 米国防総省が5月2日に北朝鮮の軍事力に関する報告書を議会に提出しました。

Report on North Korea’s Military and Security Developments

  このレポートの冒頭の要約では"The Democratic People’s Republic of Korea (DPRK) remains one of the United States’ most critical security challenges in Northeast Asia."(朝鮮人民民主主義共和国は北東アジアに於ける米国の最も深刻な安全保障上の懸念として残っている)としています。

 このレポートは下記の5章で構成されており、各章の要旨を下記に掲載します。なお第三章と第五章は内容的に共通点が多く、この記事では同時に要旨を掲載することとしました。

2.第一章「安全保障状況の評価」
この章の要旨としまして、北朝鮮が2012年に「強盛大国の大門を開く」というスローガンを掲げたこと、2011年12月の金正日の死去に伴う金正恩体制への移行、2011年から2012年半ばに韓国と北朝鮮の関係が悪化し、北朝鮮の韓国に対する不満は朴槿恵大統領在職期間中に大きく変化することはないであろう旨が記載されています。

3.第二章「北朝鮮の戦略の理解」
 北朝鮮は経済と軍事力が衰退し国際社会で孤立化しているが、それでも半島で一定の発言力を確保しようと韓国に対して挑発と恫喝をしており、先軍政治は北朝鮮が軍事力以外に国力と呼べるものがない為であり、核保有国となることで国際社会に平等に認められることを目標としており、それにより経済力を発展させることを第二の目標としていることから、核ミサイル計画を断念することは考え難いとしています。

4.第三章「軍近代化目標と傾向」と第五章「北朝鮮軍の規模、位置、能力」
(1)朝鮮人民軍は巨大な陸軍中心の軍であり、多数の弾道ミサイル、大規模な特殊部隊と乏しい空海軍により支えられている。約70%の陸軍と50%の空海軍が非武装地帯から100km以内に配置されている。兵力では世界で第四位である。

(2)資源不足と装備の老朽化により困難に直面しているが、北朝鮮の前線に展開した軍はほぼ前触れがなく韓国に攻撃開始可能であり、韓国の非武装地帯からソウルまでの区域に深刻なダメージを与える能力を有する。

(3)北朝鮮の装備は1950年代、60年代、70年代のソ連製か中国製であるか、それらの設計に基づくものである。
(下の各図表は同報告書から北朝鮮の陸海軍の概要と基地を図解したもの クリックで画像拡大)

North_korean_ground_force

North_korean_air_force

North_korean_naval_force

(4)北朝鮮は野心的な弾道ミサイル開発計画があり、韓国、日本、太平洋地域を射程に収める移動式戦域弾道ミサイルを配備している。テポドン2号はICBMとして設定されれば核弾頭搭載可能な米国の一部に到達可能となる。北朝鮮は2012年12月12日にテポドン2号の発射に成功している。

(下の画像はWikipediaより北朝鮮の弾道ミサイル各種の射程を図解したもの クリックで画像拡大)

North_korean_missile_rangesvg

(下の画像は同報告書から弾道ミサイルの発射機と射程の推測を図解した表 クリックで拡大 ノドンとIRBMの発射機の発射機の数をそれぞれ50台未満としていることは注目に値する)

North_korea_ballistic_missile_force

(5)特殊部隊は北朝鮮で最も訓練され、装備が充実し、食糧も与えられ、士気が高い。

4.第四章「拡散」
(1)北朝鮮は通常兵器や弾道ミサイルをアフリカ、アジア、中東に輸出している。核技術もリビアやシリアに提供した。

(2)北朝鮮は2006年、2009年、2013年2月に核実験を実施し、更に実施するかもしれない。

(3)亡命者から生物兵器計画に関する証言がある。

(4)化学兵器を有しており、砲弾や弾道ミサイルに搭載可能である。北朝鮮軍は化学兵器戦を訓練している。

5.この報告書から分かること
 この報告書の内容が事実であるとするならば、北朝鮮の通常戦力は老朽化と資源不足により劣化・衰退しつつあり、それを補う為に恫喝外交や挑発を行っており、通常戦力で不利になりつつあることを補いつつ国際社会で影響力を得る為に核・弾道ミサイル開発に邁進していることが読み取れます。また核ミサイル計画を断念することは考え難いとしており、そうだとしますと日米中韓が如何に阻止に動こうとしても、それは北朝鮮の現体制が存続する限り無駄な努力になると思われます。そうだとしますとわが国は粛々と弾道ミサイル防衛を今後も拡充していくしか選択肢がないと言えるのではないでしょうか。

2013年5月 4日 (土)

日本が「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に賛同を見送ったことに思うこと

1.日本が「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に賛同を見送り

 ジュネーブで開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第2回準備委員会で出された「核兵器の人道的影響に関する共同声明」(PDF)に日本が不参加であった事に関し、国内から批判の声が上がっています。

「NPT再検討会議:準備委員会 共同声明、日本が不参加 「被爆国、胸張って賛同を」市民ら疑問や怒り /広島」(2013年4月26日(金)16時19分配信 毎日新聞)

「核兵器の人道的影響に関する共同声明」へ日本政府が賛同を見送ったことに対する市長コメント」(2013.4.25)

 上記の広島市の公式発表によりますと、日本が不参加であったことに関しまして、天野万利軍縮会議日本政府代表部特命全権大使は「我が国の安全保障体制を踏まえ関係国と調整を続けたが、最終的に時間切れで整わなかったため賛同には至らなかった」と広島市に説明したとのことです。

2.「核兵器の人道的影響に関する共同声明」とは

 それでは「核兵器の人道的影響に関する共同声明」とは如何なるものであったのでしょう。

(1)共同声明参加国
アルジェリア、アルゼンチン、オーストリア、ベラルーシ、バングラデシュ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ボツワナ、ブラジル、カンボジア、チリ、コロンビア、コスタリカ、コートジボワール、キプロス、デンマーク、ジブチ、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、エチオピア、ガーナ、グルジア、グレナダ、グアテマラ、バチカン、ホンジュラス、アイスランド、インドネシア、イラン、アイルランド、ヨルダン、カザフスタン、ケニア、クウェート、レバノン、レソト、リヒテンシュタイン、ルクセンブルグ、マレーシア、モルジブ、マルタ、モーリシャス、メキシコ、モロッコ、モザンビーク、ナミビア、ネパール、ニュージーランド、ニカラグア、ニジェール、ナイジェリア、ノルウェー、パラオ、パナマ、パプアニューギニア、パラグアイ、ペルー、フィリピン、カタール、サモア、シンガポール、スワジランド、スイス、タンザニア、タイ、トンガ、トリニダードトバゴ、チュニジア、ウガンダ、ウクライナ、ウルグアイ、イエメン、ザンビア、南アフリカ

(下の画像はWikipediaからNPT条約の参加国 クリックで画像拡大)

Npt_participation

下の画像はWikipediaより核兵器拡散状況 クリックで拡大)

Nwfg

 (上述の声明参加国とこの画像二つを照らし合わせますと、米露中英仏の何れの国も今回の声明には参加していないことが分かります。同じ極東では韓国も参加していません)

(2)声明の主要部分抜粋
(a)私たちは、核兵器使用のもたらす壊滅的な人道的結果について深く懸念しています。

(b)爆発による即死や破壊のみならず、それは社会経済的な発展を阻害し、環境を破壊し、次世代から彼らの健康、食料、水、その他死活的なリソースを奪うものとなります。

(c)2013 年 3 月にオスロで開催された核兵器の人道的影響に関する会議は、核兵器爆発のもたらす影響についての事実情報を基盤とする議論のプラットフォームを提供しました。

(d)核兵器が二度とふたたび、いかなる状況下においても、使用されないことに人類の生存がかかっています。

(e)核兵器が二度とふたたび使用されないことを保証する唯一の方法は、それらを全面廃棄することでしかありえないのです。

(f)政府がその責務を果たすと同時に、市民社会は、政府と連携しながら核兵器の壊滅的な人道的結果についての意識を啓発するという死活的役割を担います。

3.日本政府の立場

 日本の外務省は核兵器の壊滅的影響の人道面における認識の促進に積極的姿勢であったと思われます。

「日本の役割:核兵器の壊滅的影響の人道面における認識の促進」(日本国外務省)
「最近の核軍 縮の人道的側面に関する共同声明に表明されている懸念の多くを共有し、今回の核兵器の人道的影響に関する国際会議の主たる目的も完全に支持する。」(ノルウェーの首都オスロにおいて、2013年3月4日から5日の日程で開催された核兵器の人道的影響に関する国際会議に関して)

 また日本国外務省の公式twitterアカウントの一つであるDisarmamentJAPANは下記のようにつぶやいています。

2013年4月25日22:36のつぶやき

「今回の共同ステートメントに言及された核兵器の使用が直後の被害のみならず,社会経済や将来世代にわたって耐え難い損害をもたらす点など核兵器の人道的影響を巡る基本的考え方は支持 」

20134252236

2013年4月25日22:38のつぶやき

「ただし,我が国を取り巻く安全保障環境に鑑み,本ステートメントの表現ぶりがふさわしいかどうか慎重かつ真剣な検討、修文の協議を行ったが、残念ながら協議が整わなかったため、今回本ステートメントに賛同することは見送った。」

20134252238

4.「我が国を取り巻く安全保障環境」とは

 これらの日本の矛盾した対応は北核実験や中国との深まる対立も考慮したものと思われます。

「北朝鮮による核実験の実施情報について」(2013年2月12日 首相官邸)

 中国の核兵器使用ドクトリンも非常に不明瞭さがあり、真意を極めにくいところがあるのが現実です。

「中国国防白書:核「先制不使用」外す 政策変更か」(2013年04月23日02時09分 毎日新聞)

「「日本に核兵器使わない」=異例の具体的国名言及-中国高官」(2013年04月20日 07:08 時事通信)

 冷戦時代に於きましては、米国は核の先制攻撃の選択肢を放棄せず、むしろ抑止力として積極的に活用していました。核兵器に対し根強い国民感情があるわが国に於きまして非常に難しい問題であり、それが今回のような矛盾した対応の原因となったのかもしれません。

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