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2013年5月13日 (月)

米国防総省の北朝鮮に関する議会への報告書を読んで

1.はじめに

 米国防総省が5月2日に北朝鮮の軍事力に関する報告書を議会に提出しました。

Report on North Korea’s Military and Security Developments

  このレポートの冒頭の要約では"The Democratic People’s Republic of Korea (DPRK) remains one of the United States’ most critical security challenges in Northeast Asia."(朝鮮人民民主主義共和国は北東アジアに於ける米国の最も深刻な安全保障上の懸念として残っている)としています。

 このレポートは下記の5章で構成されており、各章の要旨を下記に掲載します。なお第三章と第五章は内容的に共通点が多く、この記事では同時に要旨を掲載することとしました。

2.第一章「安全保障状況の評価」
この章の要旨としまして、北朝鮮が2012年に「強盛大国の大門を開く」というスローガンを掲げたこと、2011年12月の金正日の死去に伴う金正恩体制への移行、2011年から2012年半ばに韓国と北朝鮮の関係が悪化し、北朝鮮の韓国に対する不満は朴槿恵大統領在職期間中に大きく変化することはないであろう旨が記載されています。

3.第二章「北朝鮮の戦略の理解」
 北朝鮮は経済と軍事力が衰退し国際社会で孤立化しているが、それでも半島で一定の発言力を確保しようと韓国に対して挑発と恫喝をしており、先軍政治は北朝鮮が軍事力以外に国力と呼べるものがない為であり、核保有国となることで国際社会に平等に認められることを目標としており、それにより経済力を発展させることを第二の目標としていることから、核ミサイル計画を断念することは考え難いとしています。

4.第三章「軍近代化目標と傾向」と第五章「北朝鮮軍の規模、位置、能力」
(1)朝鮮人民軍は巨大な陸軍中心の軍であり、多数の弾道ミサイル、大規模な特殊部隊と乏しい空海軍により支えられている。約70%の陸軍と50%の空海軍が非武装地帯から100km以内に配置されている。兵力では世界で第四位である。

(2)資源不足と装備の老朽化により困難に直面しているが、北朝鮮の前線に展開した軍はほぼ前触れがなく韓国に攻撃開始可能であり、韓国の非武装地帯からソウルまでの区域に深刻なダメージを与える能力を有する。

(3)北朝鮮の装備は1950年代、60年代、70年代のソ連製か中国製であるか、それらの設計に基づくものである。
(下の各図表は同報告書から北朝鮮の陸海軍の概要と基地を図解したもの クリックで画像拡大)

North_korean_ground_force

North_korean_air_force

North_korean_naval_force

(4)北朝鮮は野心的な弾道ミサイル開発計画があり、韓国、日本、太平洋地域を射程に収める移動式戦域弾道ミサイルを配備している。テポドン2号はICBMとして設定されれば核弾頭搭載可能な米国の一部に到達可能となる。北朝鮮は2012年12月12日にテポドン2号の発射に成功している。

(下の画像はWikipediaより北朝鮮の弾道ミサイル各種の射程を図解したもの クリックで画像拡大)

North_korean_missile_rangesvg

(下の画像は同報告書から弾道ミサイルの発射機と射程の推測を図解した表 クリックで拡大 ノドンとIRBMの発射機の発射機の数をそれぞれ50台未満としていることは注目に値する)

North_korea_ballistic_missile_force

(5)特殊部隊は北朝鮮で最も訓練され、装備が充実し、食糧も与えられ、士気が高い。

4.第四章「拡散」
(1)北朝鮮は通常兵器や弾道ミサイルをアフリカ、アジア、中東に輸出している。核技術もリビアやシリアに提供した。

(2)北朝鮮は2006年、2009年、2013年2月に核実験を実施し、更に実施するかもしれない。

(3)亡命者から生物兵器計画に関する証言がある。

(4)化学兵器を有しており、砲弾や弾道ミサイルに搭載可能である。北朝鮮軍は化学兵器戦を訓練している。

5.この報告書から分かること
 この報告書の内容が事実であるとするならば、北朝鮮の通常戦力は老朽化と資源不足により劣化・衰退しつつあり、それを補う為に恫喝外交や挑発を行っており、通常戦力で不利になりつつあることを補いつつ国際社会で影響力を得る為に核・弾道ミサイル開発に邁進していることが読み取れます。また核ミサイル計画を断念することは考え難いとしており、そうだとしますと日米中韓が如何に阻止に動こうとしても、それは北朝鮮の現体制が存続する限り無駄な努力になると思われます。そうだとしますとわが国は粛々と弾道ミサイル防衛を今後も拡充していくしか選択肢がないと言えるのではないでしょうか。

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コメント

最大の問題は日米BMD体制が機能する限り、北朝鮮は遠からず崩壊するという点にあると思います。したがって日本にとっては崩壊時を見据えた軍備を構築することが最も重要です。
朝鮮半島北部が事実上の中華人民共和国朝鮮自治区となることを許容するならば日本海の防御を増やさなくてはなりません。南西諸島に加えて自衛隊は2正面作戦を強いられることになります。それを可能とする防衛費の増額を実現するか、あるいはそれが不可能ならば南西諸島からの段階的な撤退も視野に入れるべきでしょう。
韓国主導による半島統一を認めるならば、日本にとって最も重要な戦略目標は韓国軍による北朝鮮の核戦力へのアクセスを阻止することです。そのためには自衛隊が米軍・中国軍を補助することで、韓国軍を可能な限り排除する形での半島制圧を実現しなくてはなりません。韓国軍の進駐は、北朝鮮の核関連技術を米中が完全に回収し終えた後になることが理想的です。
前者の場合は自衛隊の行動は抑止的であり、航空戦力が主役となります。後者では主役となるのは他国への侵攻が可能な陸上戦力です。この2つの想定は予算・ドクトリン面で背反しますので、どちらを選ぶかはなるべく早めに決断しておかなくてはなりません。

最終的に韓国が統治する半島統一の場合、韓国が核保有状態を北朝鮮から継承できるかどうかに自衛隊の軍事行動が影響するという上の方の見解には同意しません。
その場合日本も台湾も対抗しての核保有を表明できるでしょうし、アメリカがそれを認めるかどうか、日本やその他の国がそれを認めないようにできるかどうかの政治の領域でしょう。
なお、中国、韓国どちらが主導するにしてもこのところ鈴置高史という日経の記者の方が日経ビジネスなど関連の媒体で盛んに警告されている、韓国ごと半島すべてが中国の影響下にはいるシナリオも考慮すべきかと思われます。

2013年5月14日 (火) 09時21分様
前回の記事に引き続きコメント有難うございます。
ユーリ様もご指摘の通り、朝鮮半島が統一になった場合は韓国が北の核を引き継ぐことを米国を含む国際社会が許容するか否かとの問題があります。恐らくそうはならないであろうというのが私の解釈です。
その一方で中国は北朝鮮を一種の緩衝地域として見ている可能性が高いです。もし北朝鮮が崩壊し韓国主導で朝鮮半島が統一された場合は、今の中朝国境に米軍の大規模シギント拠点が構築される可能性が高いと考えます。
もし北朝鮮崩壊が免れないと中国が判断した場合は人民解放軍が北朝鮮に侵攻し、最低でも北朝鮮の北部に進駐し、傀儡政権を樹立する可能性が高いと私は考えます。もし北朝鮮全域が中国の中華人民共和国朝鮮自治区となった場合は確かに北朝鮮よりも日本の安全保障に与える脅威は遥かに大きいと考えるべきではあるでしょうね。

ユーリ様
>韓国ごと半島すべてが中国の影響下にはいるシナリオ
私もそれは懸念していますが、米韓同盟がそれに対する一定の抑止力となるでしょうね。

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