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事件

2014年3月31日 (月)

米軍サイバー防衛要員が3倍に

1.はじめに

 2015年度米国防予算案ではサイバー空間に於ける作戦向けに51億ドルの予算が計上されていました。

Overview - FY2015 Defense Budget(概要-2015年度国防予算)の6-5に関連記述があります(翻訳部分は筆者にて)。

The FY 2015 President’s Budget request of $5.1 billion continues to fully support defensive and offensive cyberspace operations capabilities and to develop the Cyber Mission Forces initiated in FY 2013.
防御と攻撃のサイバー作戦能力及び2013年度に開始されたサイバー作戦軍を完全に支援をする為に2015年度の大統領予算は51億ドルを要求する。

2.ヘーゲル国防長官によるフォート・ミード基地に於ける演説

 ヘーゲル米国防長官が再来年までにサイバー軍の要員を現在の3倍以上の6000人規模に増強する方針を打ち出したと複数のマスコミにより報じられました。

「米軍 サイバー防衛要員3倍に」 (2014年3月29日 11時08分 NHK)

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(上の写真は国防総省サイトよりその演説時のヘーゲル長官、クリックで写真拡大、国防総省の方針により配布自由)

その演説の全文は米国防総省の公式サイトにも掲載されています。演説はフォート・ミード基地(米サイバー軍の本拠地であり、NSA本部も敷地内にある)にてキース・B・アレクサンダー陸軍大将/NSA長官退任式で行われました。

(下の写真は国防総省サイトよりその退任式の際のキース・B・アレクサンダー陸軍大将/NSA長官、クリックで写真拡大、国防総省の方針により配布自由)

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Retirement Ceremony for General Keith Alexander (「キース・B・アレクサンダー陸軍大将退任式」 2014年3月28日 フォート・ミード基地にて)

 下記にその一部を抜粋し、翻訳します。
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Today more than 40 trillion emails are sent each year. There are 60 trillion web pages. The internet accounts for one-fifth of GDP growth among developed countries, and it continues to connect, improve, and transform the lives of billions of people all over the world.
今日では毎年40兆以上のEメールが送られる。60兆のWebページがある。インターネットが先進国のGDPの1/5を占め、接続し、向上し、世界中の数十億の人々の生活を変革し続けている。

But our nation's reliance on cyberspace outpaces our cybersecurity. During the course of my remarks today, DOD's systems will have been scanned by adversaries around 50,000 times.  Our nation confronts the proliferation of destructive malware and a new reality of steady, ongoing and aggressive efforts to probe, access or disrupt public and private networks, and the industrial control systems that manage our water and our energy and our food supplies.
しかしわが国のサイバー空間への依存は我々のサイバーセキュリティを凌いでいる。私の今日のこのコメントの最中にも、国防総省のシステムは約50,000回に亘り敵によりスキャンされたであろう。破壊的なマルウェアの拡散と、官民のネットワークと我々の水道、エネルギー、食糧供給を管理する産業コントロールシステムを探索しアクセスしあるいは中断させようとの確実で現在進行中で攻撃的な努力の新たな現実にわが国は立ち向かう。

The United States Government and the private sector grasp cyber threats far better than we did just a few years ago.
米国政府と民間部門はサイバー脅威を数年前よりも遥かに良く把握する。

General Alexander has helped leaders across DOD recognize that cyberspace will be a part of all future conflicts. And if we don't adapt to that reality, our national security will be at great risk.
アレクサンダー大将はサイバー空間が将来の紛争の一部となるであろうことを国防総省の幹部に認識させることを助けた。そして我々がその現実に適合しなくては、我々の国家安全保障が重大な危険に晒される。

The United States does not seek to militarize cyberspace.
米国はサイバー空間を軍事化することを探求しない。

Consistent with these efforts, DOD will maintain an approach of restraint to any cyber operations outside the U.S. Government networks.
これらの努力と首尾一貫し、国防総省は米国政府ネットワーク外の如何なるサイバー作戦に対して抑制的なアプローチを維持する。

DOD's initiatives in cyberspace are managed by the professionals that General Alexander has been recruiting and training here at Cyber Command. In 2016, that force should number over 6,000 professionals who, with the close support of NSA, will be integrated with our combatant commands around the world, and defend the United States against major cyber attacks. Continuing General Alexander's work to build this cyber force will remain one of DOD's top priorities.
国防総省のサイバー空間に於ける率先はアレクサンダー大将がリクルートし訓練したプロによりこのサイバー軍で管理される。2016年には、その人員は6,000人以上のプロとなり、NSAの密接な支援と供に、世界中の戦闘司令部に統合され、主要なサイバー攻撃に対して米国を守る。このサイバー軍を構築するアレクサンダー大将の仕事を継続することは米国防総省の最優先の一つとなる。

To accomplish this goal, we are recruiting talent from everywhere.  But we're also encouraging people already here in the military, in DOD, to develop...cyber skills.
このゴールを達成する為に、我々は才能を有する人材を全ての方面からリクルートしている。しかし既に軍や国防総省に所属している人員にも、サイバー技術を向上させるよう推奨している。

Our military must enable our people to reinvent themselves for life and beyond their service.
人生と彼らの任期終了後の為に、わが軍は我々の人員に彼ら自身を再任可能なようにしなくてはならない。

(引用及び翻訳終了)
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 規模はともかくとしまして、米国がサイバー攻撃が深刻な脅威と考えており、最優先課題と考えていることが表れていると言えるでしょう。また興味深いのは各方面から人員をリクルートしており、適性があるとなれば軍の任期を終了した人員をサイバー方面に再任用出来るようにするとしていることです。

 その一方で「米国政府ネットワーク外の如何なるサイバー作戦に対して抑制的なアプローチを維持する」と述べており、民間のネットワークが攻撃を受けた際は関与するか否かに関しては明らかではありません。これは昨今の盗聴疑惑や個人情報収集疑惑が尾を引いていると思われます。

 因みに余談ではありますがこの演説でヘーゲル国防長官は"your West Point classmate, Marty Dempsey"と述べており、アレクサンダー大将がデンプシー統合参謀本部議長とアメリカ合衆国陸軍士官学校ではクラスメートであったことが分かります。

3.日本の防衛省サイバー防衛隊

 日本に於きましてもサイバー防衛隊が正式に発足しました。

「防衛省「サイバー防衛隊」発足」(2014年3月26日15時14分*NHK)

「サイバー防衛隊の新編について」(平成26年3月25日*防衛省)
「サイバー防衛隊は、防衛省・自衛隊のネットワークの監視及びサイバー攻撃発生時の対処を24時間体制で実施するとともに、サイバー攻撃に関する脅威情報の収集、分析、調査研究等を一元的に行います。」

 人数も90人で米国のサイバー軍と比較しましても非常にささやかではあります。また防衛省・自衛隊のネットワークに限られており、民間のネットワークをどう防護するかの課題が残されたままです。

 サイバー関連予算に関しましては平成26年度予算で205億円(17頁~18頁)、平成25年度予算で141億円(11頁~12頁)、平成24年度予算で2.2億円(7頁)、平成23年度予算で12億円(8頁)、平成22年に関しましては金額の明示がない(17頁)との推移で増額傾向となっています。

 施策に関しましては、防衛省の公式サイトに纏められたものを見つけることが出来ました。

自衛隊のサイバー攻撃への対応について」(日付不明、但し平成25年度予算に関する言及があり、「平成25年5月16日には、統合幕僚監部にサイバー防衛隊準備室を立ち上げました。」との記述がある)

 しかし米中等と比較しますと組織的にも体制的にもまだまだ小さいと言えます。そういった中で前述のヘーゲル長官の発言の中にある「軍の任期を終了した人員をサイバー方面に再任用」というのも一つの検討課題かもしれません。

「米国Mandiant社が中国の61398部隊をサイバー攻撃の中核と暴露」(2013年2月26日 (火))
「61398部隊が数百人、恐らく数千人により運営されている」

4.さいごに

 日本もサイバー攻撃に関しましては無関係ではありません。今までも日本が被害を受けたことが何度かあり、過去にも何度か記事を執筆しました。

「日本国警察庁に対するサイバー攻撃に思うこと」(2011年7月18日 (月))

三菱重工に対するサイバー攻撃に思うこと(2011年9月22日 (木))

衆議院にサイバー攻撃(2011年10月31日 (月))

 またこの前後にこういった報道があったことも覚えています。

16省庁でサイバー攻撃判明(2011年10月26日19時18分 NHK )

 そして今年に入りこういったニュースも報じられました。

「中国の顧客に日本に不正接続させたか」(2014年2月13日 18時40分*NHK)
「東京・池袋のサーバー管理会社の社長(劉傳聞容疑者(34))ら2人が、不正に入手した他人のIDやパスワードを使って、中国国内の顧客に日本のインターネットに不正に接続させていたとして逮捕されました。この会社のサーバーは、国内で起きた不正アクセス事件やサイバー攻撃に使われていて、警視庁で実態の解明を進めています。」、「中国国内で顧客を募り、プロキシサーバーと呼ばれるインターネットへの接続を仲介するサーバーを通じて日本のインターネットに接続させるサービスを提供していますが、これまでに、ネットバンキングの預金が不正に送金される事件やサイバー攻撃などに使われていたということです。」

「中継サーバー運営の中国人ら逮捕=発信元隠し不正アクセス容疑-警視庁」(2014年02月13日20:35*時事通信)
「政党職員や新聞記者を装い、官庁や企業を狙ってウイルスなどを添付した標的型メールの送信などに利用されていた。」

 日本に対するサイバー攻撃の一部の背後に中国国内の勢力が関与している可能性が高い具体的な証拠が入手出来たという意味に於いて、この事件の意味合いは大きいでしょう。

(下の画像はGoogleArbor Networksが運用するDigital attack Mapからで、このサイトでは世界のDDoS攻撃を世界地図上に可視化したもの。過去に遡ることも可能で、3月中は欧州・ロシア方面で非常に興味深い動向が散見される。国際情勢にて大きな動きがあった際は基本的に関係諸国で活発な動向が散見される。注:攻撃の発信国と表示されている国が実際に攻撃の発信国であるとは限りません。むしろそうではないケースが大半であると思われます)

2013年5月30日 (木)

接続水域に於ける潜水したままの潜水艦の法的位置づけに関して

1.問題の概要

 皆様も各報道でご存知のことと思いますが、国籍不明の潜水艦が接続水域を潜水したままで航行しました。

久米島沖の接続水域に国籍不明潜水艦(2013年5月13日 11時45分 NHK)

外国の潜水艦 また接続水域に(2013年5月19日 19時13分 NHK)

そしてこれらは防衛省の公式発表でも確認可能です。

国籍不明潜没潜水艦の動向について(平成25年5月13日 防衛省)

潜没潜水艦の動向について(平成25年5月19日 防衛省)

 また産経新聞は5/13付けの潜水艦の潜航コースを地図上に描いています。

「潜水艦の潜航コース」(2013年5月14日(火)7時55分配信産経新聞)

2.領海・接続水域とは

 それでは領海・接続水域とは一体どのようなものでしょう。それは海洋法に関する国際連合条約 (国連海洋法条約)にて定められています。領海に関しましては同条約第3条で「いずれの国も、この条約の定めるところにより決定される基線から測定して十二海里を超えない範囲でその領海の幅を定める権利を有する」としており、また接続水域に関しましては同条約第33条第2項で「接続水域は、領海の幅を測定するための基線から二十四海里を超えて拡張することができない」と規定しており、下の図はそれを判り易く図解化したものです(出典はWikipediaより、クリックで図拡大)。

Coast_zone_ja

3.日本は国際法に照らしてどの様な対応が可能であるか

(1)「北大路機関」はるな様の問題提起

北大路機関」はるな様がこの件に関しまして対応策を提案していました。

「接続水域への外国潜水艦潜航侵入問題について 国連海洋法条約・公海条約・領海条約」(2013年05月18日)

「領海での沿岸国に認められている主権行使を行うことはできないのですが、領海へ影響が及ぶ脅威や危険に対し、必要な予防措置を執ることは認められています。即ち、接続水域に入ったことを理由として攻撃を行うことはできません、しかし、威嚇射撃などは予防措置にあたるため沿岸国に認められる。 」

「沿岸国は領海だけではなく接続水域においても発生した不法行為に対し、継続追跡権を有すると示されています。継続追跡権は、接続水域の外側に設定されている排他的経済水域においても域内で生起した不法行為に対し行うことが認められているのですが、これは言いかえれば、接続水域において生じた不法行為にたいし、沿岸国が管轄権を有することが認められているということを改めて確認できるところ。 」

(2)国連海洋法条約上の規定

 国連海洋法条約第33条第1項では「沿岸国は、自国の領海に接続する水域で接続水域といわれるものにおいて、次のことに必要な規制を行うことができる。 」、「(a) 自国の領土又は領海内における通関上、財政上、出入国管理士又は衛生上の法令の違反を防止すること。 」、「(b) 自国の領土又は領海内で行われた(a)の法令の違反を処罰すること。 」と規程しています。従いまして安全保障上の問題に関しましては明文での規定がないのが現状です。

 領海内の潜水艦の航行に関しましては国連海洋法条約第20条で「潜水船その他の水中航行機器は、領海においては、海面上を航行し、かつ、その旗を掲げなければならない。 」と明記されています。

(3)わが国の法規

 わが国の法律では「領海及び接続水域に関する法律」が制定されており、同法第四条では「我が国が国連海洋法条約第三十三条1に定めるところにより我が国の領域における通関、財政、出入国管理及び衛生に関する法令に違反する行為の防止及び処罰のために必要な措置を執る水域として、接続水域を設ける。」としており、文言的には国連海洋法条約第33条第1項と全く同じです。即ち密輸や密入国に関しましては処罰が可能となりますが、それ以外には規定がありません。

 通常は国際条約を締結した後は、立法府で承認を得て、そして条約内容に基づいた国内法を制定するというプロセスを踏みます。

(4)どう解釈するべきか
 国連海洋法条約第20条では潜水艦は領海内では浮上しなくてはならないと明文化されており、その一方で接続水域に関しましてはそういった規定がないことを考えますと、接続水域では潜水艦には浮上する義務はないと反対解釈をすることが出来ると考えます。その一方で領海内で国籍不明の潜水艦が領海に侵入した場合は強制力を伴う措置を講じるとすることが国際法上は妥当です。

「質問なるほドリ:接続水域、外国船は通れない?=回答・鈴木泰広」(2012年10月27日 毎日新聞)
「接続水域は公海と同じように、外国の船でも自由に通れるんです。ただし、密輸や密入国などを防ぐため、疑わしい船を立ち入り検査し、外に出すことなどができます。海上保安庁が取り締まっていて、日本の法律に違反した疑いがある船は接続水域の外まで追いかけることも可能です。でも、こうした対応は軍艦(ぐんかん)や公船(こうせん)(各国政府の船)にはできません。」

防衛大臣会見概要(平成25年5月21日(08時17分~08時24分))
「接続水域を航行することに関しては、特に国際法上、違反というわけではありません。私どもが注視をしているのは、領海に入ってくるということであります。今回の状況も領海に入るような状況ではなかったということですから、これは、警戒・警告、このようなことについて、有効に機能していると思っています。」

(5)わが国の対応
 安倍総理は国会で名指しを避けながらも、けん制する発言をしました。

「接続水域潜航「重大な行為」=安倍首相がけん制、中国艦の公算-参院予算委」(2013年05月14日 18:20時事通信)
「「領海に近い距離まで来たことは重大な行為だ。国籍は申し上げないが、当該国には二度と行わないよう認識していただかなければならない」、「「ある種の意図を感じざるを得ないので、事実関係を公表するという判断をした」

 従いましてあくまで政策的な判断として政府は公開したということが出来ます。国際法上は強制力を伴う有効な措置はありません。

 その一方でもし領海に侵犯した場合は1996年12月安全保障会議及び閣議で決定された「我が国の領海及び内水で潜没航行する外国潜水艦への対処について」の方針や、「(2004年11月10日に発生した)中国原子力潜水艦による領海内潜没航行事案を踏まえての措置」に基づき海上警備行動が発令されることになります。

「領水内潜没潜水艦への対処」(2005年度防衛白書)

 海上警備行動を発令した実績が2004年の事案ではあり、またその方針は不変であることが一種の抑止力となっていると言えるでしょう。

2013年5月17日 (金)

橋下大阪市長が普天間基地司令官に風俗活用を推奨したことの問題点

(この動画はYouTube維新の会公式アカウントに投稿された【2013.5.13】橋下徹 大阪市長 登庁時 ぶらさがり取材の動画)

(この動画はYouTube維新の会公式アカウントに投稿された【2013.5.13】橋下徹 大阪市長 退庁時 ぶらさがり取材の動画)

1.はじめに 

 橋下徹大阪市長が従軍慰安婦問題に関して日本のみが批判されるのはアンフェアである旨の趣旨の主張を2013年5月13日の記者会見で展開し、また2013年5月1日に米軍普天間基地を訪問した際に同基地の司令官に風俗を活用するよう推奨したと発言した事は既に皆様も報道でご存知の事と思います。橋下発言に対し、米国防総省がコメントを出す事態にまで発展しました。

「橋下提案「ばかげている」=米国防総省」(2013年05月14日01:21 時事通信)
「国防総省内で買春を禁じる法律がある。提言はありがたいが、われわれは法と米政府の政策に従う」

今回はこの橋下市長の一連の発言内容を検証し、問題点を整理することとしました。

「慰安婦は必要だった」「侵略、反省とおわびを」橋下氏(2013年5月13日(月)11時48分 朝日新聞)

「沖縄米軍に『もっと風俗活用を』 橋下氏が司令官に発言」(2013年5月13日(月)21時19分配信 産経新聞)

 またTwitterで本人がその持論や米軍司令官への発言を繰り返し投稿しており、事実関係は間違いがないと言えるでしょう。それではこのTwitterでの投稿を検証してみます。

2.Twitterに於ける橋下市長の投稿

(1).従軍慰安婦問題に関して日本のみが批判されるのはアンフェアとの主張に関して

「日本の慰安婦制度を正当化するつもりはないが、しかし、日本「だけ」が慰安婦制度を持ったレイプ国家だと言われるものではない。」(2013年5月15日00:17の投稿)

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「第二次世界大戦当時、日本国軍だけでなく、世界各国の軍もいわゆる慰安婦制度を活用していた。」、「当時はそうだった。日本国の慰安婦制度を正当化するのではない。日本だけが不当に侮辱を受けることには反論しなければならない 」(2013年5月15日00:20の投稿)

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「戦時下では世界各国もいわゆる性奴隷を活用していたのに、なぜ日本「だけ」が性奴隷を活用していたと世界から非難を受けているのか。」(2013年5月15日08:51の投稿)

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「他の国がやっていたから日本の慰安所は良いでしょなんて一言も言ってません。慰安所はダメなのは当たり前です。しかし世界は、日本だけ特殊な性奴隷を活用していたと思っているんです。そこは違う。」(2013年5月15日09:08の投稿)

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 これら一連の投稿から橋下市長は慰安婦制度は正義に反すると考えていますが、その他の諸国も同様に買春をしており、従って日本のみが批判されるのはアンフェアであるとしていることが分かります。

(2).米軍司令官に風俗の利用を推奨した事に関して

「風俗=売春業と早合点して、そんなことは法律では許されていない!と言う声。」、「今の法律では売春業は認められていない。しかしそのレベルに達しない所で、風俗業が法律上認められている。要は最後の性行為に至らないところでの風俗業。 」(2013年05月14日15:41の投稿)

201305141541

「買春なんて誰も言ってないでしょ。日本の法律で認められている風俗業は買春でないことくらい国防総省は知らないのかね。買春は日本でも認められていない。繰り返すが、日本には法律上認められている風俗業が存在する。」(2013年5月14日23:45の投稿)

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「僕が普天間の司令官に、風俗業の活用を進言したのは、法律違反のことをしろと言っているわけではない。」、「僕は、法律上認められている風俗業を活用しろと言ったんだ。建前は止めた方が良いと。」(2013年5月14日07:24の投稿)

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「米軍は、法律上認められている風俗業にも、出入り禁止としているらしい。出入り禁止としても、軍人の性的欲求が0になるわけではない。」(2013年5月14日07:27の投稿)

201305140727

「法律上認められる風俗も、買春ではない。」、「僕か現実を見据え、法律上認められる風俗業を活用したらどうだと進言した。」(2013年5月15日11:47の投稿)

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3.橋下市長の主張の要約とそれに対する私の第一印象

橋下市長の主張を要約すると下記の三点となります。

(1)太平洋戦争中の慰安婦制度は当然許されないが、日本以外の国も買春行為があったのであり、日本のみが批判されるのはアンフェアである。また戦争中にはそういったことが起きるのは当然である。

(2)在日米軍の不祥事の問題があり、そういった性欲のコントロールする為に風俗の活用を普天間基地司令官に提言したが断られた。

(3)風俗は日本では合法であり、風俗=買春ではない。米軍は活用を検討するべきだ。

 これらに関する私の第一印象としましては、なぜ(1)の主張が(2)や(3)と結び付くのかが分かりません。戦争中の人権問題と同盟国の規律の問題は全く異なる問題です。もし関連性があるとしても(1)では慰安婦制度は許されないとしながらも、(2)と(3)で風俗を推奨するというのが根本的に矛盾していると言えるでしょう。

4.米国はどのように見ているか、米国の法規はどう規定しているか

 米国がどう考えているかに関しましては私個人の見解としましては下記三点が重大なポイントではないかと考えます。

(1)橋下市長と米軍司令官の会談の際に通訳は何と翻訳したか

(2)普天間基地司令官はどう解釈したのか

(3)風俗≠売春/買春なのか。日本ではそうであったとしても米国ではどうなのか。

 (1)及び(2)に関しましては公式資料がなく、検証する事が出来ません。しかしそのヒントとなる文献は見つける事は出来ました。米軍の準公式機関誌と言っても良い星条旗新聞です。2013年5月14日の記事"Osaka mayor: ‘Wild Marines’ should consider using prostitutes"(「大阪市長:「野蛮な海兵隊」は売春婦を使うことを考慮すべきだ」)です。そこには今回の発言を下記のように報じています。(下記は記事の一部抜粋と翻訳)

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he visited with Marine Corps Air Station Futenma’s commander last month and told him that servicemembers should make more use of Japan’s legalized sex industry.

彼(橋下市長)は先月に海兵隊の普天間航空基地司令官を訪問した際に、海兵隊員達は日本の合法なセックス産業をより活用するべきだと司令官に告げた。

Hashimoto said that the commander responded with a bitter smile and told him that brothels are off-limits to U.S. servicemembers.
橋下市長によると司令官は苦笑いをし、米国軍人は売春宿が禁じられていると橋下市長に告げた。

Marine Corps officials in Okinawa were not immediately available for comment Tuesday afternoon.
沖縄の海兵隊関係者からは火曜日の午後にコメントを直ちに得ることは出来なかった。

Patronizing a prostitute is now subject to court-martial under the Uniform Code of Military Justice.
買春行為は統一軍事裁判法により今は軍法会議の対象となる。

(引用及び翻訳終了)
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 この記事によりますと普天間基地の海兵隊関係者からはコメントが得られておらず、具体的にどの様なやりとりがあったかは分かりません。そうだとしますと5月13日の橋下市長が記者会見で述べたことが事実であると推定するしかありません。

 もしそうだとしますと、5月13日の橋下市長が記者会見で述べた内容に基づき執筆された星条旗新聞のこの報道は買春と風俗の区別をしていません。実際に筆者も風俗を英訳するならばprostitution程度しか思いつきません。

 日本は売春防止法により売春を防止する一方で、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律により浴場業の個室で「異性の客に接触する役務を提供する営業」、「個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」、「性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行」など一部業種に関しては公安委員会の許可により営業を許可しています。

 しかし星条旗新聞の記事にもありましたが、米軍に於きましては「買春行為」は統一軍事裁判法により軍法会議の対象となります。そしてそれは米国本土以外の米軍兵士にも当然適用となります。

 統一軍事裁判法の第十章のPunitive Articles(懲罰規定)の第134条にGeneral article(一般条項)があり、その他の違法行為ほど違法性は強くありませんが、軍の規律を乱す行為や対外的な信用を損なう行為に対しては懲罰の対象となる旨が記載されています。

参考資料:Uniform Code of Military Justice

 そして軍法会議マニュアルはこの統一軍事裁判法、134条の一般条項に抵触する行為の一つとしてpatronizing prostitution(買春)を挙げているのです。

参考資料:Manual for courts-martial (要注意;PDF、非常に重いです)

 米国軍人は休暇中であっても、国内外及び基地内外を問わず、Uniform Code of Military Justiceが適用されます。

5.さいごに

 橋下市長は弁護士でもあります(大阪弁護士会所属 登録番号25196 この情報を日弁連の公式サイトの弁護士情報検索にて検索しますと登録があることが判る。下はそのスクリーンショット)。

25196

 弁護士と言いましても当然それぞれ得意分野がありますし、ましてや米軍の統一軍事裁判法を熟知している弁護士は日本国内ではもし居るとしてもごくわずかなのではないでしょうか。しかし日本の風俗を活用することが米軍兵士にとり違法の可能性があることは、普天間基地司令官との会談時か、またはここ数日間で橋下市長は知ったのではないでしょうか。そうだとしますと、弁護士が違法の虞のある行為を推奨していることになってしまいます。そして弁護士であれば当然知っていると思われますが、悪法も法なのです。法律が如何に不条理であっても、欠陥があったとしても、改正されるまで法律は法律として遵守する必要があります。

 そして違法であるかどうか以前の問題としまして、軍人は性犯罪を起こす可能性が高い為に風俗を活用するべきと言われたらならば、米国軍人だけに限らず、軍人は人としてどの様な気分になるしょう。そう考えますと今回の発言は非常に不適切であったと言えると思います。

2013年2月26日 (火)

米国Mandiant社が中国の61398部隊をサイバー攻撃の中核と暴露

1.はじめに 

各報道でご存じのことと思いますが、アメリカのコンピューターセキュリティー会社マンディアントの発表によりますと、上海の浦東新区にある「61398部隊」と呼ばれる中国人民解放軍の部隊が2006年以降、全世界で少なくとも141の機関や企業を標的に数百テラバイトのデータを組織的に盗み出したということです。

「サイバー攻撃 米会社「中国軍関与の疑い」(2013年2月20日 19時32分 NHK)

 このNHKの報道では「サイバー攻撃を行ったのは、「APT1」と呼ばれるグループです。」としていますが、「APT1」はマンディアント社が名付けた名前であり、“Advanced Persistent Threat”の略称であり、日本語にしますと先進持続性脅威とでも言うべきでしょうか。

そしてこれがマンディアント社のこの問題に関するレポートです。

“APT1 Exposing One of China’s Cyber Espionage Units” ( 「APT1 中国のサイバー工作部隊を暴露」 PDF 全76頁)

2.APT1の概要

 このレポートにはAPT1に関しまして詳述されていますので、その一部を下記に抜粋し翻訳します。

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We refer to this group as “APT1” and it is one of more than 20 APT groups with origins in China.

このグループをAPT1と呼称し、中国発祥の20以上のAPTグループの一つである。

Our analysis has led us to conclude that APT1 is likely government-sponsored and one of the most persistent of China’s cyber threat actors. We believe that APT1 is able to wage such a long-running and extensive cyber espionage campaign in large part because it receives direct government support. In seeking to identify the organization behind this activity, our research found that People’s Liberation Army (PLA’s) Unit 61398 is similar to APT1 in its mission, capabilities, and resources. PLA Unit 61398 is also located in precisely the same area from which APT1 activity appears to originate.
我々の分析はAPT1が国家運営であり、中国のサイバー脅威行為者の中で最も持続性のある模様であると我々に結論付けさせた。直接的な政府支援を主な要因としてAPT1は長期間で広範囲のサイバー工作作戦を実施することを可能としていると我々は確信する。この活動の裏にある組織の正体を追及する過程で、我々の研究は人民解放軍の61398部隊はAPT1に任務、能力、資源が類似していることを発見した。人民解放軍の61398部隊はAPT1の活動が発祥している地域と完全に同じ場所にある。

Unit 61398 is partially situated on Datong Road (大同路) in Gaoqiaozhen (高桥镇), which is located in the Pudong New Area (浦东新区) of Shanghai (上海). The central building in this compound is a 130,663 square foot facility that is 12 stories high and was built in early 2007.
61398は上海の浦东新区の高桥镇の大同路に部分的に基地がある。この施設の中央ビルは130,663平方フィートの建造物で12階建てで2007年初期に建設された。

We estimate that Unit 61398 is staffed by hundreds, and perhaps thousands of people based on the size of Unit 61398’s physical infrastructure.
61398の構造物の規模から61398部隊が数百人、恐らく数千人により運営されていると我々は推測する。

(引用及び翻訳終了)
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 このレポートの後半にはハッカーの本名特定まで至ったものもあり(第53頁~、“UglyGorilla”とのコードネームの人物の本名がJackWangであると思われる)全般的に非常に興味深いものです。必読と言えるでしょう。

(下の画像二つはマンディアント社のレポートより61398部隊の位置関係と中央ビル及び被害を受けた国、クリックで画像拡大)

208_datong

61398_central_building

Observed_global_apt1_activity

3.61398部隊の手口

 レポートによりますと基本的にはなりすましメールによる標的型攻撃です。

(下の画像はマンディアント社のレポートよりAPT1からマンディアント社の従業員に送られたメールの内容、メールの送信者は一見マンディアント社のCEOであるKevin Mandia氏に見えるが、ドメインを見るとフリーメールであり、Kevin Mandia氏からではない。リンクをクリックするとマルウエアに感染する)

Email

(中にはマルウエアのアイコンをPDFファイルに変えた例もあるとのこと、下の画像はマンディアント社のレポートより)

Pdf

この動画マンディアント社の公式アカウントによりYouTubeに投稿されたAPT1の実際の犯行の様子。

4.中国側の否定とその否定の信憑性

中国側はこの問題に関して反論をしています。

「サイバー攻撃 中国国防省が反論」(2013年2月20日 18時14分)
中国国防省の耿雁生報道官「中国軍が、インターネットでスパイ活動をしているという根拠はない」(20日)
中国外務省の洪磊報道官「推測に基づいて根拠のない非難をするのは無責任な行為で、問題の解決に全くつながらない」、「中国もサイバー攻撃の被害者だ」(20日の定例記者会見)

 しかし私はこれらの中国側の反論に対して疑いを持っています。それは以前に中国軍がサイバー攻撃を実施していると思われる映像を中国のテレビ番組が誤って報道する事件があり、話題になったことがあるからです。それは2011年8月25日 (木)の記事「中国軍がサイバー攻撃を実行中の映像を中国が誤ってテレビ番組で放送か」でも紹介させて頂きました。

(下の二つが問題の画像。「法輪功」や「攻撃」等に見える単語が識別出来る 画像はYouTubeに投稿された問題のTV番組より 問題の場面は動画の40秒前後より クリックで画像拡大)

Chinacyberattack1

Chinacyberattack2

5.さいごに

 実際問題として可能な対策は非常に限られていると思われます。個人レベルとしましては不審なメールは無視することですが、実際問題として上司や顧客の名前を騙って届くメールを無視できるでしょうか。わざわざメールアドレスが正しいものであるか確認するでしょうか。

 マンディアント社は61398部隊が手口を変える虞があるにも拘らず今回のレポートを発表した意図は、中国が関与しているとの問題を提起することと、一時的に彼等の作戦コストを増やし、彼等の作業の進展を有意義に妨げることであったとしています(リポート第6頁)。

 少なくとも今回のレポートが一石を投じることには成功した模様です。

「米、産業スパイ対策強化へ=中国念頭に外交圧力」(2013年2月21日(木)9時17分配信 時事通信)

 日本もサイバー戦への備えを急ぐべきと言えるでしょう。

2013年2月 3日 (日)

Twitterへのサイバー攻撃で25万人分の個人情報流出か

1.はじめに

 報道でご存じの方々が多いと思われますが、Twitterに対して何者かによりサイバー攻撃が行われた模様です。Twitterの運営側が不審なアクセスを先週に察知したことから判明しました。

「ツイッターにサイバー攻撃」(2013年2月2日(土) 10時55分 NHK)

 このサイバー攻撃に関する概要はTwitterの公式ブログでも確認することが出来ます。

「より安全にご利用いただくために」(2013年2月2日土曜日)

2.被害の内容

 各報道やこの公式ブログによりますと「ユーザー名、メールアドレス、セッションIDや暗号化されたパスワードなど、約25万人のユーザー情報」が不正に読み取られた可能性があるということです。

 被害にあった可能性があるとTwitterの運営から連絡があった旨をつぶやいている数名の方々を私も実際に見かけました。

Yonashiro Yuu氏 2013年2月2日 - 11:16のつぶやき

Clonekostatus297528780665282560

奥戸 類 |おくとるい氏 2013年2月2日 - 11:17のつぶやき2013年2月2日 - 14:22のつぶやき

Louieestatus297529235038404608

Louieestatus297575650468962304

Raizo Fuwa(不破雷蔵)氏 2013年2月2日 - 13:02のつぶやき

Fuwarinstatus297555605302935553

3.考えられる犯行グループの目的

 それでは今回のサイバー攻撃の目的は何でしょうか。今回のサイバー攻撃により「ユーザー名、メールアドレス、セッションIDや暗号化されたパスワードなど」が流出した可能性があるとしています。最も単純な可能性はアカウントを乗っ取りスパム投稿を行うことです。しかし今回の特定の事案でそういった被害があったとの発表や報道は見受けられません。そうだとしますと他に考えられますのは何らかの個人情報やユーザー間のやりとりの情報収集、人脈把握が目的であった可能性が高いと考えます。下記はあくまで私個人の推測ですが、幾つかの可能性です。

(1)ダイレクトメッセージの盗み見
 Twitterにはダイレクトメッセージ (direct message)、通称DMと呼ばれるサービスがあります。それは自分のフォロワーに他の第三者から見ることができないメッセージを送る機能です。ダイレクトメッセージは自分と自分が送信したその特定の相手にしか閲覧不可で、実質的にウェブメールのようなものと言えるでしょう。(フォローとは相手のツイートが自分のホーム画面に自動的に表示されるようにすることで、フォロワーとは自分のアカウントをフォローしてくれている人です。SNSのお友達登録に似ています。)アカウントを乗っ取れば当然ダイレクトメッセージを閲覧することが可能となります。

(2)鍵付きアカウントの閲覧
 またTwitterにはプロテクト (protect)アカウントがあり、それは自分の投稿を限定公開(一般非公開)にする機能のことです。通常のアカウントはフォローしていなくても訪問すれば閲覧が可能なのですが、プロテクトアカウント(通称では鍵付きと言われます)を設定した場合はフォロワー以外には自分のつぶやきは見えません。そしてプロテクトアカウントのフォロワーとなるにはプロテクトアカウント本人の承認が必要です。

例えば私のアカウントは一般公開です。Twitterに登録していなくとも誰でも閲覧可能です。

そしてこれはDefense Newsのアジア支局長のWendell Minnick氏のアカウントですが、プロテクトアカウントとなっておりつぶやきの内容はフォロワー以外は一切見ることが出来ません。

アカウントを乗っ取ってしまえば、こういったプロテクトアカウントも閲覧が可能となります。

(3)メールの閲覧や標的型攻撃
 Twitter公式ブログの発表によりますと流出した可能性のある情報は「ユーザー名、メールアドレス、セッションIDや暗号化されたパスワードなど」です。Twitterには著名人のアカウントも多数あり、本名で利用されている方々も少なくありません。そうだとしますとユーザー名、メールアドレスが流出しますとそのメールアドレスにスパムメールや標的型メールを送付することが可能となります。またメールとTwitterで同じパスワードを使用している場合はメールアカウントの乗っ取りや閲覧が可能となるでしょう。

4.犯行グループの正体は

 Twitter公式ブログの発表によりますと「まだ調査中の段階ですが」、「今回の攻撃はアマチュアのものとは考えにくく」、「とても洗練された攻撃」であると最後の段落でしています。従いましてただの愉快犯ではなく、プロであると運営サイドは考えている模様です。因みにこの最後の段落ですが日本語版と英語版では若干表現が異なっていました。日本語版は下記のとおりです。
-------------------------------------------------------------------
「まだ調査中の段階ですが、攻撃についてをできるだけ迅速に公開することが大切だと考えました。ユーザーの皆さまにはご迷惑、ご心配をおかけいたしますことをお詫び申し上げます。より安全なインターネット環境を目指し、引き続き米国政府や関係団体などと話し合いを続けていきます。」

(引用終了)
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それに対して英語版は下記のとおりとなっています(和文は筆者翻訳)。
-------------------------------------------------------------------
For that reason we felt that it was important to publicize this attack while we still gather information, and we are helping government and federal law enforcement in their effort to find and prosecute these attackers to make the Internet safer for all users.

このことからまだ情報収集の段階ですが攻撃についてをできるだけ迅速に公開することが大切であると感じ、そして全ての利用者の方々にとりより安全なインターネット環境とする為に、攻撃者を特定し起訴する為の政府と連邦捜査機関の努力に我々は協力しています。

(引用及び翻訳終了)
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 現段階では犯行グループを断定するまでには至ってはいないと思われます。しかしTwitter公式ブログの発表に「この2週間にNew York Times、Wall Street Journalがシステムを、またAppleやMozillaはもともと設定されているJava(プログラムのひとつ)をオフにされました。」とのやや気になる記述が最初の段落に見受けられます。全く異なる事件に何故わざわざ言及したのでしょう。ただ単純に最近そういった問題が相次いでいることに一般論として言及したのか、それとも他に意図があるのかは分かりません。

「NYタイムズ「中国からハッカー攻撃」 巨額蓄財報道後」(2013年2月1日(金)0時2分配信 朝日新聞)

(このYouTube動画NYタイムズ公式アカウントがYouTubeに投稿、サイバー攻撃の概要を報じている。温家宝首相の親族による巨額蓄財に関し情報をNYタイムズに提供した人物を特定しようとしたのではないかと述べている。YouTube動画によると実際にはオープンソースがメインであったらしい。もはや通常のウィルス対策ソフトは通用せず、情報セキュリティ会社に依頼し、具体的に何をしているか判明したとしている。)

5.さいごに

 まだ具体的なことはまだ分かりません。しかし一連のサイバー攻撃は深刻な国際問題と化しつつあります。

「ハッカー攻撃に「懸念増大」=中国と協議する必要-米」(2013年02月02日-09:44 時事通信)

 しかしネット自体が脆弱性があり匿名性が高いことを考えますと、根本的な解決方法がないのかもしれません。しかし少なくとも犯行グループを特定し公表することは抑止力となりえますので、今回の事件の調査の進展を待ちたいと思います。

2012年12月16日 (日)

政権交代間際での尖閣諸島に於ける中国機による領空侵犯に思うこと

1.事件の概要 

各報道でご存じのことと思いますが、中国国家海洋局所属のY-12一機が尖閣諸島魚釣島南方約15km付近の領海上空を領空侵犯しました。この事態は防衛省ホームページでの公式報道発表でも確認をする事が出来ます。

中国機による領空侵犯について(平成24年12月13日 防衛省)

発生時刻は平成24年12月13日(木)11時6分頃とのことです。これに対して「航空自衛隊の戦闘機(F-15計8機)及び早期警戒機(E-2C計1機)が緊急発進を実施し対処した」と記事にはあります。

Y12 (上の写真は海上保安庁が撮影の領空侵犯をした中国国家海洋局所属のY-12 写真は防衛省ホームページ公式発表より(PDF) クリックで画像拡大)

 このF-15計8機とE-2C計1機も対応したことは、防衛省/空自が非常にこの事態を深刻に受け止めたことを物語っていると言って良いでしょう。

2.問題提起
 
私個人としましても、今回の自体は二つの観点から深刻視しています。一つは今回の領空侵犯をレーダー網で捕捉出来ず海上保安庁からの連絡で空自が急遽対処したこと、もう一つは今回のこの事態が今までとは次元が異なったレベルの問題となる極めて対処の難しい問題であることです。

(1)防空網の穴と対策
 空自のレーダーで中国国家海洋局所属のY-12を捕捉出来なかったこととその原因は複数の報道で確認することが出来ます。

「中国機領空侵犯:藤村官房長官、レーダー捕捉の限界認める」(毎日新聞 2012年12月14日 12時41分(最終更新 12月14日 13時01分))
「地上固定レーダーによる探知は対象機までの直線距離、飛行高度などの諸条件に依存する。レーダーが設置される沖縄本島、久米島、宮古島からは(尖閣まで)相当の距離があり、探知は困難さがある」

領空侵犯 監視態勢を再検討へ(2012年12月14日 4時16分 NHK)
「13日、尖閣諸島上空で、中国の国家海洋局のプロペラ機が日本の領空を侵犯しましたが、航空自衛隊は沖縄県内のレーダーサイトで捉えることができず、海上保安庁の巡視船からの連絡で初めて気づきました。」、「遠く離れた空域を低空で飛行している場合、相手機が水平線の下に隠れて探知できないこともあるということです。」

「自衛隊、中国領空侵犯探知なぜできぬ 「レーダー死角」解消策は2年前から「検討」」(2012年12月14日 19:18 J-Castニュース)
「 日本最西端の固定レーダーは宮古島に設置されているが、尖閣諸島からは210キロメートルも離れている。地球は丸い上にレーダーの電波は直進性があるため、低い高度で飛行機が侵入して来た場合、レーダーからすれば水平線の下に潜り込む形で「死角」となってしまう。

Propagation_vhf
(上の写真は英語版WikipediaよりVHFアンテナの見通し線の画像 作者はF1jmm氏 クリックで画像拡大)

 この死角を解消する為に政府は南西方面の警戒にE-2Cのみではなく、E-767を警戒任務に充てる方針の模様です。

「政府、AWACSで尖閣を警戒 領空監視を強化」(2012年12月14日 19:14 【共同通信】)

 何らかの対応をするにしても、相手を察知出来ないのであれば対処は不能です。E-2Cに加えてE-767の展開は一つの対処方法でしょう。しかし365日24時間飛行させるのは困難かもしれません。

 これ以外にも数多久遠様が「尖閣の領空侵犯に対する対策」を執筆されていますが、護衛艦による警戒を提唱されています。コストパフォーマンス的にも実務面でも現実的で、数多久遠様も述べていますが、自衛隊法第84条が「防衛大臣は、外国の航空機が国際法規又は航空法(昭和27年法律第231号)その他の法令の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる。」と空自のみに限定していませんので、法的にも問題はなさそうです。護衛艦はそのエリアに継続的に待機し警戒が可能なことが大きな利点と言えます。

 早期の警戒という観点からもう一つ興味深い選択肢を見つけることが出来ました。Raytheon社が研究開発中の飛行船型早期警戒システムJLENS(Joint Land Attack Cruise Missile Elevated Netted Sensors)です。母体が飛行船である為に10,000フィートの高度で30日間の滞空が可能で、360°全周囲を550kmの半径で数百の経空、海上、地上目標の監視をし、また味方の地対空ミサイルも誘導します。米国陸軍の実験では巡航ミサイルに見立てた目標の撃墜にJLENSとパトリオットで2012年4月30日に成功しました。

Raytheon JLENS

(上の画像は同社ホームページPDF資料よりJLENSのスペック説明 クリックで画像拡大)Jlens下は米国防省資料-PDF-から開発・調達スケジュール 実戦配備まであと1-2年であることが判る クリックで拡大)

Jlens_scheduleこの動画はRaytheon社公式アカウントがYouTubeに投稿したJLENSの性能説明

 JLENSはメーカーによりますとAWACS、JSTARS、またはE-2Cなどの固定翼機と比較しても1/5~1/7の運用コストとなっており、メーカーの主張通りであればコストパフォーマンスに非常に優れており、30日間の滞空時間であれば隙のない監視体制を構築可能ということが言えるでしょう。

(2)前例のない問題~武力衝突の危機~
 
しかしJLENSの実戦配備は米国でも2013年~2014年です。その一方で尖閣を巡る事態は非常に切迫しているのかもしれません。最初にも述べましたが、今回の中国国家海洋局所属のY-12に対して空自のF-15計8機とE-2C計1機を投入しています。つまり日本は軍隊を出してしまいました。中国人民解放軍が介入する口実を与えてしまった虞があるのです。そういった動向が早速散見されています。

「中国紙「尖閣に空軍派遣を」 空自の緊急発進に反発」(2012年12月14日 20:41)
「中国側は承知の上で軍用機でない航空機に領空侵犯させたとみられる。中国空軍が尖閣諸島周辺に展開する口実にするため、自衛隊を出動させるのが狙いだったとの見方がある。」

 即ちレベルが一段階上がった状態です。今後は自衛隊と中国人民解放軍が対峙・衝突する可能性があり、しかもそれは差し迫っている可能性があります。準備する時間はもう少ないのかもしれません。

3.その他の偶発的事故に対する抑止力整備 
 それでは現段階で日中の偶発的な軍事衝突を抑止する為にはどうすれば良いのでしょうか。それはやはり日米安保に頼らざるを得ないと考えます。

尖閣防衛義務を再確認=国防権限法案に異例の明記-米上院(2012年11月30日16:43)

尖閣領空侵犯、米が中国に直接「懸念」伝達 (2012年12月15日(土)6時30分配信)

 今回の領空侵犯に関して尖閣諸島が対日防衛義務を定めた日米安保条約の適用対象になるとの米政府の立場を改めて伝えたとされていますが、それは日本が中国に自制を促すよう米側に要請したとの一部報道がありました。それは当然でありまた米側がその方向で対応をしたことは成功であったのではないでしょうか。

 2012年12月16日(日)に実施されました衆議院選挙で、自公で300議席超となり安倍総理の誕生が確実となりました。自民党は当日午前中に「揺るぎない日米同盟を再構築し、アジアを平和で安定した地域にすることが喫緊の課題であり、こうした課題を克服していけるのは、自民党しかない」との声明を出しています。安倍次期総理に課された内外の課題は非常に重大だと言えるでしょう。

2012年12月17日(月)追記
「自・公で325議席獲得 政権交代へ」(2012年12月17日 6時4分 NHK)

▽民主党は、小選挙区で27議席、比例代表で30議席の合わせて57議席、
▽自民党は、小選挙区で237議席、比例代表で57議席の合わせて294議席、
▽日本未来の党は、小選挙区で2議席、比例代表で7議席の合わせて9議席、
▽公明党は、小選挙区で9議席、比例代表で22議席の合わせて31議席、
▽日本維新の会は、小選挙区で14議席、比例代表で40議席の合わせて54議席、
▽共産党は、小選挙区で議席を獲得できず、比例代表で8議席、
▽みんなの党は、小選挙区で4議席、比例代表で14議席の合わせて18議席、
▽社民党は、小選挙区で1議席、比例代表で1議席の合わせて2議席、
▽国民新党は、小選挙区で1議席、
▽新党大地は、比例代表で1議席、
このほか無所属が5議席で、新党日本と新党改革は議席を獲得できませんでした。
「民主党は議席を選挙前の4分の1以下に大きく減らす大敗となり、野田総理大臣は記者会見で、民主党の代表を辞任する考えを表明しました。」

2012年12月23日(日)追記
「尖閣諸島に安保適用 米で法案成立」(2012年12月22日(土) 9時9分)
「尖閣諸島は日本の施政下にあり、」、「「日本の施政権が及ぶ地域に対して、アメリカは日米安全保障条約の第5条に基づき、防衛の義務がある」

2012年11月15日 (木)

ソフトイーサー株式会社が遠隔操作ウイルスの通信記録・プロセス起動記録ソフトを開発し無償リリース

 遠隔操作型ウイルスに感染したパソコンから犯行予告が相次いで書き込まれ、警察が事件に関連して男性4人を誤認逮捕し、真犯人の特定が困難な状況が続いています。

「「犯行声明」 別のPCも操作示唆、被害者は5人に」事件発生経緯一覧表(2012年10月17日 00:17)

 所謂「踏み台」に関しましては、以前も当ブログで記事にしたことがありました。

「日本国警察庁に対するサイバー攻撃に思うこと」(2011年7月18日(月)執筆)

(下の図はWikipediaよりDDoS攻撃のイメージ図 画像はフリーソフトウェア)

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 こうした中で茨城県つくば市にある筑波大学発のベンチャー企業であるソフトイーサー株式会社が遠隔操作ウイルスによる冤罪防止のための通信記録・プロセス起動記録ソフト「パケット警察 for Windows」を開発しフリーウェアとしてリリースしています。

「パケット警察 for Windows (フリーウェア)」 遠隔操作ウイルスによる冤罪を防止するための通信記録・プロセス起動記録ソフト 2012年10月22日公開 筑波大学発ベンチャーソフトイーサ株式会社

 同社発表によりますと「万一、遠隔操作ウイルスによってあなたのパソコンが犯罪者にリモート操作され『踏み台』となった場合に、ウイルスの起動記録や犯人の通信記録がすべてログに残りますので、あなたの無実を証明したり、真犯人を追跡したりするための有力な証拠として利用可能です。」、「Windows 98, ME, NT 4.0, 2000, XP, Server 2003, Vista, Server 2008, 7, Server 2008 R2, 8, Server 2012 で動作します。さらに、IPv6 にも対応しています。」との事です。

 それではこのソフトイーサー株式会社とはどの様な会社なのでしょうか。同社の公式ホームページの製品・サービスのページによりますと、ソフトウェアや通信サービスの会社です。同社の会社概要は同社公式ホームページの会社概要のページに記載されており、役員・社員を合わせて9名で、代表取締役は登 大遊氏です。同社の公式ホームページの「ソフトイーサ株式会社 産学官連携活動」のページには下記の通りにあります。

「2004 年 4 月 1 日に、筑波大学発ベンチャー企業として設立されました。設立に関わった発起人および初代取締役の全員は、当時は筑波大学の学類生または大学院生でした。」、「現在でも当社の筑波大学との関連は深く、筑波大学内に合計 3 箇所の研究開発用のオフィスや実験室を設置させていただいております。」

(下の写真はWikipediaより同社本社があるリッチモンドビル Miyuki Meinaka氏が撮影 クリックで画像拡大 茨城県つくば市天久保二丁目 9 番地 2 リッチモンドビル1F ソフトイーサ・コア内)Richmond_2nd_street 会社規模は小規模ですが、実績は目を見張るものがあります。同社公式ホームページの導入事例のページによりますと、多数の企業等に納入実績がある模様です。会社沿革・概要及び実績から、筑波大学とも関係の深い会社であり、一部官公庁や大手企業にも納入実績があることから、一定の信頼があるということが言えると私個人は考えます。

 私が今回この情報に注目しましたのは、今回のこのフリーウェアが「ウイルスの起動記録や犯人の通信記録がすべてログに残ります」としている点です。素人考えですがこのソフトウェアはその他の証拠(ウイルス解析)などと併せますと、ある意味で動かぬ証拠となり得ます。そうだとしますと、抑止力として機能するかもしれません。ただ「踏み台」を二重以上に経由していることも考えられ、その場合は見えない戦いとなるのは変わりがないのかもしれませんが。それでも今回のこのソフトは非常に興味深いと個人的には考えた次第です。

「中国の攻撃能力「飛躍的向上」=サイバー空間で最大の脅威―米議会報告」(2012年 11月15日(木)0時15分配信 時事通信)

2012年8月17日 (金)

2012年8月の一連の竹島・尖閣諸島問題に思うこと

 この数日間で竹島と尖閣に関する日本と近隣諸国の問題が深刻化しました。 まず8月10日に韓国の李明博大統領が竹島に上陸したことから日韓関係が急速に悪化したものです。Dokdo_photo (上の写真はWikipediaより竹島 クリックで画像拡大 撮影者はRachouette, teacher in Seoul, SOUTH KOREA

「疑いなく韓国領土」竹島上陸の李大統領(2012年8月11日00時45分 読売新聞)

 李明博大統領が竹島上陸を強行してから、ロンドンオリンピックでは銅メダルを巡り日韓サッカー戦が行われましたが、試合終了後にも韓国側の不適切な行動が日本側の感情を逆撫でしました。韓国の朴鍾佑(パク・チョンウ)選手が、竹島(韓国名・独島)に関し、ハングルで「独島はわれわれの領土」と書かれたメッセージボードを掲げた問題です。

(これがYouTubeに投稿されたその問題の行動)

 竹島上陸を強行した理由に関しまして、李明博大統領は8月13日の大統領府での姜昌煕(カンチャンヒ)国会議長らとの昼食会で、いわゆる従軍慰安婦問題で進展が見られないことがあったと説明したと一部マスコミが報じました。

竹島上陸、背景に慰安婦問題…韓国大統領が説明(2012年8月14日01時05分 読売新聞)

今回の李明博大統領の竹島上陸の背景に関しまして、2012年08月13日 (月)のNHKの時論公論「竹島上陸 どうなる日韓関係」がより詳しく解説しています。 このNHKの報道には竹島訪問強行の要因として下記二点を列挙しました。

1.去年8月の従軍慰安婦への賠償を求めている人達が韓国政府を相手取って起こしていた裁判で、韓国の憲法裁判所が「韓国政府は解決のための努力をしていない」、「やるべきことをやっていない政府は憲法違反だという決定を下した。この判決をきっかけに韓国政府の対日政策は大きく方向転換した。

2.政権最後の年になって、大統領の兄を始め政権を支えてきた有力者が次々と逮捕されたり、引退に追い込まれた。

 更に状況を悪化させましたのが李大統領が天皇陛下の訪韓の条件としまして「心から謝罪」を要求したことです。

李大統領、天皇陛下の訪韓「心から謝罪」が条件(2012年8月15日00時25分 読売新聞)

読売新聞によりますとこの発言は「李大統領の発言は14日、忠清北道の大学で行われた教員らとの会合の席上であった」としており、公式ソースでは確認出来ませんが、その他の一部報道によりますとその際の表現が極めて不穏当であったとされています。これに対して日本側は強く反発しました。

首脳相互訪問中止も…韓国大統領発言で対抗措置(2012年8月15日21時39分 読売新聞)
野田首相は15日、首相官邸で記者団に対し、大統領の発言を「理解に苦しむ発言で遺憾だ」と批判した。

天皇謝罪要求、安倍元首相「常軌を逸している」(2012年8月14日23時48分 読売新聞) 「常軌を逸している。そもそも天皇陛下が訪韓される環境がない中にあって、大統領の発言はあまりにも礼を失している」と批判した。

政府、韓国政府に対し公式反論の方針確認(2012年8月15日13時09分 読売新聞)
松原国家公安委員長は15日午前、都内の靖国神社で記者団に「礼を失した発言だ。(大統領の)竹島の訪問も含め、一国の最高指導者として適切な行動ではない」公明党の山口代表も、都内で記者団に「李大統領は日本にも理解のある大統領だと思われてきた。どうしてああいう発言をするのか、非常に驚いている」

内閣官房長官記者会見 平成24年8月15日(水)午後 韓国側の天皇陛下等に係る発言について
「我が国政府から韓国政府に対して、天皇陛下の韓国ご訪問について取り上げたことはありません。そのような中、昨14日、李明博韓国大統領が天皇陛下について昨日のような発言をしたことは、先ほど野田総理も申し上げたかと存じますが、理解に苦しむところであり、極めて遺憾であります。」

外務大臣会見記録(平成24年8月15日(水曜日)13時58分~ 於:大臣接見室前)
「我が国政府からは,韓国政府に対して,天皇陛下の韓国ご訪問について取り上げたことはございません。そのような中で,李明博大統領が昨日のような発言をしたということは理解に苦しみますし,極めて遺憾だということであります。以上です。」

 竹島問題が深刻化する一方で、同時進行的に香港の抗議船が中国の領有権を主張する為に尖閣へ出航しました。

香港の抗議船、尖閣へ出航…中国の領有権主張(2012年8月12日22時48分 読売新聞)

8月12日の香港の民間反日団体「保釣行動委員会」によるこの抗議船出港は中国政府がほぼ容認したのではないかとの分析もあります。

香港の尖閣抗議船、中国政府が航海容認?(2012年8月13日19時38分 読売新聞)

 この香港の抗議船は8月15日午後3時51分、日本の領海内に侵入しました。 この香港の民間団体のメンバーのうち7人が尖閣諸島の魚釣島に8月15日17:30頃に上陸しましたが、島に残った5人は沖縄県警により逮捕されたとNHKが報じています。さらに海上保安本部は、魚釣島から離れようとした船を午後6時40分すぎに巡視船2隻で挟み込んで停船させ、船にいた男9人を不法入国の疑いで逮捕しました。

尖閣 領海侵犯で残る9人も逮捕(8月15日 21時25分 NHK)

 尖閣と竹島では全く異なる要因があります。それは日本側が実効支配しているか否かです。現実問題として、根本的に実効支配している国が圧倒的に優位となります。実効支配をしているのであれば、物理的な力で相手国の不法侵入を阻止し、または万が一侵入された場合におきましても、身柄を拘束する事が出来ます。

 逆に我が国が実効支配をしていなければ、たとえ相手国の首脳がその地域を訪問せんとしても、物理的にそれを阻止する事は不可能です。そして奪還するとすれば、軍事力を行使しなくてはならなくなってしまいます。しかし日韓の場合はそれは困難と言えるでしょう。日本は日米安保条約を、韓国は米韓相互防衛条約をそれぞれ米国と締結しており、日韓両国は米国の同盟国であるからです。これが相互に政治的にも軍事的にも抑止力として機能します。また日韓が衝突しますとロシア、中国、北朝鮮がどう動くかも分かりません。

 逆に言えば尖閣と沖ノ鳥はその意味で実効支配を死守しなくてはなりません。その一方で北方領土と竹島に関しても主張は継続すべきと個人的には考えます。そうすれば日本は諦めないとの印象を国際社会に与えられるからと個人的に考えるからです。

 その一方で中国の軍事的脅威は更に高まりつつあります。最近は中国海軍が一部艦艇に巡航ミサイルを搭載し始めている旨が海外の一部メディアにより報じられています。Diplomat誌2012年08月13日記事China’s Growing Long-Range Strike Capability( 中国の長距離攻撃能力の増強)はその一つです。下記にその記事の一部内容の抜粋と翻訳を行います。
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the People’s Liberation Army Navy (PLAN) may be testing a navalized version of the 4,000km-range Dong Hai-10 (DH-10) land-attack cruise missile (LACM), which relies integrated inertial navigation, GPS guidance, terrain contour mapping, and scene-matching terminal-homing to reach its target.
人民解放軍海軍(PLAN)は4000Km射程の東海-10(DH-10)対地攻撃巡航ミサイルの海洋版を試験しており、そしてそれは統合慣性航法装置、GPS誘導、地形差高線地図作成、映像判別最終誘導を目標到達に使用する。

In addition to their long range, accuracy (the DH-10 has a 10m circular error probable), and the difficulty of tracking them, LACMs give a belligerent the ability to launch multidirectional attacks to penetrate enemy air defense networks at a low altitude.
長距離、精密 (DH-10は10Mの平均誤差半径を有する)、そして追跡の困難さに加え、LACMは交戦国に低高度で敵国の防空システムに侵入する為に多方向からの攻撃を発射する能力を付与する。

Andersen Air Force Base on Guam, a key base for U.S. operations in the Asia Pacific, as well as Okinawa, would be appealing targets for a multi-directional LACM offensive, especially as both are said to be severely lacking in air defense and hardening, leaving aircraft and critical infrastructure exposed to a devastating surprise attack.
沖縄と同様にアジア太平洋地域に於ける米国の作戦の主要基地であるグアムのアンダーセン空軍基地は特に両基地とも防空と耐久性に著しく欠けるとされており、多方向からのLACM攻撃の絶好の攻撃目標となりやすく、航空機と重要な設備を壊滅的な奇襲に脆弱性を残す。

“No one, including the U.S., has ringed their countries with enough SAM [surface-to-air] batteries to defend against all the azimuths that a low-flying cruise missile might approach from,” Rear Admiral (Ret) Michael McDevitt, now a senior fellow at the Center for Naval Analyses, told The Diplomat.
「低空を飛行する巡航ミサイルが接近するかもしれない全ての方位に対して、米国を含めてどの国も十分なSAM (地対空)誘導弾部隊を国土に配備していない」と現在では海軍分析センターで上級研究員を務めるMichael McDevitt少将(退役)はDiplomat誌に述べた。

(引用及び翻訳終了)
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 この記事ではDH-10の射程が4000Kmとなっていますが、別の資料では射程を1500Km~2000Kmとしています。

日本周辺国の軍事兵器 livedoorwiki DH-10

また2008年度に米国防総省が発表した資料では2000Km以上との分析です。

ANNUAL REPORT TO CONGRESS Military Power of the People’s Republic of China 2008 (PDF ファイル第56頁)

英語版Wikipediaでは4000Kmとなっています。

 何れにしましても巡航ミサイルを軍艦に搭載することにより、陸上配備型より運用に柔軟性が増し、また更に攻撃可能となる範囲が増すことは間違いがりません。日本は巡航ミサイル対策を更に増強する必要があるかもしれません。

 中期防衛力整備計画(平成23年度~平成27年度)の第4頁には「南西地域において早期警戒機(E-2C)の整備基盤を整備し、常時継続的に運用し得る態勢を確保する」との記述が見受けられます。南西地域のこういった防空体制の強化は喫緊の課題と言えます。

(この動画はNorthrop Grummanの公式アカウントがYouTubeに投稿したE2Dの簡単な説明動画。E2Dは巡航ミサイル対処も重視している。)

2012年7月 3日 (火)

北九州市の倉庫からロシア製ロケットランチャーが発見される

 福岡県北九州市の住宅街の木造2階建て倉庫でロケットランチャーが福岡県警察により発見されました。発見場所は福岡県北九州市戸畑区浅生3丁目でJR戸畑駅の南東約500メートルの住宅街とのことです( 2012年06月28日 ZAKZAK 社会 )。


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 読売新聞の報道「ロケットランチャーに砲弾も?…北九州の倉庫」( 2012年6月29日07時24分 読売新聞 )によりますと、今回の発見のきっかけとなりましたのは、「故意に乗用車を損壊させ、昨年11月17日、東京都の損害保険会社に対し、器物損壊被害を装って保険金支払いを請求。同年12月29日に約55万円を振り込ませた疑い」による詐欺容疑での岸良研吾(36)、春山力(37)両容疑者逮捕でした。この両容疑者の関係先として木造2階建て倉庫を捜索しましたところ、武器が発見されたとのことです。この詐欺容疑での検挙は福岡県警の公式発表でも確認することが出来ます。

福岡県警 事件検挙掲示板 6月28日の検挙情報 筑豊地区

そしてこの福岡県警の公式発表によりますと、今回のそもそもの事件の概要は下記の通りです。

「損害保険金をだまし取った男2人を逮捕」 〔田川・南・直方警察署 暴力団犯罪捜査課

犯罪が行われた月日:平成23年11月17日

犯罪が行われた場所:直方市内

被疑者 (職業 性別 年齢):自営業、男A、36歳 自営業、男B、37歳

犯罪の内容:故意に自動車を損壊させて、器物損壊の被害にあったように装い、損害保険会社から保険金をだまし取った容疑で、前記被疑者2人を通常逮捕しました。

 興味深いのは両容疑者を逮捕したのが暴力団犯罪捜査課となっている件です。詐欺であれば通常は担当が捜査第二課である筈ですが、今回は暴力団犯罪捜査課となっています。そうしますとこの両容疑者が少なくとも準構成員であるか、暴力団による何らかの関与があると福岡県警は見ている可能性があると思われます。県警が純粋に詐欺容疑で捜査を開始したが偶然に今回の武器庫発見に至ったのか、それとも武器庫発見がそもそもの目的で詐欺容疑は所謂別件逮捕であったのかは問題ですが、それは現時点では判断する材料がありません。もし後者であるとするならば、警察が何らかの方法で情報を入手していたことになります。

 今回のロケットランチャーですが、読売新聞の報道「倉庫のロケット砲、ロシア製か…バッグに隠す」(2012年6月29日15時35分 読売新聞)によりますと「武器は、形状からロシア製の対戦車ロケット砲とみられる」とのことでした。この押収されたロケットランチャーの写真は各報道で確認する事が出来ます。

読売新聞 2012年06月29日掲載

 詳しい方々によりますと今回の家宅捜索で発見されたのはRPG-26の模様です。

(下の写真はWikipediaよりRPG-26 クリックで画像拡大 著作権はPublic Domain )800pxgrenade_launchers_rpg26

 もしそうだとしますと、どの様なルートで日本国内に持ち込まれたのかが大きな問題と言えます。そしてこのロケットランチャーですが、流出経路の特定の可能性はあるのでしょうか。製造番号が判別可能であり、メーカーに記録が残っていれば、僅かながらの望みはあります。しかしたとえ製造番号が判読可能であり、メーカーに出荷記録が残っていたとしましても、ロシア側やメーカーの協力が得られるかどうかはまた別問題と言えるでしょう。

 もしその他の重火器が日本国内に隠蔽されているとしますと、忌々しき問題です。対テロの観点からもルート解明は重要と言えるでしょう。

この動画はYouTubeに投稿された2001年12月22日に発生した九州南西海域工作船事件

2012年6月17日 (日)

朝日新聞「中国、北朝鮮に軍用車両 昨年8月 安保理決議に違反」報道の奇怪

ShipSpotting.com
© Captain Haddock

(上の写真は問題のカンボジア船籍の貨物船「HARMONY WISH」、全長 x 巾:84mX13m、総トン数:1999、 載貨重量トン:3720 t)

上の動画はYouTubeに投稿された2012年4月15日の北朝鮮軍事パレードの様子、問題の車両は1:00~1:23に登場)

 朝日新聞が2012年6月13日03時00分に「中国、北朝鮮に軍用車両 昨年8月 安保理決議に違反」と報じました(朝日新聞の記事の全文を読むには会員登録が必要となります。無料会員コースがあり、その場合は1ヶ月に3件までの記事を読むことが可能です)。

 北朝鮮の弾道ミサイル開発に中国が関与している疑惑があることは当ブログでも2012年4月22日 (日)の記事「北朝鮮の新型ICBMに関する二つの疑惑」でも執筆しており、新型弾道ミサイルの運搬に使われていた車両が中国製であることが裏付けられた事に関しては、私はそれ程は驚いていません。しかしこの朝日新聞の記事は様々な観点から大変興味深いと言えますので、今回は続報の意味も兼ねて新記事を執筆することとしました。

 この記事の概要は下記の通りです。

1.問題の車両4両を運搬したのはカンボジア船籍の貨物船「HARMONY WISH」(1999トン)。

2.この船は2011年08月01日に上海を出港し、2011年08月04日に北朝鮮の南浦に到着。日米韓の情報衛星が航路を追跡していた。(下の地図はGoogleマップより上海=A地点と南浦=B地点 )


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(下の写真はGoogleマップより北朝鮮の南浦)


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3.この船が2011年10月03日に大阪港に入港した際に、第5管区海上保安本部が任意で立ち入り検査を実施したところ、輸出の目録が発見された。車両は各専門家の分析や当ブログの過去記事の通りにWS51200。

4.この件は内閣情報調査室を通じて外務・防衛両省、首相官邸に報告された。

5.日本側はこの情報を米韓両国に提供したが、北に対して強い影響力を有する中国を刺激しない為に、米国主導で各国政府はこの事実を伏せる判断をした。

6.上記の経緯は「複数の日本政府関係者が朝日新聞の取材に明らかにした。

 この朝日新聞による報道は奇奇怪怪です。中国と北朝鮮が秘密裏に行った取引を日米韓が事前に察知可能であったこと、そしてこういったインテリジェンスの話がどういったルートで何故表面化したのかが非常に不可解であると言えます。

 この朝日新聞による報道には日米韓の情報衛星が貨物船「HARMONY WISH」を追跡していた旨の記述がありますがそうだとしますと日米韓はこの貨物船を注目していた理由があったのです。そう考えますと取引があることを事前に察知したのではないでしょうか。また別の朝日新聞の記事「金総書記称賛の手紙も発見 軍用特殊車両密輸の船から」(2012年6月14日8時6分)によりますと、「HARMONY WISH」は海上保安庁が以前からマークしていたとの事です。そして2012年06月13日10:17:26 EDTのArmy Timesの記事"Reports: N. Korea missile truck came from China"(北朝鮮のミサイル運搬トラックは中国製)では"Japanese authorities tracked the ship by satellite and searched it after it had delivered its cargo, when it transited through Japan the following month, the reports said."(「報道によると日本の当局が衛星でその貨物船で追跡し、翌月に日本を通行した際に、その貨物船を貨物配達後に捜索した」)と報じており、日本主導の情報収集・追跡・捜査であったことを示唆する報道となっていました。何れにしましても、日米韓の三か国のインテリジェンスには中国と北朝鮮の間の極秘取引を何らかのルートで察知する能力があることが分かるのです。

 そもそもこの件ですが、誰が朝日新聞にリークしたのかを考えますと非常に興味深く奇奇怪怪であると言えます。この朝日新聞による報道では「複数の日本政府関係者」となっていました。また2012年6月13日11時56分の読売新聞の記事「中国、ミサイル用特殊車両を北朝鮮に輸出」も「複数の日本政府関係者が13日、明らかにした」としいます。これ以外にも2012年06月13日10:17:26 EDTのArmy Timesの記事"Reports: N. Korea missile truck came from China"(北朝鮮のミサイル運搬トラックは中国製)では"NHK, Japan’s public broadcaster, and other media later had similar reports, also citing unnamed government sources."(「日本の公共放送であるNHKやその他の報道機関が、匿名の政府関係者を引用し同様の報道をした」)と報じました。この「複数の政府関係者」が誰を指すのかは不明です。報道機関がそれを明らかにることはないでしょうし、今後もそれが明るみに出ることはないでしょう。しかし複数の報道機関が報じており、これはソースの情報源が広範囲に亘っているか、情報源が積極的に各マスコミに広く接触しようとした様子が窺えます。

 しかしこれは機密情報である筈です。少なくとも米国政府としましては、この事実を伏せる判断をし、日韓慮両国もその方針に同意した筈ですから、これは一種の外交機密と言えます。そうだとしますと、もしこの事実を漏洩したのが公務員であった場合は、国家公務員法第100条の公務員の守秘義務違反の疑いもあるのではないかとも言えるのです。尤も判例によりますと「秘密であるためには、国家機関が単にある事項につき形式的に秘扱の指定をしただけでは足りず、非公知の事項であって、実質的にもそれを秘密として保護するに価すると認められるもの」を指すのですから、今回の情報がそれに該当するか否かは議論の余地があると言えます(少なくとも件の運搬車両が中国製であることはまず間違いがないことは各方面から指摘があった旨を当ブログ過去記事でも執筆したが、但し日米韓でこれを公表しないこととしたその方針は秘密とも言える)。もし「秘密」に該当するとしますと政府としましては漏洩元を探しているのでしょうか。少なくとも公式レベルではそうしている気配は感じられないのです。それどころか政府首脳の会見には余裕の雰囲気すら見受けられます。

平成24年6月13日(水) 内閣官房長官記者会見 午前

 この記者会見のリンク先の動画では、藤村官房長官は具体的な情報を求める記者団の質問に対し「インテリジェンスの問題」として回答を避けていますが、特に3:30~4:30頃では笑みを浮かべてすらいるのです。

 日本政府内部でも様々な意見があることがは考えられます。米国でもそれは同じです。2012年4月19日の米国務省の記者会見では下記のやりとりがありました。
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(北朝鮮に関する質問と回答はこの動画の10:30~12:00にあり)

QUESTION: Sure. And the U.S. is confident of that? The U.S. can take China at its word that there isn’t that type of cooperation?
記者からの質問:「米国としてそれ(中国が北朝鮮に弾道ミサイル開発に協力していない、国連安保理決議に違反していない)に自信はありますか?そういった協力がないという中国側の言葉を米国は信じても良いのですか?」

MR. TONER: Well, again, I think we take them at their word. There is a UN mechanism. There’s a UN sanctions committee that exists to look into these allegations.
国務省TONER報道官:「繰り返しますが、私は彼等の言葉を信じて良いと思います。国連の機能があるのです。これらの申し立てを吟味する為に国連安保理制裁委員会が存在します。」

QUESTION: Sorry, just to make sure, you do believe them?
記者からの質問:「恐れ入りますが、再度確認の意味で(質問をさせて下さい)、彼等を信用しますか?」

MR. TONER: Yes.
国務省TONER報道官:「はい」

(引用及び翻訳終了)
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 ところがパネッタ国防長官は同じ日の米下院軍事委員会の公聴会で、北朝鮮のミサイル計画には、「中国から何らかの支援があることは確かだ」と発言しました(下の動画の0:40~0:55で中国の関与を明言している)。

 しかし今回のリークの場合はその規模と官房長官の対応から考えまして、日本政府首脳が関与している可能性があると個人的には考えます。もしそうだとしますと、何故この時期なのか、野田政権の真意は何かが興味深いところです。

参考資料:

国際連合安全保障理事会決議第1718号 和訳 (官報告示外務省第598号(平成18年11月6日発行))

国際連合安全保障理事会決議第1874号 和訳 (官報告示外務省第328号(平成21年6月19日発行))

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