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2013年11月 4日 (月)

防衛省がMQ-8の導入を検討

1024pxfirescoutvuas

(上の写真はWikipediaからMQ-8B、 クリックで写真を拡大、著作権はPublic Domain)

1.はじめに

 防衛省の「平成26年度予算概算要求の概要」の第6頁(PDFファイル10枚目)に下記画像の記述がありました(クリックで画像拡大)。

H26_gaisan

 予算総額的には200万円と少額です。しかしここに来まして防衛省がMQ-8の導入を検討している旨をNHKが報じました。

「尖閣監視 無人ヘリ導入も視野に」(2013年10月28日 4時57分 NHK*リンク先はWebCiteによる魚拓)

 艦載型無人航空機を調査する理由に関しましては、NHKの報道では

(1). 尖閣諸島など南西地域にて有人の艦載ヘリコプターによる監視活動を行っているが、飛行できる時間が3時間程度であることから、長時間の監視が必要になる場合は給油のため着艦を繰り返す必要があり、パイロットの負担が課題となっている。

(2). 米海軍が配備を進めているMQ-8は偵察活動をおよそ8時間に亘り連続して行うことが可能であり、自衛隊の護衛艦でも使うことで飛行時間を延ばし、監視能力を向上することが可能か調査を実施する。

 としています。今回の記事ではMQ-8に関しまして調べることとしました。

このYouTube動画Northrop Grummanの公式アカウントにより投稿されたMQ-8BがLCS-1から発着艦試験を行う様子)

2. MQ-8の特徴と仕様

 Northrop Grummanの公式サイトにMQ8Bの簡単なカタログがあります(PDF注意)。下記にその本文の一部抜粋と翻訳を行います。
-------------------------------------------------------------------
With a total endurance of eight+ hours, the Fire Scout can provide more than six hours time on station with a standard payload at 110 nm (200 km) from the launch site. A system of two Fire Scouts can provide continuous coverage at 110 nm. Utilizing a payload that includes electro-optical/infrared sensor with laser rangefinder/illuminator and a maritime radar, the Fire Scout can find and identify tactical targets, track and illuminate targets, accurately provide targeting data to strike platforms and perform battle damage assessment.

八時間以上の航続時間により、ファイアスカウトは離陸地点から110nm(200km)の距離にて標準的なペイロードで六時間以上の滞空をすることが出来る。二式のファイアスカウトにより切れ目のない監視を110nmの距離で実施することが可能となる。電子光学/レーザー距離計/と組み合わさった赤外線センサー/照明器と海洋レーダーを含むペイロードを活用することにより、ファイアスカウトは戦術ターゲットを発見・識別し、ターゲットを追跡し照射し、攻撃プラットフォームにターゲットデータを正確に提供して戦闘損害評価を実施する。

Fuselage Length  (with Dual Payload Nose)
胴体全長(機種にデュアルペイロード有時)...............23.95 ft (7.3 m)

Fuselage Width
胴体幅...........................................6.20 ft (1.9 m)

Length (with Blades Folded Forward)
全長(回転翼を前方に折り畳み時) ..... 30.03 ft (9.2 m)

Rotor Diameter
回転翼直径...................................... 27.50 ft (8.4 m)

Height (Top of Tail Antenna)
全高(尾部アンテナの頂上まで).................. 9.71ft (2.9 m)

Gross Weight
総重量................................ 3,150 lbs (1428.8 kg)

Engine
エンジン.. Rolls Royce 250-C20Wターボシャフトエンジン

Speed
最高速度 ................................................................... 115ノット(213km/h)以上

Ceiling
上昇限度................................................... 20,000 ft (6.1 km)

Endurance(航続距離)
Total Flight Time with Baseline Payload
基準ペイロードでの総飛行時間.......... 8時間以上

Total Flight Time with EO/IR + Radar
EO/IR+レーダー搭載時の総飛行時間 .................7時間以上

Total Flight Time with Maximum Payload
最大ペイロード時の総飛行時間 ........5時間以上

Payloads
ペイロード
EO/IR/LRF/機雷探知機/通信中継/海洋レーダー

(引用及び翻訳終了)
-------------------------------------------------------------------
2013年11月05日(火)00:00追記:RQ-8Bカタログ詳細版 (下の画像は詳細版カタログから図面、 クリックで画像拡大)

Rq8bdrawing

(2013年11月05日(火)00:00追記:下の画像はRQ-8Bカタログ詳細版から寸法図面と搭載可能なセンサー類、クリックで拡大)

Rq8b_dimension

Rq8b_sensors

 こうしてみますとNHKの報道にありました「偵察活動をおよそ8時間、連続して行うことができる」との報道は厳密には正確ではなく、基準ペイロードのみでの最大航続時間あることが判ります。EO/IR+レーダー搭載時の総飛行時間はカタログにもあるとおりに7時間以上であり、また離陸地点から110nm(200km)の距離にて警戒監視活動を行うとなりますと、その地点まで最大速度で向かったとしまして片道約1時間弱程度でしょうか。

(このYouTube動画Northrop Grummanの公式アカウントにより投稿されたMQ-8BのEOと赤外線カメラの撮影画像、下部に高度、飛行速度、ターゲットとの距離が表示されている)

3.おわりに

 NHKの報道にもありますが、「有人のヘリコプターとの任務をどのように仕分けるのか」との課題や、また検証の結果として採用が決定した場合は何機を導入するのか、どの護衛艦に搭載するのか、も興味深いところではあります。

 RQ-4グローバルホークの導入も確定しており、また2013年5月にはBoeing社がScanEagleを陸上自衛隊に2機納入(あくまで運用研究目的ではありますが)しており、無人機によるISR能力の向上が高まっていくこととなるでしょう。

過去関連記事

「産経新聞が防衛大綱改定の概要を報じる」(2013年1月 5日 (土))

「防衛省、無人機とロボット購入へ 震災教訓、有事投入も」(2011年9月17日 (土))

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コメント

予算要求のイメージではMQ-8Cだと思っていましたが、NHK報道ではBなのですね。無論、他の機種も含めて比較検討(研究)されるのでしょうけれど...。
艦載ヘリの着艦支援装置も搭載した海自護衛艦であれば艦載無人機導入にも対応がしやすそうです。過去の無人機運用のノウハウが活きるといいのですけれど、将来護衛艦(33DD)の頃には姿を見ることができるのでしょうか。
余談ですけれども、航空機搭載艦を特集した世艦の号で元開発隊の方がボーイングのハミングバードを推していたのを思い出しました。(尤もこちらは開発中止に近い扱いですけれどね)

橘花様
 NHKの報道が正しいと仮定した場合は、RQ-8Cではややスペックが合致しません。Northrop Grummanの資料(PDF)によりますと最大飛行時間が14時間となっています。
http://www.northropgrumman.com/Capabilities/FireScout/Documents/pageDocuments/MQ-8C_Fire_Scout_Data_Sheet.pdf

 また現在はどちらかと言いますとMQ-8Cは開発中の機体であり、まだやや実績が不足しているかもしれません。防衛省が導入するとしますといつのことになるか分かりませんが、その時点での開発進捗状況・実績によりBモデルとなるのかCモデルとなるのか、最終的な結論が変わる可能性は十分にあると考えます。

ド素人考えですが、①『艦載』ヘリについて、負担軽減から、有人を無人で置き換える又は、無人機の比重を上げるのは当然ですが、② 最近、そもそも、『哨戒』ヘリが尖閣諸島や東シナ海で、哨戒活動又は、対潜戦をやってる時に、シナ戦闘機が接近した場合、母艦は、近接戦闘の態勢に入る中で、戻りにくいとなると、簡単に撃墜されるのではないかという疑問を持ち、③それならば、将来的には、空自のエアカバーに依存しない『水中』無人機が、長大なシーレーンによる対潜戦で哨戒ヘリに取って替わり、水中無人機の専用母艦を中核とする戦力構築が対潜戦を含むシーレーン防衛の鍵となるのでは、と考えます。

だとすると、DDH は、…。

民間機と軍用機は違うのはわかるんですが、この程度の機体なら国産で開発できそうな気がします。

管理人様、皆さま、こんにちは。

無人機ですが、3.11の福島第一原子力発電所事故に際して、陸自が保有する国産の機体が結局、偵察に使われなかったと思います。

これを考えると実績のある機体を輸入するという選択が出てきたのではないでしょうか。

名無し様
今は様々な研究も行われている模様ですね
http://www.mod.go.jp/trdi/research/R4-5p.pdf

しょーちゃん様
国産を目指すか、輸入するのかは様々な装備品に於きまして検討されると思いますが、納期、予算、実績等を総合的に勘案して結論を出していると思われます。

ブリンデン様
>陸自の無人機
遠隔操縦観測システムはコンボイと呼ばれる程の大規模な運用部隊を必要としますので、使い勝手が良いとは言いにくいかもしれませんね。
今はスキャンイーグルが試験的に二機導入されていますので、もし緊急事態が発生した場合は投入されるかもしれませんね

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