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2013年5月 4日 (土)

日本が「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に賛同を見送ったことに思うこと

1.日本が「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に賛同を見送り

 ジュネーブで開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第2回準備委員会で出された「核兵器の人道的影響に関する共同声明」(PDF)に日本が不参加であった事に関し、国内から批判の声が上がっています。

「NPT再検討会議:準備委員会 共同声明、日本が不参加 「被爆国、胸張って賛同を」市民ら疑問や怒り /広島」(2013年4月26日(金)16時19分配信 毎日新聞)

「核兵器の人道的影響に関する共同声明」へ日本政府が賛同を見送ったことに対する市長コメント」(2013.4.25)

 上記の広島市の公式発表によりますと、日本が不参加であったことに関しまして、天野万利軍縮会議日本政府代表部特命全権大使は「我が国の安全保障体制を踏まえ関係国と調整を続けたが、最終的に時間切れで整わなかったため賛同には至らなかった」と広島市に説明したとのことです。

2.「核兵器の人道的影響に関する共同声明」とは

 それでは「核兵器の人道的影響に関する共同声明」とは如何なるものであったのでしょう。

(1)共同声明参加国
アルジェリア、アルゼンチン、オーストリア、ベラルーシ、バングラデシュ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ボツワナ、ブラジル、カンボジア、チリ、コロンビア、コスタリカ、コートジボワール、キプロス、デンマーク、ジブチ、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、エチオピア、ガーナ、グルジア、グレナダ、グアテマラ、バチカン、ホンジュラス、アイスランド、インドネシア、イラン、アイルランド、ヨルダン、カザフスタン、ケニア、クウェート、レバノン、レソト、リヒテンシュタイン、ルクセンブルグ、マレーシア、モルジブ、マルタ、モーリシャス、メキシコ、モロッコ、モザンビーク、ナミビア、ネパール、ニュージーランド、ニカラグア、ニジェール、ナイジェリア、ノルウェー、パラオ、パナマ、パプアニューギニア、パラグアイ、ペルー、フィリピン、カタール、サモア、シンガポール、スワジランド、スイス、タンザニア、タイ、トンガ、トリニダードトバゴ、チュニジア、ウガンダ、ウクライナ、ウルグアイ、イエメン、ザンビア、南アフリカ

(下の画像はWikipediaからNPT条約の参加国 クリックで画像拡大)

Npt_participation

下の画像はWikipediaより核兵器拡散状況 クリックで拡大)

Nwfg

 (上述の声明参加国とこの画像二つを照らし合わせますと、米露中英仏の何れの国も今回の声明には参加していないことが分かります。同じ極東では韓国も参加していません)

(2)声明の主要部分抜粋
(a)私たちは、核兵器使用のもたらす壊滅的な人道的結果について深く懸念しています。

(b)爆発による即死や破壊のみならず、それは社会経済的な発展を阻害し、環境を破壊し、次世代から彼らの健康、食料、水、その他死活的なリソースを奪うものとなります。

(c)2013 年 3 月にオスロで開催された核兵器の人道的影響に関する会議は、核兵器爆発のもたらす影響についての事実情報を基盤とする議論のプラットフォームを提供しました。

(d)核兵器が二度とふたたび、いかなる状況下においても、使用されないことに人類の生存がかかっています。

(e)核兵器が二度とふたたび使用されないことを保証する唯一の方法は、それらを全面廃棄することでしかありえないのです。

(f)政府がその責務を果たすと同時に、市民社会は、政府と連携しながら核兵器の壊滅的な人道的結果についての意識を啓発するという死活的役割を担います。

3.日本政府の立場

 日本の外務省は核兵器の壊滅的影響の人道面における認識の促進に積極的姿勢であったと思われます。

「日本の役割:核兵器の壊滅的影響の人道面における認識の促進」(日本国外務省)
「最近の核軍 縮の人道的側面に関する共同声明に表明されている懸念の多くを共有し、今回の核兵器の人道的影響に関する国際会議の主たる目的も完全に支持する。」(ノルウェーの首都オスロにおいて、2013年3月4日から5日の日程で開催された核兵器の人道的影響に関する国際会議に関して)

 また日本国外務省の公式twitterアカウントの一つであるDisarmamentJAPANは下記のようにつぶやいています。

2013年4月25日22:36のつぶやき

「今回の共同ステートメントに言及された核兵器の使用が直後の被害のみならず,社会経済や将来世代にわたって耐え難い損害をもたらす点など核兵器の人道的影響を巡る基本的考え方は支持 」

20134252236

2013年4月25日22:38のつぶやき

「ただし,我が国を取り巻く安全保障環境に鑑み,本ステートメントの表現ぶりがふさわしいかどうか慎重かつ真剣な検討、修文の協議を行ったが、残念ながら協議が整わなかったため、今回本ステートメントに賛同することは見送った。」

20134252238

4.「我が国を取り巻く安全保障環境」とは

 これらの日本の矛盾した対応は北核実験や中国との深まる対立も考慮したものと思われます。

「北朝鮮による核実験の実施情報について」(2013年2月12日 首相官邸)

 中国の核兵器使用ドクトリンも非常に不明瞭さがあり、真意を極めにくいところがあるのが現実です。

「中国国防白書:核「先制不使用」外す 政策変更か」(2013年04月23日02時09分 毎日新聞)

「「日本に核兵器使わない」=異例の具体的国名言及-中国高官」(2013年04月20日 07:08 時事通信)

 冷戦時代に於きましては、米国は核の先制攻撃の選択肢を放棄せず、むしろ抑止力として積極的に活用していました。核兵器に対し根強い国民感情があるわが国に於きまして非常に難しい問題であり、それが今回のような矛盾した対応の原因となったのかもしれません。

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軍事」カテゴリの記事

コメント

こんにちは

結果的にヘンな世論とやらに迎合しないで良かったです。我が国の周辺を見渡せば当然でしょう。
欲を言えば、クラスター弾や対人地雷を禁じたおバカ条約も脱退して貰いたいですねぇ…出来ないんですかい? だったらせめて死文化又は空文化出来んもんですかなぁ…

核保有国が参加しない「核廃絶運動」など何の意味があるのでしょうね。
核不拡散条約も核保有国が参加しているので(辛うじて)成立しているという現実があります。
使えない核など時代遅れの兵器だという論もありますが、北朝鮮の恫喝に対して有効な対抗策を見出せない現状は、逆に核の有効性を証明しているとも言えます。
コストパフォーマンスを考えると、我が国も核武装するのが良いと思いますが・・・

土方様
理想論と現実論のギャップと言えるでしょうね。
条約脱退は余り望ましくありません。そういった事が一度でもありますと、この国は条約を締結しても守らないであろう、都合が悪くなると脱退するであろうと信用を失うことになるでしょう。

しょーちゃん様
日本の原発を全て停止させ(日本は核の平和利用のみを約束する原子力協定により海外から核物質を輸入している。平和目的のみの利用であるので原潜への転用すら不可)、それに伴う経済的損失(電気代高騰)に耐え、空爆や工作員による破壊工作に対しても覚悟があるのであれば核武装も一つのオプションでしょうね。

核武装に反対する人に聞きたい。
もし日本が核を持っていないことで核攻撃を受け、何百万人もの日本人が死んだり、核を使わないにしても持ってないことで、軽んぜられて侵略を受け、多くの人が死んだり、領土を奪われたら、核武装に反対する人たちはどの様な責任をとるのだろうか。
核武装に反対することは、日本人の命を守るどころか日本人が死ぬことに加担する行為であり、何百万人の殺害に加担する行為だと思う。核反対という耳触りの良い言葉に惑わされることなく、核武装を進めて進めてほしい。

まぁ、当たり前といえば当たり前ですよね。

そういえば非核保有国であるドイツはどういう世論なのか、勉強したいです。

romo様
はじめまして。
>核武装に反対する人たちはどの様な責任をとるのだろうか。
万が一そう言った事態となった場合は責任があるのは日本に核攻撃や侵略をする国であって、日本人で核武装に反対する人々ではありません。
今はその抑止力をMDや日米安保に頼らざるを得ないでしょう。自衛隊の司令部が米軍基地内に設営されつつあります(横田基地、キャンプ座間)。日本の司令部を攻撃することは米軍基地を攻撃することにもなります。

ヘルハウンド様
はじめまして。
ドイツは今回の宣言に参加していません。またNATOの核共有国でもあります。
その一方でドイツと日本では直面している脅威の質が違います。わが国は領土的野心を隠そうとしない国、そして実質的なテロ支援国家で且つ世界でも有数の権威主義国家の核の脅威に直接的に脅かされています。そこはドイツとわが国で根本的に異なると言えるでしょう。

私は核武装には基本的には反対しませんが原発と再処理施設の保証が大前提ですね
原子力協定の改正のためには相当タフな交渉が必要ですが全く目がないわけでもありません。NPT非参加国でウラン資源を持っているところもありますし。まぁ気長にやればそのうち世の中も変わってきますよ。

あと、どちらかといえば核武装そのものよりも、核武装が可能になったとしてその核で何を目指すのかということの方が気になりますね
IRBMで北京を狙うのか、それとも核ASMで尖閣沖のワリヤーグを木っ端微塵にするのかで必要な条約も世論操作や技術開発の方向性もまるっきり変わってきますからね
具体的なゴールを決めずに核武装という抽象的な政治用語だけを云々しても仕方ないでしょう

個人的には戦闘機のステルス化に伴う搭載量の減少を補うことのできる手段を持つことは戦術的にはヒジョーに価値があると思っています。日中間に恒常的に存在し続ける物量差を引っくり返すことができるという点でも、まさにジョーカーです。
けれど戦略抑止力としては正直あまり期待できませんよね、今の時代。テロリストは核ミサイルなんて怖がりませんし、中国人は現状既にアメリカによって戦略抑止されてるわけですし。

ナナシ様
私は核武装というオプションを完全に否定している訳ではありません。50年後や100年後の国際情勢がどうなっているかは全く誰にも予想は出来ないでしょうし、米国の核抑止力が続くかどうかも分かりません。日米安保体制が抑止力として機能しなくなった時は、核武装はオプションの一つとして考慮の必要があるでしょう。
例えわが国が勝利出来ないとしても、敵国の首都を含む主要都市の大半を壊滅する能力をわが国が有していれば、それは敵国にとり採算が合わなくなり、相手は核戦争を避けるでしょう。
国土が狭く先制攻撃が難しいわが国は敵の先制攻撃により核戦力の大半が失われる可能性が高く、現実的な抑止力とするのであれば原潜が最も適していると私は考えます。

広島県東部は核武装に向けた準備の為の
研究してますよ

三本の矢に安倍川餅も

さる様
はじめまして。三矢研究は核武装とは関連性がなかった筈です。確かに第一次安倍内閣では核武装に関する研究が行われ、現実的ではないとの結論が出ていますね。

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