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2013年11月 4日 (月)

防衛省がMQ-8の導入を検討

1024pxfirescoutvuas

(上の写真はWikipediaからMQ-8B、 クリックで写真を拡大、著作権はPublic Domain)

1.はじめに

 防衛省の「平成26年度予算概算要求の概要」の第6頁(PDFファイル10枚目)に下記画像の記述がありました(クリックで画像拡大)。

H26_gaisan

 予算総額的には200万円と少額です。しかしここに来まして防衛省がMQ-8の導入を検討している旨をNHKが報じました。

「尖閣監視 無人ヘリ導入も視野に」(2013年10月28日 4時57分 NHK*リンク先はWebCiteによる魚拓)

 艦載型無人航空機を調査する理由に関しましては、NHKの報道では

(1). 尖閣諸島など南西地域にて有人の艦載ヘリコプターによる監視活動を行っているが、飛行できる時間が3時間程度であることから、長時間の監視が必要になる場合は給油のため着艦を繰り返す必要があり、パイロットの負担が課題となっている。

(2). 米海軍が配備を進めているMQ-8は偵察活動をおよそ8時間に亘り連続して行うことが可能であり、自衛隊の護衛艦でも使うことで飛行時間を延ばし、監視能力を向上することが可能か調査を実施する。

 としています。今回の記事ではMQ-8に関しまして調べることとしました。

このYouTube動画Northrop Grummanの公式アカウントにより投稿されたMQ-8BがLCS-1から発着艦試験を行う様子)

2. MQ-8の特徴と仕様

 Northrop Grummanの公式サイトにMQ8Bの簡単なカタログがあります(PDF注意)。下記にその本文の一部抜粋と翻訳を行います。
-------------------------------------------------------------------
With a total endurance of eight+ hours, the Fire Scout can provide more than six hours time on station with a standard payload at 110 nm (200 km) from the launch site. A system of two Fire Scouts can provide continuous coverage at 110 nm. Utilizing a payload that includes electro-optical/infrared sensor with laser rangefinder/illuminator and a maritime radar, the Fire Scout can find and identify tactical targets, track and illuminate targets, accurately provide targeting data to strike platforms and perform battle damage assessment.

八時間以上の航続時間により、ファイアスカウトは離陸地点から110nm(200km)の距離にて標準的なペイロードで六時間以上の滞空をすることが出来る。二式のファイアスカウトにより切れ目のない監視を110nmの距離で実施することが可能となる。電子光学/レーザー距離計/と組み合わさった赤外線センサー/照明器と海洋レーダーを含むペイロードを活用することにより、ファイアスカウトは戦術ターゲットを発見・識別し、ターゲットを追跡し照射し、攻撃プラットフォームにターゲットデータを正確に提供して戦闘損害評価を実施する。

Fuselage Length  (with Dual Payload Nose)
胴体全長(機種にデュアルペイロード有時)...............23.95 ft (7.3 m)

Fuselage Width
胴体幅...........................................6.20 ft (1.9 m)

Length (with Blades Folded Forward)
全長(回転翼を前方に折り畳み時) ..... 30.03 ft (9.2 m)

Rotor Diameter
回転翼直径...................................... 27.50 ft (8.4 m)

Height (Top of Tail Antenna)
全高(尾部アンテナの頂上まで).................. 9.71ft (2.9 m)

Gross Weight
総重量................................ 3,150 lbs (1428.8 kg)

Engine
エンジン.. Rolls Royce 250-C20Wターボシャフトエンジン

Speed
最高速度 ................................................................... 115ノット(213km/h)以上

Ceiling
上昇限度................................................... 20,000 ft (6.1 km)

Endurance(航続距離)
Total Flight Time with Baseline Payload
基準ペイロードでの総飛行時間.......... 8時間以上

Total Flight Time with EO/IR + Radar
EO/IR+レーダー搭載時の総飛行時間 .................7時間以上

Total Flight Time with Maximum Payload
最大ペイロード時の総飛行時間 ........5時間以上

Payloads
ペイロード
EO/IR/LRF/機雷探知機/通信中継/海洋レーダー

(引用及び翻訳終了)
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2013年11月05日(火)00:00追記:RQ-8Bカタログ詳細版 (下の画像は詳細版カタログから図面、 クリックで画像拡大)

Rq8bdrawing

(2013年11月05日(火)00:00追記:下の画像はRQ-8Bカタログ詳細版から寸法図面と搭載可能なセンサー類、クリックで拡大)

Rq8b_dimension

Rq8b_sensors

 こうしてみますとNHKの報道にありました「偵察活動をおよそ8時間、連続して行うことができる」との報道は厳密には正確ではなく、基準ペイロードのみでの最大航続時間あることが判ります。EO/IR+レーダー搭載時の総飛行時間はカタログにもあるとおりに7時間以上であり、また離陸地点から110nm(200km)の距離にて警戒監視活動を行うとなりますと、その地点まで最大速度で向かったとしまして片道約1時間弱程度でしょうか。

(このYouTube動画Northrop Grummanの公式アカウントにより投稿されたMQ-8BのEOと赤外線カメラの撮影画像、下部に高度、飛行速度、ターゲットとの距離が表示されている)

3.おわりに

 NHKの報道にもありますが、「有人のヘリコプターとの任務をどのように仕分けるのか」との課題や、また検証の結果として採用が決定した場合は何機を導入するのか、どの護衛艦に搭載するのか、も興味深いところではあります。

 RQ-4グローバルホークの導入も確定しており、また2013年5月にはBoeing社がScanEagleを陸上自衛隊に2機納入(あくまで運用研究目的ではありますが)しており、無人機によるISR能力の向上が高まっていくこととなるでしょう。

過去関連記事

「産経新聞が防衛大綱改定の概要を報じる」(2013年1月 5日 (土))

「防衛省、無人機とロボット購入へ 震災教訓、有事投入も」(2011年9月17日 (土))

2013年3月14日 (木)

Lockheed Martin社がステルス機搭載用に謎のCudaミサイルを開発中

 Lockheed Martin社がステルス機搭載用にCudaと呼ばれる謎の空対空ミサイルを開発していますが、その概要がおぼろげながら明らかとなりつつあります。

 その新型空対空ミサイルが取り沙汰され始めたのは昨年12月頃からでした。

Lockheed working on new air-to-air hit-to-kill missile(Lockheedが新型直撃式空対空ミサイルを開発中)、(2012年12月4日09:20 Flightglobal)

このミサイルの特徴は直撃式であることと、搭載可能なミサイルの数を大幅に増やす事が可能となることです。下記に記事の一部抜粋と翻訳を行います。

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Called the "Cuda", the weapon would increase the F-35's air-to-air load-out from four Raytheon AIM-120 AMRAAM missiles to eight of the proposed HTK weapons. For the F-22, the number of beyond visual range weapons the jet could carry might increase to as many as 14. The Raptor currently carries six AIM-120s and two Raytheon AIM-9 Sidewinders.

Cudaと呼ばれる兵器はF-35の空対空搭載量を四発のレイセオン社製AIM-120 AMRAAMミサイルから八発のこの提案中の直撃式武器に増加することが出来る。F-22では搭載可能な目視外射程武器を実に14発まで増やすかとが可能となるかもしれない。ラプターは現状六発のAIM-120と二発のレイセオン社製AIM-9サイドワインダーを携行する。

If the weapon proceeds into development, the challenge will be to-at the very least-match the AMRAAM's attributes. The Lockheed concept would have to be as lethal and offer the same or better range. And, it must have a good off-boresight capability. Moreover, it must be fielded quickly and cheaply in the current budget environment. "If the answer to either of those is no, they will have a borderline insurmountable uphill battle," the source says.
もしこの兵器が開発段階となれば、その挑戦は、どう少なく考えてもAMRAAMの特性と同等となるであろう。Lockheed社の概念は同等の致死性で同じかより長射程でなくてはならない。そして優良なオフボアサイト能力を有しなくてはならない。その上に現行の予算の環境で早急に安価に配備されなくてはならない。これらのひとつでも満たさないのであれば、到底採用されないであろう」と関係者は述べた。

(引用及び翻訳終了)
-------------------------------------------------------------------
 この記事の最後の関係者のコメントから、もし開発がスタートしますとこの新型ミサイルの性能は全般的にAMRAAMを上回ることを要求されることが予見されます。

これに加えて更なる新情報がFlightglobalの2月23日(土)05:49の記事"Details emerge about Lockheed’s Cuda missile (Lockheed社製Cudaミサイルに関する更なる情報が明らかとなる)"で報道されました。

そしてこれがその製品カードの写真です。

上記二点の資料から分かることは下記のとおりです。

・全長は70インチ(1.78m)

・致死性が高く、コストが安い

・マルチモードシーカー

・超高G機動

・360°カバー

・多様な経空脅威(敵機や無人機)に対処可能

・F-22Aでは搭載量を2倍の12発に、F-35Aでは3倍の12発に

 また製品カード右下の写真は車両や小型舟艇の攻撃にも使用可能であることを示唆しています。

  このCudaミサイルの性能に関してはその他複数のソースから性能を推測することが可能です。2012年度のAirforce Magagineの第77頁(PDFファイル6枚目)では"The missile is about the size of a Small Diameter Bomb and fits on an SDB-style rack.(そのミサイルはおおよそ小直径爆弾のサイズであり、小型直径爆弾のラックに適合する)" との記述が見受けられます。上記でも述べましたが実際にLockheed社製品カードの写真では全長は70インチとなっており、SDBとほぼ同等です。

ボーイング社公式ホームページSDB

寸法: (L x W): 70.8" x 7.5" (1.8 m x 19 cm)

Bru614xgbu39

(上の写真はWikipediaよりSDB 著作権はPublic Domain)

SDBの射程距離はボーイング社の公式ホームページによりますと"more than 60 nautical miles(60海里以上)"となっています。無論これは対地攻撃時の滑空の射程ですが、この数値を考えますとAMRAAMと同等以上との数字には現実味があると言えるでしょう。またSDBはコンクリートのバンカーを見事に貫通しています。

Gbu39_impact

(上の写真はWikipediaよりSDBがコンクリートのバンカーを貫通し内部の航空機を破壊する様子 著作権はPublic Domain)

 もし実用化されれば、少数の機体で人海戦術に対処可能であり、多目的に使える画期的な新兵器となると言えるでしょう。

2012年11月15日 (木)

ソフトイーサー株式会社が遠隔操作ウイルスの通信記録・プロセス起動記録ソフトを開発し無償リリース

 遠隔操作型ウイルスに感染したパソコンから犯行予告が相次いで書き込まれ、警察が事件に関連して男性4人を誤認逮捕し、真犯人の特定が困難な状況が続いています。

「「犯行声明」 別のPCも操作示唆、被害者は5人に」事件発生経緯一覧表(2012年10月17日 00:17)

 所謂「踏み台」に関しましては、以前も当ブログで記事にしたことがありました。

「日本国警察庁に対するサイバー攻撃に思うこと」(2011年7月18日(月)執筆)

(下の図はWikipediaよりDDoS攻撃のイメージ図 画像はフリーソフトウェア)

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 こうした中で茨城県つくば市にある筑波大学発のベンチャー企業であるソフトイーサー株式会社が遠隔操作ウイルスによる冤罪防止のための通信記録・プロセス起動記録ソフト「パケット警察 for Windows」を開発しフリーウェアとしてリリースしています。

「パケット警察 for Windows (フリーウェア)」 遠隔操作ウイルスによる冤罪を防止するための通信記録・プロセス起動記録ソフト 2012年10月22日公開 筑波大学発ベンチャーソフトイーサ株式会社

 同社発表によりますと「万一、遠隔操作ウイルスによってあなたのパソコンが犯罪者にリモート操作され『踏み台』となった場合に、ウイルスの起動記録や犯人の通信記録がすべてログに残りますので、あなたの無実を証明したり、真犯人を追跡したりするための有力な証拠として利用可能です。」、「Windows 98, ME, NT 4.0, 2000, XP, Server 2003, Vista, Server 2008, 7, Server 2008 R2, 8, Server 2012 で動作します。さらに、IPv6 にも対応しています。」との事です。

 それではこのソフトイーサー株式会社とはどの様な会社なのでしょうか。同社の公式ホームページの製品・サービスのページによりますと、ソフトウェアや通信サービスの会社です。同社の会社概要は同社公式ホームページの会社概要のページに記載されており、役員・社員を合わせて9名で、代表取締役は登 大遊氏です。同社の公式ホームページの「ソフトイーサ株式会社 産学官連携活動」のページには下記の通りにあります。

「2004 年 4 月 1 日に、筑波大学発ベンチャー企業として設立されました。設立に関わった発起人および初代取締役の全員は、当時は筑波大学の学類生または大学院生でした。」、「現在でも当社の筑波大学との関連は深く、筑波大学内に合計 3 箇所の研究開発用のオフィスや実験室を設置させていただいております。」

(下の写真はWikipediaより同社本社があるリッチモンドビル Miyuki Meinaka氏が撮影 クリックで画像拡大 茨城県つくば市天久保二丁目 9 番地 2 リッチモンドビル1F ソフトイーサ・コア内)Richmond_2nd_street 会社規模は小規模ですが、実績は目を見張るものがあります。同社公式ホームページの導入事例のページによりますと、多数の企業等に納入実績がある模様です。会社沿革・概要及び実績から、筑波大学とも関係の深い会社であり、一部官公庁や大手企業にも納入実績があることから、一定の信頼があるということが言えると私個人は考えます。

 私が今回この情報に注目しましたのは、今回のこのフリーウェアが「ウイルスの起動記録や犯人の通信記録がすべてログに残ります」としている点です。素人考えですがこのソフトウェアはその他の証拠(ウイルス解析)などと併せますと、ある意味で動かぬ証拠となり得ます。そうだとしますと、抑止力として機能するかもしれません。ただ「踏み台」を二重以上に経由していることも考えられ、その場合は見えない戦いとなるのは変わりがないのかもしれませんが。それでも今回のこのソフトは非常に興味深いと個人的には考えた次第です。

「中国の攻撃能力「飛躍的向上」=サイバー空間で最大の脅威―米議会報告」(2012年 11月15日(木)0時15分配信 時事通信)

2012年6月22日 (金)

RIMPAC2012で米海軍がレーザーを用いた潜水艦新通信技術を試験へ

Dscf0313

(上の写真はある日の某所にて筆者が撮影の海自潜水艦 クリックで画像拡大)

 RIMPAC2012がハワイ沖で現地時間の6月29日から開始となりますが、今回のRIMPACでは興味深い潜水艦用新通信技術の実地試験が実施されます。ブルーレーザーによる通信がそれです。その旨は米軍の準機関紙である星条旗新聞(Stars and Stripes)の2012年5月19日の記事"22 nations gear up for RIMPAC exercises in isles(「22ヶ国が諸島でのRIMPAC演習に向け準備を整える」)"にもその旨の言及があり、事実である事は間違いがないと考えられます。下記はその該当箇所の一部抜粋と翻訳です。
-------------------------------------------------------------------
War games also will have tests of a submarine-launched unmanned aerial vehicle and blue-laser underwater communications, and a "green" emphasis with the largest government purchase of biofuel in history.
演習では潜水艦発射の無人航空機とブルーレーザー水中通信の試験が行われ、そして政府による史上最大のバイオ燃料購入によりグリーンさに重きをおく。

(引用及び翻訳終了)
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それではblue-laserを通信とは何でしょうか。この技術に関しましてnaval-technology.comの2012年06月12日の記事"RIMPAC 2012: Great Green Fleet, communications and Yellow Sea security(「RIMPAC 2012:大規模なグリーンな艦隊、通信、黄海安全保障」)に詳しい特徴と経緯が掲載されていますので、下記にこの記事の一部の抜粋と翻訳を行います。
-------------------------------------------------------------------
The current standard of communications relies upon radio waves, which cannot penetrate through sea water. This has led to submarines requiring the use of towed buoys or trailing wires to communicate with warships or aircraft effectively.Blue / green laser wavelengths are, however, capable of penetrating sea water effectively and have been eyed as a potential communication medium for some time.
現在の標準的な通信手段は電波に頼っており、そしてそれは海水を貫通しない。これは戦艦や航空機と効果的に通信する為に、曳航式のブイか背向ワイヤーを潜水艦が使用する必要性に駆り立てている。ブルー/グリーンレーザー波長は、しかしながら、海水を効果的に貫通することが可能であり、暫くの間は潜在的な通信媒体として見られていた。

This prompted DARPA to award a $32m contract in September 2010 to develop a blue-laser system under the Tactical Relay Information Network (TRITON) programme, with a live evaluation of the system scheduled to take place during RIMPAC 2012.
これは戦術中継情報ネットワーク(TRITON)プログラムの一環でブルーレーザーシステムを開発する3200万ドルの契約をするように2012年9月にDARPA(国防高等研究計画局)に促し、RIMPAC 2012の間にシステムの実施評価を行う予定とされた。

QinetiQ's North American subsidiary secured the contract having already started development of a blue-laser communication system dubbed the Submarine-Enabling Airborne Data Exchange and Enhancement Program (SEADEEP).
Submarine潜水艦-Enabling有効Airborne航空機Data Exchangeデータ交換・Enhancement向上Programプログラム(SEADEEP)と称するブルーレーザー通信システムの開発を既に開始していたことからQinetiQ社の北米子会社が契約を確実なものとした。

At the time of the contract award, QinetiQ confirmed that its SEADEEP system had already demonstrated "communications through the air-water interface equivalent to data rates available with wideband Internet communications at home", equivalent to being hundreds of times faster than conventional submarine communications at operational depths.
契約受注時に、QinetiQ社はSEADEEPシステムは「家庭でのワイドバンドインターネット通信で利用可能なデータ率に等しい空海間インターフェース通信」を既に発揮したことを確認したとしており、作戦水深での通常の潜水艦通信の数百倍の速さに等しい。

(引用及び翻訳終了)
-------------------------------------------------------------------
 それではこのQinetiQ社とは如何なる企業でしょうか。インターネットにて検索し、同社北米子会社公式ホームページを見つけることが出来ました。QinetiQ社の北米子会社はYouTubeに公式アカウントを有しており、それを見ますとロボットやセンサーを扱っていることが分かります。

同社の公式ホームページに記載されています沿革によりますと、そもそも英国防省のDefense Evaluation and Research Agency (DERA);国防評価研究庁の研究所と試験場が民営化されたことが同社の発祥であるとの事です。

Underwater Blue-Green LaserはQinetiQ社の公式サイトに下記の通り紹介されています。
-------------------------------------------------------------------
Blue-green optical laser communications systems, with their ability to penetrate seawater to operationally significant depths, stealth characteristics and resistance to jamming, along with the lack of tethers, cables and speed and maneuverability restrictions, represent the most promising technology available today to truly connect the undersea environment.
ブルーグリーン光学レーザー通信システムは、海水を作戦上の重要な深度まで貫通する能力を有し、ステルス性とジャミング耐性とともに、テザーやケーブルとスピード・機動性制限が不要であり、海中環境で接続する為に今日で最も将来性のある技術を象徴する。

QinetiQ North America’s underwater blue-green optical laser communications portfolio provides on-demand one and two-way communications, command and control of undersea systems, and data exfiltration needs for current and future manned and unmanned systems, vehicles, fixed and mobile sensors, and underwater distributed sensor networks.
QinetiQ北米の水中ブルーグリーン光学レーザー通信ポートフォリオは一方向か二方向のオンデマンド通信、海中システムの指令コントロールシステム、現在と将来の有人及び無人システム、乗り物、固定及び移動式センサー、そして水中分配センサーネットワークのデータ発信需要を提供する。

(引用及び翻訳終了)
-------------------------------------------------------------------Img_bluegreenlaser(上の写真はQinetiQ社の公式ホームページよりブルーグリーン光学レーザー通信システム 出典明記で商業目的以外の掲載可 クリックで拡大)

もしRIMPAC202でその有効性や信頼性が確認された場合は、大変興味深い新技術ではあるとは思われます。しかしこのレーザーはどの程度の高度/深度まで到達することが可能なのか、また受信はどの程度の角度まで可能なのかまだ不明な点が多いと言えます。特に潜水艦が航空機からレーザーを受信する際に一定の角度、方向、距離にいなくてはならないとなると、位置秘匿と矛盾する事になるとも言えるのです。

 それでもブイが不要になり、小型のUAVをコントロールすることが可能となるのであれば、魅力的な新技術ではあり、潜水艦を増強中の海自も着目していいかもしれません。

2012年5月28日 (月)

米国海兵隊のケースレス弾開発に思う課題

Dsc02748(上の写真は筆者の友人であるDagger_zero、天山氏により撮影の陸自のMINIMI 本人の承諾を得て掲載 クリックで画像拡大 薬莢袋が見える ) 

 2012年05月21日(月)08:20:03EDTのMarine CorpsTimesに"Caseless ammo could cut 25lbs. from gear(ケースレス弾が装備の25ポンドの軽減化を可能に)"との興味深い記事が掲載されました。下記にその記事の一部を抜粋し翻訳します。(筆者注:1ポンド=0.45359237Kg, 25ポンド=11.33980925Kg)

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The Marine Corps and Army are developing new caseless and case-telescoped ammunition that, when partnered with a new light machine gun also in development, could significantly cut the burden on troops in combat. And perhaps more significant than that, in the coming years this revolutionary ammo could drive production of the Corps’ next service rifle.
海兵隊と陸軍は新たなケースレス弾とテレスコープ弾を開発しており、同じく開発中の新型軽量機関銃と組み合わせれば、戦闘中の兵士の負担を大幅に軽減できる。そしておそらく更に重要な事であるが、この革新的な弾薬は将来的に海兵隊の次期正式小銃の生産に駆り立てるかもしれない。

Dropping weight
重量軽減
Caseless ammunition, which is free of the heavy brass casings found on traditional cartridges, will allow Marines to carry more rounds or simply shed weight-up to 25 pounds for the typical M249 Squad Automatic Weapon gunner, said George Solhan, the Office of Naval Research’s deputy chief researcher for expeditionary maneuver warfare.Some of the ammo and weapon systems now in development could be ready for action in just a year or two, according to researchers.
ケースレス弾は伝統的な薬莢に見られる真鍮製ケースがなく、海兵隊により多くの弾薬を携帯可能とするか、単純に典型的なM249分隊自動火器射手から25ポンドまでの重量を軽量化 すると海軍研究事務所のGeorge Solhan遠征機動戦研究副主任は述べた。研究者によると現在開発中の幾つかの弾薬や兵器は一年か二年で実用化されるかもしれない。

M249: 51.3 pounds when fully loaded with 1,000 rounds of linked ammo — 17.5 pounds for the weapon, 33.8 pounds for the ammo.
M249: 1000発の弾帯で満載された時は51.3ポンド-本体で17.5ポンド、弾薬で33.8ポンド
( 筆者注:51.3ポンド=23.269288581Kg、17.5ポンド=7.937866475Kg、33.8ポンド=15.331422106Kg )

Marine upgrade: 26.9 pounds — 9.9 pounds for weapon, 17 pounds for ammo.
海兵隊改良:26.9ポンド-本体で9.9ポンド、弾薬で17ポンド
( 筆者注:26.9ポンド=12.201634753Kg、9.9ポンド=4.490564463Kg、17ポンド=7.71107029Kg )

Army upgrade: 30.6 pounds — 9.4 pounds for weapon, 21.2 pounds for ammo.
陸軍改良:30.6ポンド-本体で9.4ポンド、弾薬で21.2ポンド
( 筆者注:30.6ポンド=13.879926522Kg、9.4ポンド=4.263768278000001Kg、21.2ポンド=9.616158244000001Kg)

The associated cost and effort has caused many to give pause. And while Solhan acknowledges that pushback, he dismisses it as shortsighted given the potential payoff for infantrymen.
関連の費用と努力が多くの関係者を躊躇わせた。Solhan遠征機動戦研究副主任はその後退を認知しているが、歩兵にとっての利点を考慮すればそれは短絡的であると退けた。

“For the cost of a couple of current-generation jet fighters,” he said, “you could do that for the entire Army and Marine Corps.”
「二機の現世代戦闘機の価格で、陸軍と海兵隊全体にそうすることが出来る」と彼は述べた。

Here, the Marine Corps and Army are working on separate scales. The Army is further along in developing what are known as case-telescoped 5.56mm rounds, which use a polymer cylinder that entirely encases the bullet and propellant, and pose fewer technical challenges than caseless ammo.
これに関しては、海兵隊と陸軍は異なったスケールで作業している。陸軍は弾丸と推進剤を完全に包み込むポリマー円管を使用し、ケースレス弾よりも技術的課題の少ないテレスコープ式5.56mm弾として知られている物の開発で先行している。

What the Corps wants
海兵隊が望むもの

The Marine Corps’ approach — calling for caseless rather than case telescoped — is more extreme and will take several years to refine, according to Paul Shipley, program manager for Textron Systems’ Lightweight Small Arms Technologies project. A thousand rounds weigh just 17 pounds — half the load of standard 5.56mm rounds used by SAW gunners now.
テキストロンシステム社の軽量小火器技術プロジェクトのPaul Shipleyプログラム部長によると海兵隊のアプローチ-テレスコープ弾よりもケースレスを要求しており-は更に極端で清廉するのに数年間は要するであろう。1000発あ17ポンドの重量であり、現在のSAW射手により使われている標準の5.56mm弾の半分の重量である

The entire round is fed into the chamber, and upon ignition the primers and propellant case are consumed, leaving nothing to be ejected. The ballistic qualities of the bullet in flight are nearly identical to current cartridges, and the new rounds are in fact safer because they are less likely to explode when exposed to fire, developers say. That, paired with an innovative mechanism known as a “rotating chamber” pioneered by Heckler & Koch in the 1980s, makes for a highly reliable machine gun that should help eliminate failures, according to designers.
弾全体が薬室に供給されて、雷管と推進剤の発火に伴い包は消費されて、何も排莢されない。開発者によると、弾丸の飛行中の弾道の質は現行のカートリッジとほぼ同一であり、火に晒されても暴発の可能性を低くしており、新型弾は事実上より安全である。それに、1980年代にヘッケラー&コッホ社により開発された「回転式薬室」として知られる革新的な構造と組み合わされ、不具合の除去の助けとなる信頼性の高い機関銃となるであろうと開発者はしている。

The rotating chamber moves in line with a feed tray above the barrel. A belt-fed round is rammed in and the chamber swings down, in line with the barrel, before being fired. The chamber then oscillates in front of the belt to accept another round. If a chambered round fails to fire, the following round will simply push it out the front of the chamber, ejecting it. The gun continues to fire without missing a beat, Shipley said.
回転式薬室は銃身の上にあるフィードトレーと一致して作動する。発射前にベルト給弾が装填され薬室がスイングし、銃身と一致する。更なる弾を受け入れる為に薬室はそれからベルトの前に回る。薬室内の弾が発射失敗した場合は、後続の弾が薬室の前に単純に押し出し、排出する。銃はテンポを乱すことなく発射し続けるであろうとShipley氏は述べた。

(引用及び翻訳終了)
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 最後の機構に関する説明が分かり難かったと思われますが、WikipediaのG11の項目に理解を助ける写真と図が掲載されていました。1280pxg11_schnittmodell(上の写真はWikipediaよりG11の断面写真 2009年8月26日にBojoe氏が撮影 銃身の上に弾倉があるのが分かる クリックで写真拡大)

Evers_hk_g11_feed
(上の画像はWikipediaよりG11の装弾機構 2008年3月22日にEvers氏が製図 クリックで画像拡大)

 そして下の画像はDTIC(アメリカ国防技術情報センター)が配布しているケースレス弾に関するPDF資料からケースレス弾の図面です(クリックで画像拡大)。556_mm_caseless_ammunition_concept
そしてこの動画はYouTubeに投稿された新型軽量機関銃の動画です。

 この記事に巻する私の第一印象ですが、確かにこれ程の大幅な軽量化されました場合は兵士の負担の大幅な軽減化となりますが、将来的にこの弾薬が正式小銃にまで普及した場合の自衛隊にどの様な影響を与えるかが気になりました。

 またこの新型弾薬を研究している部門が"expeditionary maneuver warfare"(遠征機動戦)研究部門である件も何故この部門なのかが個人的にはやや気になる部分です(ドクトリンの関係)。

 この記事によりますと「将来的に海兵隊の次期正式小銃の生産に駆り立てるかもしれない」との事ですから、そうしますと同じ米軍で陸軍はテレスコープ弾で海兵隊がケースレス弾の二方式が併存するのは望ましいことではなく、やがて一つに収斂していく可能性も高いと思われます。

 もしそれが正式小銃まで普及しなくとも新型軽量機関銃の弾薬となった場合も若干の影響があるかもしれません。

 まず自衛隊としましては最大の同盟国の弾薬がそうなりました場合は、自衛隊としましてもそれに対応する必要にも迫られるでしょう。そうしますと新たな小銃の開発も必要となります。それは技術力、納期(開発期間と普及の両方の意味合いで)、財政的負担(米国とは製造基盤も生産ロットも異なり、戦闘機二機分とはいかないかもしれません)、弾薬の備蓄、新方式移行に伴う教育体制など課題はかなり多いと考えられるのです。尤もこれは米国の同盟国全てに言えるでしょう。

 しかしケースレス弾となった場合は薬莢袋も薬莢拾いも不要となりますので、軽量化と合わせて考えますと隊員の負担の大幅な軽減となります。Dsc02836(上の写真は筆者の友人であるDagger_zero、天山氏により撮影のMINIMIや89式小銃を構えている陸自隊員 本人の承諾を得て掲載 クリックで画像拡大 薬莢袋が見える ) 

 その一方で、ケースレス弾開発自体に課題がない訳ではなく、通常なら薬莢と共に排出される発射熱が薬室内に蓄積されて暴発を引き起こすコックオフ現象など諸課題もあり、また元記事では従来型と弾道が変わらないとしていますが、その信頼性を如何に獲得していくのかとの根本的な課題があります。従来型の薬莢は発射の圧を前方に向くように薬莢自体がシールしており、テレスコープ弾も外装筒が同じ役割を果たします。しかしケースレス弾は薬莢がないので、圧を前方に向けるシールをする事が出来ません。その課題も技術者は解決しなくてはならない旨が元記事には記載がありました。

 更に米国の厳しい財政事情を考えましても、この計画は先送りされる可能性もあります。そうしますとまだ当面は先の話かもしれませんが、こういった動向がある事を踏まえて今後の方向性を考える必要もあるのかもしれません。Dsc027051 (上の写真は筆者の友人であるDagger_zero、天山氏により撮影の89式小銃を装備の陸自隊員 本人の承諾を得て掲載 89式は現在改良型が開発中 クリックで画像拡大 )

2012年2月22日 (水)

Lockheed Martin社がAir and Missile Defense Radarの動画を公開

 やや前の話ですがLockheed Martin社のYouTube公式アカウントに2012年01月31日(火)に興味深い動画がアップロードされました。 Air and Missile Defense Radarのシミュレーション動画です。

 このレーダーの詳細に関しましては米国海軍の公式ホームページのFact Fileにも記載があります。下記にその内容の一部抜粋と翻訳を行います。
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The Air and Missile Defense Radar (AMDR) suite is being developed to fulfill Integrated Air and Missile Defense requirements for multiple ship classes. This suite consists of a S-Band radar (AMDR-S), a X-band radar and a Radar Suite Controller (RSC). AMDR will provide multi-mission capabilities, simultaneously supporting long range, exoatmospheric detection, tracking and discrimination of ballistic missiles, as well as Area and Self Defense against air and surface threats. For the Ballistic Missile Defense capability, increased radar sensitivity and bandwidth over current radar systems are needed to detect, track and support engagements of advanced ballistic missile threats at the required ranges, concurrent with Area and Self Defense against Air and Surface threats. For the Area Air Defense and Self Defense capability, increased sensitivity and clutter capability is needed to detect, react to, and engage stressing Very Low Observable/Very Low Flyer (VLO/VLF) threats in the presence of heavy land, sea, and rain clutter.
防空ミサイル防衛レーダー(AMDR)スイーツは多種の船級の統合された防空とミサイル防衛要求を満たすために開発されている。このスイーツはSバンドレーダー(AMDR-S)、Xバンドレーダー及びレーダースイーツコントローラー(RSC)で構成される。AMDRは長距離で大気圏外に於ける弾道ミサイルの探知・追跡・識別と、航空地上からの脅威に対して艦隊防空及び個艦防空も同様に同時に受け持ち、多用途任務能力を提供するであろう。弾道ミサイル防衛能力に関しては、経空脅威と地上からの脅威に対して艦隊防空及び個艦防空と同時並行的に、先進的な弾道ミサイル脅威を必要な距離で探知・追跡・交戦する為に、現行のレーダーシステムより増強されたレーダー探知と帯域幅が必要とされる。艦隊防空及び個艦防空能力に関しては、切迫した超低視認性で超低空飛行(VLO/VLF)の脅威を厳しい地上、波、雨クラッターの中で感知・反応・交戦する為に増強された感度とクラッター処理能力が必要とされる。

(引用及び翻訳終了)
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 要約しますと、YouTubeの動画でも分かりますが弾道ミサイル防衛と艦隊防空と個艦防衛を同時に対処可能な、クラッター処理能力に優れた、低空を飛行する低視認性目標も補足可能な新型レーダーと言えるでしょう。一説によりますと、イージス艦がミサイル防衛の任に当たる際に、航空機や対艦ミサイルに対する隙が生じるとも言われています。但し弾道ミサイル対応時にも、イージス艦が対艦攻撃に同時に対処可能なことが2007年4月26日に米海軍により実施されました弾道ミサイル迎撃実験で実証されました(FTM-11再試験 これはYouTubeに投稿されましたその時の動画です)。

 しかし日本はあきづき型護衛艦を配備してその対策としており、その旨は護衛艦(5,000トン型DD)に関します平成18年度政策評価書(事前の事業評価-PDF)にも下記の通り記載があります。

「イージス艦が、弾道ミサイル警戒及び対処任務に従事している際に、航空機、潜水艦、水上艦艇等による攻撃から防護する」

(下の画像は防衛省2008年度概算要求の概要より5000トン型DD)

19dd

 問題は将来的に日本がAMDRを搭載した新型DDGを導入する場合です。その場合はイージス艦が弾道ミサイル防衛の任務遂行中の経空脅威に対処する為に、イージス艦を護衛する汎用護衛艦に高度の防空能力が必要と財務省に要求することが難しくなるかもしれません。尤もそれは当面の間は先の課題となるかもしれませんが、米海軍がイージス艦の生産を長期に亘り継続する可能性が高く、何らかの住み分けを考える必要性が生じるのではないでしょうか。

2012年1月22日 (日)

米海軍が文書でF/A-18E/F後継に言及

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(上の写真は英語版WikipediaよりEA-18G 著作権はPublic Domain 画像クリックで拡大)

 2012年01月18日21:14:09 ESTのNavy Timesの記事"Navy document plans future of carrier air wings"(「海軍の文書が空母艦載機の将来を計画」)に米海軍がF/A-18E/Fの後継を計画しているとの非常に興味深い報道が掲載されました。下記にその記事の内容抜粋と翻訳を行います。
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By 2032, the Navy’s fleet of F/A-18E/F Super Hornets fighters and new EA-18G Growler electronic attack jets will have begun to be replaced by new types, a new document called Naval Aviation Vision 2012 reads.
2032迄に海軍のF/A-18E/F Super Hornet戦闘機とEA-18G Growler新型電子攻撃機が新型機により置き換えられると"Naval Aviation Vision 2012"と呼ばれる新たな文書に記載されている。

The Navy will consider manned, unmanned and optionally manned aircraft to replace the long serving Rhino, as the F/A-18E/F is known to carrier deck crews. The Super Hornet will begin to reach the end of its service life around 2025 and must be replaced. The document says a competitive fly-off will be held at some point in the future.
空母デッキ乗員にはF/A-18E/Fとして知られる、長期間に亘り運用されてきたライノの後継として海軍は有人機、無人機、そして有人機ともなる無人機を考慮するであろう。Super Hornetは2025年前後に寿命の終焉に達し始める予測であり置き換えられなくてはならない。文書は競争的な性能比較飛行試験が将来的に実施されるであろうとしている。

The Super Hornet-derived EA-18G will also start being replaced by a new aircraft, but the document offers no further details.
Super Hornetの派生型であるEA-18Gも新たな機体により置き換えられるとしているが、文書は更に具体的なことは言及していない。

(引用及び翻訳終了)
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 この記事のおおもとのソースは記事にもあります通り海軍の文書"Naval Aviation Vision 2012"(PDF)です。この文書には米海軍/海兵隊の各航空機の後継機が図解されています。

(下の各画像はその文書より、クリックで拡大)Replacement_for_fa18ef

Replacement_for_ea18g

Replacement_for_av8b_2 

(UCLASSとは"Unmanned Carrier Launched Surveillance and Strike"の略で無人航空母艦発艦偵察攻撃機とでも訳すべきでしょうか-2018年頃に配備予定-Navy Timesの記事ではX-47Bの技術が応用されるのではないかとしています。 MAGTFとは"Marine airground task force"の略で海兵空陸任務部隊と日本では訳されている。下の動画はYoutubeに投稿されたX-47B飛行の様子)

この文書には各後継機の具体的な仕様の記述がありません。しかしF-35と無人機、そして第六世代機の混成となるでしょう。第六世代機に関しましては以前も当ブログで執筆したことはありました。

「第六世代戦闘機日米共同開発の可能性について」 2011年2月24日 (木)

 この記事でも述べましたが、まだ第六世代機の概念は確定していません。しかし第六世代機に関しては各メーカーで計画されています。最近も新たな動きがありました。Lockheed Martin社がジャーナリスト等にメールで配布しました2012年度のカレンダーの2月にLockheed Martin社が想像するF-22戦闘機の後継となる第六世代戦闘機の画像が掲載されていた模様です。その旨はFlightglobalの2012年01月04日9:22の記事(画像あり)に掲載されています。FlightglobalがLockheed martin社に取材しましたところ、Eメールで下記の返信があったとの事です。

"Greatly increased speed, longer range, extended loiter times, multi-spectral stealth, ubiquitous situation awareness, and self-healing structures and systems are some of the possible technologies we envision for the next generation of fighter aircraft. "
速度の大幅な向上、航続距離延伸、ロイター飛行時間の延長、マルチスペクトルステルス性(レーダーだけだはなく視覚、聴覚に対してもステルス性があること)、ユビキタスなsituation awareness、自己修復構造及びシステムが次世代戦闘機の機体に我々が想定する幾つかの考えられる技術である。

 日本も将来的に第六世代戦闘機の開発に着手する可能性は非常に高いと考えられます。その方向性を考える上でもこれらの動向は非常に興味深いと思われます。今後も我が国を取り巻く安全保障環境は厳しくなることが予想されます。

尖閣「核心的利益」と中国 日本政府、影響を注視 (2012年01月21日 20:03 共同通信)

2012年1月 9日 (月)

米国の新国防戦略に記載された「新型ステルス爆撃機」とは

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(上の画像はwikipediaフランス語版より米国機動部隊の上を飛行するB-2ステルス爆撃機 著作権はPublic Domain クリックで画像拡大 中国は対艦弾道ミサイル等により接近阻止/領域拒否戦略を図っている。新型ステルス爆撃機は対抗策となるか

 前の記事「米国防総省の新戦略を読む」で、中国やイランによる接近阻止/領域拒否に対抗手段の柱の一つとして米国が新型ステルス爆撃機の開発に言及している旨を述べました。それではこの新型ステルス爆撃機とはどの様なものなのでしょか。Wikipedia英語版に情報が詳細に纏められています。Wikipediaは誰でも編集が可能であり、記事の信憑性や情報の正確性に疑問があることもありますので、可能な限り1次ソースで確認しながら、今回の記事ではこの新型ステルス爆撃機に関して執筆することとしました。

1.経緯

  この新型ステルス爆撃機ですが、"2018 Bomber"(以前は2018年の配備を目標としていた為)やNext Generation BomberないしはB-3とも呼称されています。英語版Wikipediaによりますと、今まで国防総省でもその具体像(有人機か無人機か、極超音速か亜音速か-結局のところ予算面での制約から無人機としての運用も可能な有人機で亜音速となる方向-)やその計画の存続自体も含めて紆余曲折があったとのことです。

 具体的な動きがあったのは2008年1月で、UPI通信が"Boeing, Lockheed to work on new bomber"(「Boeing社Lockheed社が新型爆撃機を手掛ける」と2008年1月25日に報じています。Boeing社とLockheed社が共同で新型爆撃機を開発するとの発表でした。その旨はBoeing社の公式ホームページの2008年01月25日のプレスリリース"Boeing and Lockheed Martin Team for Next Generation Bomber Program"(「Boeing社とLockheed Martin社が次世代爆撃機計画で共同作業」)でも確認することが出来ます。そしてその同社の公式発表には下記の記述が見受けられます。(しかしこのBoeing社とLockheed Martin社の提携は2010年03月01日に解除されました(Defense News 2010年03月01日記事"Boeing, Lockheed Put Bomber Partnership on Ice")。)
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This collaborative effort for a long-range strike program will include work in advanced sensors and future electronic warfare solutions
この長距離攻撃計画の共同努力は先進センサー及び電子戦ソリューションを含むであろう。
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 その時に公開されたBoeing社とLockheed社共同開発案の想像図(著作権がある可能性があるのでリンクのみとします)

 また上記以外にはNorthrop Grumman社が2008年に20億ドルの極秘プロジェクトを受注しています。これがNext Generation Bomber関連であることは確実視されているとのことです。これを受けて想像図がスケッチされています。

Northrop Grumman社 Next Generation Bomber案(著作権がある可能性があるのでリンクのみに留めます)

  上記の様にプロジェクトが進み始めましたが、ゲーツ長官(当時)は2009年4月15日(水)に次世代爆撃機を含む複数の構想に関して見直しに言及し(ロイター 2009年4月15日(水)"Gates sees more changes to U.S. weapons in 2011")、2018年の配備は延期され、今日に至っています。

2.具体的仕様

 ゲーツ国防長官(当時)は次世代爆撃機に関しまして2011年01月06日(木)のペンタゴンでの演説にて下記の通りに述べていました。
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Finally, a major area of investment for the Air Force will be a new long-range, nuclear-capable penetrating bomber.  This aircraft – which will have the option of being piloted remotely – will be designed and developed using proven technologies, an approach that should make it possible to deliver this capability on schedule and in quantity.  It is important that we begin this project now to ensure that a new bomber can be ready before the current aging fleet goes out of service.  The follow on bomber represents a key component of a joint portfolio of conventional deep-strike capabilities – an area that should be a high priority for future defense investment given the anti-access challenges our military faces.
最後に、空軍の主要な投資分野は新たな長距離で、核兵器運用可能な侵入爆撃機である。この機体は-遠隔操作のオプションがあるが-実証された技術を用いて設計され開発される為に、スケジュール通りに纏まった機数で納入されることを可能にするであろう。現在の老朽化しつつある爆撃機編隊が退役となる前に新たな爆撃機が準備されている事を確実にする為にも、我々はこの計画を今から開始することが重要である。後継となる爆撃機は通常兵器による深攻作戦-我が軍が接近阻止の挑戦を受ける中で将来の国防投資に於ける最優先課題とされる領域であるが-の主要要素の包括の象徴となるであろう。
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また2011年02月15日(火)8:07:23 ESTのAir Force Timesの記事"Budget shrinks; acquisition programs outlined"(「予算縮減;調達計画概要」)にはこの様にあります。
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the “centerpiece” of which is a long range, stealthy, penetrating, nuclear-capable optionally manned bomber.
目玉は長距離ステルス侵入核兵器運用可能有人機にもなる爆撃機

The Air Force hopes the new bomber will be operational by the “mid-2020s,” said Pentagon Comptroller Robert Hale.
国防総省の会計監査官Robert Hale氏は空軍が2020年代半ばまでに新型爆撃機が実戦配備されることを望むと述べた。

the Long Range Strike Family of Systems should include not just a bomber, but Intelligence, Surveillance, Reconnaissance (ISR), Electronic Attack (EA), and communication portions of the program, said Maj. Gen. Alfred Flowers, the Air Force’s deputy assistant secretary for budget. He added that there would be one type of airframe, but with different missions depending upon the payload.
長距離攻撃システムは爆撃のみならず、インテリジェンス、監視、偵察(ISR)電子攻撃(EA)通信のプログラム部分を含まなくてはならないと空軍の予算副補佐官であるAlfred Flowers少将は述べた。彼は機体は一種類だけであるが、ペイロードにより異なる作戦を遂行することを付け加えた。
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 新型爆撃機の核兵器運用能力に関しましては2011年11月02(水)にノートン・シュワルツ空軍参謀総長が議会に次の様に証言しました(2011年11月02(水)19:13:10 EDT Defense News記事"Schwartz: New bomber not nuke-capable at first"「シュワルツ:新型爆撃機は当初核運用能力はなし」)。
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The Air Force’s top uniformed officer said the service’s new long-range strike bomber will be built with nuclear capability but will operate as a conventional strike aircraft initially.
空軍制服組のトップは空軍の長距離攻撃爆撃機は核兵器運用能力を有するかたちで製造されるが、しかし通常兵器攻撃機として始めは運用されるだろうと述べた。
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つまりこれらの関係者の話から見えるのはただの爆撃機ではなく、マルチロール機となりそうです。無人機のX-47Bの大型拡張版の様な気もします。
(下の画像はWikipediaよりX-47B 著作権はPublic Domain 拡大によりクリック)582pxx47b_over_sea

 しかしここで思い出すのが2011年12月上旬に発生しましたイランによるRQ-170米国無人機の奪取です。原因は今のところは判明していません。しかし無人機やステルス機の脆弱性が明らかになった/今後の中国やロシアによる解析で対抗手段が開発される虞があります。長時間の滞空により出現する脅威を直ちに攻撃する為に無人機とする意味合いは分かりますが、当面は有人機を原則とした方法が無難と言えるのではないでしょうか。

2011年12月11日 (日)

イランによる米軍最新鋭ステルス無人偵察機確保から分かるUAVとステルス機の限界

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(上の画像はWikipediaよりRQ-170の模型 Truthdowser氏作品 クリックで拡大)
既に様々なメディアにより報道されているのでご存じのことと思いますが、イランが何らかの手段により米国最新鋭ステルス無人偵察機RQ-170をほぼ無傷の状態で確保しました。そのニュースが報じられたのはほぼ一週間前程度でした。イラン国営通信とイラン革命防衛隊に近いとされるファルス通信が第一報を報じました。そのニュースを世界各国のメディアも採り上げています。そのうちの一つが2011年12月04日(土)18:47分 アルジャジーラ報道 Iran military 'downs US drone' ( イラン軍が「米無人機を撃墜」 ) です。以下に内容の一部抜粋と翻訳を行います。
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"Iran's military has downed an intruding RQ-170 American drone in eastern Iran," Iran's Arabic-language Al Alam state television network quoted an unnamed source as saying on Sunday.
イランのアラビア語のアル アラム国営テレビネットワークが日曜日の匿名筋による「イラン軍が侵入したRQ-170米国無人機をイラン東部で撃墜した」との発言を引用した。

The state news agency IRNA and the the semiofficial Fars news agency reported that the plane is now in the possession of Iran's armed forces. The Fars news agency is close to the powerful Revolutionary Guard.
国営のIRNAニュース局と半官のファルスニュース局は機体が現在イラン軍の手中にあると報じた。ファルスニュース局は強力な革命防衛隊に近い。

Fars reported that the drone had been brought down through a combined effort by Iran's armed forces, air defence forces and its electronic warfare unit after the plane briefly violated the country's airspace at its eastern border.
ファルスの報道によると無人機は機体が短時間イランの東側領空を侵犯した後にイランの軍、防空軍そして電子戦部隊の統合した努力により撃墜された。

The drone "was downed with slight damage. It is now under the control of our forces," Fars reported, quoting an unnamed military source.
無人機は「ほぼ無傷の状態で撃墜された。それは現在我が軍の管理下にある。」とファルスが匿名の軍事筋を引用し報じた。

(抜粋及び翻訳終了)
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 これに関して世界各国の情報は暫く錯綜しました。中にはイラン側のこの主張に懐疑的ないしは楽観的な分析も報じられています。その一つが2011年12月06日16:57のDefense Newsの記事"Analysts: Lost USAF UAV Likely Malfunctioned"(分析:行方不明の米空軍無人機は故障発生の可能性が高い)です。この記事も一部抜粋と翻訳を行います。
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Iran's claims to have brought down one of the U.S. Air Force's stealthy unmanned RQ-170 Sentinel reconnaissance aircraft are highly dubious, analysts and Pentagon officials said.
イラン側による米空軍のRQ-170 Sentinelステルス無人偵察機を撃墜したとの主張は非常に疑わしいと専門家とペンタゴン筋は述べた。

Later, government officials claimed that it had used an electronic or cyber attack to bring down the bat-winged drone and that the aircraft was recovered largely intact.
後に(イラン)政府筋は蝙蝠型の翼を有する無人機を迎撃するのに電子戦ないしはサイバー攻撃を使用し、機体はほぼ無傷で回収されたと主張した。

Pentagon spokesman U.S. Navy Capt. John Kirby added that there is no evidence to that suggests any kind of hostile activity was involved in bringing down the aircraft.
国防総省の報道官である米海軍のJohn Kirby大佐は機体撃墜に如何なる敵対的行動があったことを示す証拠がないことを付け加えた。

Loren Thompson, an analyst at the Lexington Institute, Arlington, Va., said that the Iranians have no way to detect or engage the stealthy Sentinel. "It would be almost impossible for Iran to shoot down an RQ-170 because it is stealthy; therefore, the Iranian air defenses can't see it," Thompson said. "Partly for the same reason, it is exceedingly unlikely that they used a cyber attack to bring down the aircraft."
バージニア州アーリントンにあるレキシントン研究所の分析官であるLoren Thompson氏はイランにはステルス性のSentinelを探知する手段も攻撃する手段もないと述べた。「ステルス機であるのでイランにとってRQ-170を撃墜することはほぼ不可能であろう。従ってイランの防空には見えない」とThompson氏は発言した。「同じ様な理由で彼等が撃墜するのにサイバー攻撃を用いたということはまずあり得ない。」

Thompson said the most likely scenario with the crash is a malfunction with the aircraft. If the plane crashed due to a hardware or software glitch, Iran is likely sitting on practically useless wreckage with little intelligence value, he said.
Thompson氏は機体の故障による墜落が最も考えられるシナリオであると述べた。もし機体がハードウェアないしはソフトウェアの故障により墜落したとすれば、イランは実質的に殆どインテリジェンス上の価値がない残骸に座っていると氏は述べた。

"The RQ-170 has a RTB [Return to Base] feature," Thompson said. "In the event of a loss of the command link, the aircraft will automatically return to its point of origin and land itself."
「RQ-170はRTB(基地帰還)性質がある」とThompson氏は言った。「指令リンクが失われた場合、機体は自動的に出撃地に戻り自身で着陸する。」

(抜粋及び翻訳終了)
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ところがこれらの楽観論は見事に打ち砕かれました。2011年12月08日にイランは撃墜したとするほぼ無傷のRQ-170の画像を公開したのです。

2011年12月09日(金) 9時49分ロイター通信 「イランが「米ステルス偵察機」の映像公開、機体に損傷見られず」

そしてこのYoutube動画はイランが公開したものです。

こうなってきますと当然のことですが技術流出の虞があります。そのことに関しまして2011年12月09日 10:09のDefense Newsの記事"Iran's Captured RQ-170?: How Bad Is the Damage"( イランがRQ-170を捕獲:損害はどの程度か )との記事が出ました。以下に抜粋と翻訳を行います。
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"There is the potential for reverse engineering, clearly," said Air Force Chief Gen. Norton Schwartz. "Ideally, one would want to maintain the American advantage. That certainly is in our minds."
「リバースエンジニアリングの危険性が明らかにある」とノートン・シュワルツ空軍大将は述べた。「米国の優位性を維持したいと理想的に考えるだろう。それは想定している」

One source said the aircraft in the footage was definitely the Sentinel, a subsonic, high-altitude reconnaissance aircraft built by Lockheed Martin.
情報源の一つは機体は間違いなくLockheed Martin社製の亜音速、高高度偵察機のSentinelであると述べた。

Dan Goure, an analyst at the Lexington Institute in Arlington, Va., compared it to the Soviet shoot-down of Francis Gary Powers' U-2 spy plane, a tactical and strategic disaster for the U.S.
バージニア州アーリントンにあるレキシントン研究所の分析官であるDan Goure氏は今回の出来事を米国にとり戦術上及び戦略的な大損害であったソ連によるフランシス・ゲーリー・パワーズのU-2スパイ機撃墜と比較した。

The capture of the Sentinel calls into question the viability of the very concept of stealthy unmanned aircraft penetrating enemy airspace, Goure said.
Sentinelの捕獲は敵国空域にステルス無人機を侵入させる根本的概念の実行可能性に疑問を投げかけるものであるとGoure氏は述べた。

"It kind of undermines the whole argument for replacing manned aircraft with unmanned systems," he said. "Unless you want to use it as a one-way missile."
「有人機を無人機で置き換えるとのそもそもの議論を覆すものである。」と彼は述べた。「使い捨てのミサイルとして使うのでなければ」

The captured aircraft will help adversaries copy U.S. stealth design techniques, coating materials, engine technology, and UAV command-and-control systems, he said. It will also help them develop countermeasures against stealthy U.S. aircraft.
捕獲された機体は敵国が米国のステルス設計、コーティング材質、エンジン技術、UAV指令及びコントロールシステムを模倣する助けとなるであろうと彼は述べた。それは米のステルス機に対する対抗手段を開発することにも助けとなる。

Teal Group analyst Richard Aboulafia was more measured in his response.
Tealグループ分析官のRichard Aboulafiaのコメントはより緻密であった。

The Iranians will undoubtedly share the technology or even the crashed aircraft with other nations, he said - and Iranian news site Nasim reported Dec. 8 that Russian and Chinese experts were already on their way to visit. But the manufacturing know-how to build such aircraft can't be duplicated from a captured machine, he said.
イランは疑いなく外国に技術ないしは機体そのものすらを共有するであろうと彼は述べた。-イランのニュースサイトであるNasimは12月8日にロシアと中国の専門家が既に向かったと報じた。しかしその様な機体を製造するノウハウは捕獲された機械からは複製出来ないと彼は述べた。

"From a secrecy standpoint, it's like dropping a Ferrari into an ox-cart technology culture," Aboulafia said. "But I'm sure they can sell it to someone who can get some kind of information out of it. But the mission systems are likely to be too encrypted to be of use to anyone."
「機密上の観点からすると、フェラーリを牛車技術文化に落とす様なものである」とAboulafia氏は述べた。「しかし私は彼等がそこから何らかの情報を得る事が出来る誰かに売ることが出来ると確信している。しかしミッションシステムは誰にも利用できない程に高度に暗号化されているであろう」

Still unknown is how Iran captured the stealthy aircraft in the first place. Tehran claims to have used cyberwarfare to hack the drone's systems.
まだ不明な点はそもそもどの様にしてイランがステルス機を捕獲したかである。イラン政府は無人機のシステムにハッキングするのにサイバー戦を使ったと主張する。

Aboulafia pronounced himself flummoxed that the RQ-170 was not programmed to self-destruct. "I would really hope they'd have a kill switch. Is the world really that poorly run?" he said.
Aboulafia氏はRQ-170が自爆プログラムを有していないことに絶望したとしている。「キルスイッチを持っていると望む。そんなに適当なものなのか?」と彼は言った。

(抜粋及び引用終了)
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 もしイラン側の主張が事実だとしますと、このDefense Newsの記事にもありますがイランがどの様に高度のステルス性を有するRQ-170無人偵察機を補足したのか、そしてそれを如何なる方法でほぼ無傷で確保したのかです。

 技術流出に関しましてはこの機体にどの程度の技術が使われていたかにもよります。それを両当事者が開示することは今後も無いと思われますので、その点は評価不能です。ただ米側はRQ-170に用いられた技術が全て流出したとの前提で対策を講じるでしょう。

 このDefense Newsの記事でAboulafia氏の"Is the world really that poorly run?"とのコメントが紹介されていますが、これが実は今回の米国の失態の本質を突いていると私は思います。それは前述しましたもう一つのDefense Newsの記事"Analysts: Lost USAF UAV Likely Malfunctioned"(分析:行方不明の米空軍無人機は故障発生の可能性が高い)で私が赤文字で強調した部分にも共通します。イランにはステルス性のSentinelを探知する手段も攻撃する手段もない」、「ステルス機であるので(中略)、従ってイランの防空には見えない」とあります。実はそうではないのです。このブログでもステルス機の優位性に関して賛否両論から読者の間で議論はありました。ステルス機はレーダーに映らないのではないのです。映り難い/映り難いように欺瞞をしているだけなのです。twitterでも議論されていましたが、例えればステルス機とは透明人間ではなく、迷彩服を着用して隠れている歩兵なのです。従いましてデータを蓄積された場合や戦術を誤れば見えます。そのことを以前にも指摘した識者は複数います。

シベリアンジョーク集積所2010年03月06日記事「ステルスの話を少し」

 もう一つの点ですがもし本当にECMやサイバー攻撃で無人機を乗っ取ったとしますと(それが技術的に可能であるかどうかは私には判断が難しいのですが、それは兎も角として本当の理由は不明ですが、ほぼ無傷のままでイラン側に機体が渡った/着陸したことは間違いありません)、前述のDefense Newsの記事でも少し言及がありますが今後の無人機の運用に根本的な課題を残したこととなります。第五世代戦闘機の次は無人戦闘機になるとの説も散見されますが、電子戦やサイバー攻撃で無人機の乗っ取りが可能となりますと、今後は無人機に頼ることは危険となります。
(下の画像は防衛省資料「将来の戦闘機に関する研究開発ビジョン」(PDF)より クリックで拡大)Photo

 そもそもこれが有人偵察機であれば、搭乗員は機密保持の為に破壊しなくてはならない電子機器を熟知していますから、不時着の前後にそれらの機器をハード上、ソフト上で破壊します。例えば2001年度に発生しました「海南島事件」では米海軍のEP3Eの搭乗員が中国側に拘束される前に15分間に亘り機器やデータを破壊しています。無人機の操縦者が遠隔操作でそれを行い得る場合であれば別かもしれませんが、無人機そのものはそういったことは現代の技術では自分で判断しません。

 今回の事件はステルス性、無人機という二つの現代戦のトレンドに冷や水を浴びせるものと言えます。まさしくステルス機や無人機の限界が露呈した事件と言えるでしょう。

2011年4月30日 (土)

三菱重工が放射能防護型フォークリフトを開発

 既に北大路機関の「三菱重工、放射線防護型大型特殊フォークリフトを緊急開発、福島第一原発事故に投入」や、twitter上でのつぶやき、その他ネット上で報じられているのでご存知の方々も多いと思いますが、三菱重工の公式プレスリリース(2011年4月27日発行 第5062号)によりますと、福島第一原発での瓦礫除去作業に三菱重工が放射線を遮蔽するキャビン搭載の大型特殊フォークリフトを大成・鹿島・清水共同企業体に2台納入するとのことです(同プレスリリースに実物の写真あり)。このプレスリリースによりますと、このフォークリフトは下記の様なスペック/特徴を有するとの事です。

・車体は15トン・フォークリフトがベース
・100mmの鋼板と厚さ230mmの鉛ガラスからなる全辺溶接構造の密閉キャビンを搭載
・特殊なフィルターを装着し、汚染された空気を浄化し、キャビン内に供給する。また与圧装置により、外気の侵入を防ぐ。
・多様な運搬作業に使用することを想定し、様々なアタッチメントを有する
・エアコン装備

 今回のプレスリリースによりますとこのフォークは僅か1ヶ月の単納期で開発・製造したとの事です。これらの放射線や放射性物質を防ぐ技術は、今まで三菱重工が戦車や装甲車(10式戦車、、90式戦車、74式戦車、89式装甲戦闘車、73式装甲車)を製造する中で培ってきたノウハウを応用したものと考えられます。
 このフォークリフトの機能の中で、放射線防護機能もさることながら、私が特に注目したのは非常に地味ですが、エアコンです。それはやがて来る夏に備える為にも必須であると私は考えるからです。私はそれを直接見た訳ではなく、伝聞ですので事実関係が正確かどうかは解りませんが、福島第一原発にて作業に従事している作業員の方々は非常に過酷な労働環境を強いられているとのことです。被曝を避ける為に作業従事中はトイレの使用が許されず、紙オムツを着用している模様です。また水分補給も出来ないので、作業員は脱水状態になるとも聞きました。タイベックならばともかく、ゴム製の防護服を着用している作業員の環境の過酷さは想像を絶するものがあります。佐藤正久参議院議員もTwitter上で懸念を表明していましたが、夏はどうなるのでしょう(因みに佐藤議員の陸自での職種は化学科でした)。気象庁が4月25日に発表しました長期予報によりますと、今年の夏も暑くなる事が予測されています。現場の作業員の方々が熱中症で相次いで倒れるということはあってはなりません。だとしますと現場で作業されている方々の健康管理を考慮しましても、夏に備える為にエアコンは必須であると私は考えます。Protective_clothing

(写真は3M防護服:タイベックと同等品、筆者所有のものを筆者が撮影)
 私は今回の原発事故で自らの身の危険を顧みずに多くの作業員の方々が現場で努力している事への感謝の念を忘れてはならないと考えます。そしてそういった方々の作業環境を改善する最大限の努力を惜しむべきではないのです。
 更に色々なメーカーが今回の原発事故の対処に関わっていることも知っています。それも上記のフォークリフトの例と同様に非常に無理な短納期でです。これもあくまで伝聞なのですが、某メーカーには有力政治家から納期の督促の電話が直接掛ってきたとの事です。正に日本の底力が試されていると言って良いでしょう。今回の震災/原発事故で直接的/間接的に対処された方々の努力を私たちは忘れてはならないでしょう。政界では菅降ろしの動きが出ていますが、足の引っ張り合いをやっている場合ではないのです。
「内閣不信任案提出を・・・自民領袖、「反菅接触」も」(2011年4月29日10時06分  読売新聞) 「実際、領袖らは民主党内の「反菅」勢力と接触を深めており、伊吹氏は14日に鳩山前首相や平野博文元官房長官と会談した。」Athose (写真は今回の原発事故で汚染水の移送に使用される某大手ホースメーカーのホース。参考資料: 「汚染水の移送 2号機で倍増へ」(2011年04月29日 NHK報道) ある日に、某所にて某氏が撮影。本人の許可を得て掲載。諸事情により写真にはラベルを塗りつぶす画像処理を行っています。)

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